健康知識(特別公開):伝統医学による疫病の予防対策

新型コロナウイルス肺炎(瘟疫病)が発生して以来2ヶ月ほど経ったが、マスコミの報道では、毎日新たな感染者が増えて感染拡大の数値が出ていることや、専門家によると2月末から3月初にかけて感染のピークを迎える話など、皆様の心に大きな不安を与えていると思う。しかし感染症に対して恐怖やパニックの必要はない!手洗い、マスク、咳や嚏のエチケットなど感染予防の処置を強化することは必要であるが、最も確実で重要な対策は生体の健康状態を保持することである。古来中国伝統医学では、生体の正気(免疫力と抵抗力)の盛衰が疾病発生の決め手であると考えられ、《黄帝内経》に「正気存内、邪不可干」と記載されているように、正気が充実していれば、邪気に冒されないと認識している。この原則はインフルエンザなど様々な疾病にも共通している。

このほど、疫病の予防治療の目的で、中国国家中医薬管理局からの《新型コロナウイルス肺炎の中医診療マニュアル》、及び中国針灸学会からの《新型コロナウイルス肺炎に対する針灸に関わる指導意見》が発表され、いずれも簡単便宜な針灸療法の応用を強く推奨した。これに従って成都中医学大学針灸推拿学院、四川省針灸臨床医学研究センター、そして四川省針灸学会の協同製作により「経穴按圧法」と「灸法」の二種類の具体的な方案が公開された。針灸推拿は理学的な外治療で独特な即効性を持つことから、日常生活における予防と保健の重要な一手段とされている。ここで皆様に紹介し、自分の正気を増強させて疫病から健康を守るため実用して欲しい。

1、経穴按圧法

経穴に対する按圧刺激は経絡疏通・陰陽調和の作用があり、生体の免疫力と抵抗力を増強させる。

[選穴]

大椎:項部にあり、後正中線上、第7頸椎の棘突起下の陥凹部。

風池:項部にあり、後頭骨の下方、風府(外後頭隆起直下の両側僧帽筋間の陥凹部)と同じ高さ、胸鎖乳様突筋上端と僧帽筋上端の間の陥凹部。

中府:胸部の外上方にあり、第1肋間と同じ高さ、鎖骨下窩陥凹部の下方、前正中線の外方6寸。

足三里:下腿の前外側にあり、犢鼻の下方3寸、脛骨前縁の外側1横指(中指)。

[操作]

指腹を用いて経穴を1回強く按えてから、時計回り方向へ3回揉み、これを「一按三揉」と言い、各経穴に50~100回の「一按三揉」を行い、経穴局所に張った感じや温熱の感じが現れる。大椎から始まり、両側の風池、中府、足三里へ順次に操作し、朝晩それぞれ1度行うと良い。

また大椎の自己操作は比較的難しく、家族に協力して貰えたら良いが、別の操作法を行うこともできる。両側の手掌を合わせて熱くなるまで擦ってから、速やかに大椎に当てて温熱が浸透しているうちに左右または上下に摩擦する。このような動作を3~5分間繰り返す。

2、灸法

灸法は明らかに生体の免疫力を高め、抗ウイルス・止咳平喘・精神緩和などの作用がある。また艾葉の燃焼による煙は芳香避穢の効能を以て空気消毒のために用いられる。

中国では日常生活保健のために温灸器灸と携帯灸の二方式を応用しているが、いずれも器具を使っており日本では入手し難いため、代わりに棒灸またはせんねん灸を用いた温灸法を紹介する。

[部位]

臍部(神闕)を中心にした腹部全体において温灸を行う。この部位に分布している神闕、気海、関元などの経穴は人体の重要な保健経穴として免疫力強化や病邪抵抗の作用を持ち、また中脘と天枢は著しく胃腸調節の作用を持っている。

神闕:中腹部にあり、臍の中央。

中脘:上腹部にあり、前正中線上、臍中央の上方4寸(胸骨剣状突起結合部から臍中央までの中点に取る)。

関元:下腹部にあり、前正中線上、臍中央の下方3寸(四横指)。

気海:下腹部にあり、前正中線上、臍中央の下方1.5寸(臍中央から関元までの中点に取る)。

天枢:中腹部にあり、臍中央と同じ高さ、前正中線の外方2寸(腹直筋の筋腹上に取る)。

[操作]

