健康知識:秋季における潤肺止咳の宝 梨

ようやく秋らしくなり、自然界では「燥」が主気となっている。人体も燥邪に影響されて口咽乾燥、鼻孔乾燥、皮膚乾燥、咳嗽などが現れ易い。この様な症状は旬の果物である梨を用いて緩解することができる。「一梨潤三秋」と言われるように、梨は甘酸っぱくて果汁が豊富で、乾燥する秋季において水分と栄養素の補充に適している。

現代研究によると、梨は栄養豊富であり、水分の含有量が高く、生体の水分摂取量を増加させて健康維持に有利である。ほかに、糖質、食物繊維、多種のビタミンやミネラルなども含有する。

中医学的には、梨は甘・微酸・涼の性味で、肺・胃・心に帰経する。

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健康知識:秋季における潤肺止咳の宝 梨

ようやく秋らしくなり、自然界では「燥」が主気となっている。人体も燥邪に影響されて口咽乾燥、鼻孔乾燥、皮膚乾燥、咳嗽などが現れ易い。この様な症状は旬の果物である梨を用いて緩解することができる。「一梨潤三秋」と言われるように、梨は甘酸っぱくて果汁が豊富で、乾燥する秋季において水分と栄養素の補充に適している。

現代研究によると、梨は栄養豊富であり、水分の含有量が高く、生体の水分摂取量を増加させて健康維持に有利である。ほかに、糖質、食物繊維、多種のビタミンやミネラルなども含有する。そのうち、炭水化物は主成分として最も多く100gの梨に9gほど含まれ、生体の重要なエネルギー源となっている。大量の繊維質は胃腸蠕動を促進して消化機能と腸管健康の助けになる。多種のビタミンにはビタミンC、ビタミンB2、そして葉酸が最も多く、特にビタミンCは生体に重要な抗酸化作用を与えて免疫機能を増強させて感染リスクを減少させる。豊富のミネラルには主にカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンなどがあり、中のカリウムは血圧調節や心疾患予防などに役立つ。また、抗酸化剤として、フラボノイド化合物やアントシアニジンなども明らかな抗酸化作用を以て細胞の老化を抑制し、癌腫の発生を予防することができる。

中医学的には、梨は甘・微酸・涼の性味で、肺・胃・心に帰経する。生津潤燥・化痰止咳・清熱解毒などの効能を持ち、主に熱病津傷または温熱病後期、陰虚煩渇、消渇口乾、肺熱または痰熱による咳嗽痰多、肺燥による空咳、嗄声、噎膈反胃、大便秘結、飲酒過度などに用いられる。

また、梨は食用方法により効能が変わってくる。生の食用は六腑の熱を清利する作用に長じ、生食により清熱作用を以て咽喉腫痛、手足の熱がり、舌紅苔黄などの場合に適する。一方、加熱食用は五臓の陰を滋養する作用に長じ、加熱により梨の寒涼性質を緩和して滋陰潤燥の効能を高めるほか、胃腸虚寒の方にも優しくなる。

秋季における潤肺止咳のために、通常蒸しや煮込みの食用法をお勧めする。梨1個を真ん中から縦半分に切り、種を取り除いで氷砂糖を適量加えて茶碗に入れ、蒸し器で30分ほど蒸し、冷ましてから蜂蜜で調味して梨を食して汁を飲用する。煮込みの場合は、梨を六等分や八等分に切り、梨が柔らかくなるまで煮込み、白木耳や百合根などを入れると養肺気・益肺陰の効能を高める。

但し注意することがある。梨は寒冷性質であり、多食すると脾胃を傷めて陰湿を助長するため、脾胃虚寒、溏便、腹部冷痛、風寒咳嗽の者や産婦は食用すべきではない。なお、梨皮は滋陰潤燥・止咳化痰の効果が梨肉より優れており、中薬処方の桑杏湯には梨皮を入れて燥咳の治療に用いるのである。咳嗽や痰多の者は梨皮を煎じて煮汁を飲用するか、或いは皮付きのまま直接食用しても良い。