健康知識:昼寝の重要性

午前中の多忙な状態を経て正午を過ぎると、頭がぼんやりとして瞼が重くなり、昼寝を求める強烈な眠気に襲われるなど身体が休息の合図をしてくる。この時の昼寝は非常に重要である。

昼寝と聞くと、つい怠けているような印象を抱く人が多いかも知れない。しかし、一日は二つの活動時間に分けて身体を稼働させると考えると、比較的に過ごし易いと言えよう。特に体質虚弱の方や中老年の方に対して、持久的な消耗から元気を守る手段として昼寝は非常に有効である。実際、昼寝は特定の人に限らず、あらゆる人々健康を維持するのに重要な価値がある。昼寝は怠けなどではなく、生体が自己修復を行うための大切な時間である。昼食後は消化のために大量の血液が胃腸へ集中し、脳への供給が一時的に低下するため、眠気を感じ易くなる。こんな時はこの眠気の弾みに乗って暫く休息を取れば生体リズムに順応できる。

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健康知識:昼寝の重要性

午前中の多忙な状態を経て正午を過ぎると、頭がぼんやりとして瞼が重くなり、昼寝を求める強烈な眠気に襲われるなど身体が休息の合図をしてくる。この時の昼寝は非常に重要である。

昼寝と聞くと、つい怠けているような印象を抱く人が多いかも知れない。しかし、一日は二つの活動時間に分けて身体を稼働させると考えると、比較的に過ごし易いと言えよう。特に体質虚弱の方や中老年の方に対して、持久的な消耗から元気を守る手段として昼寝は非常に有効である。実際、昼寝は特定の人に限らず、あらゆる人々健康を維持するのに重要な価値がある。昼寝は怠けなどではなく、生体が自己修復を行うための大切な時間である。昼食後は消化のために大量の血液が胃腸へ集中し、脳への供給が一時的に低下するため、眠気を感じ易くなる。こんな時はこの眠気の弾みに乗って暫く休息を取れば生体リズムに順応できる。

昼寝の習慣は古くから重視されている。《黄帝内経》には「陽気尽則臥,陰気尽則寐」と記されており、陽気が最も盛んな時には身体を休めなければならないと提唱している。一日の中で陽気が最も盛んなるのは午の時で、つまり11時から13時までの時間帯で、この時は閉目養神が必要である。同様に、陰気が最も盛んな子の時、つまり23時から1時までの時間帯には深い睡眠を取らなければならない。これを合わせて「子午眠」と言い、生命を営む重要な時間とされている。「午時小憩,子時大睡」の原則を守って睡眠を取ることは効率的な健康養生の効果を果たす。

特に陽気が盛んな夏季には、生体の陽気が自然界の特性に従って体外まで溢れ出し、暑熱の開泄特徴によって発散され易いため、身体は最も疲れ易く感じる。長い一日の中間に仕切りを入れて昼寝をするだけで、陽気の消耗が最小限に抑えられる。また《黄帝内経》における「夏三月……夜臥早起」という養生方針によると、夜遅く寝て、朝は早起きるが自然界の時節に適しているが、睡眠時間不足を補うためにも昼寝はとりわけ重要である。

昼寝は健康維持のために様々な効果を果たしている。

1、陰陽調節

午の時は一日において「陽中の陽」であり、この時間帯に休憩を取ることは自然界の陰陽変化に順応し、体の陰陽平衡を取り戻すためになり、心のおもむくままに伸び伸びと快適に感じさせられる。

2、養心安神

午時は陽気が最も盛んな時機であるが、同時に心臓が最も活躍している時間帯でもある。中医学的には「心主血脈」とされており、この時に適当な休憩は心臓を滋養して気力を回復し、午後に活力が満ちている。《黄帝内経》には「心者,君主之官也,神明出焉」とあり、心は血脈を主るだけではく、また神志を主って精神活動を制御する中枢である。そのため、昼寝は情緒を安静させ、焦慮や緊張を減少させて養心安神の効果が期待できる。

3、記憶力と認知力の改善

現代研究によると、短い昼寝は大脳の機能効率を高め、特に記憶強化に対して積極的な作用を持つとされている。中医学は脳機能の養生を大切にし、《黄帝内経》には「脳為髄之海」とされ、頭脳の重要性を重視している。従って合理的に昼寝を取り入れることで、思惟が更に敏捷で明晰にでき、学習や仕事のためになる。

ほかに、昼寝は血圧を安定させる効果も検証され、毎日20~30分間の昼寝を保つ方は収縮圧が平均して5~8mmHgほど下がるとされている。昼間の時間帯に交感神経が興奮状態に続き、緊張により血管が収縮し続けるため、血圧が上昇し易い。少しだけ横になって休息すれば、交感神経が弛緩し、血管も拡張して血圧は安定してくる。これによって心脳血管への負担も軽減され、発症リスクも大いに低下する。

