膝関節は身体において最も複雑な構造を持つ関節であり、体重を支えながら走行・蹲踞・跳躍など様々な運動を行う重要な役割を果たしている。加齢に伴い、膝関節の疼痛や運動障害など様々な症状が多く現れてくる。関節内の僅か1~2mm厚さの軟骨面及び関節周辺の靭帯・筋腱は、酷使や過労などにより慢性損傷を起こして関節老化が発症したり、急性損傷や慢性リウマチなど関節疾患も屡々発生したりする。これによって人々の日常生活にも大きな支障を来たしてくる。
強靭な膝関節を作ることは健康増進のために極めて重要である。そのため、下記の五つの動作で鍛えると大きく役に立つ。
1、馬歩動作
両下肢を平行して肩幅に開いて立ち、足先を前方に向け、ゆっくりと両膝を屈曲して身体をしゃがませる。膝蓋は足先の前を超えず、臀部を後方に突き出さず、上半身を真っ直ぐに緩める。この姿勢を暫く保ち、疲れを感じたら少し休んで再度行う。弱い方は腰臀部で壁に寄り掛かっても良い。
主に大腿四頭筋(膝蓋靭帯)を鍛える。
2、弓歩動作
片側の膝を屈曲して下肢を身体前方へ踏み出し、膝蓋は足先の前を超えず、反対側の下肢を身体後方へ自然に伸ばして膝を真っ直ぐにし、上半身を真っ直ぐに緩める。この姿勢を暫く保ち、疲れを感じたら少し休んで前後の下肢を変えて行う。
主に腰部と大腿四頭筋(膝蓋靭帯)を鍛える。
3、挙腿運動
片側の下肢に重心をかけ、反対側の下肢を前方と後方へ交互にゆっくりと最大限に挙げる。疲れを感じたら反対側の下肢に変えて行う。弱い方は椅子の背もたれや壁などを支えながら行って良い。
主に大腿前後(大腿四頭筋と大腿二頭筋)と下腿前後(前脛骨筋と下腿三頭筋)の筋肉を鍛える。
4、坐勢伸腿
椅子に座って片側の膝を伸ばして下肢を挙げ、踵を最大限に伸ばして1~2分間ほど姿勢を保ってから緩め、反対側の下肢に変えて行う。
主に大腿前後(大腿四頭筋と大腿二頭筋)と下腿前後(前脛骨筋と下腿三頭筋)の筋肉を鍛える。
5、拍揉関節
椅子に座って両側の手掌を用いて膝関節の正面を軽く叩き、また膝関節の上下内外(外周)を揉む、3~5分間ほど行う。
主に膝蓋靭帯と関節軟骨を強化する。