仰臥位または半臥位を取る。棒灸の場合は、火を付けてから腹部の前正中線に沿って上から下へ、中脘、神闕、気海、関元を通過しながらゆっくりと移る。その後、それぞれ前正中線の両側2寸(腹直筋の筋腹上)に沿って上から下へ、天枢を通過してゆっくりと移る。通常20~30分間温灸を行うが、腹部が温かく感じる程度で時間を調整する。一方せんねん灸の場合は、上記の経穴において、上から下への順で、9粒ずつ温灸を行う。

また按圧法に応用する経穴に対して温灸を行うことも効果的である。

 

 

活動案内:「整体推拿療法の実技と応用」講習会

中医推拿療法は中国伝統医学に基づいた按摩療法のことを指し、古来養生保健と疾病の予防治療の重要な常用手段となっている。推拿療法は操作が簡便且つ安全で、明らかな即効性を持つなどのメリットにより、医薬不足の古代だけでなく、自然療法重視の現代社会でも益々注目されている。整体推拿療法は推拿療法の一部で、人体を一つの全体として考える前提に立ち、生体機能を整えるという意味があり、中国伝統医学の整体観念という基本的な特徴に対応している。

中医推拿療法は長い発展歴史から技法も数多くて応用も様々であるため、初心者は系統的に把握するのが難しく、更に基礎技法を臨床実践まで確実に活用できない事が現状とされている。

今回の講習は推拿療法に関連する人体解剖部位や経絡穴位知識などの基礎理論を重点的に講義した上で、繁雑な推拿実技を実用的にまとめて基本手法と応用要領を講習し実習し、更に長年の臨床と教育の経験に基づいた整体推拿の施術方法を伝授する予定で、いち早く臨床実践に即していけるように期待している。

また、講習終了時には特定非営利活動法人伝統医学教育会の修了証書を授与する。

 

主 催:特定非営利活動法人伝統医学教育会

講 師:陳 志強 医学博士

日 程:全8回 月1回 午後14時00分~16時30分(計20学時間)

① 04月26日 整体推拿療法概説;人体解剖学;推拿基本手法;

② 05月24日 人体解剖学;推拿基本手法;

③ 06月28日 経絡穴位学;推拿基本手法;

④ 07月19日 経絡穴位学;整体推拿療法の施術要領;

⑤ 09月06日 頭頸部の推拿施術実技;

⑥ 10月04日 背腰部の推拿施術実技;

⑦ 11月01日 胸腹部の推拿施術実技;

⑧ 12月06日 四肢部の推拿施術実技。

場 所:東京都千代田区外神田6-4-5-401  NPO法人伝統医学教育会事務局

定 員4名から9名まで。尚、定員超過の場合は当会会員を優先とする。

費 用:70,000円(参考資料を含む)。

教科書「整体推拿療法」(たにぐち書店出版)は別途5,500円(当会会員無料)。

振込先:特定非営利活動法人伝統医学教育会

郵便貯金総合口座 10100-55927971

申込み:FAX 03(5816)5235

申し込みの締め切り:2020年3月31日まで

活動案内:「飲食薬膳療法の基礎と応用」講習会

中医飲食薬膳療法は、中国の伝統医学理論を基礎とし、食物と薬物の有機的な組み合わせを用いて健康増進や病状回復を目的とした治療法である。現在、日本において薬膳は非常に関心を集めているが、殆どが栄養学の角度からで食材や薬材その物に対する認識を中心に取り上げ、生体への応用に関しては深く触れていない状況である。

飲食薬膳は単に食材を調理したり、食材に薬材を加えたりしたものではなく、中国伝統医学の整体観念と辨証施治の基本特徴に従い、時節、地所、そして生体の具体的な状況に応じて食物や薬物を合理的に組み合わせた特殊な膳食である。

