健康知識:冬至時節における艾灸養生技法

天候が一気に冷え込み、小雪・大雪も過ぎて冬至になろうとしている。冬至は一年中で最も陽気が少なく陰気が多い時節であり、人体も自然界に従って陰盛陽衰の状態になっている。この時期は陽気保養が最も重要な養生原則である。そのため、飲食調節や日光浴など様々な方法が挙げられるが、最も効果的な方法として艾灸法をお勧めしている。

艾灸法はヨモギなどを体表の経穴に据えて焼灼することで、灸火の温熱刺激及び艾草の薬理性能を以て、経絡の伝導によって体内の臓腑まで到達し、臓腑機能を高めて陰陽気血を調節し、扶正祛邪・防病治病の作用を果たす。艾草は温経散寒・祛風燥湿・行气活血などの効能を持つため、陰盛陽衰の冬至時節において保健養生の温灸が最も相応しく、特に痩弱虚損や陰寒凝滞などに対し、艾灸法は独特な効果をもたらす。

当会会員専用ページにて2017年12月に公開した「保命之法、艾灸第一」の健康知識で、艾灸法の効果を解説して保健養生の温灸に常用される経穴を紹介している。また昨年出版した《針灸臨床実用参考書 経穴の定位と技法》の教科書に経穴の灸法を詳細に記述してあるが、ここでは艾灸法の操作技法及び注意事項について説明する。

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健康知識:冬至時節における艾灸養生技法

天候が一気に冷え込み、小雪・大雪も過ぎて冬至になろうとしている。冬至は一年中で最も陽気が少なく陰気が多い時節であり、人体も自然界に従って陰盛陽衰の状態になっている。この時期は陽気保養が最も重要な養生原則である。そのため、飲食調節や日光浴など様々な方法が挙げられるが、最も効果的な方法として艾灸法をお勧めしている。

艾灸法はヨモギなどを体表の経穴に据えて焼灼することで、灸火の温熱刺激及び艾草の薬理性能を以て、経絡の伝導によって体内の臓腑まで到達し、臓腑機能を高めて陰陽気血を調節し、扶正祛邪・防病治病の作用を果たす。艾草は温経散寒・祛風燥湿・行气活血などの効能を持つため、陰盛陽衰の冬至時節において保健養生の温灸が最も相応しく、特に痩弱虚損や陰寒凝滞などに対し、艾灸法は独特な効果をもたらす。

当会会員専用ページにて2017年12月に公開した「保命之法、艾灸第一」の健康知識で、艾灸法の効果を解説して保健養生の温灸に常用される経穴を紹介している。また昨年出版した《針灸臨床実用参考書 経穴の定位と技法》の教科書に経穴の灸法を詳細に記述してあるが、ここでは艾灸法の操作技法及び注意事項について説明する。

一、灸法の操作

艾灸法の材料は古来艾を主としており、臨床では艾を用いて多く艾炷や艾棒を製作して使用する。常用する艾灸法には艾炷灸、艾棒灸、温針灸、温灸器灸などがあり、操作方法は種類によって異なるが、ここでは最も応用し易い艾炷灸、艾棒灸、そして温灸器灸を紹介する。

1、艾炷灸

艾炷灸は純粋な艾を利用し、手指または器具を使用して上が尖って下が大きい円錐形の艾炷を作る。経穴または病痛局所に据え、点火して施灸する方法である。

艾炷の大きさは様々である。米粒大を小炷、箸後端の大きさを中炷と言い、いずれも直接灸に用いられる;オリーブ半分の大きさを大炷と言い、主に間接灸に用いられる。艾炷の数え方は1個を1壮と言う。

艾炷灸の操作方法は主に直接灸と間接灸の二種類に分けられる。

① 直接灸:艾炷を直接施術部位の皮膚表面に据え、点火して施灸する方法である。施灸後の火傷の化膿の有無によって更に化膿灸(打膿灸)と非化膿灸(透熱灸と知熱灸)に分けられる。化膿灸は施灸時に灼熱痛を伴い、施灸後にも火傷の水疱や化膿の処置が繁雑で、また灸瘡(瘢痕)が半永久的に残るため、通常の保健養生には非化膿灸が安全で便宜である。

