健康知識:強靭な膝関節を作る動作

膝関節は身体において最も複雑な構造を持つ関節であり、体重を支えながら走行・蹲踞・跳躍など様々な運動を行う重要な役割を果たしている。加齢に伴い、膝関節の疼痛や運動障害など様々な症状が多く現れてくる。関節内の僅か1~2mm厚さの軟骨面及び関節周辺の靭帯・筋腱は、酷使や過労などにより慢性損傷を起こして関節老化が発症したり、急性損傷や慢性リウマチなど関節疾患も屡々発生したりする。これによって人々の日常生活にも大きな支障を来たしてくる。

強靭な膝関節を作ることは健康増進のために極めて重要である。そのため、下記の五つの動作で鍛えると大きく役に立つ。

1、馬歩動作

両下肢を平行して肩幅に開いて立ち、足先を前方に向け、ゆっくりと両膝を屈曲して身体をしゃがませる。膝蓋は足先の前を超えず、臀部を後方に突き出さず、上半身を真っ直ぐに緩める。この姿勢を暫く保ち、疲れを感じたら少し休んで再度行う。弱い方は腰臀部で壁に寄り掛かっても良い。

主に大腿四頭筋(膝蓋靭帯)を鍛える。

2、弓歩動作

片側の膝を屈曲して下肢を身体前方へ踏み出し、膝蓋は足先の前を超えず、反対側の下肢を身体後方へ自然に伸ばして膝を真っ直ぐにし、上半身を真っ直ぐに緩める。この姿勢を暫く保ち、疲れを感じたら少し休んで前後の下肢を変えて行う。

主に腰部と大腿四頭筋(膝蓋靭帯)を鍛える。

3、挙腿運動

片側の下肢に重心をかけ、反対側の下肢を前方と後方へ交互にゆっくりと最大限に挙げる。疲れを感じたら反対側の下肢に変えて行う。弱い方は椅子の背もたれや壁などを支えながら行って良い。

主に大腿前後(大腿四頭筋と大腿二頭筋)と下腿前後(前脛骨筋と下腿三頭筋)の筋肉を鍛える。

4、坐勢伸腿

椅子に座って片側の膝を伸ばして下肢を挙げ、踵を最大限に伸ばして1~2分間ほど姿勢を保ってから緩め、反対側の下肢に変えて行う。

主に大腿前後(大腿四頭筋と大腿二頭筋)と下腿前後(前脛骨筋と下腿三頭筋)の筋肉を鍛える。

5、拍揉関節

椅子に座って両側の手掌を用いて膝関節の正面を軽く叩き、また膝関節の上下内外(外周)を揉む、3~5分間ほど行う。

主に膝蓋靭帯と関節軟骨を強化する。

健康知識:春夏における艾葉(蓬)の食用

艾草はキク科の多年生植物であり、全草を薬用植物として応用でき、温経・止血・散寒・祛湿・平喘・止咳・安胎などの効能を持っている。現代研究によると、艾草は広域スペクルトの抗菌・抗ウイルス作用があり、病菌とウイルスに対して抑制・殺傷の作用を果たして呼吸器疾患の予防治療に用いられる。

日常では、艾葉は主に温経脈・暖気血・祛寒湿などのために応用されている。一般的に温灸材料として、乾燥した艾葉を臼で搗いて篩に掛けて陰干しして綿状物に作成される。また枕の中身として活用して安神助眠・疲労解消の効果を果たすほか、煎じ液で足を浸して水虫の治療、下腿静脈怒張の改善、そして関節疾患の予防治療などが期待できる。ほかに、民間では艾草で編んだ縄を燃やすことで蚊蠅駆除や滅菌消毒などの使い方もある。

新鮮な艾草は食物でもある。家庭料理として、蓬餅や天婦羅などは多く食用されてきた。沖縄ではフーチバーと呼ばれ、昔から細かく刻んでジューシー(炊き込みご飯)をはじめ、沖縄そば、ヤギ汁や魚汁など様々な料理に使われている。ここでは薬効のある料理を二品挙げて具体的な作り方を紹介する。

1、艾葉と卵の煮込み

効能:温経活血。

材料:艾葉100g、卵3個、食塩少々、胡麻油適量。

方法:艾葉の茎と不純物を取り除き、暫くお水に浸して綺麗に洗い、取り出して細かく切り、お湯を沸かした鍋に入れて沸騰させる時に、散らして混ぜた卵液を加えて再度沸騰したら弱火に変えて少し煮込み、食塩と胡麻油を掛けて出来上がり。

2、艾葉の糯米菓子

効能:安神助眠。

材料:艾葉、糯米粉、胡麻、落花生、小豆。

方法:先ず胡麻、落花生、小豆をフライパンで火が通るまで炒り、研磨機で粉に磨り潰しておく。次に艾葉をお湯通ししてから粉砕機で細かく切り、少しの糯米粉と水と一緒に鍋に入れて糊状になるまで弱火で炒め、まな板に移して糯米粉を掛けて捏ねて柔らかい生地を作り、小さく分けて丸い扁平状に押さえ、それを使って胡麻、落花生、小豆の粉を包んでお菓子を作る。最後に蒸し器で15~20分間蒸して出来上がり。

