健康知識(特別公開):ウイルス抵抗に最も重要な食物 蛋白質

新型コロナウイルスの感染が蔓延してから、皆、どうすればウイルス感染に抵抗できるかと考えている。実際、その答えは非常に簡単で、病邪侵襲に抵抗する決め手は生体の免疫力である。この免疫力はいわゆる中医学における正気に当たり、生体の正気が充足であれば、病邪から侵襲されない。まさに《黄帝内経》に「正気存内,邪不可干」と記載されている通りである。

人体はウイルスに感染された後、自身の免疫力によってウイルスに打ち勝つことができるが、通常では免疫反応の過程は二週間くらい続く、つまり感染後は二週間くらいを経ってから始めて回復に向かう。現在では新型コロナウイルスに対して最も重要な「特効薬」はやはり免疫力しかない。罹病してからの二週間は多臓器の機能不全に遭遇する恐れがあり、この最も過ごし難い二週間を乗り越えられるかどうかは免疫力次第である。

現代医学では、体内に入った細菌やウイルスなどの病原体に対して抵抗し攻撃することにより身体を守る力を免疫力と言う。この能力は生体が本来備えている自己防御機能であり、血液中の白血球がそれを担っている。実際、病原体と戦う白血球は様々な役割を分担する細胞の集合体であり、具体的に小食細胞と呼ばれる顆粒球、大食細胞と呼ばれるマクロファージ、特定の抗体を作って病原体を抵抗するB細胞、病原体に冒された感染細胞を攻撃してその繁殖を抑えるT細胞、そして主に癌細胞を見付け出して攻撃するNK細胞など、五つの免疫細胞が常に働いている。

これらの免疫細胞の産生、そしてB細胞による抗体の産生には蛋白質が不可欠である。充足な蛋白質、特に上質な蛋白質の摂取を確保することこそ、自己免疫力を高める鍵である。実際、中国において新型コロナウイルス感染症対策の臨床現場でも実証されており、重症が軽症へ転化するため最も重要な素因は栄養素と蛋白質の確保である。栄養程度が比較的良い患者は重症化が多く認められず、逆に栄養程度が悪い患者は症状の増悪が現れ易いことから、医療チームの治療方針も毎日の食事に卵を増やして患者の蛋白質とアルブミンの水準を高める調整を行っている。病状の進行を抑えるには極めて重要である。譬え万が一、新型コロナウイルスに感染したとしても、充足な体力と免疫力を体の資本として保有すれば、病邪との闘いで困難な状態を乗り越えられる。

蛋白質は人体組織を構成する重要な部分として生命の物質基礎であり、同時に生命の現象は根本的に全て蛋白質の機能の現れである。では、どんな食物が上質な蛋白質の食物に属するのか?ここでは中国栄養学会が推奨する日常の上質な蛋白質の食物ランキング十位までを下記通りに並べる。

① 卵

卵に含まれる栄養素は豊かで、ビタミンCと繊維素を除いた全ての栄養素が揃っているため、完全栄養食物だと言われるほど栄養価値の高い食物とされている。卵の蛋白質含量は13%ぐらいであり、アミノ酸の組成も人体の需要と非常に近いため、通常アミノ酸を評価する参考蛋白質とされている。卵の蛋白質は僅かに母乳に次いで人体の中で利用率が高いことから、食物の中で最も上質な蛋白質とされている。

成人の場合は一日に1~3個の卵(白身と黄身を共に食べる)をお勧めする。因みに消化吸収率から見ると、ゆで卵が良い食べ方である。

② 牛乳

牛乳は液体食物として水分の含量が高いため、蛋白質の含量は僅か3%しかない。しかし牛乳は便宜に飲用できて容易に数百グラムの摂取量に達するほか、同時必須アミノ酸の比例も人体の需要に一致し、上質な蛋白質に属すると言える。

一日に300g或いは300gに相当する乳製品の摂取をお勧めする。乳糖不耐症の方は代わりにヨーグルトを飲むことができる。

③ 魚

魚類は蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルを豊かに含む。蛋白質の含量は約15%~22%であり、人体の必要な各種アミノ酸を含有し、特にロイシンとリジンが豊富であり、上質な蛋白質に属する。

④ 蝦

蝦の栄養価値は非常に高く、蛋白質、ビタミンA・B1・B2とナイアシン(Vit. B5)、カルシュウム、磷、鉄などの成分を含む。蛋白質の含量は約16%~23%である。