② 間接灸:漢方薬物を用いて艾炷を施術部位の皮膚表面と隔て、点火して施灸する方法であり、隔物灸とも言う。応用する薬物は数十種類が数えられるが、常用されるのは生姜、大蒜、そして塩がある。

新鮮な生姜や大蒜を厚さ0.2~0.3㎝の薄切りにし、中央を針で刺して数個の穴を開け、施灸する経穴または病痛局所の皮膚表面に置き、その上に艾炷を据えて点火して施灸する。艾炷が燃え尽くしたら取り外し、新たに艾炷を据えて施灸し、必要な壮数に達したら終了する。皮膚が発赤するが水膨れを起こさない適度とする。隔生姜灸は多く寒邪感受による嘔吐、腹痛、泄瀉、及び風寒痹痛などの病証に、隔大蒜灸は多く頸部リンパ節結核、肺結核、腫瘍の初期などの病証に用いられる。

その他に隔塩灸もあり、一撮みの純粋な食塩で臍窩を平らに埋め、その上に大炷を据え、点火して施灸する。艾炷が燃え尽くしてから取り外し、新しい艾炷を据えて施灸する。多く陰寒病証、急性腹痛、嘔吐泄瀉、中風脱証、四肢厥冷、虚脱などに用いられる。なお、回陽固脱の場合は壮数に拘らず、脈象回復・四肢温暖・証候改善になるまで連続して施灸する。

2、艾棒灸

艾棒灸は純粋な艾で作られた直径約1.5㎝、長さ約20㎝の艾棒を用いて経穴または病痛局所に施灸する方法である。具体的な操作方法は温和灸、雀琢灸、そして回旋灸などに分けられる。

温和灸は艾棒の一端に点火し、施灸部位の皮膚表面から2~3㎝ほど離して燻(いぶ)し焼いて施灸し、局所に温熱感があって灼熱痛を感じない。

雀琢灸は艾棒の一端に点火し、施灸部位の皮膚表面と一定の距離に固定せず、雀が啄ばむように艾棒を上下に動かして施灸する。

回旋灸は艾棒の一端に点火し、施灸部位の皮膚表面と一定の距離を保持しながら、前後または左右に動かすか、円を描くように繰り返して均等に回旋して施灸する。

通常、艾棒灸では一部位に5~7分間施灸し、皮膚が発赤するのを適度とする。施灸時に施灸手を施灸部位の付近に当てて安定させ、補助手の示指・中指を開いて施灸部位付近に置き、手指の感覚を通して患者の局所温度を感知し、これにより随時に施灸距離を調整し、施灸時間を把握して火傷を防ぐ。

艾棒灸は一般的な灸法適応の病証全般に応用できるが、温和灸は多く慢性病証の治療、雀琢灸と回旋灸は多く急性疾病の治療に用いられる。

3、温灸器灸

温灸器灸は身体部位に応じて様々な形状の温灸器具を選択し、1~2㎝ほど短い棒灸や切り艾を入れて点火して経穴または病痛局所に施灸する方法である。

温灸器灸は安全で便宜な特徴を持ち、操作方法が簡単なため、普段の保健養生には広く応用できる。

二、灸法の注意

① 実熱証及び陰虚発熱の者、妊婦の腹部と腰部には艾灸法を行わない。

② 顔面五官、関節部、そして大血管のある部位には化膿灸(打膿灸)を行わない。

③ 灸法の操作はなるべく順序に従って行う。一般的には、身体の上部を先に、下部を後に操作し、身体の陽部を先に、陰部を後に操作する;壮数は先に少なめ、後に多めに施灸し、艾炷は先に小さく、後は大きく施灸する。

④ 施灸時は安全を確保する。施灸時に艾火が脱落して皮膚や衣服を焼かないように注意し、また施灸後に艾棒を完全に消火して再燃しないことを確認する。

⑤ 施灸時に室内の排煙換気及び温度調節に注意し、特に厳冬と酷暑の時期は快適な環境を保つ。施灸後も患者は温かくして風に当たらないようにする。

また、施灸後に皮膚が微かに発赤して灼熱感が出現することは正常で特に処置の必要は無い。万が一、施灸の熱過ぎや時間の長過ぎにより局所に小さな水膨れが現れる場合は、破れないように注意して自然に吸収させる。水膨れが比較的大きい場合は消毒済みの毫針で水膨れを破り、液体を流し出すか、注射針で液体を吸い出し、ヨードチンキを塗り、ガーゼなどで覆い、汚染を避けて自然癒合を待つ。

なお、健康増進のための温灸経穴として、「保命之法、艾灸第一」の健康知識で紹介した足三里、関元、大椎、命門、神闕、中脘、太溪のほか、百会、湧泉なども必要に応じて応用できる。厳冬季節において艾灸法を上手く活用して健康増進に役立てて欲しい。

健康知識:秋季における菊花の応用

今年の天候は特に異常で、夏の暑熱と湿気が厳しく長引き、立冬になってようやく涼しくなり、急に深秋らしくなっている。少し雨が降ったとしても気候の特徴はやはり乾燥を主としている。「天神一合」と言われるように、人体も自然界の影響を受け、口舌が乾燥したり、眼精がゴロゴロしたり、皮膚もカサカサしたりすることが多く、いわゆる秋燥のことである。こんな時は菊花をお勧めする。

菊花は、その清熱降火の性能及び他の食材との組合せにより秋季の乾燥から我々を守ってくれる。

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健康知識:秋季における菊花の応用

今年の天候は特に異常で、夏の暑熱と湿気が厳しく長引き、立冬になってようやく涼しくなり、急に深秋らしくなっている。少し雨が降ったとしても気候の特徴はやはり乾燥を主としている。「天神一合」と言われるように、人体も自然界の影響を受け、口舌が乾燥したり、眼精がゴロゴロしたり、皮膚もカサカサしたりすることが多く、いわゆる秋燥のことである。こんな時は菊花をお勧めする。

菊花は微寒・甘苦の性味で、肺・肝に帰経し、疏風清熱・平肝明目・解毒消腫の効能を持ち、主に外感風熱、または風温初起、または熱毒上攻、または肝陽上亢、発熱、頭痛、目眩、目赤腫痛、視物不清、心胸煩熱、疔瘡腫毒などに用いられる。

菊花は、その清熱降火の性能及び他の食材との組合せにより秋季の乾燥から我々を守ってくれる。

1、菊花の主要作用

① 平肝明目:強い風に伴う乾燥は最も目に影響を及ぼし易い。菊花は肝に帰経して平肝熄風・明目養眼の効果を果たし、日頃目の使い過ぎで眼精疲労、眼精乾燥、視力低下の方にとっては守護神だと言える。

② 清熱解毒:秋の乾燥により体内に熱を生じ易い。菊花は清熱解毒の効能を持ち、体内の「火気」を排出させて生体の陰陽平衡を取り戻す。

③ 抗菌消炎:菊花には様々な抗菌成分が含有され、生体の外的な細菌病毒(ウイルス)の侵襲を防御する助力となり、堅実な防御線を築いてくれる。

④ 美容養顔:菊花にはビタミンとミネラルが豊富であり、新陳代謝を促進して体内の毒素を排出させる。長期の服用で皮膚が潤い艶々し、若々しい弾力をもたらす。

2、菊花の配合応用

菊花は普段主に茶代わりに服用する。多くは他の薬効食材と組み合わせることで、清熱除燥・養肝明目の性能を高めるほか、風味があり美味しい。

① 菊花と枸杞 養肝明目:枸杞も養肝明目の効能を持つ良い薬効食材であり、菊花と最適な配合となり、一緒に茶代わりに服用すると、清肝明目の効果を高めるほか、滋補肝腎の作用を果たして特に疲れ目や夜更かしの方に相応しい。

② 菊花と金銀花 清熱解毒:金銀花が持つ清熱解毒の作用は周知されているが、菊花と合わせて茶代わりに服用すると、身体のために二重保険を掛けるように、咽喉腫痛や口内炎のほか、風熱感冒や皮膚掻痒など全て緩解させる。

③ 菊花と蜂蜜 潤肺美顔:蜂蜜は潤肺止咳・潤腸通便の効能を持ち、菊花と組み合わせると護膚美顔の作用を高め、同時に降火除燥の効果も果たせて一石二鳥の目的に達する。また菊花の微苦味を蜂蜜が調和して服用する時の口当たりが一層美味しくなる。