昼寝は健康養生の良い習慣であるが、幾つかの注意点がある。

① 昼寝を食事直後に取らず、20~30分ほど軽く歩いてから寝ると胃に負担を減らす。食後30分を経つと、飲食物の消化吸収で脾胃機能は少し弱くなり、この時に適当な休憩は正常な消化吸収を維持させ、食積や消化不良を避ける。また、飲食が胃に入ってから直ぐ横になると、胃酸が食道に逆流するリスクが高くなり、昼寝を起きたら口に酸っぱく感じたり、胸やけを感じたりする場合がある。

② 昼寝を長く取らず、1時間以内に寝ると、心身に十分な緩和を得られるし、夜間の正常な睡眠に影響を及ぼさない。昼寝が長過ぎると、深い睡眠に入り易く、醒めてから逆に頭暈頭脹ですっきりせず、更に疲れを感じる。これは「陰盛陽衰」の状態で、いわゆる体内の陽気が抑えられて夜間の睡眠質に影響を来たす。通常、20~30分間が好ましく、長くても40分間を超えない方が良い。

③ 昼寝は俯せてせず、きちんとリラックスの姿勢を保つ。ベッドで横になる姿勢が最も理想的であり、全身の筋肉骨節が十分に緩め、血液循環を促進させられる。横になることができず椅子に座って休む場合でも、脊柱が真っすぐな姿勢を保ち、特に机などに俯せしてはいけない。これは呼吸や循環に妨害し、頚椎や腰椎に相応しくなく、頸部疼痛などの不快感を起こすからである。

ほかに、本来夜間に不眠に患う方は昼寝を長めに取ると、夜間の睡眠に影響する恐れがあり、また血圧が比較的低い方は昼寝で血圧が更に低下する恐れがあるため、昼寝は向いていない。

 

会員通信:NPO法人伝統医学教育会事業活動計画(2026年度)

2026年度は昨年に引き続き、教育活動である講習会及び普及活動の健康支援を進展していきたいと思います。

講習会は通常通り従来の教育方針に従って少人数で行い、前年度と同じように実技講習を主として「常見病証の針灸治療実技」及び「医療気功の理論と実践」の二学科を予定しています。

針灸治療実技の講習は、2021年から梅田会員の希望と協力得て、針灸師及び針灸学生を対象に開設した針灸臨床学科で、2022年度と2023年度を加えて計3期の講習を積み重ねることが出来ました。2025年度はその講習経験を活かして再度開講し、今年度も行う事が決まりました。針灸臨床において常見される四病証のほか、日本の針灸臨床現場では触れる機会の少ない五官病症を四つ選出し、基礎的な理論分析を解説したうえ、具体的な刺針実技を指導と技能練習を行います。これらから辨証論治の思想へと導かれ、臨床実践における技術能力が高められることを切に願っています。講習会は4月後半に開講し、計8回で12月前半に終了する予定です。

一方、医療気功の講習は当会で六年ぶり四回目の開催となります。これまでの経験を活かし今回は講習時間数を増やし、実習を重点的に取り組む予定です。医療気功の基礎知識及び操作方法を分かり易く説明したうえ、初歩的な健康気功法として静気功の「放鬆法」、動気功の「保健功」を実際に練習し、更に実用的な「六字訣」も紹介します。これにより医療気功に対して正しい認識を築き、反復練習で気功法を身に付け今後の健康増進に活用して欲しいと思います。

当会は従来教育活動の一環として、本場中国において中医学大学教育及び病院の外来治療の研修を、北京中医薬大学国際学院の提携協力を得て開催してまいりました。これまでに十回ほどの研修活動を開催し針灸師や針灸学生、薬剤師、療法士、及び中医学に関心を持つ一般の方々が参加されました。中医学病院での針灸科、推拿科、中医内科などの臨床治療をはじめ、大学での解剖学や診断学の特別講義、また中国でも希少な中医学・中薬学博物館を見学など、更に現地での治療体験は、これまでご参加された皆様には貴重な経験となりました。新型コロナウイルス感染拡大により社会情勢に大きな変化がおこりましたが、ようやく社会秩序を少しずつ取り戻してきましたので、中国研修の活動を再開し、今年度に実行できるよう、計画や連絡に取り組んでおります。

最後に、健康支援活動に関してはホームページを通じて健康情報を発信するほか、臨床センターにて会員の皆様に向けて無料健康養生の相談や指導なども催していきたいと思います。また季節の変化や社会の情勢に合わせて薬茶を新たに考案し見本をお送りする予定です。