健康知識:清熱解毒の良薬 蒲公英

蒲公英(タンポポ)と言えば、知らない人はいない。春の4~5月及び秋の8~9月の開花季節になると、蒲公英は緑色の葉が茂り、黄色い花を咲かせて綿毛の付いた種を飛ばしている。生命力の強い草本植物で、アスファルトやコンクリートの裂目から生えることもある。普段自生している蒲公英は殆ど雑草扱いされているが、実は人体に有益な健康栄養の物質が大量に含まれ、日常の食物として食用できるほか、常用の生薬として「薬草の皇后」や「天然消炎抗菌剤」と呼ばれるほど薬用価値が高い。

蒲公英はキク科の植物に属する。中医学的によると、性は寒、味は苦・甘であり、肝・胃経に帰経する。

薬用効果

① 清熱解毒・消腫散結:蒲公英は体内の熱毒を解消し、急性熱証の口渇、咽喉腫痛に用いられ、これにより腫脹硬結、癕瘡疔毒、乳癕(乳腺膿瘍)、腸癕(化膿性虫垂炎)、肺癕(肺膿瘍)などの熱毒壅滞証に良い効果がある。

② 清肝明目・瀉火利胆:蒲公英は肝火を清瀉し、肝火上炎による頭暈目眩、焦燥易怒、目赤腫痛、乳房脹痛、黄疸などに用いられる。

③ 清熱利湿・利尿通淋:蒲公英は利尿作用を持ち、腎臓による各種の浮腫を改善させ、熱淋証(急性尿路感染)による頻尿、尿急、尿痛の治療に用いられる。

④ 美顔利膚:蒲公英の葉には湿疹や皮膚炎を緩解する成分が含まれ、皮膚の積熱を解消して皮膚疾患に用いられる。また花は褐色斑の解消に効果的である。

現代研究によると、蒲公英は広域スペクルトの殺菌・静菌作用を持ち、黄色ブドウ球菌、チフス菌、赤痢菌、C型肝炎ウイルスなどに対して殺傷や抑制の効果があり、結膜炎、眼瞼炎、咽喉炎、扁桃炎、耳下腺炎、皮膚炎、胃炎、乳腺炎など様々な炎症、感染症、化膿性疾患などに用いられる。またイヌリン(腸内において人体に有益な細菌を増やすのに貢献する多糖類で、植物繊維でもある)及びグルコースが豊富なため、人体の抗毒素作用を高め、生体免疫力を強化させ、これによって抗腫瘍に繋がる。他に、蒲公英は抗酸化作用のβ-カロチンを豊かに含み、血管内の代謝物を排出して血管を通調させ、血栓の形成を降下させる。

食用方法

蒲公英の食用方法は様々である。そのうち、根はお湯に浸して茶代わりに飲用することで、肝毒を排出して肝火を降下させる効果が強く、アルコール性肝障害の予防にも役立つが、花はお茶または薬酒を製作し、飲むことで皮膚疾患に有効である。

春季の食用は最も効果的とされ、新鮮な蒲公英の葉を取って洗浄する食べ方が多い。味噌を付けて生食したり、1~2分間お湯を通してから冷やして辣油、胡麻油、お酢、食塩、大蒜など調味料を加えて野菜サラダとしたり、お湯を透してから細かく切って挽肉と和えて野菜饅頭や餃子など主食の中身としたり、更に短冊切りしてスープや炒め物としたりすることができる。

注意事項

蒲公英は無毒であるが、寒涼性質を持っているため、虚寒体質や脾胃虚弱の者は機能低下や食欲減退や腹痛泄瀉の恐れがあり、慎重に食用する。空腹時の食用や長期間の食用を避ける。茶代わりの場合は冷たく飲まない。

また、漢方薬局から購入するのが良い。自分で取る時に、大通りや化学工場などを避け、また公園や景勝地では農薬を掛けたどうかに充分気を付ける。

配伍応用

① 蒲公英+水:眼赤腫痛(虚実火熱の全て)に用いる。新鮮な蒲公英(根、茎、葉、花の全草)120g、或いは乾燥した蒲公英60gを水で煎じ、汁を2碗ほど取り、1碗を温かく服用し、もう1碗で目を温かく薫洗する。

② 蒲公英+金銀花:咽喉腫痛に用いる。蒲公英60g、金銀花30gを水で煎じ、汁を取って粳米100gを加えてお粥に煮て、一日に2回服用して3~5日間で治癒する。

③ 蒲公英+蜂蜜:便秘に用いる(痰湿壅盛、脘腹脹満、体弱泄瀉の者を除く)。新鮮な蒲公英60gを水で50~100mlまで煎じ、蜂蜜を適量加え、一日に1回服用して連続して3~5日間続く。

④ 蒲公英+豚レバー:清熱毒・養肝血の作用を果たす(春の暖かくなった頃が最適)。新鮮な蒲公英の若い葉を取って綺麗に洗って熱い塩水に透し、豚レバーのスライスをお湯に透して灰汁を落とし、生姜の微塵切りと一緒にお鍋に入れ、サラダ油と水を加えて強火で煮てから弱火に変えて15分間ほど煮込んで、塩で調味する。

⑤ 蒲公英+緑豆:美容利顔の作用を果たす。緑豆を適量洗ってお湯に20分間浸して置き、蒲公英を水から煎じて汁を取り、緑豆を加えて緑豆が割れるまで煮込み、蜂蜜で調味し、緑豆を食べて汁を飲み、少し汁を残して顔に塗って30分後洗い落とす。

⑥ 蒲公英+苦参:水虫に用いる。蒲公英と苦参それぞれ500g、水を2000ml加えて沸かしてから更に15分間煮て、少し冷めてから罹患の脚を一日に1回10分間ほど浸す。

上記のほか、新鮮な葉を潰して汁を取り、蚊など虫に刺された時に塗ることで、腫れ・痛み・痒みを軽減させられる。

薬茶応用

① 蒲公英+紅茶:紅茶は全発酵茶であり、性質が温で蒲公英の寒性を取り除き、また養胃解毒・清熱生津・消脂減肥の効果を果たす。両者を併用することで、主に脾胃虚寒、高血圧・高血脂・高血糖の者に適する。

② 蒲公英+枚瑰花:枚瑰花は活血化瘀の作用を持ち、蒲公英と併用することで、清熱活血・内分泌機能調整の効果があり、主に内分泌失調、逆上せ易い者に適する。

③ 蒲公英+紅棗:紅棗は補気養血・健脾益胃の作用を持ち、身体虚弱、気血不足に良い効果がある。蒲公英と併用することで、主に陰虚火旺の者に適する。

④ 蒲公英+枸杞:枸杞は性質が温和で、滋陰補腎・養血護肝の作用を持ち、蒲公英と併用することで、主に腎気虚弱、肝火旺盛の者に適する。

⑤ 蒲公英+竜眼:竜眼は補心安神・養血益脾の作用を持ち、安神作用も明らかであり、また甘味で蒲公英の苦味を調和できる。両者を併用することで、主に心腎不交による不眠、身体虚弱で貧血の者に適する。

⑥ 蒲公英+山楂子:山楂子は性質が微温で、消食導滞・活血化瘀の作用を持ち、蒲公英と併用することで、食滞不化、脾胃積熱の者に適する。また血脂調節にも効果的である。

⑦ 蒲公英+甘草:甘草は性味が甘・平で、蒲公英の寒涼性質を調和する。両者を併用することで、主に倦怠無力、肺熱久咳の者に適する。

⑧ 蒲公英+丁香:丁香は温中降逆・温腎助陽の作用を持ち、蒲公英と併用することで、主に脾胃虚寒による嘔吐呃逆の者に適する。

健康知識(特別公開):30秒中医養生動作

新型コロナウイルスの感染拡大で、不要不急の外出を自粛したり、在宅勤務を提唱したりし、普段より健康のための散歩や運動も不足しているように感じているだろう。暫くの間は疫病収束の見込みもないため、室内に居る時間が長い生活を快適に過ごせるよう簡単便宜な30秒中医養生動作を四種類紹介するので健康増進のためになって欲しい。

推腹30秒、昇清降濁

運動不足や加齢などに伴って便秘や睡眠不安などの状況が多く見られる。これらは濁気が降下せず正気が上昇しないことから起こされる。推腹法は生体の正気を上げて濁気を下すことができる。

✦ 推腹は腹筋及び胃腸平滑筋の血流量を増加させ、胃腸の内壁筋力とリンパ系機能を強化し、蠕動運動を促進して消化機能を高めることで便秘の予防と解消に役立つ。

✦ 推腹は肝火を平熄させて心気平和・血脈流暢の効果があり、高血圧・動脈硬化・心脳血管疾病の患者に対して補助治療の作用を果たす。

✦ 睡眠前の推腹は自律神経を調節して精神愉悦を保ち、入眠を助けて不眠を防ぐ。

[方法]

自然に呼吸して腹筋を緩める。

両手の手掌を用い、先ず鳩尾から下方へ推し、次に両側の脇腹から前下方へ推す。それぞれ30秒で、約36回繰り返す。手の下に硬い塊が触れた場合は、それを丁寧に按えて揉む。

毎日の朝起床前に一度、夜就寝前に一度を行うと良いが、普段時間がある時に行っても良い。経穴に拘る必要もなく、人体の腹部に循行する9本の主な経脈を一括で操作できる。

正座30秒、健腿護膝

正座は多くの方にとっては辛いことだと言えるが、実際には身体の腰膝に有益な鍛錬の一種でもある。

✦ 正座は腰部を保養して腰痛の予防治療に役立つ。腰痛の原因は殆ど脊柱不正や血行不良などであるが、早朝30秒の正座だけで効果的に改善できる。

✦ 正座の際に、膝関節の靭帯と筋肉は牽引されて緊張し、これによって血液循環が促進され、膝関節に豊富な栄養供給を与えるほか、積液を解消して腫脹疼痛を軽減させる効果もある。

但し注意を要することがあり、正座は随意の動作ではない。本来膝関節は脆弱であり、正座時の負荷は直立時の8倍くらい大きいと研究から示唆されているため、正確な正座姿勢を行って初めて関節保護のためになる。

[方法]

先ず正座する両下肢の膝窩部に柔らかいパットや折り畳んだタオルを入れる。

上半身を直立に保ってやや後方へ反らすように、自分の踵部に座る。全身の重量を下腿に掛けるのではなく、両脚の踵で臀部を支えるように気を付けよう。

一回の正座は15分間を超えない。正座の際に手指で膝蓋の周辺を按圧すると良い。

蹲踞30秒、強筋健骨

蹲踞(しゃがむ)は常用される運動である。簡単に見えるが、長期に持続することで筋骨強壮の作用を果たす。

✦ 蹲踞は膝関節の敏捷性を高めて関節老衰を遅らせる。常時に行うことで、下肢の筋力を強化して転倒を効果的に防ぐことができる。

✦ 蹲踞は血管機能を改善させて心血管疾病の予防治療に役立つほか、同時に新陳代謝と血液循環を促進して心筋の血液供給を改善させる。

✦ 蹲踞はまた高齢者の大脳機能を増強させ、大脳老衰を効果的に予防する。

[方法]

両脚を肩幅ほど開き、身体を自然にリラックスさせる。足先は前方に向けて内側や外側の八文字を呈しない。膝をゆっくりと曲げ、膝の先端は足先を超えない。背部を伸ばして壁に寄り掛かり、頭部・背部・腰部を真っ直ぐにして緩める。臀部を下方へ下ろしてしゃがむ。

最初の段階は膝関節を30度から45度くらい屈曲して良い。徐々に慣れてきたら関節をもっと曲げて身体を深く下げるが、90度を超えない。

一回は30秒程度で、通常耐えられなくなってから1~2分間休憩してもう一回行う。朝昼晩にそれぞれ一度行い、一度に三回繰り返す。

金鶏独立30秒、調整平衡

金鶏独立は個人の老衰程度を測定できるとされているが、運動としては体内の平衡を取り戻る効果がある。

✦ 中医学によると、疾病の発生は生体の陰陽失調から起こされる。詳細な分析では五臓六腑間に相互の協調関係が崩れたというように理解できる。金鶏独立は直接生体平衡を調整する方法である。

✦ 金鶏独立は意守(意念の集中)によって生体の気血を足底に導き、高血圧や糖尿病の患者、そして頸椎腰椎疾病による疼痛などに即時の緩解効果がある。

[方法]

両目を微かに閉じ、両手を自然に身体両側に下ろす。身体の重心を一側の足に移して反対側の足を膝から引き上げ、太股はなるべく水平にし、膝から下は自然に垂らす。状態を出来る限り長く安定させ、耐えられなくなったら足を変えて行う。

重要な点は目を開けてはいけない。閉眼時に身体の平衡は目ではなく、脳神経の全身各器官への調節によって行われたのである。

また足部に6本の重要な経脈が循行しており、足部の平衡調節を通して虚弱の経脈部位に痠痛を感じる。これによって経脈の相応臓腑及び循行部位も調節されている。

上記四つの動作を全て行っても良いが、自分に必要とする一つの動作を選んで普段の生活に取り入れて行っても良い。いずれにしても長く続けることが大切である。

健康知識:夜更かしの善後策

人間は自然の一部分として、自然界の陰陽転化に従って生命活動を営んでいる。古来「日出而作(労作)、日暮而息(休息)」と言われるように、人間は一日における陰陽変化の規則性に順応し、陽の昼間は動き、陰の夜間は安静に休むべきである。これにより生体が自然に健康状態を維持しているのである。健康養生の観点から睡眠原則として「早寝早起き」を守らなければならない。

しかし止むを得ず、偶には一度夜更かし、或いは不眠の場合も避けられない。この場合は速やかに様々な善後策を立て、夜更かしによる損耗と副作用を最小限までに留める。

1、夜更かしの損耗を取り戻す

① 早起き

遅寝したら長く睡眠を補充するのも重要であるが、自然に覚めるまで寝坊すると、陽気が昼間における昇発を抑えてしまうため、更に頭がくらくらして重く感じ易い。

幾ら夜更かししたとしても、朝九時前に起きた方が良い。まだ陽明胃経の当令(当番)時刻7時~9時に起きてきちんとした朝食を食べる事をお勧めする。

② 睡眠の補充

良い睡眠の補充を取るのは最も重要な補益法で、相応しい時間は正午で11時~13時である。本格的な睡眠を5分間取れたら、他時間帯の2時間よりも効果的である。

もし入眠できない場合は、閉目静座法でリラックス呼吸を行っても良い。方法としては、両脚を交差し、臀部をやや高くして胡坐を取り、背筋を自然に伸ばし、何も考えず全てを忘却するように安静にする。静座時間は個人の状態により十数分間から数時間まで続けてよく、自ら気持よくリラックスが感じれば良い。脚が痺れて痛くなったら、無理せず姿勢を変えても良い。胡坐により気血を身体内に集中させて耗散させず、背骨を真っ直ぐにして座ると息が順調に通り、頭脳の気血も充足できる。