④ 菊花と紅棗 補気養血:紅棗は補気養血の第一選択であり、菊花と一緒に茶代わりに服用すると、補気養血のほか、菊花の寒性を調和することができ、寒涼体質や気血虚弱の方には温補の良い方法だと言える。

⑤ 菊花と緑茶 醒神清脳:緑茶はフェノール性化合物(Tea polyphenols)を豊富に含み、清脳醒神と抗酸化作用を持っている。両者を合わせて健康効果のほか、菊花と緑茶の風味を感じることができ、心身両面の寛解と愉悦を感じて疲労解消のためとなる。

健康知識:秋季第一の補養食 お粥

秋季は補養を最も重要な養生原則としている。しかし夏季の炎熱酷暑による消耗を経て、脾胃機能の低下が多く見られるため、滋陰補益の効果を発揮すると同時に、脾胃に負担を掛けてはならない。このような時、お粥は最も相応しい。

お粥は「糜」とも言い、米、粟、玉蜀黍、豆類などの食糧を煮込んでできた粘液状の流動食物を指す。東洋飲食文化の精粋の一つとして4,000年以上の歴史を持っており、2,500年前から、養生や治療において薬用として使われ始めた。中国最古の礼儀制度に関する儒学経典《礼記》には「仲秋之月養衰老,授幾杖行,糜粥飲食」と記載してあるように、お粥は秋季補養の逸品である。清代名医・王士雄もお粥を「世間第一補人之物」と讃えている。秋季においてお粥を食すと、様々な効果が期待できる。

ここでは、秋冬季節に相応しい保健養生のお粥を幾つか紹介する。

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健康知識:秋季第一の補養食 お粥

秋季は補養を最も重要な養生原則としている。しかし夏季の炎熱酷暑による消耗を経て、脾胃機能の低下が多く見られるため、滋陰補益の効果を発揮すると同時に、脾胃に負担を掛けてはならない。このような時、お粥は最も相応しい。

お粥は「糜」とも言い、米、粟、玉蜀黍、豆類などの食糧を煮込んでできた粘液状の流動食物を指す。東洋飲食文化の精粋の一つとして4,000年以上の歴史を持っており、お粥の起源は先秦時期(秦の統一以前の春秋戦国時代)の黄帝時代まで遡り、黄帝が「烹穀為粥」(穀を烹して粥と為る)との伝説があり、3,000年前の商代では調理器具の改良に伴って羹や湯液などと並べて調理技術として形成し進化された。2,500年前から、養生や治療において薬用として使われ始め、中国最初の紀伝体通史書《史記・扁鵲倉公列伝》には前漢名医・淳于意が「火斉粥」を用いて斉王に疾病を治療する記載がある。後漢医聖・張仲景は《傷寒論》に、桂枝湯の服用後に熱いお粥を食すことで薬効の発揮を助けると書いている。また清代経学家・黄雲鵠が中国最古の薬粥専門書《粥譜》を著作し、237個の薬粥処方を収録している。

中国最古の礼儀制度に関する儒学経典《礼記》には「仲秋之月養衰老,授幾杖行,糜粥飲食」と記載してあるように、お粥は秋季補養の逸品である。清代名医・王士雄もお粥を「世間第一補人之物」と讃えている。秋季においてお粥を食すと、下記の作用が期待できる。

① 補水潤燥:お粥は90%以上の含水量を持ち、気候乾燥の秋冬季節に適している。更にお粥に含む水分は澱粉と混じり合っているため、消化管を通過するのが遅くて体内に留置時間が長く、普段の飲水より滋潤効果が優れている。

② 胃腸扶助:お粥は水を媒質として穀物などを柔らかく煮込んでいるため、消化吸収に有益で病弱の時に多く応用されている。脾胃機能が低下する時、或いは胃腸感染や消化不良で下痢などが発生する時に、お粥は最適である。譬え病弱では無くても食欲不振の時にお粥を食すことで、胃腸を一時的に休憩させられる。

