健康知識:息を深く長くすることで健康養生

人間は、赤ちゃんとして母体から離れて産声を発して息が始まって自ら生命活動を営み始めるが、最期に息を引き取ることで生命活動の終止を示している。呼吸機能は生命活動の基本的な指標である。「人は一息で活きる」と言われるように、人間の生命は気によって営んでおり、生命活動自身は気の運動の一種である。健康の時には元気が充足し、病弱の時には息切れや息苦しいなど呼吸困難が現れてくる。

中医学的には、生体の気は肺に吸入された自然界の清気、及び脾胃に運化された飲食物の穀気から生成されている。脾胃による消化機能は確かに健康維持の基本であるが、肺による呼吸機能も健康増進の重要な素因である。気功養生療法では「調息」(息の調節)が非常に重要な要素とされている。

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健康知識:経穴を用いた美顔方法

近年、日本において美容針灸が非常に流行っている。針灸院やエステサロンだけでなく、接骨院などでも美容針灸を取り入れ、様々な所で治療を受けられるようになっているが、場所により治療効果は大きく異なっている。美容針灸の治療院を選定することは普通の人にとって中々難しい。そのため、自身で経穴を用いた美顔方法がお勧めできる。

実際、刺針の代わりに手指を用いて経穴に適度な刺激を与えることで美顔の効果も充分に得られ、しかも安全かつ簡便である。基本的に美容針灸は針具でなく、経穴への刺激によって美容効果を果たしたのであり、経絡の調節作用は美容針灸の基礎となる。推拿(按摩)手法を用いて相応しく経穴に刺激を与えることにより、臓腑経絡の機能を強化して陰陽気血の平衝を調節し、顔面皮膚が濡養されて潤沢で弾性に富むことができる。これはいわゆる美容推拿の作用機序である。

美容針灸でも美容推拿でも、経絡腧穴が最も重要な決め手である。先ずは体質と体調に従って適切な経絡腧穴を選択して治療処方を決める。次に正確かつ精密に腧穴の定位を取る。最後に経絡腧穴において適宜な手法を行って適度な刺激を与える。

ここでは、美顔に常用される経穴の所属経脈と応用要点を紹介する。具体的な定位と取法は《経穴の定位と技法》、詳細な効能と主治は《経穴の性能と主治》を参照することができる。

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健康知識:新型コロナウイルス感染後遺症について

1、概説

新型コロナウイルス性肺炎は、中医学において外感病証の「疫病」の範疇に属する。疫病は強烈な伝染性と流行性を持つ疾病の一種であり、通常の外感六淫(風寒湿燥火)とは異なり、「疫癘」(瘟疫、疫毒、癘気、疫気、毒気、異気、雑気、乖戻之気などとも言う)という病邪(致病素因)により起こされる。疫癘の形成は自然界の異常気候、環境の汚染、飲食の不潔、社会制度などと密接に関係している。新型コロナウイルス性肺炎の発生は、急速な蔓延・広範囲の流行・重篤な病状などの特徴から一般的な外感六淫ではなくて「疫癘」によるものである。病状の性質から見ると、主に寒湿の邪気と密接な関係を持って「寒湿疫」と定義している。

中医学における邪気は一つの抽象的な概念で、人体に疾病を致す全ての素因を指し、いわゆる致病素因のことである。致病素因は大まかに外感病因(風寒湿燥火の六淫、疫癘)、内傷病因(喜怒憂悲恐驚の五臓七情)、そして不内外病因(飲食、労逸、外傷、寄生虫、水湿痰飲、瘀血など)の三大類に分けられるが、新型コロナウイルス性肺炎には外感病因の疫癘が致病素因となっている。邪気は主に発病する時に病状の特徴に従って病邪の性質をまとめてきたのであり、現代医学における細菌やウイルスなど具体的なものと全く一致しない。