成人の一日の水産物(魚・蝦・貝類を含む)摂取量は40~75gをお勧めする。

⑤ 鶏肉

鶏肉の蛋白質含量は20%くらいであり、沢山の筋肉トレーニング者が愛用する蛋白質の源である。鶏肉には人体に消化され易い多種のアミノ酸を含有する。

⑥ 家鴨肉

家鴨肉の栄養価値は鶏肉に似ている。蛋白質の含量は約16%であり、主にミオシノーゲンとミオシンで、他の一部分は細胞間質蛋白である。そのうち、水溶性のコラーゲンとエラスチン、少量のゼラチンを含み、残りは非蛋白質窒素である。

⑦ 牛肉の赤身

牛肉の赤身には蛋白質が20%以上含まれ、アミノ酸の組成も人体の需要に近く比例も均等で人体の吸収利用率が高い。

⑧ 羊肉の赤身

羊肉の赤身の蛋白質の含量は20%くらいである。羊肉に含有する必須アミノ酸と総アミノ酸との比率は40%以上に達し上質な蛋白質の食物に属し、人体の吸収利用率が高い。またリジン、アルギニン、ヒスチジン、スレオニンの含量は他の肉類に比べて高い。

⑨ 豚肉の赤身

豚肉の赤身には約20%の蛋白質が含まれ、必須アミノ酸の組成も人体の需要に近い。

一日の肉類(鶏・家鴨などの鳥類及び牛・羊・豚などの畜類)摂取量は40~75gをお勧めする。

⑩ 大豆

大豆には黄豆、黒豆、そして青豆が含まれる。唯一の植物性の蛋白質の源として、大豆には上質な蛋白質、不飽和脂肪酸、カルシュウム、カリウム、及びビタミンEが豊に含有する。大豆の蛋白質含量は約30%~40%であり、必須アミノ酸の構成比も動物蛋白に類似し、且つ穀物類蛋白に欠けているリジンも豊富であるため、穀物類蛋白質と相互補完的な天然の理想的食品とされている。

一日の大豆とナッツ類の合計摂取量は25~35gをお勧めする。

食事のほか、笑うことで免疫力が上がる事が証明されているため、日頃はウイルス感染からの緊張や恐怖などの気分を持たず、常に精神を緩めて明るく愉快な状態に調整する事も重要である。更に針灸推拿などの方法を用いて大椎・足三里・膈兪・肝兪・脾兪などの経穴を刺激する事も免疫力を上昇させるため確実な一手段である。

健康知識:健康増進のための自己推拿法

新型コロナウイルス感染が拡大し、緊急事態宣言の再度発令及び期間延長により不要不急の外出を自粛しているほか、天候も例年より寒さが厳しいため、在宅時間が更に長くなり、日常生活の中で運動不足などの懸念が出てくる。この情勢では、外出も気が気でないため家の中での運動が好ましい。そこで、五禽戯、六字訣、八段錦など余り空間を必要としない中医気功法は大いに役立つ方法とされている。しかし、これまで習得しておらず、今から始めようとすると少し難しいと考える方も多いと思う。そこで、代わりに自分で行う簡単便宜な養生推拿法をお勧めする。

ここでは、個人的に日頃行っている自己推拿法を紹介する。これを参考にして毎日15分~30分ほど続けることで、健康増進の効果が期待できる。

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健康知識:健康増進のための自己推拿法

新型コロナウイルス感染が拡大し、緊急事態宣言の再度発令及び期間延長により不要不急の外出を自粛しているほか、天候も例年より寒さが厳しいため、在宅時間が更に長くなり、日常生活の中で運動不足などの懸念が出てくる。この情勢では、外出も気が気でないため家の中での運動が好ましい。そこで、五禽戯、六字訣、八段錦など余り空間を必要としない中医気功法は大いに役立つ方法とされている。しかし、これまで習得しておらず、今から始めようとすると少し難しいと考える方も多いと思う。そこで、代わりに自分で行う簡単便宜な養生推拿法をお勧めする。

ここでは、個人的に日頃行っている自己推拿法を紹介する。これを参考にして毎日15分~30分ほど続けることで、健康増進の効果が期待できる。

1、梳頭洗臉(頭髪をとかし、顔面を擦る)

坐位または仰臥位を取る。

[操作方法]

両手の十本指指先を用いて、前髪の生え際から頭頂・後頭へ、髪の毛をとかすような動作を36回行う。

両手の手掌を用いて、鼻翼の両側から上方へ額にゆき、そのまま両側へ分け、顳(こめかみ)・頬を経て下方へ、顔を洗うような動作を36回行う。

[追加動作]

百会穴の按揉:両手の中指を重ねて頭頂部の百会穴に当て、36回按えながら揉む。

2、揉眼搓耳(眼球を揉み、耳介を擦る)

坐位または仰臥位を取る。

[操作方法]

両手の手根部を同側の眼球に当て、時計回りと反時計回りの方向へそれぞれ36回揉む。

両手の手掌を用いて同側の耳介を覆い、36回擦る。

[追加動作]

睛明穴・太陽穴・四白穴の点揉:睛明穴に拇指の指先、太陽穴に拇指または示指の指先、四白穴に示指の指先を当て、それぞれ36回按えながら揉む。

耳輪の揉擦:両手の拇指を耳介背面に当てて支え、示指の側面を耳介正面に当てて挟みながら、上方から下方へ耳介を揉み、最後に耳垂を下方へ引っ張る。

3、叩大椎(大椎穴を叩く)

坐位を取る。

[操作方法]

拳を握り、その手掌面を用いて、頸項根部の大椎穴において18回軽く叩く。手が届かない場合は手掌(五本指を合わせて手掌の中に空を作る空心掌)を用いる。

4、擦腰暖腎(腰を擦って腎を暖める)

坐位を取る。

[操作方法]

両手の手掌を腰部の両側に当て、上方から下方へ36回擦る。

5、拍胸(胸部を叩く)

仰臥位または坐位を取る。

[操作方法]

一側の手掌(空心掌)を用いて、反対側の胸郭を上方から下方へ6往復6回ずつ計36回軽く叩く。その後、手を変えて同様に36回行う。

[追加動作]

膻中穴の按揉:手根部を胸骨中央の膻中穴に当て、36回按えながら揉む。

6、摩腹揉腹(腹部を摩り、揉む)

仰臥位または坐位を取る。

[操作方法]

両手の手掌を用いて、腹部において、それぞれ時計回りと反時計回りの方向へ、臍を円心にして円形に36回ずつ摩る。

その後、両手の手掌を重ねて(女性は右手を下、男性は左手を下に置く)上腹部の中脘穴に当て、反時計回りの方向に54回、下腹部の関元穴に当てて時計回りの方向に81回揉む。

[追加動作]

推腹:両手の手掌を腹部の両側(腹直筋上)に当て、上方から下方へ36回推し下ろす。その後、両手の手掌を両側の脇肋部に当て、外上方から内下方へ斜めに36回推し下ろす。

7、擦揉膝蓋(膝関節を擦って揉む)

坐位を取って脚を伸ばす。

[操作方法]

両手の手掌を用いて、同側の膝関節の上を覆い、上方から下方へ36回擦り、その後、円形方向に36回揉む。そのまま手掌を用いて36回軽く叩く。

[追加動作]

抓膝蓋骨:両手の拇指及び示指中指の指腹を用いて、膝蓋骨を両端から掴みながら、膝の上下方向(手の前後方向)に36回動かす。

8、推擦小腿(下腿を推して擦る)

坐位または仰臥位(下腿内側面)を取る。

[操作方法]

両手の手掌(特に手根部)を用いて、同側の下腿外側面において、膝の外下方から外踝付近へ36回推し下ろす。手が届かない場合は、左右を交替して前後に行う。

一側の足裏を用いて、反対側の下腿内側面において、膝の内下方から内踝付近へ36回擦る。その後、足を変えて同様に36回行う。

[追加動作]

足三里穴の按揉:拇指指腹を用いるか、或いは両手の拇指を重ねて、膝の外下方の足三里穴に当て、36回按えながら揉む。

9、揉圧太溪(太溪穴を押さえて揉む)

仰臥位または坐位を取る。

[操作方法]

一側の足踵を反対側の内踝後方の太溪穴に当て、36回押さえながら揉む。

10、擦湧泉(湧泉穴を擦る)

坐位を取って膝を曲げる。

[操作方法]

両手の手掌を用いて、両側の足裏を36回擦る。

上記の自己推拿法の各動作は基本的に頭部(上方)から足部(下方)まで行うが、一定の順序に拘る必要は無い。各自の都合や具体的な体位に従って操作し易いように行えば良い。例えば、寝る前に行う際に、頭部から背腰部を経て下肢までの動作を済ましてから、仰向けになって胸部と腹部の動作を最後に完成し、そのまま寝るのが睡眠改善にも効果的である。また回数も時間によって増減できる。