③ 栄養補給:従来、お粥には栄養が少ないと多くの方に誤認識されているが、それは材料の単一という原因である。一般的に、粳米だけのお粥は消化され易いが、栄養価値が比較的低く、特にカロリーが高くて血糖が高い方や肥満の方に対して血糖値や体重のコントロールに不利であるため、余りお勧めしない。可能であれば雑穀や豆類を用いてお粥を作ると、栄養価値が高いし、食感も良くて美味しい。

通常の作り方としては、穀物を綺麗に研いでおき、お鍋に適量の水を沸かしてから入れて強火で再度沸かしたら、中火か弱火に変えて全てのものが柔らかくなってとろみが出るまで煮込む。なお、お粥を煮込む途中に冷たい水を加えると、とろみが出難くなるため、最初から多めに水を入れて出来上がる前に火加減で水分調整を勧める。

ここでは、秋冬季節に相応しい保健養生のお粥を幾つか紹介する。

1、蓮実の粥

蓮の実20g、粳米100g。蓮の実を水に浸して緑の芯を取り除いてお鍋に入れ、水を加えて強火で煮込み、蓮の実が柔らかくなったらお米を加え、再度煮立ってから弱火に変えてお米が柔らかくなってとろみが出るまで煮込む。氷砂糖で調味しても良い。

蓮実は健脾利湿・養心安神・益腎固精の効能を持ち、脾虚久瀉、食少羸痩、不眠多夢、心神不安、動悸健忘、腎虚遺精、遺尿、小便不利、月経多量などに用いられる。

2、山薬の粥

山芋100g、粳米100g。山芋を小さく切っておく。通常通りにお米でお粥を作り、お米に火が通ったら山芋を加えて柔らかくなってとろみが出るまで煮込む。

山薬は健脾止瀉・益肺補気・補腎固精の効能を持ち、先天不足や後天失養の体質虚弱の方に適し、脾虚食少、食思不振、下痢、浮腫、肺虚労咳、気喘、消渇多飲、腎虚頻尿、遺精、帯下などに用いられる。また長期に山薬の粥を食用することで先天後天(肺脾腎)を共に滋養して延年益寿の効果を果たす。

3、南瓜の粥

南瓜750g、粳米300g。南瓜を2㎝ほど角切りしておく。お米を研いでから更に30分間ほど水に浸して米粒に水分を充分吸収させておく。お鍋にたっぷりとお水を入れて沸騰したら南瓜とお米を一緒に加え、再度沸騰したら中火に変え、焦げないように頻繁に混ぜ、具が柔らかくなってとろみが出るまで煮込む。

南瓜は補脾益気・温胃調腸・養肺潤燥・化痰平喘・解毒消腫の効能を持ち、脾胃虚弱、胃寒食少、消渇羸痩、栄養不良、咳嗽痰濃、冬季喘息、浮腫などに用いられる。南瓜の粥は温性に偏って秋冬季節における養生の絶品であると言っても過ぎない。

4、大根の粥

秋に大根が豊作される、その中でも皮が赤く辛味のある紅芯大根が良いとされるが、普通の大根でも利用できる。

大根150g、粳米100g。大根は皮を剥かずに薄いスライスに切っておく。通常通りにお米でお粥を作り、お米が半熟になったら大根を加え、とろみが出るまで煮込む。氷砂糖で調味できる。

大根は健胃消食・利肺化痰・理気寛中・涼血生津・利尿通淋の効能を持ち、消化不良、食欲不振、腹満呑酸、泄瀉赤痢、便秘、肺熱咳嗽、痰多粘稠、咽喉不利、喀血、吐血、鼻血、熱病口渇、消渇口乾、小便不利などに用いられる。また大根の粥を服用することは、寒冷気候に多発する急性慢性気管支炎の緩和、更に高血圧や心疾患の予防にも一定の役割を果たす。

5、黒胡麻の粥

黒胡麻20g、粳米100g。黒胡麻を磨り潰しておく。通常通りにお米でお粥を作り、お米が半熟になったら擦り胡麻を加え、とろみが出るまで煮込む。

黒胡麻は補益肝腎・養血益精・滋養五臓・潤腸通便・烏髪養髪の効能を持ち、老年の身体虚弱の方に適し、肝腎不足・精血虚損による早期老衰、髪白脱毛、頭暈耳鳴、視物昏花、腰膝酸痛、四肢無力、五臓虚損、皮膚乾燥、腸燥便秘、乳汁不足などに用いられる。