会員の交流を深めるため、本年も会員懇親会を開催する予定です。

会員通信:NPO法人伝統医学教育会事業活動報告(2025年度)

1、講習会

2025年度の定期講習会は実技の教育を中心に行い、4月から12月まで「常見病証の針灸治療実技」及び「耳穴診療法の実技と応用」を開講しました。

「常見病証の針灸治療実技」の講習は2021年度から2023年度にかけて三期ほど開催しましたが、本年度はこれまでの経験を活かし、更なる質の向上を図り、内容を一層充実させる講習を行いました。講習には当会会員の針灸師計7名が参加されが参加しました。伝統医学教育の実用性に重点を置き、針灸臨床において常見される8病証を取り上げました。それぞれの基本概念、病因病機、そして辨証分型を明確にし、治療原則と選穴処方を解説した上で、具体的な刺針実技を指導と共に操作練習に取り組みました。以前の講習から更に臨床実践の能力を強化すべく、新たに診察要項と辨証要点を伝授しました。参加者の熱心な研鑽により、辨証論治の思想に啓発され、臨床見聞が広がり、臨床技法が鍛えられ、針灸治療の技術能力や実用的な応用能力が高まったと感じております。

もう一方では、当会で長年において最も多く執り行われた「耳穴診療法の実技と応用」の講習を開催しました。従来の少人数徹底指導という伝統医学療法の教育理念に基づき、実技を中心に据えて講習を行いました。講習は教育会独自の指導方法で実施し、反復の解説と練習をすることで、参加者の技能向上にも役立ちました。また講習の合間に耳介按摩保健体操を練習し、毎回活気に満ちた雰囲気の中で正確に耳穴診療法の基礎及び技能を把握して貰いました。

 

2、健康支援

教育事業活動と同時に、会員の健康支援活動も引き続いて行っています。伝統医学教育会ホームページの会員専用ページにて健康知識を定期的に更新していますので、皆様の健康増進にお役立てください。

また、会員の健康支援の一環として前年度に引き続き、伝統医学に基づいた薬茶をお送りいたしました。今回は主に盛夏季節の暑熱特徴、並びに観光客急増による感染症再燃に従い、過去に考案した薬茶の中から特に効果的なものを厳選し調整し、処方と見本を送付しました。以前と同じように、皆様にお送りした薬茶の主要材料は身近なものを使って作成し、作成方法は教育会の会員専用ページに紹介しています。

 

3、懇親会

10月12日(日)午後、当会事務所にて今年度の会員懇親会を開催しました。今回は計6名が出席されました。

参加された皆様と健康増進に関する様々な情報交換や経験交流を行いました。事務局も会員の皆様とお会いして貴重なご意見や近況をお聞きすることができ、また、皆様との交流を通じて今後の伝統医学教育会の活動方針を明確にして事業活動を進んで行きたいと考えています。

 

活動案内:「医療気功の理論と実践」講習会案内

気功は中国古代の人々が疾病や老衰と抗う長い歴史の中で次第に認識し創造した一種の自己心身鍛錬の方法及び理論です。主に姿勢調整、呼吸鍛錬、意念集中などの様々な操作を行う事で、人体各部分の機能を調節し増強させ、生命の潜在能力を引き出します。これにより人体の内的な臓腑経絡・気血陰陽の平衡を保ち、健康の維持と増進、疾病の予防と治療、そして老衰対抗や長寿などの効果をもたらす事を医療気功または養生気功療法と呼びます。医療気功は中国伝統医学の重要な一部であり、薬草や針灸推拿などと違い、無苦無痛の特徴を持つ最も理想的な治療法と言っても過ぎません。しかし長い歴史の中で、医療気功は神秘的なベールを被り、実際には伝授され難い状態です。

本講習では、医療気功の基礎知識を分かりやすく説明し、基本的な気功鍛錬方法を導き、更に放鬆功、保健法、そして六字訣など具体的な気功法を行う予定です。これによって医療気功に対して正しい認識を築くと共に、毎回の練習で養生気功法を身に付けて今後の健康増進に活かして頂きたいと思います。

また、終了時には特定非営利活動法人伝統医学教育会の修了証書を授与します。

講 師:陳 志強 医学博士

日 程:全6回。月に1回 日曜日午後14:30~16:30。

毎回約30分理論解説、90分実践指導

① 05月24日 医療気功の概説、分類、作用原理;放鬆功実習

② 06月28日 気功鍛錬の基本操作(調身);放鬆功復習

③ 07月26日 気功鍛錬の基本操作(調息);保健功実習

④ 09月06日 気功鍛錬の基本操作(調心);保健功復習

⑤ 10月04日 気功鍛錬の要領、注意事項、反応;六字訣実習

⑥ 11月01日 六字訣実習;放鬆功復習、保健功復習、六字訣復習

場 所:東京都千代田区外神田6-4-5-401  NPO法人伝統医学教育会事務所

定 員:8名(定員を超える場合は、当会会員を優先にします)