③ 頭目の按摩

目が醒めたら十本の手指指腹を用いて、櫛の様に前額から項部まで百回ほど撫でる。これにより夜更かし後の疲労と頭痛を解消する。またどんな時間でも、頭痛などの不快感があれば、風に当たらない場所で手指または先の太い櫛を用いて同じように行う。頭は諸陽の会であり、頭部の気血が順調に運行すれば、全身も気力が充ちる。

④ 食べる

夜更かし後に、手掌足裏の熱り、寝汗、顔の熱り、身体の痩せ、口咽乾燥、尿が黄色い、便秘など陰虚内熱の症状が多く見られる。この場合は黒豆、黒胡麻、桑の実など肝腎の陰を滋養する食物が好ましい。

ここでは滋養補益の薬膳処方を紹介する。黒豆30g、枸杞の実12g、竜眼肉9g、胡桃12g、棗6個、白木耳0.5房、生姜9g、山薬15g、黄耆15g、甘草9g。諸食材薬剤を2時間ほど水に浸してから、そのままお鍋に移して強火で煮込み、沸騰したら弱火に変えて40分ほど煮込む。煮汁を飲み、食材は食べても良い。またお好みにより、氷砂糖を加えて調味しても良い。

⑤ 飲む

夜更かした後に口が渇いて舌が乾く場合は濃い重湯を飲むことで、健脾滋陰・補益津液の効果を果たす。

他に、薄い緑茶や白茶を飲むと茶中ポリフェノール(Tea Polyphenols)が夜更かしによるラジカル(Radical)を取り除き、新陳代謝の促進が期待できる。

因みに、コーヒーは苦くて香ばしく、心火を助けて(心神興奮)元気を回復するように感じるが、実際は元気の借り越し(過剰支出)なので、本当はお勧めしない。

2、夜更かしの副作用を追い払う

① パンダの目(眼周の黒隈)

卵を茹でて殻を剥き、眼窩周辺にゴロゴロと転がって熱布する。最初は熱いので、火傷にならないように早く転がる。上手くできない恐れがある場合は、ゆで卵の殻を剥かず、タオルで巻いて眼窩周辺に転がって温めれば良い。

また濡れたタオル(おしぼり)を電子レンジ(500W40秒)で温めてから、目に当てて温めても局所の循環改善にも役立つ。

② 眠気

睡眠を補給してからも時々眠気が強くて無力感があるが、この場合は「鳴天鼓」の操作を試せば良い。

両側の手掌を温かくなるまで擦ってから耳介を覆って耳孔を塞ぎ、手指を後頭部に当て、示指を中指に重ねてから滑って下すことで、後頭部をトントンと軽く弾く。その後、耳を強く押えてから急速に放し、耳からスッキリする感じがある。

③ 顔面の豆(面皰)

夜更かした後に面皰ができ易い。この場合は生葱から協力を貰える。

長葱の先の一層の新鮮な内膜を剥いて面皰の部位に貼り付け、乾いたら剥がせばよい。早期の面皰に奇妙な効果がある。

中国では「一世の人生で半世の枕」との諺があるように、人生には半分が睡眠である。不眠を患うことがあるが、熟睡に悩むことはないため、睡眠を大切にしなければならない。やむを得ず夜更かししたら速やかに補足して初めて次の努力ができるのである。

健康知識(特別公開):伝統医学による疫病の予防対策

新型コロナウイルス肺炎(瘟疫病)が発生して以来2ヶ月ほど経ったが、マスコミの報道では、毎日新たな感染者が増えて感染拡大の数値が出ていることや、専門家によると2月末から3月初にかけて感染のピークを迎える話など、皆様の心に大きな不安を与えていると思う。しかし感染症に対して恐怖やパニックの必要はない!手洗い、マスク、咳や嚏のエチケットなど感染予防の処置を強化することは必要であるが、最も確実で重要な対策は生体の健康状態を保持することである。古来中国伝統医学では、生体の正気(免疫力と抵抗力)の盛衰が疾病発生の決め手であると考えられ、《黄帝内経》に「正気存内、邪不可干」と記載されているように、正気が充実していれば、邪気に冒されないと認識している。この原則はインフルエンザなど様々な疾病にも共通している。

このほど、疫病の予防治療の目的で、中国国家中医薬管理局からの《新型コロナウイルス肺炎の中医診療マニュアル》、及び中国針灸学会からの《新型コロナウイルス肺炎に対する針灸に関わる指導意見》が発表され、いずれも簡単便宜な針灸療法の応用を強く推奨した。これに従って成都中医学大学針灸推拿学院、四川省針灸臨床医学研究センター、そして四川省針灸学会の協同製作により「経穴按圧法」と「灸法」の二種類の具体的な方案が公開された。針灸推拿は理学的な外治療で独特な即効性を持つことから、日常生活における予防と保健の重要な一手段とされている。ここで皆様に紹介し、自分の正気を増強させて疫病から健康を守るため実用して欲しい。

1、経穴按圧法

経穴に対する按圧刺激は経絡疏通・陰陽調和の作用があり、生体の免疫力と抵抗力を増強させる。

[選穴]

