「一夏無病でも三分の虚」と言われるように、夏季は人体の代謝が激しく、汗も沢山かいて生体は多少虚弱するところがある。ではどうやって体力を回復させるのか?
秋季は最高の保養期間である。しかし立秋になったばかりで、急いで補うと、望ましい効果が得られないのみならず、様々な問題が現れる。これは、酷暑の夏季は夏バテや寒冷を好むなどの原因で脾胃虚弱が起こされているからである。この時に大量の保養品を飲食すると、更に脾胃に負担をかけて消化機能失調を来す。従って、秋季に保養する前に先ずは脾胃を調節しなければならない。目的性を持って飲食すれば、感冒、胃痛、便秘、下痢、面皰などの心配が無用で、健康で軽やかに秋を経て冬に向える。
【脾胃調節】
脾胃機能を強化して体内の湿熱邪気を排出する。下記の三種類の人々は注意を払う。
① 脾虚者――お粥を薦める。
脾虚の者には疲労倦怠、肢体無力、顔面萎黄、食思不振、食少腹脹、泄瀉などの症状が見られる。茯苓、オニバスの実、蓮の実、山芋、粟、玉蜀黍などの食材を用いて健脾和胃の役割を果たす。特にお粥にすると脾胃機能強化に効果的である。
② 胃火旺盛者――苦い物を薦める。
平素辛い物や脂っこい物を好んでいる方は長くなると熱に化して火を生じて胃腸に蓄積し、胃脘灼熱、食欲旺盛、冷飲を好む、口臭、便秘などの症状が現れる。適量の苦瓜、胡瓜、冬瓜、苦い野菜、苦丁茶などの食材を以って胃腸の火を清瀉する。
③ 老人と小児――山査子を薦める。
消化機能が比較的弱いため、胃腸に時々宿食が停滞し、食欲不振や食後腹脹などの現れがある。適量の山査子、大根などの食材を以って消食健脾和胃の効果をもたらす。
【養生注意】
① 西瓜を少なめに、豆を多めに
西瓜は最も清熱解暑の果物として夏季の食用に最適である。しかし暑熱を経過すると生体の消耗が大きく、特に老人の多くは脾胃虚寒になっているので、立秋後は西瓜のような寒涼性質の果物を少なめにして脾胃への損傷を避ける。
代わりに豆類の多くは健脾利湿の作用を持ち、立秋の季節に相応しい。清熱解暑の緑豆、清熱利湿の赤小豆、健脾補腎の黒豆を用いて三豆湯を煮込んで飲用することで、清熱解毒と共に健脾利湿の効果も得られる。
② 辛い物を少なめに、潤肺食物を多めに
立秋後は唐辛子、生姜などの辛い食物を少なめにし、焼肉も少なめに食用する。所謂「一年の内に秋は生姜を用いらず、一日中に夜は生姜を食さない」と言われるようである。秋になり、気候が徐々に乾燥していき、辛い物を食べ続けると養肺には不利である。
代わりに蓮根、黒慈姑など生食または加熱して食用し、養陰潤燥・生津止渇の作用を果たす。更に百合根と白木耳を配合して解燥潤肺の効能があるほか、咳嗽や慢性気管支炎にも一定の効果がある。百合根と白木耳を組み合わせてお粥や羹を煮込むことができ、蓮実、棗、枸杞の実などと配合して白木耳蓮実の羹、百合大棗の粥、百合白木耳の羹などを作れば、潤燥効果が高められる。
③ 冷風を少なめに、温脾食物を多めに
秋季に入ってから涼しい風や冷房を好んではいけない。皮膚、特に顔面部と後頚部の皮膚に風を直接当てないように、薄いマフラーなどで工夫した方が良い。
また「秋虎」と喩える残暑炎熱を防ぐため、夜寝る前にお酢で脚を浸すことをお薦めする、解暑散熱により睡眠促進のためになる。
立秋後は、盛夏季節に飲用した清熱解暑の緑茶、野菊花茶、夏枯草など寒冷性質の茶類は胃気を損傷して脾胃機能を障害する恐れがある。この時期では性質平和で冷えない青茶類がお勧め、例えば鉄観音、凍頂烏龍茶、大紅袍などがあり、紅茶と緑茶との中間位置にあって冷えなく熱くないため、益肺潤膚・生津潤喉の効能を持ち、暑熱時期から体内に残存した余熱を取り除いて津液を回復させる。