費 用:54,000円(講習資料代などを含む、分割払い可)。当会会員は6,000円割引。

振込先:特定非営利活動法人伝統医学教育会

郵便貯金総合口座 10100-55927971

申込み:NPO法人伝統医学教育会事務局FAX 03(5816)5235

締切り:2025年4月30日(木)まで

備 考:気功実践のため座布団またはヨガマットが必要になりますのでご持参下さい。

 

活動案内:「常見病証の針灸治療実技」講習会案内

針灸医学は理論に基づいた実践的な学科です。臨床では中医学の辨証論治を元に正確な診断を下す事ができて初めて正しい治療方針が立てられます。そこから、腧穴の性能に従って相応しい処方を組み合わせ、更に正しい技術を用いれば効果的な治療が実施できます。日本の現状は、中医学の病証に対して基本概念がはっきり認識されておらず、また総合的な辨別分析の考え方も欠けているため、辨証論治の応用は広く普及されていません。学校教育では実践に接した臨床実習が不足しているため、臨床現場に入ると、患者さんに対応し難く感じる方が多いようです。

伝統医学教育会では、これを踏まえ鍼灸師・鍼灸学生を対象として臨床にて常見される病証、及び針灸治療で特効が得られる病証を取り挙げ、これまで治療実技の講習を行って来ました。今回も少数人数で、実用性に重点を置き、新たに針灸臨床において多く見られる8病証を取り挙げ、その基本概念を明確にし、病因病機と辨証分型を解明し、治療原則と選穴処方を解説したうえ、具体的な診察技能と刺針実技を指導しながら、技能練習を行う予定です。これにより病証に対する診断と治療を導き、臨床実践の技術能力が高まる事を期待しています。

また初めて参加する方にはご希望に応じて中国針実技指導を一回無料で行います。

講習終了時、特定非営利活動法人伝統医学教育会の修了証書を交付します。

講 師:陳 志強 医学博士

日 程:全8回 月1回 日曜日10時30分~13時00分(計20学時間)

毎回約60分理論解説、90分実習指導

① 04月26日 鼻咽病症(鼻炎・副鼻腔炎、咽喉炎);

② 05月24日 鬱病;

③ 06月28日 口歯病症(口内炎、顎関節症、歯痛);

④ 07月26日 不眠;

⑤ 09月06日 眼周病症(目赤腫痛・眼精疲労・近眼老眼);

⑥ 10月04日 咳嗽;

⑦ 11月01日 耳内病症(耳鳴・耳聾);

⑧ 12月06日 不妊。

場 所:東京都千代田区外神田6-4-5-401  伝統医学教育会臨床センター

交 通:東京メトロ銀座線末広町駅より徒歩4分、千代田線湯島駅より徒歩4分

JR御徒町駅・秋葉原駅・御茶ノ水駅より徒歩10分~12分

定 員:6名以上で開講 9名まで

費 用:73,000円(実習用具の費用込み、分割払い可) 当会会員は8,000円割引

教科書「病証の辨析と処方」別途4,180円(当会会員は割引後3,100円)

振込先:特定非営利活動法人伝統医学教育会

郵便貯金総合口座 10100-55927971

申込み:NPO法人伝統医学教育会事務局 FAX 03(5816)5235

締切り:2026年3月31日(火)まで

健康知識:冬季養生における陽気養護

中医学的には、冬季は寒が主気となっている。寒は陰の気に属しており往々にして人体の陽気を傷め易い、また凝結の性質を以て血脈筋骨を拘攣させて疼痛を引き起こす特徴がある。平素より陽虚体質や持病古傷を持っている人は特に不摂生をせずとも、この時期に体調を崩すことが多い。

《黄帝内経素問・四気調神大論》には冬季における陽気養護が非常に重要な養生原則だと明確に示している。陽気は人体の生命活動を主宰しており、体内の太陽のように喩えられるように、生体の温暖と活動のエネルギー源となる。古代では「陽強則寿,陽衰則夭」との説があり、陽気が充足であれば、正気が旺盛で、病邪も侵襲できず、健康長寿の前提条件となる。

通常、外界から寒邪に侵襲されて陽気が傷めるほか、罹病や加齢などに伴って陽気が徐々に弱くなりがちである。日頃、寒さに弱い、背腰痠痛、手足が冷える、易感冒、或いは夜間に睡眠不安で昼間に精神不振など多く見られるが、実際これらの症状はいずれも陽気不足に関わっている。

ここでは日常生活において陽気不足の病理現象、陽気流失の不良習慣、そして陽気補足の効果的な方法について詳細に解説する。

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健康知識:冬季養生における陽気養護

中医学的には、冬季は寒が主気となっている。寒は陰の気に属しており往々にして人体の陽気を傷め易い、また凝結の性質を以て血脈筋骨を拘攣させて疼痛を引き起こす特徴がある。そのため、平素より陽虚体質や持病古傷を持っている人は特に不摂生をせずとも、この時期に体調を崩すことが多い。

《黄帝内経素問・四気調神大論》には「冬三月,此謂閉蔵,水氷地坼,無擾乎陽,早臥晚起,必待日光,使志若伏若匿,若有私意,若已有得,去寒就温,无泄皮膚,使気亟奪,此冬気之応,養蔵之道也。逆之则伤肾,春为痿厥,奉生者少。」と記載してあり、いわゆる「冬の三ヶ月は万物閉蔵の季節と謂う。この期間は、水面に氷が張り、土地は凍って裂け、人体の陽気を乱さないようにするため、早く寝て遅く起き、必ず日の出を待ち、志を伏せ隠すように静かに保ち、秘密を守護するように密やかな気持ちで、収得が得られたように満足な心を持たなければならない。また寒さを避けて温かい場所に近付き、皮膚を開泄せず、陽気を奪われないようにすることが大切である。これを冬気に順応させることで、養護・貯蔵の法則である。これに逆らうと、腎を傷め、春になると手足が萎えて冷える「痿厥」の病を来し、閉蔵不足により春季に生発の基礎が少なくなる」との意味であるが、つまり冬季における陽気養護が非常に重要な養生原則だと明確に示している。

陽気は自然界において全ての運動変化を主宰している。人体の生命活動も同じく、「生・長・壮・老・己」の全過程は生体の陽気に主されており、精血津液の生成も陽気によって化されるのである。言い換えれば、生命現象自身は陽気そのものである。具体的には、生体の陽気は臓腑経絡の機能活動を推動し、組織器官を温煦し、外邪侵襲を抵抗し、精血津液を気化するなど様々な生理機能を果たし、体内の太陽のように喩えられ、生体の温暖と活動のエネルギー源となる。古代では「陽強則寿,陽衰則夭」との説があり、陽気が充足であれば、正気が旺盛で、病邪も侵襲できず、健康長寿の前提条件となる。

通常、外界から寒邪に侵襲されて陽気が傷めるほか、罹病や加齢などに伴って陽気が徐々に弱くなりがちである。日頃、寒さに弱い、背腰痠痛、手足が冷える、易感冒、或いは夜間に睡眠不安で昼間に精神不振など多く見られるが、実際これらの症状はいずれも陽気不足に関わっている。

1、陽気不足の病理現象:日常生活において陽虚は多く下記の症状から現れる。

畏寒悪風:「陽気衛外而為固也」と記しているように、陽気は外表から生体を護衛して堅固に為させるため、陽虚になると人体は外界の寒邪に対する防御力も低下し、寒さや風に弱くなる。この長期的な寒がりの症状は主に背・腰・膝に現れ、また気温には関係せず、常に寒がる、37℃ほどの低い熱でも苦しく感じる。

手足不温:「陽虚則寒」とあり、陽虚の方は生体を温められず、末梢から先に現れ、最大の特徴として手足の冷えである。また陽虚の程度と正比例にして陽気が弱ければ弱いほど、手足の温度は低く、重症の場合は肘膝関節以下が全て冷えている。

精神萎糜:陽気は生命活動の原動力となるため、陽気が弱くなると、疲れ易い、倦怠無力など体力低下に伴い、精神状態も低調になり、意欲低下、やる気無い、物事に無関心などが見られ、認知障害も陽気衰退による心神脳神の重度な機能低下である。

感冒頻発:陽気には人体の外表を固摂する作用があり、主に肺の衛陽が働いている。陽虚の方は体表のガードバリアが健常者より弱く、同様な環境で感冒、咳嗽、鼻炎、気管支炎など肺系の表証が罹り易いし、罹患すると全癒も遅い。

腹痛泄瀉:少し冷えたか、或いは生ものや冷えたものを食すことだけで、直ぐに腹痛や下痢を来たしたり、平素も軟便や薄い便が長く続いたりする方は少なくないが、これは脾の陽気不足により引き起こされたのである。

頻尿多尿:水分の摂り過ぎではなくても、昼間に小水が近い、或いは夜間にトイレが多くて睡眠に支障をきたす方は、腎の陽気虚衰から現れた典型的な症状である。

2、陽気流失の不良習慣:日常生活において陽虚は多く下記の習慣から起こされる。

飲食寒凉:現代社会の生活では飲食の寒冷化が陽虚を致す重要な素因である。飲食の寒冷性質には生・冷・苦という三方面の意味があり、果物や生野菜や刺身など生の食物、アイスクリームや清涼飲料など冷蔵冷凍の食物、そして苦瓜や苦丁茶など苦味清熱の食物、これらの寒冷食物を長期的で習慣的に続けると、いずれも脾胃の陽気を損傷してしまう。

冷房低温:空調はまるで生体を人工的な厳冬に置き、特に気温の高い時期は体表の毛穴や経穴などが全開して体内の陽気が体表に溢れる状態にも拘らず、真逆の低温環境に身を置くと、寒邪が急激に体内の陽気を傷めるし、また体温維持のため陽気は止められず寒邪と戦い続けて消耗される。

衣服過少:生体の腹部、腰部、そして足踝などは陽気が失われ易い薄弱部位となり、日頃より半袖短パンや薄いシャツを着る、夜間睡眠中に毛布などを掛けず薄弱部位を露出し寒邪が侵入するか、体表の寒冷に抵抗するため体内の陽気が消耗してしまい、長くなると陽気が不足する。

3、陽気補足の効果的な方法:日常生活において様々な方法で陽気を補うことができる。

飲食保養:性味辛甘温の食物は温補陽気の作用を持って陽気を保養する。常用する壮陽の食物として、黒豆、韮、生姜、枸杞菜(枸杞苗)、茴香、黒胡麻、胡桃、栗、ライチ、羊肉、羊腎、羊骨、豚腎、狗肉、鹿肉、鶏肉、雀肉、雀卵、蝦、海鼠、太刀魚、田鰻などが食用できる。

起居養生:普段から温暖な環境を作り、厚着することで寒冷を避けることが大事で、特に項部・腰部・足部を常に温かく保つ。気温の増減に伴って衣服を加減して汗による陰液の消耗を避ける。「早寝遅起き」を提唱し、早寝により陽気を養い、遅起きにより陰精を固く守る。また早朝は寒気と濁気が盛んであるため、早く起きて運動すると人体の陽気が乱されて壊される恐れがある。ほかに、背に日光を当てる、暖かいベンチに座るなど様々な生活習慣から陽気を守護する。

中医調整:季節の陰陽転換時、或いは陽虚の病証罹患時に明らかな体調不良の場合は、鹿茸、海狗腎、冬虫夏草、杜仲、菟糸子、肉桂、熟地黄、肉苁蓉、芡実、霊芝、紫河車、乾姜など助陽薬物を用い、更に病証に従って適切な中薬処方を服用することで疾病を治療するうえ、大椎や命門、関元など温補経穴に温灸を据えることで治効を強化することもでき、また保健功や六字訣や八段錦など養生気功を鍛錬することにより、陽虚体調の改善を図ることができる。

当会の会員専用ページにて健康知識としてお勧めした姜棗茶は陽気保養の効能を持ち、寒い冬において特に陽気不足の方に大いに効果的である。ここで再度紹介する。

[材料]生姜(とうの立った繊維質が多くて辛い母姜を乾かしてできた乾姜が最も良い)3~5スライス、棗3~6個。

[方法]両者を一緒に土鍋またはステンレス鍋に入れて500~800ccのお水を加え、強火で沸騰させてから、弱火に変えて20~30分間煮込んで煮汁が濃い黄色になり、香りが溢れたら出来上がり。

[用法]午前中は人体の陽気が自然界の陽気と共に上昇発生する時に当たり、毎日飲用すると効率が良いとされている。普段口舌乾燥や大便乾燥、寝汗不眠など逆上せ易い方には生姜を少なめにするか、1日おきにし、また妊婦は飲用しない。

飲食薬膳療法のほか、養生気功療法からも工夫できる。ここでは簡易な気功法を紹介し、入眠前に行い続けていくと、昇陽気・補腎気のために大いに役立てて欲しい。

① 還陽臥

[方法]身体を自然に仰向けにし、背腰をしっかりとベッドに密着させる。股関節を緩め、両膝を屈曲させて身体の両側へ外転させ、両側の足裏を合わせて踵を会陰部に向ける。両手を重ねて下腹部に置くか、身体の両側に自然に置き、手掌を上方に向ける。姿勢を正しく整えてから、目を軽く閉じ、深い腹式呼吸を行う。鼻で吸気しながら、意念的に気が下腹部に集まり、そして腰部へ転がるように想像する;口で呼気しながら、意念的に体内の邪気が息に伴って体外へ排出されるように想像する。このように睡眠前に15~30分ほど練習する。