大椎:項部にあり、後正中線上、第7頸椎の棘突起下の陥凹部。

風池:項部にあり、後頭骨の下方、風府(外後頭隆起直下の両側僧帽筋間の陥凹部)と同じ高さ、胸鎖乳様突筋上端と僧帽筋上端の間の陥凹部。

中府:胸部の外上方にあり、第1肋間と同じ高さ、鎖骨下窩陥凹部の下方、前正中線の外方6寸。

足三里:下腿の前外側にあり、犢鼻の下方3寸、脛骨前縁の外側1横指(中指)。

[操作]

指腹を用いて経穴を1回強く按えてから、時計回り方向へ3回揉み、これを「一按三揉」と言い、各経穴に50~100回の「一按三揉」を行い、経穴局所に張った感じや温熱の感じが現れる。大椎から始まり、両側の風池、中府、足三里へ順次に操作し、朝晩それぞれ1度行うと良い。

また大椎の自己操作は比較的難しく、家族に協力して貰えたら良いが、別の操作法を行うこともできる。両側の手掌を合わせて熱くなるまで擦ってから、速やかに大椎に当てて温熱が浸透しているうちに左右または上下に摩擦する。このような動作を3~5分間繰り返す。

2、灸法

灸法は明らかに生体の免疫力を高め、抗ウイルス・止咳平喘・精神緩和などの作用がある。また艾葉の燃焼による煙は芳香避穢の効能を以て空気消毒のために用いられる。

中国では日常生活保健のために温灸器灸と携帯灸の二方式を応用しているが、いずれも器具を使っており日本では入手し難いため、代わりに棒灸またはせんねん灸を用いた温灸法を紹介する。

[部位]

臍部(神闕)を中心にした腹部全体において温灸を行う。この部位に分布している神闕、気海、関元などの経穴は人体の重要な保健経穴として免疫力強化や病邪抵抗の作用を持ち、また中脘と天枢は著しく胃腸調節の作用を持っている。

神闕:中腹部にあり、臍の中央。

中脘:上腹部にあり、前正中線上、臍中央の上方4寸(胸骨剣状突起結合部から臍中央までの中点に取る)。

関元:下腹部にあり、前正中線上、臍中央の下方3寸(四横指)。

気海:下腹部にあり、前正中線上、臍中央の下方1.5寸(臍中央から関元までの中点に取る)。

天枢:中腹部にあり、臍中央と同じ高さ、前正中線の外方2寸(腹直筋の筋腹上に取る)。

[操作]

仰臥位または半臥位を取る。棒灸の場合は、火を付けてから腹部の前正中線に沿って上から下へ、中脘、神闕、気海、関元を通過しながらゆっくりと移る。その後、それぞれ前正中線の両側2寸(腹直筋の筋腹上)に沿って上から下へ、天枢を通過してゆっくりと移る。通常20~30分間温灸を行うが、腹部が温かく感じる程度で時間を調整する。一方せんねん灸の場合は、上記の経穴において、上から下への順で、9粒ずつ温灸を行う。

また按圧法に応用する経穴に対して温灸を行うことも効果的である。

 

 

健康知識:秋冬における艾草(蓬)の活用

艾草(蓬)は主に山野に生える多年草で、特有の匂いがある。羽状に切れ込みのある葉が互生し、裏面に白い絨毛が密生している。その若葉を摘み、草餅などを作ることで知られているため、餅草とも呼ぶ。中薬では艾葉と言い、純陽の性質に属し、温経止血、散寒祛湿、平喘止咳、安胎などの効能を持ち、また消炎、抗アレルギーの作用もある。蓬の葉を採集して干し、臼で搗いて篩にかけ、陰干しする工程を繰り返して綿状の物を作り、せんねん灸など、お灸を据える際に燃やす材料として用いる。

お灸のほか、日常生活では艾草は非常に簡単な応用法がある。

1、艾葉と焼酎による頸肩腰腿痛の解消

秋から冬に入ると、頚椎症、肩関節周囲炎、腰痛、膝関節症などの持病の発作が多く現れてくる。痛みを解消するために湿布を使用するが殆ど深部まで届かず、鎮痛剤も胃粘膜刺激など副作用が大きく、大変困っている方が少なくない。こんな時には艾葉と焼酎を配合する方法を用いて関節痛を緩解して欲しい。

材料:艾葉(蓬)60g、生姜15g、生葱2~3本、焼酎(30度以上が良い)適量。

方法:艾葉、生姜、生葱を細かく潰してガーゼの袋に入れておき、熱くした焼酎に付けて疼痛部位に塗り付けて擦る。

効果:温経散寒・舒筋止痛の効能を持ち、主に風寒湿邪による関節冷痛に適し、通常1~2回だけで疼痛が解消される。

2、艾葉と竜眼山椒の臍貼付による脾胃虚寒の改善

天気が寒くなるに伴い、本来寒さに弱く、胃腸虚寒で腹痛、下痢、手足が冷える方は症状が増悪し易くなる。少しだけでも生ものや冷たい物を食べると、すぐに吐気、嘔吐、下痢などを起こす。普段は温かい黒糖生姜茶なども役に立つが、艾葉と竜眼山椒の併用により症状を緩和させられる。

