健康知識:秋季における菊花の応用

今年の天候は特に異常で、夏の暑熱と湿気が厳しく長引き、立冬になってようやく涼しくなり、急に深秋らしくなっている。少し雨が降ったとしても気候の特徴はやはり乾燥を主としている。「天神一合」と言われるように、人体も自然界の影響を受け、口舌が乾燥したり、眼精がゴロゴロしたり、皮膚もカサカサしたりすることが多く、いわゆる秋燥のことである。こんな時は菊花をお勧めする。

菊花は、その清熱降火の性能及び他の食材との組合せにより秋季の乾燥から我々を守ってくれる。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:秋季第一の補養食 お粥

秋季は補養を最も重要な養生原則としている。しかし夏季の炎熱酷暑による消耗を経て、脾胃機能の低下が多く見られるため、滋陰補益の効果を発揮すると同時に、脾胃に負担を掛けてはならない。このような時、お粥は最も相応しい。

お粥は「糜」とも言い、米、粟、玉蜀黍、豆類などの食糧を煮込んでできた粘液状の流動食物を指す。東洋飲食文化の精粋の一つとして4,000年以上の歴史を持っており、2,500年前から、養生や治療において薬用として使われ始めた。中国最古の礼儀制度に関する儒学経典《礼記》には「仲秋之月養衰老,授幾杖行,糜粥飲食」と記載してあるように、お粥は秋季補養の逸品である。清代名医・王士雄もお粥を「世間第一補人之物」と讃えている。秋季においてお粥を食すと、様々な効果が期待できる。

ここでは、秋冬季節に相応しい保健養生のお粥を幾つか紹介する。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:秋季における潤肺止咳の宝 梨

ようやく秋らしくなり、自然界では「燥」が主気となっている。人体も燥邪に影響されて口咽乾燥、鼻孔乾燥、皮膚乾燥、咳嗽などが現れ易い。この様な症状は旬の果物である梨を用いて緩解することができる。「一梨潤三秋」と言われるように、梨は甘酸っぱくて果汁が豊富で、乾燥する秋季において水分と栄養素の補充に適している。

現代研究によると、梨は栄養豊富であり、水分の含有量が高く、生体の水分摂取量を増加させて健康維持に有利である。ほかに、糖質、食物繊維、多種のビタミンやミネラルなども含有する。

中医学的には、梨は甘・微酸・涼の性味で、肺・胃・心に帰経する。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:夏季における生姜の応用 続編

生姜は台所の必需品として常備されているが、臨床における常用薬としても重要である。その性味は微温・辛で、肺・脾・胃経に帰経し、発汗解表・温肺化痰・温中降逆・解毒の効能を持っている。《本草綱目》には「姜,辛而不葷,祛邪避悪,生啖熟食,酢、醤、糟、塩、蜜煎調和,無不宜之。可蔬可和,可果可薬,其利博矣。」とあり、生姜の性能特徴と薬食価値を説明している。夏季の炎熱蒸騰の自然特徴に応じて人体の陽気も体表に昇発して体内に陽熱が逆に少なくなって寒冷内生を起こし易い。そのため、夏季には温熱性質の生姜を食用することで、健康維持に役立ち、更に一部病症の治療または緩解に繋がる。

昨年初夏に「夏季における生姜の応用」を紹介したことがあるが、ここで他の生姜の応用方法を紹介する。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:三伏天養生の五大要点

本日より三伏天に入った。今年も閏中伏で、7月15日から24日までの初伏、7月25日から8月13日までの中伏、そして8月14日から23日までの末伏からなって計40日間にわたる。

三伏天は一年中で最も気温も湿度も高い時期であり、人体もこの自然界の陰陽変化に従って大きく変動している。日頃は防暑降温に注意を払い、飲食と起居を合理的に配置して酷暑から生体を守らなければならない。

三伏天の時期において下記の五大要点から養生に手を入れて欲しい。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:夏季に最も重要な睡眠時刻二つ

立夏を過ぎて気温が少しずつ上がり、万物が栄えて茂っている。この時節から自然界の陽気が徐々に生長して陰気が徐々に減弱する。生体も自然に従って陰陽の盛衰消長が変化しており、心気が強くなって肝気が弱くなる。この頃から逆上せ易くなり、これによって体力も消耗されて疲れを多く感じるる。特に夜間の睡眠が不安定になって朝も早く醒め易い。全て体内の陽気が盛んになってきた現れである。また夏は暑熱から津液を消耗するに伴って気の漏洩も考えられ、常に疲労倦怠、眠く感じる。体力保養・疲労解消のためには睡眠が非常に重要である。

《黄帝内経》には「夏三月,此謂蕃秀,天地気交,万物華実,夜臥早起,無厭于日,使志無怒,使華英成秀,使気得泄,若所愛在外,此夏気之応,養長之道也。逆之則傷心,秋為痎瘧,奉収者少,冬至重病。」という養生原則が記されてあるが、夏季は陽気が盛んになって暑熱の擾乱で心神が安定し難いため、遅寝早起きをお勧めしている。当然、睡眠不足の状態にしてはならず、不足の睡眠は昼寝で補足できる。一日の中で、下記の二つの時刻は睡眠に最も重要であるため、効率的に応用して欲しい。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:気力不足の認識と対策

