健康知識:秋冬季節における膝関節の養護

秋冬季節に向けて天気が陰寒性質に変わり、生体の経脈気血の循行が遅くなる。この時期に膝関節の症状が発作し易い。膝関節の症状として、疼痛、発赤腫脹、クリック音、無力感、関節積液や変形などが挙げられる。

膝関節の症状を改善させるためには気血調和が重要な前提となっている。ここでは、活血脈・強筋骨の薬膳料理、及び経絡疏通・気血調暢の膝養護三動作を紹介する。これを参考にして丈夫な膝関節を作ろう。

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健康知識:秋冬季節における膝関節の養護

秋冬季節に向けて天気が陰寒性質に変わり、生体の経脈気血の循行が遅くなる。この時期に膝関節の症状が発作し易い。

膝関節の症状として、下記が挙げられる。

① 疼痛:膝関節の症状に最も多く見られる。「不通則痛」と記されている通り、経絡気血の停滞で痛みが生じる。痛みは動くと増悪し、休むと緩和するが、捻挫や寒冷や過労などを伴う場合は痛みが激しく、更に自由に動けなくなる。

② 発赤腫脹:膝関節内における滑膜の過形成と積液の蓄積で関節の腫脹と発赤が起こされる。初期では寒冷や外傷によって来されるが、進行していくと慢性的な腫脹が続くこともある。

③ クリック音:運動中に音の出る現象が多く現れ、関節軟骨が磨り減って関節面が滑々ではなくなったと考えられる。歩く時や立ち上がる時に、関節が引っ掛かって動けず、屈曲など関節を緩める運動を何度も試し、クリック音が出てからはじめて自由に動ける。

④ 無力感:歩行中、特に階段を降りる時に膝が弱くて力が入らず、激しい時に転倒する現象も見られ、多くは疼痛を伴う。また長時間座ると関節「癒着」の現象もあり、即時に運動ができなくなる。

⑤ その他:軟骨の破壊や滑膜の過形成などにより膝関節は完全に伸展・屈曲ができず、しゃがむ動作や重い荷物も持てなくなる。更に膝関節の炎症進展に従って関節変形や奇形(X脚やO脚など)も現れる。

膝関節の症状を改善させるためには気血調和が重要な前提となっている。ここでは効果的な薬膳料理と養生動作を紹介する。

1、生姜炖鶏肉(若鶏の生姜煮込み)

鶏肉は温中益気・補虚填精の効能を持ち、また生姜は辛温発散の性能で活血祛寒の効能がある。両者の併用により、血脈疏通・筋骨増強の作用を発揮して膝関節の寒湿瘀滞を取り除く。

[材料]雄の若鶏(初めて鳴き声を出した雄の若鶏→童子鶏がベスト)1羽、生姜100~200g、サラダ油、食塩、料理酒(紹興酒がベスト)。

[方法]鶏肉と生姜を小さく角切りしておく。お鍋にサラダ油を入れ、熱くなったら鶏肉と生姜を入れて強火で炒め、料理酒を加えて火が通るまで10分間ほど蒸し、食塩を振ってお皿に盛り付ける。1日以内に食し、1~2週間おきに1回。

2、膝養護三動作

膝関節の壮健を作るために、適宜な運動の必要があり、適宜な運動を行う事で膝関節の退化性病変を防ぎ、骨密度の増加を図る。但し運動方式が重要であり、散歩や水泳などの優しい運動をお勧めするが、階段上りやランニングや山登りなど過剰な運動は膝関節の負担を増やし、諸症状が増悪する恐れがある。下記の三動作は経絡疏通・気血調和の作用があり、下肢の血液循環を促進して膝関節の養護に大いに役立つ。

(1) 下肢摩擦:椅子に座り、両側の手掌を用いて大腿の付け根から足首まで擦る。個人状況にもよるが、1日に20~30回行う。これにより、盛んな気血を大腿下腿の筋肉に注がせ、筋力を増強させて骨格も強壮になる。

(2) 下腿挙上:椅子に座り、両側の下肢を交互に上げ、水平位置で十数秒間止める。1日20~30回行う。下肢を真っ直ぐに進展させると、大腿四頭筋が十分に収縮でき、筋力強化に伴って骨格も強くなる。

(3) 膝蓋按揉:膝を軽く曲げ、両側の手指を用いて経穴を按える。それぞれ示指を内膝眼穴(膝関節の内下方にある陥凹部)に、中指を外膝眼穴(膝関節の外下方にある陥凹部)に、拇指を血海穴(膝蓋骨内側縁の上方3横指)に、環指または小指を梁丘穴(膝蓋骨外側縁の上方3横指)に当て、膝蓋骨を掴むように直接経穴を揉んで按える。更に動作を強化するために、両側の拇指を用いて内膝眼穴と外膝眼穴を再度刺激することもできる。1日に朝晩2回で、1回に5~6分間行う。少し力を強く揉むことで、膝蓋骨軟化に効果的である。

膝養護三動作は一度で直ぐに病状を治すことは無く、長期に続けてはじめて効果が現れてくる。これを参考に適宜な養生動作を行うことで、丈夫な膝関節を作ろう。