材料:艾葉(蓬)1摘み、桂園(干し竜眼)1粒、花山椒6~7粒。

方法:艾葉、桂園、花山椒を一緒に細かくなるまで磨り潰し、寝る前に臍の穴を埋める程度の量を入れ、絆創膏で封する。朝起床時に取り外す。

効果:中焦脾胃を温暖し体内の寒湿邪気を排除し、主に脾胃虚寒による脘腹冷痛、嘔悪泄瀉、手足不温、睡眠不安などに適し、多く2~3回の利用で温かく感じて症状が緩和される。

ほかに、艾草は足浴にも活用することができる。これにより冬季における風寒感冒、咳嗽喀痰、逆上せ(虚火、実火)、眼周の黒クマなどに治療効果があり、当然足の臭いや水虫などの対策としても効果的である。

健康知識:健康的な睡眠生活について

昼と夜の変化は、自然界の陰陽消長運動の一方面である。人間は自然界の一部として、自然界の陰陽転化に従って生命活動を営んでいるため、睡眠と覚醒の生理活動を以てこの律動的な運動に順応している。古来「日出而作(労作)、日暮而息(休息)」と言われるように、人間は一日における陰陽変化の規則性に順応し、陽の昼間は活発に動き、陰の夜間は安静に休むべきである。これにより生体が自然に健康状態を維持しているのである。

生体は睡眠により、覚醒時に発生した精神緊張を解消させて身体疲労を回復させる。充分な睡眠時間及び正確な睡眠規則は生体の健康維持に対して非常に重要である。

先ず睡眠の量に関して、「人生の三分の一は睡眠」と言われるように、一日に7時間から8時間くらいが相応しいと考えている。年齢など個人差があるが、赤ちゃんは一日の半分以上寝ており、年を取ると睡眠時間が短くなる。通常中壮年の場合は少なくとも6時間以上の睡眠時間を保たなければならない。

また睡眠の規則性に関しては、原則として「早寝早起き病知らず」と言う諺の通りである。

就寝時刻について厳密に言えば、22時頃から静かな睡眠態勢になり、23時から睡眠状態に入らなければならない。通常、この時になると人間は自然に眠くなるが、過ぎると逆に眠気が無くなってしまう。一日を十二刻に分けて23時~1時は翌日の子時となり、一日中最も暗黒で万籟静寂で、陰陽が交わって元気が生み始める時期に当たる。この時に最も相応しいことは睡眠で、全力で静かに気持ちよく寝ることである。また人体の体内では胆気が当令(当番)に当たる時刻になり、少陽胆気が生発し始め、これは全身臓腑の気機通順に大きく役立つ。この時刻に、未だ深い睡眠状態に入っていなければ、夜更かしと言い、陰陽の交会及び元気の生成に影響を及ぼし、また気機不暢となり易い。

しかし現代社会では夜更かしが日常的なことになってしまった。社会的な原因では、電気の過剰使用で深夜になっても白昼のように明るい光線が視力から脳を刺激し、中々落ち着いて休めなくなり、仕事の残業や宴会など、活発な夜活動をしている。個人的な原因では、譬え自由時間が取れても、携帯電話やテレビ観劇など、様々な夜生活で睡眠時間を潰している。現代研究によると、夜更かしは最も不健康な生活習慣であり、癌や心脳疾患など死亡率の高い疾病の発病素因の一位となっている。

一方、起床時刻について正確に言うと、朝5時から6時までの間に起きると、自然界の運気規則に一致すると考えている。一日を一年の二十四節季に当てはめると、朝3時は立春、4時は雨水5時は啓蟄(驚蟄)6時は春分に当たり、驚蟄は世の中の万物が春の陽気の変動を感知して冬眠から覚める時期である。春は昇発と動を主るため、朝5時頃醒めて6時までの間に起きて身体を動かせれば、最も自然界の陽気昇発に合わせられる。

しかし現代社会では睡眠不足や夜更かしなどで朝早く起きれず、寝坊をする方が増えている。時間さえ取れれば午後まで寝てしまうことも少なくない。結局、自然界の陽気昇発に従って身体の陽気を昇発させる時機を失うと、寝れば寝るほど疲れが取れなく、いくら長く寝ても起きてから元気が出せない。早起きは体内の陽気を高進させるため非常に重要な一環であり、譬え疲労過度で眠くて起き難いとしても、この時刻に頑張って一度起きて身体を動かすことで体内の陽気を昇発させ、その後は二度寝や昼寝によって不足した睡眠を補給すれば良い。

自然の変化に順応し、陰陽の法則に従って正しく睡眠生活を調整して保持することが、健康の維持と増進に最も重要な事である。

会員通信:NPO法人伝統医学教育会事業活動計画(2020年度)

1、講習会

2020年度の定期講習会は4月後半にスタート予定で、慣例の年間通しで8回(4~7月後半と9~12月前半の日曜日)を計画しています。

理論的な伝統医学教科として中医学基礎理論のほか、臨床における証候に対する中医学的な診察と辨別などの実用的な内容に重点をおきたいと思います。また臨床的な伝統医学教科として、「飲食薬膳療法の基礎と応用」や「整体推拿療法の実技と応用」を実施する計画です。