中国の古書には「一年の計は春に在り、一日の計は朝に在る」という言葉があり、春と朝は陽気が増長する時で、万物は生気溢れ、一年や一日のためにしっかり計画して基礎を築かなければならない。しかし、こんな時期になっても、どうしてもやる気が出ない、何となく気力不足などを感じている方が多い。普段でも動きたがらず、少し動いただけで直ぐに疲れる、話したがらず、話しても声が低い、更にいつも倦怠無力感、物事に無関心で、まるで怠けているように見えて自分でも情けない感じで悩んでいる。実際、このような方の大半は怠け者ではなく、身体が弱いからである。

中医学では、この気力不足の状態を気虚と言う。身体の気が足らないため、疲れて怠け、やる気が出ないわけである。先天的の素因もあるが、往々にして長期にわたる不良な生活習慣から生体の気を損耗して気虚を来たし、臓腑の機能活動も低下する。

気虚は発生部位により主に心気虚、肺気虚、脾気虚、腎気虚に分けられる。ここでそれぞれ異なる発病原因と病状特徴を解説し、治療方針と対策方法を紹介する。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:息を深く長くすることで健康養生

人間は、赤ちゃんとして母体から離れて産声を発して息が始まって自ら生命活動を営み始めるが、最期に息を引き取ることで生命活動の終止を示している。呼吸機能は生命活動の基本的な指標である。「人は一息で活きる」と言われるように、人間の生命は気によって営んでおり、生命活動自身は気の運動の一種である。健康の時には元気が充足し、病弱の時には息切れや息苦しいなど呼吸困難が現れてくる。

中医学的には、生体の気は肺に吸入された自然界の清気、及び脾胃に運化された飲食物の穀気から生成されている。脾胃による消化機能は確かに健康維持の基本であるが、肺による呼吸機能も健康増進の重要な素因である。気功養生療法では「調息」(息の調節)が非常に重要な要素とされている。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:経穴を用いた美顔方法

近年、日本において美容針灸が非常に流行っている。針灸院やエステサロンだけでなく、接骨院などでも美容針灸を取り入れ、様々な所で治療を受けられるようになっているが、場所により治療効果は大きく異なっている。美容針灸の治療院を選定することは普通の人にとって中々難しい。そのため、自身で経穴を用いた美顔方法がお勧めできる。

実際、刺針の代わりに手指を用いて経穴に適度な刺激を与えることで美顔の効果も充分に得られ、しかも安全かつ簡便である。基本的に美容針灸は針具でなく、経穴への刺激によって美容効果を果たしたのであり、経絡の調節作用は美容針灸の基礎となる。推拿(按摩)手法を用いて相応しく経穴に刺激を与えることにより、臓腑経絡の機能を強化して陰陽気血の平衝を調節し、顔面皮膚が濡養されて潤沢で弾性に富むことができる。これはいわゆる美容推拿の作用機序である。

美容針灸でも美容推拿でも、経絡腧穴が最も重要な決め手である。先ずは体質と体調に従って適切な経絡腧穴を選択して治療処方を決める。次に正確かつ精密に腧穴の定位を取る。最後に経絡腧穴において適宜な手法を行って適度な刺激を与える。

ここでは、美顔に常用される経穴の所属経脈と応用要点を紹介する。具体的な定位と取法は《経穴の定位と技法》、詳細な効能と主治は《経穴の性能と主治》を参照することができる。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:新型コロナウイルス感染後遺症について

1、概説

新型コロナウイルス性肺炎は、中医学において外感病証の「疫病」の範疇に属する。疫病は強烈な伝染性と流行性を持つ疾病の一種であり、通常の外感六淫(風寒湿燥火)とは異なり、「疫癘」(瘟疫、疫毒、癘気、疫気、毒気、異気、雑気、乖戻之気などとも言う)という病邪(致病素因)により起こされる。疫癘の形成は自然界の異常気候、環境の汚染、飲食の不潔、社会制度などと密接に関係している。新型コロナウイルス性肺炎の発生は、急速な蔓延・広範囲の流行・重篤な病状などの特徴から一般的な外感六淫ではなくて「疫癘」によるものである。病状の性質から見ると、主に寒湿の邪気と密接な関係を持って「寒湿疫」と定義している。

中医学における邪気は一つの抽象的な概念で、人体に疾病を致す全ての素因を指し、いわゆる致病素因のことである。致病素因は大まかに外感病因(風寒湿燥火の六淫、疫癘)、内傷病因(喜怒憂悲恐驚の五臓七情)、そして不内外病因(飲食、労逸、外傷、寄生虫、水湿痰飲、瘀血など)の三大類に分けられるが、新型コロナウイルス性肺炎には外感病因の疫癘が致病素因となっている。邪気は主に発病する時に病状の特徴に従って病邪の性質をまとめてきたのであり、現代医学における細菌やウイルスなど具体的なものと全く一致しない。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます