健康知識:秋季における梨の活用

近年は異常気候が続いており、今年も立秋を過ぎても残暑と湿気は長引いている。ようやく気温が下がり、冷たい風と共に秋の気配を感じるようになって来た。同時に秋の主気である燥気が強まることで、喉の渇きや痒み、痰の少ない空咳などに悩まされる方が増えている。

「一つの梨で三つの秋を潤す」と言われるように、秋の梨は非常に理にかなった旬の食物です。肺を潤して余分な熱を冷まし、咳を鎮めて痰を切る良薬でもある。梨の詳細な薬効については、当会の会員専用ページで2024年09月29日公開した健康知識「秋季における潤肺止咳の宝 梨」をご参照下さい。ここでは、梨の性能を要約してその応用を補足する。

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健康知識:秋季における梨の活用

近年は異常気候が続いており、今年も立秋を過ぎても残暑と湿気は長引いている。ようやく気温が下がり、冷たい風と共に秋の気配を感じるようになって来た。同時に秋の主気である燥気が強まることで、喉の渇きや痒み、痰の少ない空咳などに悩まされる方が増えている。

「一つの梨で三つの秋を潤す」と言われるように、秋の梨は非常に理にかなった旬の食物です。肺を潤して余分な熱を冷まし、咳を鎮めて痰を切る良薬でもある。梨の詳細な薬効については、当会の会員専用ページで2024年09月29日公開した健康知識「秋季における潤肺止咳の宝 梨」をご参照下さい。ここでは、梨の性能を要約してその応用を補足する。

一、梨の薬用価値

梨は甘・微酸・涼の性味で、肺と胃に帰経し、清熱生津潤燥・潤肺止咳化痰・解酒毒などの効能を持ち、主に肺燥による空咳無痰または粘稠痰で吐き難い、口鼻乾燥、肺熱による咳嗽痰多、咽痛嗄声、温熱病後や消渇(糖尿病)による陰虚煩渇、食道癌による反胃、大便干結、飲酒過度に用いられる。

二、梨の食用注意

梨は寒冷性質であり、多食すると脾胃を傷め、陰湿を助長するため、脾胃虚寒、溏便、腹部冷痛、風寒咳嗽の者や血虚の者や産後は慎重に食用すべきである。

普段、梨を果物として食べる時は、食感が良くないことや残留農薬などを心配して皮を剥く人が多いが、実際には梨の皮自身は薬草とされている。清熱潤燥・止咳化痰の効果は梨肉よりも優れており、中薬処方の桑杏湯には梨の皮を入れて燥咳による治療に用いる。咳嗽痰多の者は梨の皮を煎じて煮汁を飲むか、或いは皮付きのまま食べるのも良い。

また梨には種類が様々あるが、全て薬用として病症の治療に使われるわけではない。李時珍の《本草綱目》には「梨品甚多……乳梨即雪梨,鵝梨即綿梨,消梨即香水梨也。俱為上品,可以治病。其他如青皮、早穀、半斤、沙糜等梨,皆粗渋不堪,止可蒸煮及切烘為脯爾。」と記載されている。これは、乳梨は現在の雪花梨、鵝梨は現在の鴨梨(中国河北省特産)や酥梨(中国安徽省原産)消梨は現在の庫爾勒香梨(中国新疆特産)や南果梨・香水梨(中国遼寧省原産)であり、肉質が細やかで果汁が豊富、甘くて渋みがないため、生食では清熱潤燥、加熱して養陰止咳の効果に優れ薬用の上品とされている。このほかに皇冠梨(白梨の亜種)、豊水梨、そして秋月梨なども肉質が柔らかく果汁が豊富で甘いため、食事療法に用いられる。

一方、古人によれば青皮梨や早穀梨などは、収穫時期が早過ぎて果肉がパサパサしているものや、酸味が強く渋みがある品種を指します。これらは果肉が粗く果汁も少ないため味も淡泊で渋みがある。加熱処理や砂糖漬けにして加工食品の材料として用いられるが、食事療法や薬用には適してない。

三、梨の活用方法

梨の性質は寒涼に偏って脾胃虚弱のものは下痢を起こし易いため、日常的な健康維持には加熱して調理するのが望ましい。蒸したり煮込んだりすることで寒涼の性質が和らぎ、性能も「清六腑之熱」から「滋五臓之陰」へ変わり、穏やかで持続的な効果が期待できる。

また下記のような組み合わせを工夫することで、梨の薬用効能を更に高められる。

1、山椒梨盅(花山椒の梨器)

雪花梨を1個準備し、上部を切って蓋とし、中の種をくり抜いて梨の器にしておく。そこに花山椒6~10粒と氷砂糖少々を入れ、蓋を閉めて爪楊枝で固定し、蒸し器で30~40分間ほど蒸して完成したら、梨を食して汁を飲む。

主に秋に入って寒さに当たることで起こる咳、薄くて白い痰が出る、夜間や体が冷えた時に増悪する、舌苔が薄白などの場合に適する。花山椒は辛温の性質を持って温中散寒・通利肺気の作用があり、梨は甘涼の性質を持って潤肺止咳の作用があり、この一温一涼の組み合わせによって寒熱のバランスが調和し、風寒を疏散するとともに、肺燥を滋潤することができる。

2、白萝卜炖梨(大根と梨の煮込み)

大根1/2本、雪花梨1個を綺麗に洗い、皮つきのままひと口大に切り、適量の水と一緒に強火で煮込む。沸騰したら弱火にして20~30分煮込み、氷砂糖で味を調えます。汁を飲み、また梨と大根は食べても良い。

主に風邪が治りかけているものの、咳が長引いてすっきり治らない、白色または黄色の痰が出る、喉に違和感が残る時に適します。また腹部膨満感、食思不振などを伴う外邪未清で肺胃不和に適する。本来は脾胃虚寒で痰が白い、発熱のないものには煮込む際に生姜を3スライス加えることで、食材の持つ寒涼の性質を中和させる。大根は辛甘涼の性質を持って下気消食・清熱化痰に優れ、更に梨の潤肺生津の作用と合わせることで、肺と胃を共に整え、消食化痰の効能が高まる。

3、川貝梨盅(川貝母の梨器)

雪花梨を1個用意し、上部を切って蓋にし、中の種をくり抜いて梨の器を作っておく。川貝母3~5gを細かい粉末にし、氷砂糖少々と共に梨の器に入れ、蓋を閉めて爪楊枝で固定し、蒸し器で40~60分間ほど蒸し、梨の果肉を食べて汁を飲む。就寝前に服用すると最も効果的である。

咳で痰は無い、或いは痰が少なくて粘稠、更に血が混じる、喉が乾いて声がかすれる、舌は紅、苔は少ない肺熱燥咳に適する。川貝母は微寒の性質を持ち、清熱潤肺・化痰止咳の常用生薬である。梨は養陰潤燥の効能を持ち、この2つを組み合わせることで薬効が相互に高まる。秋燥傷肺による空咳痰少の治療に代表的なレシピです。

なお、上記の雪花梨の代わりに幸水や豊水や新高など、果汁豊富でやや大きめ梨を使用しても良い。