定期講習のほか、会員限定の特別講座も実施する予定です。

具体的な講習内容については皆様のご要望に合わせて調整し、実際にお仕事や健康に役立つ講習を行っていきますので、ご希望がありましたら事務局へご一報下さい。詳細は決定してから後日別途ご案内します。

2、体験旅行

2020年も「中国伝統医療体験旅行」を計画しています。時期は毎年と異なりますが、いつもの方針と目的で計画し実施する予定です。著名中医専門家による診察処方、中医薬博物館の見学、中医外来における推拿治療など、実際に本場の中国伝統医学に立会って見学と体験の機会を得て、同時に中国伝統医学の背景となる中国伝統文化も触れて頂きたいと思います。

日程などの詳細が決まり次第、ご案内をお送りいたします。皆様のご参加お待ちしております。

会員通信:NPO法人伝統医学教育会事業活動報告(2019年度)

1、講習会

本年度の講習会は、理論講習の「中医診断学における診察技法」、及び実技講習の「耳穴診療法の実技と応用」を4月と5月に開講しました。

中医診断学は中医学基礎を臨床現場に応用するための橋渡を担う目的で、最も基礎的で実用的な臨床技能を育成する学科とされています。これに関して教育会では望診の実際、辨証方法、そして症状の辨別など、3テーマの講習を設けましたが、そのうち診法は望診だけを三回ほど講習したことがあります。今回は「中医診断学における診察技法」のテーマを立て、望診のほかに聞・問・切診を含む中医学の四診全体に触れ、内容を大幅に拡張してテキストを充実した上、また参加者が学校教育や臨床治療の現場で活躍している状況に合わせ、更に講習内容をより専門的に調整し、また臨床技能に重心を置いて講習を実施しました。講習中は中医学診断方法の膨大な内容に対して要領を掴んで臨床応用のために経験を活かして解説しました。授業の内容が以前より随分増えたため、1回追加することになり、来年1月中旬に終了する予定です。

一方、長年に渡って人気のテーマとして何度も開催した「耳穴診療法の実技と応用」の講習を開催しました。従来の少人数徹底指導という伝統医学療法の教育理念に基づき、実技を中心にして講習を行いました。また遠くから受講される参加者を考慮して総時間数を変えず講習回数を減らすように調整しました。講習は実践を中心にし、教育会独自の教育方式により反復して解説した上、皆さんの実技練習を繰り返して行いました。参加者は殆ど中医学の初心者なので、少しでも多く中医学の知識を広げて治療効果を高めるため、中医学の五臓六腑について解説も加えました。また前回の講習から導入した耳介按摩保健体操を毎回講習会の開始時に復習を兼ねて皆で練習し、毎回楽しく賑わっている雰囲気の中で正確に耳穴診療法の基礎及び技能を把握して貰いました。講習会は11月24日(日)に無事に終了しました。

2、体験旅行

今年の中国伝統医療体験旅行は9月17日から21日まで実施されました。2007年主催した上海・北京、及び昨年主催した北京・西安の2都市活動に次いで、今回は北京・承徳の2都市で行いました。

今回も医療体験の主な目的として当会顧問の叢法滋先生の特別外来で、中医学的な診療処方を受けました。叢先生はいつものようにお元気で、熱心に患者さんの病状を聴いて詳細に診察し、それに相応しい中薬処方を工夫して頂きました。また別の日に同じ推拿特別外来にて整体推拿療法を体験して頂きながら、現地の医者と緊密に交流を行っていました。

従来と同じように伝統医療の体験に伴い、伝統文化の体験も重要な一環として行いました。今回も少人数にしており、中国の古都北京において孔廟・国子監を見学し、また明清時代から避暑地として有名な国家歴史文化名城承徳を訪れ、世界遺産の避暑山荘・外八廟、及び自然景観の棒槌山を巡り、滅多に訪れる事の出来ない特別な場所も楽しんで頂くと共に、本場中国での名物料理や家庭料理をご堪能頂けるように手配し、皆さんから大変満足したと感想を頂戴しました。

3、懇親会

12月8日(日)午前中の講習会終了後、当会事務所にて今年の年末懇親会を開催しました。理事4名を含め、当会会員が計16名出席しました。

恒例の通り、事務局で用意した料理及びホットワインや北京白酒のほか、また多くの会員もお料理、お菓子、果物、ワインなど沢山の品物を持ち寄って下さいました。また例年のように「中医学飲食薬膳療法」として、滋養強壮の「老母鶏(雌親鶏)の薬膳スープ」を準備し、これによって会員の皆様に、特に初体験の新会員に理解して頂けたと思います。

理事長から皆様のご理解ご支援ご協力に対して謝辞を表し、そして金原理事からの乾杯の辞を貰いました。その後、それぞれの分野で活躍されている会員の皆様は一つの輪になって食べ飲みながら、鍼灸気功の療法や、飲食薬膳の療法など、様々な健康関連の話題について会話したり懇談したりしました。和やかな雰囲気の中で皆様の交流と情報交換が進み、大変有意義な時間をゆっくりと過ごせたと思っています。