② 混元臥

[方法]上記の還元臥を1ヶ月ほど練功してから、混元臥に変わる。姿勢は同じく仰臥位を取り、両側の足裏を合わせて踵を会陰部に向ける。両手を重ねるか、十指を交差して頭頂部の百会穴に置く。目を軽く閉じ、舌尖を上顎に軽く当て、自然に腹式呼吸を行う。意念的に天門(泉門)頭皮から印堂(眉間)・目・鼻・口・耳の各器官、そして前頸・胸背から肺・心・横隔膜・脾胃(膵臓を含む)・肝胆・腎・小腸・大腸・膀胱と性器の各臓腑、上肢・手掌・下肢・足裏の各部位を順次に緩めるように想像する。続いて会陰部を収縮させて引上げ、身体は温かくなり完全に緩め、毛穴も開放して自然界と気が交流しているように想像する。この操作を繰り返すことで補腎助陽のほか、頭部をリラックスさせられるため、不眠や神経衰弱にも効果的である。

姜棗茶の飲用及び還元臥と混元臥の練功は比較的簡単で実行し易い、これにより陽気を充足させて厳しい冬を乗り越えよう。

健康知識:冬季養生の良品 牛肉

日常生活の身体補益のため「血肉有形之品」の肉類は最もお勧めである。普段の食卓において豚・鶏・鴨・魚など様々な食材が多く見られるが、中でも牛肉は天然の補気食材として古くから重要視され、古書にて大いに称賛されている。《名医別録》に「安中益気,養脾胃」と記されているように、気血を補って全身に栄養を与え、脾胃を強めて運化機能を助ける効能があり、《韓氏医通》に「黄牛肉,補気,与綿黄耆同功」とあり、牛肉の補気力は「補気聖薬」の黄耆に匹敵するとされている。また《医林簒要》には「牛肉味甘,専補脾土。」、《本草拾遺》には「消水腫,除湿気,補虚,令人強筋骨,壮健。……補益腰脚。」、《滇南本草》には「水牛肉,能安胎補血。」などとあり、いずれも牛肉の温養脾胃・補益気血・強壮筋骨の性能を解説している。

冬季は生体の陽気が体内に収められて蔵されるため、身体補養の重要な季節であり、合理的に牛肉を食すことにより、最大限にその温養効果を発揮することができる。脾胃を温補して気血の生成を促進し、外界の寒邪を防御するに伴って気血不足や虚弱畏寒などの問題を改善させ、筋骨強壮の作用も果たす。

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健康知識:冬季養生の良品 牛肉

日常生活の身体補益のため「血肉有形之品」の肉類は最もお勧めである。普段の食卓において豚・鶏・鴨・魚など様々な食材が多く見られるが、中でも牛肉は天然の補気食材として古くから重要視され、古書にて大いに称賛されている。《名医別録》に「安中益気,養脾胃」と記されているように、気血を補って全身に栄養を与え、脾胃を強めて運化機能を助ける効能があり、《韓氏医通》に「黄牛肉,補気,与綿黄耆同功」とあり、牛肉の補気力は「補気聖薬」の黄耆に匹敵するとされている。また《医林簒要》には「牛肉味甘,専補脾土。」、《本草拾遺》には「消水腫,除湿気,補虚,令人強筋骨,壮健。……補益腰脚。」、《滇南本草》には「水牛肉,能安胎補血。」などとあり、いずれも牛肉の温養脾胃・補益気血・強壮筋骨の性能を解説している。

冬季は生体の陽気が体内に収められて蔵されるため、身体補養の重要な季節であり、合理的に牛肉を食すことにより、最大限にその温養効果を発揮することができる。脾胃を温補して気血の生成を促進し、外界の寒邪を防御するに伴って気血不足や虚弱畏寒などの問題を改善させ、筋骨強壮の作用も果たす。

一、基本性能

中医学的に牛肉は、甘・平の性味で(黄牛は甘・温、水牛は甘・涼)、脾・胃に帰経する。主に補脾胃・益気血・強筋骨の効能を持ち、脾胃虚弱、脘腹冷痛、食少納呆、泄瀉、浮腫、気血不足、少気無力、自汗、大病後の虚労羸痩、腰膝痠軟、消渇吐瀉、痞積臌脹、大腹浮腫、小便渋少、気喘不安、水気病による四肢腫脹沈重などに用いられる。

豚肉、羊肉、鶏肉に比べて牛肉は養生価値が特に優れている。現代研究では、牛肉は良質蛋白質、カルシウムやリンなどを富んでおり、アミノ酸の構成は生体の需要と非常に整合して消化吸収され易く、筋肉減少(萎縮)を防止し、同時に骨格栄養を支持している。また血色素鉄の含量も他の肉類より高く、効果的に鉄欠乏性貧血を改善させる。ほかに、豊富なビタミンB12、亜鉛、セレンなどの微量元素は神経系と免疫系の機能強化に有益であり、高含量のカリウム元素も泌尿系と心・脳血管の機能保護に役立つ。

また牛肉は性質が温でありながら燥にならず、補いながら滞らないため、陽気を温補して体内の燥熱にならないため、冬季の「蔵養」という養生原則に一致しており、脾胃機能が弱い方には特に適している。

ほかに、牛肉は何にも合わせ易い養生食材であり、様々な食材や薬剤と合わせることで養生効果が広げられる。例えば、大根と組み合わせて消食化積・理気化痰の作用を果たし、また山薬と組み合わせて健脾補虚・養護胃腸の効果がある。

二、食用方法

牛肉は部位の異なりにより脂肪の含量が大いに異なっている。一般的にはモモ肉、リブロース肉とランプ肉、そしてヒレ肉などは脂肪含量が比較的少ないため、この赤身の部位をお勧めする。そのうち、リブロース肉とランプ肉は最も柔らかくて様々な調理法に適しているが、モモ肉は比較的線維が粗くて筋も多いため、煮込み方法には適している。

また体質に従って合理的に部位を選択する。脂肪の少ないモモ肉やロース肉は脂肪制限・筋肉強化(脂肪を減らして筋肉を増やす)のもの、鉄欠乏性貧血、そして良質蛋白質補給のものに相応しい。一方、赤身より脂肪が富む肩ロースやバラ肉は長く煮込むことで柔らかくなり易いため、消化機能が弱いものや老年幼児などに相応しい。

通常、牛肉の週摂取量を300~400g調節するのが相応しい。平均して一日に約50gで卵一個の分量に当たり、程好く栄養を得られるし、生体に大きな負担にならない。また調理方法も栄養に大きな影響を与えている。炒る、焼く、そして油で揚げると香ばしくなるが、水分が流失して肉質が硬くなるし、高温により蛋白質が変性を起こして消化吸収に支障を来たす可能性がある。それに対して蒸す、煮る、そして煮込むなど低温調理は牛肉の栄養と風味を保留できるほか、有害物質の産出が避けられるため、健康的である。

ここでは、「寒・燥・虚」という冬季養生の特徴に対し、温補滋養の代表的な養生薬膳料理「黄耆牛肉野菜の煮込み」を紹介する。牛肉を基本とし、補気薬材の黄耆を配合し、更に玉蜀黍や人参などの野菜を加え、健脾養胃・益気養血・温補祛寒の効果に伴って免疫力強化の作用も発揮できる。

適応:特に冬季に身体虚弱、気虚疲労、羸痩、畏寒、手足不温、免疫低下、易感冒などの方には役に立てる。

[材料]牛肉250g、新鮮な玉蜀黍1/2本、人参1/2本、黄耆15~20g、葱5㎝、生姜1かけ、塩と胡椒粉少々。

[方法]① 牛肉を小さく切ってお水に入れ、沸騰したら灰汁を取ってから取り出しておく。② 人参の皮を剥いて小さく切り、玉蜀黍を短冊切りにしておく。③ 土鍋にお水をたっぷり入れ、牛肉、人参、玉蜀黍、黄耆、葱、生姜を加えて強火を掛け、沸騰したら弱火に変えて牛肉が柔らかくなるまで1時間ほど煮込む。④ 適量の塩と胡椒粉で調味して出来上がり。

[補足]脾胃虚弱の場合は煮込み時間を1.5時間ほど長くすることで、肉質を柔らかくして消化への負担を減らす。また口乾、ニキビ、便秘などの場合は補気過剰で逆上せるのを避けるため、黄耆を半分の量(5~10g)に減らす。

三、注意事項

牛肉は冬季に温補養生の良品であるが、全ての人に適応するわけではない。下記の場合は慎重に食しなければならない。

① 痛風の急性発作期の方:牛肉はプリン体の高い食材に属しているため、尿酸増加で症状が増悪する恐れがある。

② 脾胃虚弱者:牛肉は筋繊維が比較的粗くて消化に負担がかかる。胃炎や胃潰瘍の罹患者、消化不良の方、或いは胃腸機能低下の老年は食後に腹脹や呑酸などの不快感が現れ易い。

③ 熱性体質や炎症発作の方: 牛肉は性質が温熱に偏って、虚寒体質のものに向いているとされている。本来熱性体質で逆上せ易い、或いは口内炎や咽喉腫痛や皮膚掻痒症など炎症が発作する期間において牛肉を過食することで熱象が増悪することがある。