今回は中医飲食薬膳療法の基礎理論を説明した上、常用する食材及び薬材の性質効能と応用方法を重点的に紹介し、更に実際に応用するための原則から具体的な方法まで指導する。これにより、健康増進や病状回復の役割を果たし、飲食薬膳療法の重要な基礎を築いて今後の実践をより深めて貰いたい。

また、終了時には特定非営利活動法人伝統医学教育会の修了証書を授与する。

 

主 催:特定非営利活動法人伝統医学教育会

講 師:陳 志強 医学博士

日 程:全8回 月1回 日曜日午前10時30分~13時00分(計20学時間)

① 04月26日 中医飲食薬膳療法の概説;

② 05月24日 薬性理論と薬膳理論;

③ 06月28日 常用する薬効食材の性能と応用;

④ 07月19日 常用する食用薬材の性能と応用;

⑤ 09月06日 飲食薬膳療法の実際応用(男女別の飲食調節);

⑥ 10月04日 飲食薬膳療法の実際応用(年齢別の飲食調節);

⑦ 11月01日 飲食薬膳療法の実際応用(体質別の飲食調節);

⑧ 12月06日 飲食薬膳療法の実際応用(季節別の飲食調節)。

場 所:東京都千代田区外神田6-4-5-401  NPO法人伝統医学教育会事務所

交 通:営団地下鉄銀座線 末広町駅4番出口より徒歩4分

営団地下鉄千代田線 湯島駅5番出口より徒歩5分

都営地下鉄大江戸線 上野御徒町A4番出口より徒歩8分

JR御茶ノ水駅・秋葉原駅・御徒町駅より 徒歩10分~12分

定 員5名以上で開講

費 用:73,000円(テキスト代などを含む)。当会会員は8,000円割引。

振込先:特定非営利活動法人伝統医学教育会

郵便貯金総合口座 10100-55927971

申込み:NPO法人伝統医学教育会事務局  FAX 03(5816)5235

締切り:2020年3月31日まで

健康知識:秋冬における艾草(蓬)の活用

艾草(蓬)は主に山野に生える多年草で、特有の匂いがある。羽状に切れ込みのある葉が互生し、裏面に白い絨毛が密生している。その若葉を摘み、草餅などを作ることで知られているため、餅草とも呼ぶ。中薬では艾葉と言い、純陽の性質に属し、温経止血、散寒祛湿、平喘止咳、安胎などの効能を持ち、また消炎、抗アレルギーの作用もある。蓬の葉を採集して干し、臼で搗いて篩にかけ、陰干しする工程を繰り返して綿状の物を作り、せんねん灸など、お灸を据える際に燃やす材料として用いる。

お灸のほか、日常生活では艾草は非常に簡単な応用法がある。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:健康的な睡眠生活について

昼と夜の変化は、自然界の陰陽消長運動の一方面である。人間は自然界の一部として、自然界の陰陽転化に従って生命活動を営んでいるため、睡眠と覚醒の生理活動を以てこの律動的な運動に順応している。古来「日出而作(労作)、日暮而息(休息)」と言われるように、人間は一日における陰陽変化の規則性に順応し、陽の昼間は活発に動き、陰の夜間は安静に休むべきである。これにより生体が自然に健康状態を維持しているのである。生体は睡眠により、覚醒時に発生した精神緊張を解消させて身体疲労を回復させる。充分な睡眠時間及び正確な睡眠規則は生体の健康維持に対して非常に重要である。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:立秋後の飲食養生

「一夏無病でも三分の虚」と言われるように、夏季は人体の代謝が激しく、汗も沢山かいて生体は多少虚弱するところがある。ではどうやって体力を回復させるのか?