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健康知識:便秘解消の五経穴

便秘は日常生活で多く見られ、年齢増加や運動不足などにより胃腸の機能が減退して現れ易い。特に秋季の乾燥に伴って便秘に悩まされている方が増えている。大便が乾燥して腸管に閉塞することで、腹脹腹痛や食思不振、更に煩躁不安などの病症が起こされることもある。

中医学的には、便秘の病位は大腸にあるが、脾胃・肺・肝・腎など臓腑の機能失調に関係している。

便秘の問題の解決には生活方式の調整するほか、人体における経穴の按揉法を行うことも効果的である。下記の五経穴は腑気通調・潤腸通便の効果を発揮して便秘の解消にお勧めできる。

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健康知識:秋季補肺のための百合の応用

酷暑が長引き、立秋から暫く経ちましたが、蒸し暑くて中々爽やかにならず、秋分になってようやく朝晩秋の気配が感じられるようになった。

秋季は「陰長陽消」の時期であり、万物が「引き締まる」特徴を現している。自然界の六気では燥が主気となり、燥は陰を傷め易い。また五行学説では、人体の肺臓は秋季と同じく金に属しているため、秋気に通じて合っている。肺は「嬌臓」と呼ばれるようにデリケートの臓で、湿を好んで燥を嫌悪する生理特徴を持ち、寒熱燥などの邪気に耐え難く、特に燥邪に傷められ易い。そのため、秋季では潤肺が最も重要な養生原則である。飲食薬膳による健康養生では、梨、冬瓜、百合、白木耳、蓮実、銀杏、杏仁、蜂蜜、鳩肉などの食材は直接肺臓に滋潤・補益の作用を持っている。中でも、百合が特にお勧めの一種である。

ここでは百合の食用方法を幾つか紹介して秋季の肺臓補益に役立てて欲しい。

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健康知識:三伏天における冬病夏治の食療処方

三伏天(さんぷくてん)は二十四節季の小暑と処暑の間にあり、一年中最も気温や湿度が高くて蒸し暑い時期である。今年も7月11日から三伏天に入り、ここ数年続いて、初伏10日、中伏20日、末伏10日で、計40日間である。中医学には「春夏養陽」の養生原則があるが、三伏天では特に陽気の保養に注意しなければならない。そのため、普段は温かい飲み物や熱性の生姜棗汁などを飲んだりし、冷たい飲み物や冷える食べ物を控える。また冷房環境に籠ってはいけない。

三伏天の時期、人体の陽気は自然界に従って最も旺盛になっているため、体内に凝集して冬季に疾病発作を起こす陰寒邪気は比較的解けやすい状態になっている。冬季持病の方や身体虚弱の方は、この時機を上手く利用して身体の奥に蓄積している頑固な寒邪宿疾を一気に追い払い、いわゆる「冬病夏治」のことである。また冬病治療と同時に、体内の虚弱陽気を調節し補充し、生体の免疫力を高めて一年中疾病の抵抗力を強める事が出来る。

冬病夏治の方法は沢山あるが、飲食薬膳の内治法も便宜的で効果的である。簡単な飲食薬膳だけで明らかに冬病の再発を減少させ、病状進行を緩和させることかでき、また身体虚弱の補養効果も大きい。ここでは、冬病夏治のための飲食薬膳処方を紹介する。

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健康知識:健脾利水・清熱除湿の良薬 はと麦

梅雨季節に入り蒸し暑い日々が続き、頭が重くて体がだるい、汗がベタベタしてすっきりしない、食欲が出ないなどの症状は湿邪が体内に溜まっている特徴である。そのため、この時期の健康維持で最も重要な原則は清熱除湿である。

中医学的に五臓の中の脾は、気血を化生し運輸するほか、水湿を運化する生理機能がある。脾が健常であれば、気血が充足するし、体内に停滞している湿邪も変化し排除されていく。逆に湿邪が盛んになると、脾の機能も影響されて低下してしまう。

健脾除湿と言うと、真っ先にはと麦が思い出される。はと麦は薬食両用の材料の一種として知られ、その清熱利湿の薬効効果が最も重視されている。栄養価が高く、適応範囲が広く、安価などのこともあり、日常飲食生活における健康増進に非常に適している。

但し普段の食生活では、はと麦の調理に慣れていない方が多いようで、ここで、はと麦の応用方法を紹介するので炎熱と湿気の強い梅雨季節に活用して欲しい。

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健康知識:夏季における生姜の応用

中国では「冬に大根、夏に生姜を食べれば、医者の薬方をいらず」との言い方がある。夏季に向けて生姜を活用することで、健康維持に役立つ。

生姜は辛・温の性味で、脾・胃・肺経に帰経し、散寒解表・温肺化痰止咳・温中降逆止嘔・解毒の効能を持ち、主に風寒感冒による悪寒発熱、頭痛鼻閉、肺寒による咳嗽多痰、痰飲喘咳、胸脇脹満;脾胃虚寒による脘腹冷痛、泄瀉、胃寒または胃気不和による悪心嘔吐、食少;婦人月経不順、崩漏、産後血暈、瘀血腹痛、吐血、鼻衄、喀血、便血;魚蟹や半夏の中毒などに用いられる。また、姜には生姜と乾姜の違いがあるが、生姜は温性で発汗解表の作用が強く、乾姜は熱性で温中散寒の作用が強い。

ここで夏季における生姜の応用を紹介する。

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健康知識:葱姜蒜による春季の疫病予防

春が近付くと自然界は陽気昇発という特徴になり、万物生成の光景が現れている。同時に春は風を主り、風を特徴とする病証が流行り易い。そこで、今の季節には新型コロナウイルス感染症に加え、様々な感染症が多発している。感染症の予防には感染源遮断と免疫力増強が重要な方針である。マスク着装・対人距離保持・随時の手洗いなどは感染源遮断のため効果的な方法であるが、人体生命力の一面である免疫力は医療気功、針灸推拿、薬剤薬膳など東洋的な医療方法により強化できる。

古来、伝統医学では薬食同源を提唱して食物の特性を以て疾病の予防と治療に用いている。これによって陰陽のバランスを取り戻して生体の免疫力を高める。「厨房三宝」と呼ばれる長葱・生姜・大蒜は薬食両用の重要な食材である。辛熱発散の薬性を持っているため、春の特徴と共通し、人体の陽気を助長して風寒湿の邪気を取り除き、疫病の予防効果を果たす。《傷寒論》、《千金方》、《本草綱目》など薬物経典に収録してある疫病の予防治療の食療処方に長葱・生姜・大蒜を含むものが数多くあり、また熱く炒って臍や合谷などの経穴に付けて熱罨法を行う外治療法をも記載している。

ここでは長葱・生姜・大蒜の薬性効果と応用方法について紹介する。疫病蔓延の時期に当たって多めに食用することにより、予防治療の作用を果たして欲しい。

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健康知識:冬季における感冒咳嗽の食療方法

冬の季節は、感冒(風邪)に罹り易くなり、悪寒発熱や鼻水頭痛などの症状が伴うほか、咳が多く見られる。しかも諸症状が治まっても咳だけが中々治らず、飲食や睡眠など日常生活に支障を来たし、更に慢性化すると咽喉炎や気管支拡張なども起こし易い。

中医学の飲食薬膳療法を活用することで、早急に咳の症状を改善させることができる。具体的に応用する際には、感冒の臨床辨証を行う必要があり、これにより咳嗽の治効を高める。

中医学的に、感冒は外界の邪気を感受して発病する外感病(外感表証)に属する。感冒による咳嗽は主に風寒か風熱の邪気から起こされるが、ほかに風燥によるものもある。臨床では、主に寒熱の辨証に従って相応しい薬膳献立を選択して対応することができる。

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