6、松実の粥

松の種50g、粳米100g。松の種を炒って皮を剥き、細かく砕くか磨り潰しておく。通常通りお米でお粥を作り、お米に火が通ったら松の実を加え、とろみが出るまで煮込む。氷砂糖か蜂蜜で調味できる。

松実は補気養血・潤燥止咳・益精健脳・祛風通便の効能を持ち、体質虚弱や老年便秘などの方に適し、肺燥空咳、皮膚・毛髪の乾燥不華、大便虚秘、風の邪気による目眩動風、骨節腫痛、中風痹証などに用いられる。

上記のお粥は粳米に限らず、玉蜀黍渣(玉蜀黍の潰した細かい粒)や玉蜀黍粉、粟、オートミールなどの雑穀に変えると、更に香ばしく栄養価値が高い。但し玉蜀黍の場合は分量を粳米や粟より多めにする必要があり、また柔らかくとろみが出るまで長く煮込む必要があるため、事前にお水に浸したり、お水を多めに入れたりした方が良い。

健康知識:秋季における潤肺止咳の宝 梨

ようやく秋らしくなり、自然界では「燥」が主気となっている。人体も燥邪に影響されて口咽乾燥、鼻孔乾燥、皮膚乾燥、咳嗽などが現れ易い。この様な症状は旬の果物である梨を用いて緩解することができる。「一梨潤三秋」と言われるように、梨は甘酸っぱくて果汁が豊富で、乾燥する秋季において水分と栄養素の補充に適している。

現代研究によると、梨は栄養豊富であり、水分の含有量が高く、生体の水分摂取量を増加させて健康維持に有利である。ほかに、糖質、食物繊維、多種のビタミンやミネラルなども含有する。

中医学的には、梨は甘・微酸・涼の性味で、肺・胃・心に帰経する。

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健康知識:秋季における潤肺止咳の宝 梨

ようやく秋らしくなり、自然界では「燥」が主気となっている。人体も燥邪に影響されて口咽乾燥、鼻孔乾燥、皮膚乾燥、咳嗽などが現れ易い。この様な症状は旬の果物である梨を用いて緩解することができる。「一梨潤三秋」と言われるように、梨は甘酸っぱくて果汁が豊富で、乾燥する秋季において水分と栄養素の補充に適している。

現代研究によると、梨は栄養豊富であり、水分の含有量が高く、生体の水分摂取量を増加させて健康維持に有利である。ほかに、糖質、食物繊維、多種のビタミンやミネラルなども含有する。そのうち、炭水化物は主成分として最も多く100gの梨に9gほど含まれ、生体の重要なエネルギー源となっている。大量の繊維質は胃腸蠕動を促進して消化機能と腸管健康の助けになる。多種のビタミンにはビタミンC、ビタミンB2、そして葉酸が最も多く、特にビタミンCは生体に重要な抗酸化作用を与えて免疫機能を増強させて感染リスクを減少させる。豊富のミネラルには主にカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンなどがあり、中のカリウムは血圧調節や心疾患予防などに役立つ。また、抗酸化剤として、フラボノイド化合物やアントシアニジンなども明らかな抗酸化作用を以て細胞の老化を抑制し、癌腫の発生を予防することができる。

中医学的には、梨は甘・微酸・涼の性味で、肺・胃・心に帰経する。生津潤燥・化痰止咳・清熱解毒などの効能を持ち、主に熱病津傷または温熱病後期、陰虚煩渇、消渇口乾、肺熱または痰熱による咳嗽痰多、肺燥による空咳、嗄声、噎膈反胃、大便秘結、飲酒過度などに用いられる。

また、梨は食用方法により効能が変わってくる。生の食用は六腑の熱を清利する作用に長じ、生食により清熱作用を以て咽喉腫痛、手足の熱がり、舌紅苔黄などの場合に適する。一方、加熱食用は五臓の陰を滋養する作用に長じ、加熱により梨の寒涼性質を緩和して滋陰潤燥の効能を高めるほか、胃腸虚寒の方にも優しくなる。

秋季における潤肺止咳のために、通常蒸しや煮込みの食用法をお勧めする。梨1個を真ん中から縦半分に切り、種を取り除いで氷砂糖を適量加えて茶碗に入れ、蒸し器で30分ほど蒸し、冷ましてから蜂蜜で調味して梨を食して汁を飲用する。煮込みの場合は、梨を六等分や八等分に切り、梨が柔らかくなるまで煮込み、白木耳や百合根などを入れると養肺気・益肺陰の効能を高める。

但し注意することがある。梨は寒冷性質であり、多食すると脾胃を傷めて陰湿を助長するため、脾胃虚寒、溏便、腹部冷痛、風寒咳嗽の者や産婦は食用すべきではない。なお、梨皮は滋陰潤燥・止咳化痰の効果が梨肉より優れており、中薬処方の桑杏湯には梨皮を入れて燥咳の治療に用いるのである。咳嗽や痰多の者は梨皮を煎じて煮汁を飲用するか、或いは皮付きのまま直接食用しても良い。

健康知識:夏季における生姜の応用 続編

生姜は台所の必需品として常備されているが、臨床における常用薬としても重要である。その性味は微温・辛で、肺・脾・胃経に帰経し、発汗解表・温肺化痰・温中降逆・解毒の効能を持っている。《本草綱目》には「姜,辛而不葷,祛邪避悪,生啖熟食,酢、醤、糟、塩、蜜煎調和,無不宜之。可蔬可和,可果可薬,其利博矣。」とあり、生姜の性能特徴と薬食価値を説明している。夏季の炎熱蒸騰の自然特徴に応じて人体の陽気も体表に昇発して体内に陽熱が逆に少なくなって寒冷内生を起こし易い。そのため、夏季には温熱性質の生姜を食用することで、健康維持に役立ち、更に一部病症の治療または緩解に繋がる。

昨年初夏に「夏季における生姜の応用」を紹介したことがあるが、ここで他の生姜の応用方法を紹介する。

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健康知識:夏季における生姜の応用 続編

生姜は台所の必需品として常備されているが、臨床における常用薬としても重要である。その性味は微温・辛で、肺・脾・胃経に帰経し、発汗解表・温肺化痰・温中降逆・解毒の効能を持っている。《本草綱目》には「姜,辛而不葷,祛邪避悪,生啖熟食,酢、醤、糟、塩、蜜煎調和,無不宜之。可蔬可和,可果可薬,其利博矣。」とあり、生姜の性能特徴と薬食価値を説明している。夏季の炎熱蒸騰の自然特徴に応じて人体の陽気も体表に昇発して体内に陽熱が逆に少なくなって寒冷内生を起こし易い。そのため、夏季には温熱性質の生姜を食用することで、健康維持に役立ち、更に一部病症の治療または緩解に繋がる。

昨年初夏に「夏季における生姜の応用」を紹介したことがあるが、ここで他の生姜の応用方法を紹介する。

1、姜撞奶(生姜と牛乳のお菓子)

材料:生姜(とうを通ったのが良い)50g、牛乳250ml、砂糖30g。

作法:生姜の皮を剥いてミキサーで砕き、灰汁を除いて汁をお椀に入れる;牛乳に砂糖を加えて弱火で煮立て、しゃもじで温度が70~80℃まで冷めるまで混ぜ、高く持ち上げて速やかに生姜汁が入ったお椀の中に注ぎ落とす;お椀に蓋をして15分間ほど蒸し、自然に固まったら出来上がり。

効能:本方は民間処方である。生姜は健胃除湿祛寒の作用、牛乳は補気血・強筋骨の作用を持ち、合わせて駆寒暖身・滋補保健・延年益寿の効能を果たす。

2、当帰生姜羊肉湯(当帰と生姜と羊肉の煮込み)

材料:羊肉500g、当帰50g、生姜60g、長葱30g、塩少々。

作法:羊肉を塊に切り、お湯を通して灰汁を除き、取り出して綺麗に洗って置く;生姜を綺麗に洗ってから塊に切って包丁で叩き潰す;お鍋に水を入れて煮立てておく;羊肉を土鍋に入れて軽く炒め、生姜を加えて強火で生姜の香りが出るまで炒め、沸かしたお湯を加え、当帰を入れて一緒に煮立ててから弱火に変えて2時間ほど煮込み、肉と皮が柔らかくなったら塩で調味して出来上がり。

