健康知識:冬季における感冒咳嗽の食療方法

冬の季節は、感冒(風邪)に罹り易くなり、悪寒発熱や鼻水頭痛などの症状が伴うほか、咳が多く見られる。しかも諸症状が治まっても咳だけが中々治らず、飲食や睡眠など日常生活に支障を来たし、更に慢性化すると咽喉炎や気管支拡張なども起こし易い。

中医学の飲食薬膳療法を活用することで、早急に咳の症状を改善させることができる。具体的に応用する際には、感冒の臨床辨証を行う必要があり、これにより咳嗽の治効を高める。

中医学的に、感冒は外界の邪気を感受して発病する外感病(外感表証)に属する。感冒による咳嗽は主に風寒か風熱の邪気から起こされるが、ほかに風燥によるものもある。臨床では、主に寒熱の辨証に従って相応しい薬膳献立を選択して対応することができる。

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健康知識:冬季における感冒咳嗽の食療方法

冬の季節は、感冒(風邪)に罹り易くなり、悪寒発熱や鼻水頭痛などの症状が伴うほか、咳が多く見られる。しかも諸症状が治まっても咳だけが中々治らず、飲食や睡眠など日常生活に支障を来たし、更に慢性化すると咽喉炎や気管支拡張なども起こし易い。

中医学の飲食薬膳療法を活用することで、早急に咳の症状を改善させることができる。具体的に応用する際には、感冒の臨床辨証を行う必要があり、これにより咳嗽の治効を高める。

中医学的に、感冒は外界の邪気を感受して発病する外感病(外感表証)に属する。感冒による咳嗽は主に風寒か風熱の邪気から起こされるが、ほかに風燥によるものもある。臨床では、主に寒熱の辨証に従って相応しい薬膳献立を選択して対応することができる。

1、風寒咳嗽:咳の音は重く濁る、咽喉が痒い、喀痰が薄くて白い、また悪寒発熱、無汗、頭痛、全身痠痛、嚏、鼻詰まり、薄い鼻水など風寒束表の症状を伴う。

寒性咳嗽の場合は、大根葱白生姜湯を勧める。宣肺解表・止咳化痰・理気消食の作用を以て風寒咳嗽に多く用いられる。作り方は、大根と長葱の白い部分と生姜をそれぞれ15g薄切りにしておき、先ず大根をお椀3杯ほどの水に入れて柔らかくなるまで煮て、葱と生姜を加えて再度沸騰させ、汁を飲んで具も食する。

また、大根のスライスを紫蘇の実(或いは棗)と蜜柑の皮と一緒に煮て黒糖を加えて温かく飲む事も風寒疏散・宣肺止咳・消食化痰の効果を果たす。

ほかに、風寒感冒で悪寒無汗、全身痠痛などで苦しい場合は、生姜と黒糖の煮汁を大量に飲用して発汗することで対策するが、駆寒暖胃の効能に加えて潤肺止咳の効果も強化するため、生姜黒糖大蒜の煮汁をお勧めする。人体の免疫力強化に繋がって風寒感冒の予防策としても用いられる。作り方は、大蒜を15gスライスして10~15分ほど放置し、生姜も15gスライスし、お椀1杯ほどの水に入れて煮立てて大蒜のスライスと黒糖を加え、再度沸騰したら弱火にして10分間煮込む。

2、肺熱咳嗽:咳、咽喉が乾いて腫れて痛い、喀痰が黄色く粘っこい、また発熱頭痛、汗出悪風、黄色い鼻水などの風熱襲肺の症状、或いは空咳で痰が少なくて吐き出し難い、咳が甚だしい時に血痰、胸痛など燥熱傷肺の症状を伴う。

熱性咳嗽の場合は、オレンジの塩蒸しをお勧めする。オレンジの実には理気化痰・潤肺止咳の効能があるが、オレンジの皮にも化痰止咳の重要な成分のノスカピンと橙皮油が含まれ、皮つきで蒸してはじめて有効成分が取り出される。作り方は、食塩でオレンジの外皮を綺麗に洗い、オレンジの上端を水平に切って蓋として残しておく。オレンジを茶碗に入れ、お箸でオレンジの果肉に数個の穴を刺し、適量の食塩を塗してから切り落とした蓋を閉める。鍋に入れて10分間ほど蒸し煮し、オレンジの果肉を取り出して汁と一緒に温かく飲む。通常一日に一個を食す。

老年性慢性気管支炎による咳嗽で痰が多い場合は、大根蜂蜜水をお勧めする。大根には生津止咳・理気化痰の効能があり、蜂蜜には潤肺止咳・潤腸通便・潤膚美顔の効能がある。作り方は、大根を綺麗に洗って千切りするか小さい塊に切り、適量の蜂蜜を掛けて均等に混ぜ、水も油もない容器に2時間ほど放置すると汁が染み出る。汁を飲んで大根も食す。

肺燥による空咳が長らく止らない場合は、鶏卵の胡麻油炒めをお勧めする。胡麻油は通気理肺の効能を持って咳嗽を軽減させるほか、様々な異物による肺臓への損傷を軽減させ、鶏卵は補肺養血・清熱解毒・潤利咽喉の効能を持っている。作り方は、胡麻油を鍋に入れて熱し、生姜の微塵切りを少々加えて香りが出たら、溶いた鶏卵を入れて熱が通るまで炒め、調味料は入れない。