健康知識:摩腹揉腹、養生防病

腹部の摩揉法による養生は既に数千年の歴史を持っている。唐代医聖の孫思邈は「食後行百歩,常以手摩腹」(食後に百歩を歩き、常に手を以て腹部を摩する)を自分の養生益寿の道としていた。従来、医療気功の鍛錬においても基本操作の一つとして重視されている。

摩腹揉腹の方法は簡単に聞こえるが、効果が非常に大きい。少しずつ行うことで、先ず消化を促進して腸道を通調させるほか、また精神状態を整えて睡眠を改善する。更に長期に持続することで、健康の維持や増進、疾病の予防と治療に大いに役立つ。

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健康知識:摩腹揉腹、養生防病

腹部の摩揉法による養生は既に数千年の歴史を持っている。唐代医聖の孫思邈は「食後行百歩,常以手摩腹」(食後に百歩を歩き、常に手を以て腹部を摩する)を自分の養生益寿の道としていた。従来、医療気功の鍛錬においても基本操作の一つとして重視されている。

摩腹揉腹の方法は簡単に聞こえるが、効果が非常に大きい。少しずつ行うことで、先ず消化を促進して腸道を通調させるほか、また精神状態を整えて睡眠を改善する。更に長期に持続することで、健康の維持や増進、疾病の予防と治療に大いに役立つ。

中医学では、大腹は脾に属し、脾胃は気血生化の源である。腹部は中焦(気機の枢)に当たり、生命の後天根本である脾胃の所在である。同時に内外からの影響を受け易いため「百病の根」にもなる。清代医家の陳飛霞が腹部と長寿との関係について「腹者,水穀之海,水穀盈也,主寿。」(腹者、水穀の海なり、水穀が充満して寿を主る)と論じてある。また臍(任脈の神闕穴)を人間の先天的な供養通路とし、生体を補養する任脈・衝脈・帯脈などが近くに順行している。腹部の摩揉法により、上下を通和させ、陰陽を調和させ、祛旧生新、外感の諸邪を駆除し、内生の雑病を清除することなど、様々な効果が期待される。

1、百病解消:臨床実践によると、腹部において摩法揉法を行うことにより、肺気腫、心疾患、高血圧、糖尿病、腎炎など様々な慢性疾患に良好的な補助治効を果たす。また摩腹揉腹により、胃腸の蠕動が促進されて便秘の解消に役立つ。

現代医学では、臍下部の腹腔及び骨盤腔に主な神経節が分布しており自律神経機能に最も密接に関係している。腹部の摩法揉法により、胃腸の蠕動を促進して消化液の分泌を調整し、飲食物の消化吸収が充分になり、生体は充足な栄養を得られて健康・強壮・長寿に繋がる。また腹筋への刺激により腹部の血液循環及びリンパ循環を調節することもできる。

2、健美減肥:腹部は脾に属し、脾は気血生化の源となる。脾が健運を失って気血が鬱滞させることは肥満の主な発生原因となる。故に肥満治療に当たっては先ず脾の調整から始まるべきである。摩腹揉腹により腹部の運動も促し、健脾助運の効能を果たして腹部の気血積滞を減少させる。

3、成長促進:成長期で脾気虚弱の場合は、多食なのに羸痩、身長が伸びず、頭髪が黄色いなどの症状が見られる。これは飲食物が体内において運化されず、消化吸収されないことである。摩腹揉腹により脾胃の運化機能を高め、水穀が気血に化生させるのを促進することができる。

ここでは日常に行える摩腹揉腹の方法を紹介するが、実際これに拘る必要はない。要領を把握した上、徐々に操作していくに伴い、各自実施し易いような特徴を持てば良い。健康養生のためには、自分が気持ち良く、長期に持続することが大切である。

【操作時機】

一般的にそれぞれ夜就寝前及び朝起床前に行う。時間が足りない場合は寝る前だけでも良い。

【操作方法】

全身をリラックスさせて仰向けの体位を取り、両足は肩と同じ幅に広げ、顔はやや微笑んで舌を上顎に当てる。精神を集中させて自然に呼吸する。

推拿療法の基本手法として、摩法と揉法は共に円を描くように行う。摩法は即ち腹部を摩ることで、手掌で腹壁の上を移動し、比較的に軽い手法に属する。一方、揉法は即ち腹部を揉むことで、手掌を腹壁の上に乗せ腹部を一緒に動かし、比較的に強い手法に属する。力を適度にして速度を均等にし、回数は18回から36回乃至72回まで自由に調整できる。

摩腹の場合は、先ず右側手掌を用いて臍を中心にし、時計回り方向へ円を描くように行い、最初は臍部において小さい円から始まり、徐々に螺旋状に広がり、最後は腹部全体に大きい円まで摩法を行う。右手の操作が終わってから左側手掌に換えて反対方向に沿って同じ回数を行う。

揉腹の場合は、両手を重ねて(男性には左側手掌を下に、女性には右側手掌を下に置く)臍中央に置き、時計回り方向へ円を描くように行ってから反対方向に沿って同じ回数を行う。

【注意事項】

摩腹揉腹は飽食や飢餓の時に行わず、排尿や排便を我慢してはいけない。

また腹腔内における悪性腫瘍、胃腸穿孔、内臓出血、虫垂炎や腹膜炎など急性腹症の場合は禁止する。

摩腹揉腹の操作中に、腸鳴音や排気など、或いは腹内温熱感や飢餓感や便意などが現れる場合は、いずれも正常反応に属する。