効能:本方は《金匱要略》から出典した。当帰は補血活血・潤腸通便の作用、生姜は発汗解表・止嘔解毒の作用を持ち、合わせて益気補血・温中祛寒・調経止痛の効果を果たす。

3、陳皮姜棗湯(陳皮と生姜と大棗の煮汁)

材料:陳皮10g、生姜50g、大棗数個、黒糖適量。

作法:生姜を微塵切りにして陳皮、大棗と一緒にお鍋に入れ、水を500ml加え、煮立てから弱火に変えて3~5分間煮込み、黒糖で調味して熱い内に飲む。

効果:本方は民間処方である。陳皮は理気降逆の作用、大棗は補益脾胃の作用、生姜は暖胃駆寒の作用を持ち、合わせて健脾和胃・理気寛中の効果を果たす。

4、紅薯生姜湯(薩摩芋と生姜の煮汁)

材料:薩摩芋250g、生姜3スライス、氷砂糖適量。

作法:薩摩芋を綺麗に洗ってから皮を剥いて塊に切り、生姜をスライスに切る;一緒にお鍋に入れて適量の水を加え、強火で煮立ててから弱火に変えて30分ほど煮込み、氷砂糖を加えて飲む。

効能:本方は民間処方である。薩摩芋は健脾養胃・潤腸通便の作用、生姜は温中散寒の作用を持ち、合わせて益気潤腸の効果を果たす。

5、生姜葱白湯(生姜長葱茶)

材料:生姜30g、長葱の白根10g、黒糖適量。

作法:生姜と長葱を細切りにし、黒糖を加えてお湯に浸すか、沸騰するまで煮る;熱いうちに飲んで布団をかけて休む。

効用:生姜は発散風寒・温胃止嘔の作用、長葱は発汗解表・通陽散寒の作用を持ち、合わせて散寒解表・温中止痛の効果を果たす。特に夏季の冷房による風寒外感、頸肩背腰の冷痛、腹痛泄瀉などに効果的である。

6、生姜橘皮水(生姜と蜜柑皮の煮汁)

材料:生姜12g、蜜柑の皮12g。

作法:生姜と蜜柑の皮を一緒にお鍋に入れ、水を加えて15~20分ほど煎じる。1日に2~3回に分けて温かく服用する。

効用:生姜は散寒発汗・温胃止嘔・解毒鎮痛の作用、橘皮は理気化痰・健胃除湿・止嘔降圧の作用を持ち、合わせて散寒止痛・温中止嘔の効果を果たす。特に夏季に冷飲や寒冷性質の果物などの過剰飲食により寒邪が胃腑を侵襲して嘔吐、腹痛などが現れる時に効果的である。

上記のほか、陽気不足で手足が冷える方には生姜の煮汁で足を浸すか、生姜の煮汁を飲用することで、陽気温補の効果が発揮できる。ほかの季節より陽長陰消の夏季に最も相応しい。具体的に、生姜をスライスに切り、強火で煮立ってから深い容器に移して足三里穴の高さまでの下腿全体を浸すほど水を加えて足を浸すか、1~2スライスの生姜を20~30分間煮込んで飲用する(好みにより黒糖で調味できる)。

生姜は夏季の健康養生にメリット沢山の薬食両用物であるが、食用に関して注意しなければならないことがある。腐った生姜を服用してはならない;生姜は辛熱燥烈の物で、陰虚火旺で内熱目赤、燥熱便秘、舌苔乾黄、或いは癕腫瘡癤の方は慎重に生姜を服用すべきである;体質平和の一般人も大量で長期に生姜を食用してはならず、一般には3~10gを適宜とする。また生姜の皮について生姜肉と同じく辛味でありながら、涼性を持って利水消腫の効果が優れている。普段の調理などの場合は、皮を剥かずに食用すると、薬性の平衡を保って逆上せを防ぐが、苦瓜やセロリや蟹など寒冷食材の食用時、或いは脾胃虚寒や風寒感冒の生姜黒糖水の飲用時に皮を剥いた方が寒冷を助長させないように役立つ。