秋季は最高の保養期間である。しかし立秋になったばかりで、急いで補うと、望ましい効果が得られないのみならず、様々な問題が現れる。これは、酷暑の夏季は夏バテや寒冷を好むなどの原因で脾胃虚弱が起こされているからである。この時に大量の保養品を飲食すると、更に脾胃に負担をかけて消化機能失調を来す。従って、秋季に保養する前に先ずは脾胃を調節しなければならない。目的性を持って飲食すれば、感冒、胃痛、便秘、下痢、面皰などの心配が無用で、健康で軽やかに秋を経て冬に向える。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

活動案内:特別健康講座

長雨が続きやっと暑い夏が来ましたが、猛暑が予想されて体調を崩されている方も少なくないと思います。健康な身体は普段の地道な工夫から作られて行きます。そこで健康作りのために簡単で直ぐに皆様のお役に立つ特別講習を今年も開催することに致しました。

昨年の特別講習では強身防御の陳式太極拳の準備動作を一部抜粋して紹介し、大変好評が得られ、今年も皆様の希望に応えて太極拳の講習を行うことにしました。今回は前回の陳式太極拳の準備動作を簡単に復習し、養生保健の楊式太極拳の基本動作を中心にして抜粋して紹介する予定です。以前と同じように実際に練習することで、身に付けてから日常生活に取り入れ、皆様の健康の維持と増進、疾病の予防と治療に役立てて頂きたいです。

時 間:2019年09月08日(日)午後14:30~16:30

場 所:東京都千代田区外神田6-4-5-401 NPO法人伝統医学教育会事務所

対象者:1、伝統医学教育会の会員

2、当会「医療気功の理論と実践」講習会に参加された一般の方々

定 員:6~8名(定員を超えた場合は当会会員を優先させて頂きます)

参加費:2,000円(当会会員は無料参加となります)

電 話:03‐5816‐5234

締 切:2019年08月31日(土)

ご希望の方は電話にて当会事務局までご連絡下さい。

なお、お申込み頂いてからの取消しはご遠慮願います。

健康知識:冬病夏治の食事療法

中医学の「冬病夏治」という特色的な治療法を施す時期になりました。

冬季の寒冷期間になると、身体の持病が急に再発したり、増悪したりしますが、夏季の暑熱期間になると、これらの病症が徐々に軽減したり、緩和したりします。中には、繰り返して発作する感冒、慢性咳嗽、喘息、慢性咽頭炎やアレルギー性鼻炎、凍瘡、肩凝り、リウマチ性筋骨関節の冷えと痛みなどが挙げられます。三伏天の期間は人体の陽気が最も旺盛であり、体内に凝集している寒気が解け易い状態になっています。この時期に補虚助陽・温裏散寒の性質の食物薬物を用いることで、自然界の陽気を兼ねて体内の伏している陰寒の邪気を追い払って体内に蓄積している寒邪宿病を取り除くに伴い、虚寒体質の方が虚弱する陽気を補益し調節し、生体の免疫機能を高めて一年間の疾病抵抗能力を増強することができます。

ここでは冬病夏治の飲食処方を紹介しますので、それぞれ身体の状態に応じて利用して下さい。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:三伏天における冬病夏治

中医学では「冬病夏治」という特色的な治療方法があります。冬季に発生し易いか増悪し易い疾病に対し、自然界の陽気が最も旺盛な夏季において目的性のある鍼灸や薬物などの治療を施すことにより、生体の抵抗能力を高め、病症の軽減または治癒の効果を果たします。これを冬病夏治と言います。

夏季でも三伏天の期間は自然界と人体の陽気が最も旺盛であり、この時期に補虚助陽・温裏散寒の性質の食物薬物或いは経穴治法などを用いることで、自然界の陽気を兼ねて体内の伏している陰寒の邪気を追い払い易いです。また虚寒体質の方に虚弱する陽気を補益し調節し、生体の免疫機能を高めて一年間の疾病抵抗能力を増強することができます。

具体的な方法として、先ずは飲食起居から注意して生体の陽気を大事に保養しなければならなりません。温灸法は比較的多く応用されている冬病夏治の方法です。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:経穴による心臓の養護及び救急

心臓病は発病が急激で、死亡率が高いことから、従来死亡率の一位か二位として重視されている。近代社会では生活リズムの加速やストレス過剰などに伴い、心身疲労により心臓に負担をかけて心臓の機能障害に繋がっている。

中医針灸学の経穴刺激を用いて自ら日頃の心臓機能を養護ができ、更に心臓疾病が発作する緊急な場合、応急処置として心機能の調節により救急救命の役割を果たす。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます