健康知識:就寝前の補腎排毒のための二動作

寝る前にパソコンやスマホンなどから手を離さない方は少なくないが、実際就寝前の30分間は健康養生に最も重要な黄金時間である。毎日この時間を大切に利用し、腎気を補充して毒素を排出する下記の二つの小さな動作を行うことで、健康増進・養生長寿のため大いに役立つ。

生体の最大の排毒通路と言えば膀胱経である。膀胱経が通暢であれば、外邪も侵入せず、内毒も排出され、当然身体は百病から離れていく。但し、この膀胱経はただの通路で、それ自身は運行する動力を持たず、主に腎気の支持に頼って初めて邪気防御・毒素排出の役割を果たすのである。そこで、膀胱経を疏通させるために、補腎が前提として必要である。

下記の二動作は補腎と排毒のためである。

① 腎気保養

就寝前に仰向けにし、両手の外労宮(手背)をそれぞれ腰部の両側に密接させ、5~10分間後、熱感が徐々に全身まで伝わっていく。これにより、運行気化で腎臓にある虚寒の気を汗に変えて体外へ追い出すことができる。始めは両手が腰に押さえられて痺れや張った不快感が現れることもあるが、3~5日続けて慣れていたら解消され、両脚も軽く感じる。また飲酒過度の方は按えると額部に汗が出たり、更に腰にも汗が出るが、いずれも腎気が少しずつ充足する良好現象である。

② 膀胱経排毒

上記の動作を完成させて腎気が補充された後、膀胱経絡を通させて毒を排出する動作に入る。仰臥位から上半身を起こして座り、両脚を合わせて真っ直ぐに伸ばし、足先を手前に最大限に戻し、両手でできるだけ足趾を掴み、上半身を少しずつ下へ落ちて背中を伸ばす。これは膀胱経を助けて排毒する方法であり、できれば15~30分間続け、太股の後部筋肉が引っ張られる感じがあると良い。

二つの動作は簡単で効果的で、補腎であり排毒により健康増進効果が得られる。

 

健康知識:春季における養肝昇陽の五種粥

陽春の三か月から人体の陽気が昇発になり、養肝補陽気に工夫する時節である。春には肝気が旺盛になり、脾胃の消化吸収機能に影響を及ぼし易いため、飲食上であっさりした物を主とすべきである。

ここでは春季の養生献立として養肝昇陽の作用を果たすお粥を紹介する。

1、セロリ粥

[作り方]セロリ120g、粳米150g。先ずセロリをお水で煮込んで、汁を取って粳米と一緒にお粥を作り、温かく食用する。

[効用]春季には肝陽が動き易く、肝火が逆上せ易いため、頭痛や目眩などの症状が多く見られる。また罹病期間や中老年には血圧を降下させ、イラつきを軽減させるためにもなる。

2、菊花粥

[作り方]菊花50g、粳米100g、氷砂糖適量。先ず菊花を煎じ、粳米を加えてお粥を作り、出来上がる前に氷砂糖を入れて溶かす。

[効用]春季に多く食することで、風熱頭痛や頭暈耳鳴などを緩解することができ、更に長期間の食用で手足が軽く、耳目が聡明で、生体の老衰を延ばせる。

3、山芋粥

[作り方]新鮮な山芋100~200g、粳米100g。山芋を綺麗に洗ってスライスにし、粳米と一緒に煮込んで粥を作る。

[効用]山芋は性味平和で脾・肺・腎を滋補する食物である。現代の薬理学研究によると、山芋にはアミラーゼ、糖タンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミンCなどを含み、滋養効果を持っている。春季で山芋粥を多く食用することで、補益効果が強く、冬季における消耗を補給できる。

4、人参粥

[作り方]人参1~2本(好みにより)、粳米100g、葱と生姜少々、香菜と胡麻油適量。人参を細切りにし、お湯に透してからサラダ油で葱と生姜の微塵切りと炒めて置く。粳米を水で粥に煮込み、出来上がりそうな時に炒めた人参を加えて少し煮込む。香菜と胡麻油で調味して食用する。

[効用]人参にはビタミAが豊富で、食欲不振や消化不良、皮膚乾燥、夜盲症、高血圧などの者に適応する。

5、枚瑰花粥

[作り方]枚瑰花の蕾(脱水処理済み)適量、粳米。粳米を水でお粥を作り、出来上がる際に、枚瑰花の蕾を加え、お粥が徐々にピンク色になってから食用する。

[効用]枚瑰花粥の食用で皮膚の肌理が細かくされて美顔効果があるほか、肝気鬱結による胃痛を緩解させ、また精神不安に対して安神鎮静・抗憂欝の効果がある。

健康知識(特別公開):ウイルス抵抗に最も重要な食物 蛋白質

新型コロナウイルスの感染が蔓延してから、皆、どうすればウイルス感染に抵抗できるかと考えている。実際、その答えは非常に簡単で、病邪侵襲に抵抗する決め手は生体の免疫力である。この免疫力はいわゆる中医学における正気に当たり、生体の正気が充足であれば、病邪から侵襲されない。まさに《黄帝内経》に「正気存内,邪不可干」と記載されている通りである。

人体はウイルスに感染された後、自身の免疫力によってウイルスに打ち勝つことができるが、通常では免疫反応の過程は二週間くらい続く、つまり感染後は二週間くらいを経ってから始めて回復に向かう。現在では新型コロナウイルスに対して最も重要な「特効薬」はやはり免疫力しかない。罹病してからの二週間は多臓器の機能不全に遭遇する恐れがあり、この最も過ごし難い二週間を乗り越えられるかどうかは免疫力次第である。

現代医学では、体内に入った細菌やウイルスなどの病原体に対して抵抗し攻撃することにより身体を守る力を免疫力と言う。この能力は生体が本来備えている自己防御機能であり、血液中の白血球がそれを担っている。実際、病原体と戦う白血球は様々な役割を分担する細胞の集合体であり、具体的に小食細胞と呼ばれる顆粒球、大食細胞と呼ばれるマクロファージ、特定の抗体を作って病原体を抵抗するB細胞、病原体に冒された感染細胞を攻撃してその繁殖を抑えるT細胞、そして主に癌細胞を見付け出して攻撃するNK細胞など、五つの免疫細胞が常に働いている。

これらの免疫細胞の産生、そしてB細胞による抗体の産生には蛋白質が不可欠である。充足な蛋白質、特に上質な蛋白質の摂取を確保することこそ、自己免疫力を高める鍵である。実際、中国において新型コロナウイルス感染症対策の臨床現場でも実証されており、重症が軽症へ転化するため最も重要な素因は栄養素と蛋白質の確保である。栄養程度が比較的良い患者は重症化が多く認められず、逆に栄養程度が悪い患者は症状の増悪が現れ易いことから、医療チームの治療方針も毎日の食事に卵を増やして患者の蛋白質とアルブミンの水準を高める調整を行っている。病状の進行を抑えるには極めて重要である。譬え万が一、新型コロナウイルスに感染したとしても、充足な体力と免疫力を体の資本として保有すれば、病邪との闘いで困難な状態を乗り越えられる。

蛋白質は人体組織を構成する重要な部分として生命の物質基礎であり、同時に生命の現象は根本的に全て蛋白質の機能の現れである。では、どんな食物が上質な蛋白質の食物に属するのか?ここでは中国栄養学会が推奨する日常の上質な蛋白質の食物ランキング十位までを下記通りに並べる。

① 卵

卵に含まれる栄養素は豊かで、ビタミンCと繊維素を除いた全ての栄養素が揃っているため、完全栄養食物だと言われるほど栄養価値の高い食物とされている。卵の蛋白質含量は13%ぐらいであり、アミノ酸の組成も人体の需要と非常に近いため、通常アミノ酸を評価する参考蛋白質とされている。卵の蛋白質は僅かに母乳に次いで人体の中で利用率が高いことから、食物の中で最も上質な蛋白質とされている。

成人の場合は一日に1~3個の卵(白身と黄身を共に食べる)をお勧めする。因みに消化吸収率から見ると、ゆで卵が良い食べ方である。

② 牛乳

牛乳は液体食物として水分の含量が高いため、蛋白質の含量は僅か3%しかない。しかし牛乳は便宜に飲用できて容易に数百グラムの摂取量に達するほか、同時必須アミノ酸の比例も人体の需要に一致し、上質な蛋白質に属すると言える。

一日に300g或いは300gに相当する乳製品の摂取をお勧めする。乳糖不耐症の方は代わりにヨーグルトを飲むことができる。

③ 魚

魚類は蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルを豊かに含む。蛋白質の含量は約15%~22%であり、人体の必要な各種アミノ酸を含有し、特にロイシンとリジンが豊富であり、上質な蛋白質に属する。

④ 蝦

蝦の栄養価値は非常に高く、蛋白質、ビタミンA・B1・B2とナイアシン(Vit. B5)、カルシュウム、磷、鉄などの成分を含む。蛋白質の含量は約16%~23%である。

成人の一日の水産物(魚・蝦・貝類を含む)摂取量は40~75gをお勧めする。

⑤ 鶏肉

鶏肉の蛋白質含量は20%くらいであり、沢山の筋肉トレーニング者が愛用する蛋白質の源である。鶏肉には人体に消化され易い多種のアミノ酸を含有する。

⑥ 家鴨肉

家鴨肉の栄養価値は鶏肉に似ている。蛋白質の含量は約16%であり、主にミオシノーゲンとミオシンで、他の一部分は細胞間質蛋白である。そのうち、水溶性のコラーゲンとエラスチン、少量のゼラチンを含み、残りは非蛋白質窒素である。

⑦ 牛肉の赤身

牛肉の赤身には蛋白質が20%以上含まれ、アミノ酸の組成も人体の需要に近く比例も均等で人体の吸収利用率が高い。

⑧ 羊肉の赤身

羊肉の赤身の蛋白質の含量は20%くらいである。羊肉に含有する必須アミノ酸と総アミノ酸との比率は40%以上に達し上質な蛋白質の食物に属し、人体の吸収利用率が高い。またリジン、アルギニン、ヒスチジン、スレオニンの含量は他の肉類に比べて高い。

⑨ 豚肉の赤身

豚肉の赤身には約20%の蛋白質が含まれ、必須アミノ酸の組成も人体の需要に近い。

一日の肉類(鶏・家鴨などの鳥類及び牛・羊・豚などの畜類)摂取量は40~75gをお勧めする。

⑩ 大豆

大豆には黄豆、黒豆、そして青豆が含まれる。唯一の植物性の蛋白質の源として、大豆には上質な蛋白質、不飽和脂肪酸、カルシュウム、カリウム、及びビタミンEが豊に含有する。大豆の蛋白質含量は約30%~40%であり、必須アミノ酸の構成比も動物蛋白に類似し、且つ穀物類蛋白に欠けているリジンも豊富であるため、穀物類蛋白質と相互補完的な天然の理想的食品とされている。

一日の大豆とナッツ類の合計摂取量は25~35gをお勧めする。

食事のほか、笑うことで免疫力が上がる事が証明されているため、日頃はウイルス感染からの緊張や恐怖などの気分を持たず、常に精神を緩めて明るく愉快な状態に調整する事も重要である。更に針灸推拿などの方法を用いて大椎・足三里・膈兪・肝兪・脾兪などの経穴を刺激する事も免疫力を上昇させるため確実な一手段である。

健康知識:健康増進のための自己推拿法

新型コロナウイルス感染が拡大し、緊急事態宣言の再度発令及び期間延長により不要不急の外出を自粛しているほか、天候も例年より寒さが厳しいため、在宅時間が更に長くなり、日常生活の中で運動不足などの懸念が出てくる。この情勢では、外出も気が気でないため家の中での運動が好ましい。そこで、五禽戯、六字訣、八段錦など余り空間を必要としない中医気功法は大いに役立つ方法とされている。しかし、これまで習得しておらず、今から始めようとすると少し難しいと考える方も多いと思う。そこで、代わりに自分で行う簡単便宜な養生推拿法をお勧めする。

ここでは、個人的に日頃行っている自己推拿法を紹介する。これを参考にして毎日15分~30分ほど続けることで、健康増進の効果が期待できる。

1、梳頭洗臉(頭髪をとかし、顔面を擦る)

坐位または仰臥位を取る。

[操作方法]

両手の十本指指先を用いて、前髪の生え際から頭頂・後頭へ、髪の毛をとかすような動作を36回行う。

両手の手掌を用いて、鼻翼の両側から上方へ額にゆき、そのまま両側へ分け、顳(こめかみ)・頬を経て下方へ、顔を洗うような動作を36回行う。

[追加動作]

百会穴の按揉:両手の中指を重ねて頭頂部の百会穴に当て、36回按えながら揉む。

2、揉眼搓耳(眼球を揉み、耳介を擦る)

坐位または仰臥位を取る。

[操作方法]

両手の手根部を同側の眼球に当て、時計回りと反時計回りの方向へそれぞれ36回揉む。

両手の手掌を用いて同側の耳介を覆い、36回擦る。

[追加動作]

睛明穴・太陽穴・四白穴の点揉:睛明穴に拇指の指先、太陽穴に拇指または示指の指先、四白穴に示指の指先を当て、それぞれ36回按えながら揉む。

耳輪の揉擦:両手の拇指を耳介背面に当てて支え、示指の側面を耳介正面に当てて挟みながら、上方から下方へ耳介を揉み、最後に耳垂を下方へ引っ張る。

3、叩大椎(大椎穴を叩く)

坐位を取る。

[操作方法]

拳を握り、その手掌面を用いて、頸項根部の大椎穴において18回軽く叩く。手が届かない場合は手掌(五本指を合わせて手掌の中に空を作る空心掌)を用いる。

4、擦腰暖腎(腰を擦って腎を暖める)

坐位を取る。

[操作方法]

両手の手掌を腰部の両側に当て、上方から下方へ36回擦る。

5、拍胸(胸部を叩く)

仰臥位または坐位を取る。

[操作方法]

一側の手掌(空心掌)を用いて、反対側の胸郭を上方から下方へ6往復6回ずつ計36回軽く叩く。その後、手を変えて同様に36回行う。

[追加動作]

膻中穴の按揉:手根部を胸骨中央の膻中穴に当て、36回按えながら揉む。

6、摩腹揉腹(腹部を摩り、揉む)

仰臥位または坐位を取る。

[操作方法]

両手の手掌を用いて、腹部において、それぞれ時計回りと反時計回りの方向へ、臍を円心にして円形に36回ずつ摩る。

その後、両手の手掌を重ねて(女性は右手を下、男性は左手を下に置く)上腹部の中脘穴に当て、反時計回りの方向に54回、下腹部の関元穴に当てて時計回りの方向に81回揉む。

[追加動作]

推腹:両手の手掌を腹部の両側(腹直筋上)に当て、上方から下方へ36回推し下ろす。その後、両手の手掌を両側の脇肋部に当て、外上方から内下方へ斜めに36回推し下ろす。

7、擦揉膝蓋(膝関節を擦って揉む)

坐位を取って脚を伸ばす。

[操作方法]

両手の手掌を用いて、同側の膝関節の上を覆い、上方から下方へ36回擦り、その後、円形方向に36回揉む。そのまま手掌を用いて36回軽く叩く。

[追加動作]

抓膝蓋骨:両手の拇指及び示指中指の指腹を用いて、膝蓋骨を両端から掴みながら、膝の上下方向(手の前後方向)に36回動かす。

8、推擦小腿(下腿を推して擦る)

坐位または仰臥位(下腿内側面)を取る。

[操作方法]

両手の手掌(特に手根部)を用いて、同側の下腿外側面において、膝の外下方から外踝付近へ36回推し下ろす。手が届かない場合は、左右を交替して前後に行う。

一側の足裏を用いて、反対側の下腿内側面において、膝の内下方から内踝付近へ36回擦る。その後、足を変えて同様に36回行う。

[追加動作]

足三里穴の按揉:拇指指腹を用いるか、或いは両手の拇指を重ねて、膝の外下方の足三里穴に当て、36回按えながら揉む。

9、揉圧太溪(太溪穴を押さえて揉む)

仰臥位または坐位を取る。

[操作方法]

一側の足踵を反対側の内踝後方の太溪穴に当て、36回押さえながら揉む。

10、擦湧泉(湧泉穴を擦る)

坐位を取って膝を曲げる。

[操作方法]

両手の手掌を用いて、両側の足裏を36回擦る。

上記の自己推拿法の各動作は基本的に頭部(上方)から足部(下方)まで行うが、一定の順序に拘る必要は無い。各自の都合や具体的な体位に従って操作し易いように行えば良い。例えば、寝る前に行う際に、頭部から背腰部を経て下肢までの動作を済ましてから、仰向けになって胸部と腹部の動作を最後に完成し、そのまま寝るのが睡眠改善にも効果的である。また回数も時間によって増減できる。

健康知識:冬の数九寒天に養生を語る

中国では、一年中最も暑い時期の三伏天に対し、最も寒い時期を「数九天」としてている。数とは数える事を指し、数九は九を数えることである。冬至から天候が本格的に冷え込むため、冬至から九日間ずつ日々を数えて行き、一つ目の九日間を一九、二つ目の九日間を二九とし、三九と四九が二十四節季の小寒小寒と大寒を含めて最も寒い時期で、その後は気温が徐々に暖かくなっていき、最後に九つ目の九日間まで数えると、「九尽桃花開」(九が尽くしたら桃の花が咲く)で春が来るため、数九天は計八十一日間とされているが、実際は更に九日間を加えて九十日間を数えている。

「数九天」の厳寒天候に人体は最も寒気に損耗され易いため、温補の原則に重点を置いて養生する必要がある。下記の衣・食・住・行などの面で充分注意しなければならない。

1、温暖を保持して消耗を防ぐ

寒気で生体の陽気が消耗され易く、更に冬至から陽気が芽生え始めるため、寒気に傷められないように十分に保温する必要がある。また寒邪は凝滞の性質が持ち、寒冷により生体の気血運行が緩慢になって停滞も起こり易い。平素に血液粘稠度が高い高血脂、高血糖、高コレステロールの患者を含め、特に頸・肩・腰・腿の部位を温めなければならない。

寒は陰邪で陽気を傷め易いため、特に頭と足の防寒を大切にすれば、より良く寒邪の侵襲を防ぐ。寒冷の日、温かい厚着だけを着ても頭から身体の熱が放散してしまう恐れもあるため、出来れば帽子やマフラーなどで頭を覆った方が無難である。一方、足が冷えると内臓まで及ぼして下痢、月経不順、陽痿、腰腿疼痛などの病症を引き起こす。足を暖めるためには、就寝前にお湯で足を浸す方法が効果的であり、冷え症の者には艾葉を加えたり、湿が多い者には花山椒を入れたりし、煎じてから足を浸すと更に効果を高める。

具体的な手段として、合理的に衣服の厚みを調整し、暖房などで室温を調節する。

但し、身体の温暖保持は適度にしなければならず、熱がりや汗かきのない程度を適宜とする。着過ぎたり室温が高過ぎたりすると、熱くて汗をかき、腠理が開いて陽気の封蔵を妨げ、寒邪を感受して罹病する恐れがある。

2、適度な飲食で身体を補う

飲食保養は健康養生において重要な手段であり、特に冬至を過ぎた後は身体を大いに補う最適な時期であり、温熱性質の食物を以って身体を補益すると、半分の労で倍の効果を上げる。

陽気が不足する数九寒天では、羊肉、大根、生姜、長葱など温熱性質の食物を多めに食すことにより、生体の陽気を補う。

但し、冬季では肉類など脂っこい物・甘い物・厚味を多く食し、飲食が消化されず湿痰や蓄熱を生じ易いため、温熱性質の食物に伴い、蓮根、大根、白菜、梨、黒慈姑など津液を補足する清涼性質の食物も必要である。

ほかに、一日一度くらい温かい雑穀粥を食べると、身体を暖めるほか、胃腸を暖めて消化機能を促進して食欲を増進させる。

3、充足な睡眠で陰陽を補う

充分な睡眠時間を確保することは、陽気の潜蔵と陰精の蓄積に有益である。数九寒天において最も直接な養生法として早寝遅起きであり、普段より一時間多めに寝るのをお勧めする。

《黄帝内経》には冬の養生について「早寝遅起き、必ず日光を待つ」と記載している。中医学的には、早寝は陽気を温存するためになり、遅起きは陰気を保養するのを助ける。このように体内の陰陽平衡、臓腑を滋養して生体の健康を増進する。

4、適度な運動で気血を助ける

運動養生は生体の防寒能力を高める効果があるが、自然の規則性に順応しなければならない。基本的に数九厳冬の時節には、「蔵」(陽気と精気の貯蔵)に工夫すべきで、運動を多めにすることをお勧めしない。運動する際には有酸素運動が重要である。

先ず運動の強度からみると、ジョギングや球技試合など激しい運動は身体のエネルギー消耗が大きく、汗かきにより肌膚腠理が開いて陽気や腎精の消耗を招くため不適切である。代わりに早足歩き、八段錦、太極拳などの緩やかな運動がお勧めである。

次に運動の時間からみると、早朝は気温が低くて陽気が消耗され易いため、運動には適宜ではない。特に老人や心脳血管罹患者などの場合は必ず日が出てから、昼前後の陽気が比較的強い時間帯(午前十時前後或いは午後三四時くらい)にお勧めする。

また運動前に充分な準備運動を行って身体を温め、寒冷時気の筋骨強硬による運動損傷の発生リスクを下げる。運動後は直ぐに温かい飲物を補給し、生体の水液消耗による血液粘稠度の変化を起こして心脳血管疾患を予防する。

5、日光浴で陽気を補給しながら情緒を調節する

太陽は自然界陽気の本源であり、生命の陽気も日光から摂取されている。陽気が少ない数九寒天に日を浴びる事は生体の陽気を保養する重要な手段である。

また寒冷時期は気候が乾燥しているし、暖房や焜炉などの使用で更に乾燥して逆上せを起こし、情緒の変化も見られ易い。中医的には「怒則気上」で、気が逆上せると陽気は乱されるため、数九寒天の情緒の調節も重要である。

日を浴びることで陽気を補って寒気を駆除できるし、同時に気分転換で情緒を調節して抑鬱を減少させる。具体的な方法としは、両側の手掌を開いて日に向け、散歩や深呼吸などを伴う。三十分から一時間ほどお勧めする。

今は数九寒天の三九の最中である。最も寒い時期のなか、正しい養生方法を以って健康な身体を作り、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの病邪から身を守りましょう。

健康知識:秋冬養生のためのお粥

お粥は最も古い料理だと言われている。遥か三千年前の商代最初の調理法として、お水で穀物や野菜を煮込むことで、栄養素が最も人体に消化吸収され易くなる。またお粥は便宜かつ安価が特徴で、古来農耕生活の東洋人の食卓では多く食べられている。特に病人や老人・小児・妊婦など身体虚弱の者に対してお粥は最も滋養作用を持つ食物である。生体の状態に応じて食材の配合を調整することで目的性を明確にして病人に応用し易いし、老若男女に適応して応用範囲が広い。

お粥は主に二大効能を持ち、日頃の健康養生に役立っている。

① 健脾益腎:抵抗力と免疫力を高め、疾病予防と健康増進ができる;

② 和胃調腸:豊富な栄養の消化吸収を促進し、滋養強壮と体力増強ができる。

温補作用を持つお粥は秋冬の養生に不可欠な健康食である。お粥の種類は百以上に及んでいるが、中でも最も秋冬に相応しく補養効能の高い物として下記の六種類が数えられる。

1、粟と南瓜の粥

[作り方]

南瓜の皮を剥いて小さく角切りにし、粟を綺麗に洗う。お鍋に5倍のお水を入れて強火で沸かし、その後火を弱くして柔らかくなるまで煮込む。

[効能]

① 解毒排毒:大量のビタミンと繊維素を含有し、黴菌や重金属や放射能などの毒素を付着し排出する;

② 感冒予防:脾胃を温補し、栄養素が速やかに吸収されて生体の抵抗力を高める;

③ 健脾養胃:南瓜に含まれるぺプチンは胃粘膜を保護して潰瘍の癒合を促し、また胆汁分泌を促進して消化機能を助ける。

2、白木耳と百合根の粥

[作り方]

先に白木耳と百合根をお水で戻しておく。お米を煮込んで沸かしてから白木耳と百合根を千切ってお鍋に入れ、再度沸かしたら弱火に変えて2分ほど煮込む。

[効能]

① 癌予防と抗癌:百合根に含まれる多種のアルカロイドは血液細胞を増加させ、血球減少症の改善に有益であり、癌細胞の抑制にも効果的である;

② 潤肺止咳:清涼潤燥の作用を以て秋冬の乾燥季節に多発する肺燥咳嗽や虚煩不安を改善させられる;

③ 美白祛斑:黒色色素を抑制する作用がある。

3、人参粥

[作り方]

人参を角切りにし、お米を綺麗に洗い、一緒にお鍋に入れて煮立てから、弱火に変えて2分ほど煮込む。

[効能]

① 貧血改善:人参は造血機能を増加させて生体の必要な血を補給し、血液循環を促進する;

② 血管硬化予防:人参に含まれるケルセチンは生体の血流量を増加させ、血脂含量を降下させて血管硬化を予防する。

4、山芋と枸杞の粥

[作り方]

お米と山芋を綺麗に洗い、一緒にお鍋に入れ、お粥になるまで煮込んでから枸杞の実を加え、更に1~2分間ほど煮込む。

[効能]

① 益肺止咳:山芋にはサポニンや粘液質が含まれて気道を潤わせ、益気養肺の効能を以て肺虚咳嗽多痰の治療に用いられる;

② 血糖降下:山芋枸杞粥に含まれる粘液蛋白は血糖降下の作用を持ち、糖尿病患者に食事療法の良い物とされる。

5、黒胡麻粥

[作り方]

黒胡麻とお米を綺麗に洗い、一緒にお鍋に入れてお水を加えて煮込み、沸かしてから砂糖を適量加える。

[効能]

① 体虚改善:黒胡麻にはビオチンが豊富で、生体の抵抗力を高め、虚弱体質や早老症状を改善させ、羸痩虚弱の方に適する;

② 動脈硬化予防:黒胡麻に含まれるリノール酸は血中コレステロールを降下させ、動脈硬化の予防と治療を助ける;

③ 老衰対抗:黒胡麻は細胞の老衰を遅延させる作用を果たす。

6、竜眼と蓮実の粥

[作り方]

蓮実をお水で10分間浸してから、氷砂糖を加えて20分ほど煮込み、皮を剥いた竜眼を加えて引き続き3~5分間煮込んで沸騰させる。

[効能]

① 血圧降下:強心作用があり、末梢血管を拡張して血圧を降下させる;

② 記憶力増進:全身を補益し、特に脳細胞の疲労を解消して記憶力を増強させると実験研究から発見された;

③ 養血安胎:竜眼に多く含まれる鉄分とビタミンは妊婦の子宮収縮や下垂感を軽減させ、胎児の発育に有益である;

④ 癌予防と抗癌:蓮実に含まれるオキシキサンチニンは鼻咽癌に抑制作用がある。

秋冬時期の養生原則は温補に重点を置いているため、従来お粥は中医養生の第一良品として健康養生のために是非お勧めする。

健康知識:陳皮(蜜柑皮)の神秘的な効用

蜜柑を食べた後に残された皮を陰干しし、一年間以上経過したものを貴重な中薬の陳皮としているが、三年ほど保存された陳皮は薬効がもっと良いとされている。

陳皮は理気健脾・養胃散寒の効能を持ち、消化機能を促進させて消化不良や食欲不振などの症状を改善させる。

中薬として陳皮の応用歴史は長い。中国最初の薬学専門古典《神農本草経》では上品に並べ、「橘柚,味辛温。主胸中瘕熱逆気,利水穀。久服,去臭下気通神。」(陳皮は逆上せを冷まして消化を促進させ、長期服用で濁気を下して神気を通す)とあり、陳皮の性能について記載している。唐の《新修本草》や宋の《証類本草》には「下気通神,軽身長年」の養生作用を明らかにし、更に「陳者為良」という応用原則を提起している。明の薬学経典《本草綱目》には「苦能泄能燥,辛能散,温能和。其治百病,総是取其理気燥湿之功」とあり、陳皮の薬性薬効について性味帰経から詳しくまとめている。他に《本草匯言》には「其気温平,善于通達,故能止嘔止咳」と陳皮の止嘔・止咳効能を記載している。

現代においても陳皮は「国民の保健薬」として下記のように広く応用されている。

① 芳香理気、寛中消脹;

② 脾胃調和、消食導滞;

③ 益肺化痰、止咳平喘;

④ 降圧降脂、心脳血管の改善;

⑤ 抗腫瘍・抗炎症。

また他の薬物に比べて陳皮は殆ど副作用が無く、天然の果物から来た食用薬物は安全に活用できる。

ここでは幾つかの具体的な応用を紹介する。

① 調味料としての主要作用

消臭:陳皮の芳香は魚や肉の異臭を取り除く;

香味:陳皮の苦辛味は他食物の味と混合すると独特な新鮮な香味を作り出す;

殺菌解毒:陳皮は一定の殺菌作用を持ち、魚や蝦による中毒を解消し、その寒性を緩和させる;

脂肪分解:肉料理に脂っこさを解消してお肉を柔らかく煮込み、消化促進にもなる。

② 薬膳食材としての応用

陳皮粥:お粥を煮る時に蜜柑半分または一個分の皮を入れて一緒に煮込む。朝食で陳皮粥を食べると、清々しく香って胃を暖めて食欲が増進でき、また感冒咳嗽の予防にも役立ち、胸腹脹満、咳嗽痰多の者に対して飲食治療の作用を果たす。滋補効果は陳皮人参粥と同等である。

陳皮牛肉:牛肉500g、陳皮1~2欠片(蜜柑1個分)、豆板醤1匙、甘酒適量(料理酒でも代用できるが、調理する際に砂糖と水を少し加える)。牛肉と陳皮を千切りにし、お鍋に油を塗して強火で牛肉を半熟まで炒め、豆板醤と陳皮を加えて均等に炒め、甘酒(或いは料理酒、砂糖、水)と醤油を加えて暫く煮込み、汁が乾きそうになると出来上がり。糖尿病など羸痩無力の方に適宜である。

陳皮香菜生姜汁:夏季では感冒に罹ると、頭暈頭痛に伴って悪心嘔吐、腹痛泄瀉などが見られるが、いわゆる胃腸型風邪である。これは空調に吹かれたり、雨に濡れたり、生ものや冷える物や消化し難い物を食べたりすると多く見られる。胃腸型感冒の場合は陳皮香菜生姜汁がお薦めである。陳皮1~2欠片(蜜柑一個分)、皮付きの生姜3スライス、香菜1小束。お鍋に水を入れて陳皮を煮て、沸かした時に微塵切りの香菜根と生姜スライスを加えて5分ほど煮込み、最後に微塵切りの香菜葉をいれて出来上がり。汁を飲んで香菜を食べる。また鼻閉、鼻汁を伴う者には髭付きの長葱白根を3本加えて一緒に煮込む。

③ 養生材料としての応用

陳皮枕:蜜柑皮を日差しの下で半乾きまで日干しし、細く千切りするか、「丁」字形に切ってから完全に干し、直接枕カバーに入れて出来上がり。安神助眠のほか、健康増進のためにもなる。

陳皮に含有される大量の天然揮発油は呼吸によって生体に入り、自律神経を調節して鎮静安神の効果を果たし、不眠や神経衰弱に緩解作用を持つ;特に体内積熱の方に対して清熱祛火の作用を持ち、長期間の使用により逆上せの症状を軽減させ、また消炎殺菌の効果もある;また脳循環を促進して血管の老化や硬化などを避け、脳梗塞など脳血管疾病の予防につながる。

健康知識:拍胸摩胸、養護心肺

一般的な健康養生法として摩腹揉腹法が多く知られており、臓腑機能を強化することにより、健康の維持と増進、疾病の予防と治療に大きく役立つ。実は摩腹揉腹と同じように、拍胸摩胸法も古来より養生医家に重視されている。胸部において拍打・摩擦など適切な保養動作を行うことにより、体内の濁気を排除し、心肺の機能を高め、そして健康増進と養生長寿に繋がる。

操作効果

① 経脈刺激:胸部には任脈を初め、肝・脾・腎の足三陰経及び足陽明胃経など全身に連絡する経絡が分布している。胸部の拍打・摩擦などを行うことで、寛胸理気・活血通脈・老衰対抗などの効果が得られ、健康増進で疾病予防の役割を果たす。

② 心肺養護:胸部には心肺二臓が納められ、肺は気、心は血を主っている。拍胸を行うことで、直接心臓と肺臓に刺激を与え、心肺の機能を強化して益肺養心・気血調暢の効果が得られる。現代研究によると、胸背部の拍打は肺法に対して軽度の衝撃波を起こし、患者の呼吸困難や胸部圧迫感を軽減させ、更に腹式呼吸を併用することで、肺の痰液や残気を上に動かす効果がある。これにより、冠状動脈心疾患、狭心症、慢性気管支炎、肺気腫などの予防と治療、そして胸悶動悸や気喘咳嗽や脇肋疼痛などの軽減改善に効果的である。

③ 免疫強化:胸骨の後方に胸腺組織があり、これは生体の生長発育促進及び免疫力向上に関わる内分泌腺である。加齢に伴い、胸腺が徐々に退化して脂肪組織に取り代わられ、それに従って免疫力も弱くなっていく。またストレス、心理障害、栄養不良、環境汚染、薬物損害、飲酒喫煙などの素因により、免疫機能も減弱し、感染症、免疫疾患、代謝疾患、更に悪性腫瘍などが発症し易い。拍胸を行うことで、胸骨に適度な震動を与え、胸腺の機能を活性化し、免疫力強化の効果が得られる。

操作方法

1、拍胸:直立または坐位を取り、腹式呼吸を行う。両手の五指を合わせて手掌をやや屈曲し、空心掌を用いて胸部において上から下へ拍打法を行う。拍打する際に口をやや開き、震動に伴って気を口から吐き出す。

片方ずつ右手で左胸、左手で右胸を拍打しても、両手同時に両側の胸部を拍打しても良い。30~40回ほど行う。

2、摩胸:坐位または仰臥位を取り、自然呼吸を行う。左側の手掌を用いて胸部の左上方から右下方へ、右側の手掌を用いて胸部の右上方から左下方へ、円を描くように摩法を行う。両手交互に30~40回ずつ行う。

一日に30分間ほど、夕飯の30分後から上記の動作を行う。

操作注意

① 動作を行う際に、爽快な気分で行う、全身をリラックスさせる。

② 拍打の時に手掌の着力面を広くし、手首の動きは自然に軽やかで弾力性を保ち、胸腔内に震動を感じさせる。

③ 上胸部ではやや力が大きく、下胸部では力は弱くし、損傷を避けるため粗暴な力を避ける。

④ 最初に動作を行う際に、力が強過ぎないように、自分で耐えられて震動が感じられるのを適度とする。少しずつ馴染んでいくと、拍打の力を強くすることができる。

⑤ 老年の方や骨粗鬆症の方は、胸部損傷や骨折の恐れがあるため、動作を軽やかに行う。また重篤な心疾患やペースメーカー装着の方には余りお勧めしない。

健康知識:養血明目の鶏レバー

現代社会では、毎日長時間パソコンやスマートフォンなどを利用して眼精疲労、目の乾燥や充血、視力減退、涙が出易い、近視、老眼など様々な病症が多発している。特に貧血の方に多く見られ、立ち眩みや頭暈感などを伴う。この場合は日頃から目に良い食物が必要とされ、通常は野菜の人参、菊花茶や枸杞の実、そして豚レバーなどを思い易いが、実際に最もお薦めするのは鶏レバーである。

中医学的には、肝は蔵血を主り、目に開竅している。血を以て目を補っているため、血虚(貧血に当たる)の方は目も弱くなる。古来「臓を以て臓を補う」という薬膳療法の原則に基づき、動物のレバーは昔から肝血虚や目症状などに用いられてきたが、その中でも鶏レバーが最も効果的だとされている。鶏レバーは甘・苦・温の性味で、肝・腎・脾に帰経し、補肝益腎・養血明目・消疳殺虫の効能を持ち、主に肝虚による目昏眼暗、視物不清、老年肝虚、眼目昏花、目翳白障、夜盲などに適応する。一方、現代研究によると、100gの鶏レバーにはビタミンAが10,414µgほど含有し、豚レバーの4,972µgや枸杞の1,625µgより遥かに多いため、その明目効果が豚レバーの2倍、枸杞の6倍ほど優れると言っても過ぎない。ほかに鶏レバーには蛋白質、カルシウム、鉄、ビタミンBなど栄養物質も豊富で、長期の食用により生体の免疫力を高め、益肝養血明目の効果を果たす。

レバーには独特な内臓の臭みがあって調理することに慣れないため、日常の食卓には余り現れていないが、ここで薬膳の一品として韮・玉葱の鶏レバー炒めを紹介する。

[材料]

鶏レバー400g、韮1束、人参100g、玉葱半分、長葱、生姜、大蒜それぞれ適量、醤油3大匙、料理酒1大匙、砂糖と塩それぞれ適量、五香粉または胡椒粉1小匙、胡麻油適量。

[調理]

1、鶏レバーを綺麗に洗っておく。お鍋に適量のお水を入れ、2~3スライスの生姜と適量の料理酒を加えて強火で沸かしたら、鶏レバーを入れて再度沸かし、灰汁を除き、弱火に変えて暫く茹でてから鶏レバーを取り出し、冷めてから手で小さく千切っておく(ハツが付いている場合はハツをスライスに切る)。

2、韮を短冊切り、玉葱と人参を角切り、葱と生姜と大蒜を微塵切りにしておく。

3、醤油と料理酒を一緒に合わせ、砂糖、塩、五香粉または胡椒粉など加えて均等に混ぜて調味汁を作っておく。

4、フライパンに油を入れ、長葱、生姜、大蒜を入れて香味が出るまで炒めてから、鶏レバーを加えてから調味汁を入れて均等に混ぜながら炒める。汁が無くなってから人参と玉葱を加えて炒め続ける。最後に韮を入れて均等に混ぜたらお皿に移し、胡麻油を垂らして出来上がり。

[要点]

1、調味汁を準備する際に、個人の好みに応じて調味料を加減する。

2、辛い味を好む方は、唐辛子の角切りを加えても良い。

 

健康知識:爪先立ち・踵落としの健康動作

爪先立ち・踵落としの動作は早く中国古代から健康養生に応用され、「敦踵法」と称されていた。前漢初期の《引書》に「敦踵以利胸中」や「敦踵,一敦左,一敦右,三百而已。」の記載があった。800年の歴史を持つ導引養生術の八段錦は、完結式動作を「背後七顛百病消」と言い、爪先立ち・踵落としで背中に振動を広げることで、五臓六腑に優しい按摩作用を果たして百病解消の効果があるとされている。

爪先立ち・踵落としは効果的な有酸素運動である。爪先立ちの際に、両側下腿の後部筋群から圧出した血液量は、凡そ心臓拍動時に拍出された血液量に相当する。これにより心臓のポンプ作用を助長して心脳血管の健康に有益である。同時に下腿の筋肉及び足関節を鍛え、静脈怒張を予防し、足関節の安定性を保つ。また四肢と頭脳を動かすことで、長時間の脳力集中や突然の立ち上がりによる目眩と頭暈を解消できる。膝関節の損傷も避けられるため、中老年の方には特に相応しいと言える。

動作効果

爪先立ち・踵落としは簡単な動作であるが、毎日行うと、以下の効果が期待できる。

① 強化臓腑、祛病養生:爪先立ち・踵落としの動作は全身に相応しい震動を起こし、五臓六腑の機能を激発し、生体の代謝を促進させて生命の活力を高進させ、陰陽調和・気血通暢に達し、糖尿病や肥満症の予防、冷え症の改善などに応用でき、健康増進の効果が期待できる。

② 通陽気、健脳髄:足趾は足三陰経の起始部位である。爪先立ち・踵落としの動作は肝・脾・腎の足三陰経と足太陽膀胱経を刺激し、陽気の上昇・宣通をさせ、頭部・顔面部の気血循行を促進させ、健脳益知・開竅解鬱の効果を図り、記憶力向上、認知症予防のためになる。

同時に肝・脾・腎三臓の機能を激発して気・血・精を養い、健康養生に最も密接に関係する。

③ 補腎気、強腰膝:腎気虚弱や腎陽不足の方は往々にして畏寒肢冷、下肢浮腫、足根冷痛などの症状が見られる。踵落としの動作は膀胱経と腎経が刺激され、腎気を補って腎気の通陽気化作用を促進する。補腎により白髪や脱毛の減少、性機能や生殖能力の増強、骨密度の増加で骨粗鬆症の予防などに効果的である。

また風寒湿邪が膀胱経絡に侵入して気血循行が阻害されて疼痛が発生する。踵落としの動作は膀胱経気を開通し疼痛を解消し、後頭痛、頚椎症、腰椎症などの予防と治療もできる。

④ 行血脈、防中風:足部は心臓から最も離れている末梢部位である。爪先立ち・踵落としの動作は末梢血液循環を促進させ、全身の血脈に大きく影響を及ぼし、動脈硬化、高血圧病、心筋梗塞、脳卒中などの予防に役立つ。

中医学的には、中風(脳血管障害)は真陽損傷による陰盛陽衰の証候とされており、脳出血や脳虚血は「陰盛格陽」によって陽気上衝の病証である。踵落としの衝撃は、脳部の気血運行を刺激すると同時に、浮陽を引き下げて膀胱経と腎経に沿って足部までに下行させる「潜陽」効果がある。

⑤ 小便不利改善:中医学の角度から見ると、小便不利は膀胱の気化不利による病症である。踵落としの刺激は、膀胱の気化機能を促進して排尿障害に働き、前立腺肥大や前立腺炎などにも良い治療法だと言える。

動作方法

身体を直立姿勢に保ち、両脚を自然に開き、両手を身体の両側に下ろし、ゆっくりと足趾で強く地面を掴むように爪先立ちして踵を上げる。その後、重心を趾先から足裏前半へと移し、身体をリラックスさせて自然にストンと踵を軽く地面に落とす。この柔らかい震動は両下肢に沿って上半身まで伝達されていく。一回に20~30で、10秒ほど休んでからもう一回続け、5~10回繰り返し、速度は自分で適当に調節する。

中老年の方や体力の弱い方には坐位で行うことができる。椅子に座って膝と太股を水平に保ち、体力によりペットボトルやペットを太股の上に置いて荷重練習しても良い。ゆっくりと爪先立ちして踵を上げから、ストンと踵を落として軽く地面にぶつける。一回に30~50で、直立姿勢と同様に繰り返す。

上記のほか、また爪先立ち・踵落としの関連動作を行うことができる。

1、爪先歩き:爪先立って歩き、一回は30~50歩で、暫く休んでから自分の体力に従って数回繰り返す。速度は軽くて気持ちよいことを程度とする。初心者は壁を支えても良い。

2、臥位の趾上げ(踵下げ):横に休む時に、両下肢を合わせて真っ直ぐに伸ばし、趾先を最大限に上げてから下げる(踵を踏み出す)。両脚を同時に行っても交互に行っても良い。下腿が疲れたら、暫く止めて休む。一回に20~30で、10秒ほど休んでからもう一回続け、5~10回繰り返し、速度は自分で適当に調節する。

動作注意

中老年以降の方が爪先立ち・踵落としを行う際に注意事項がある。

① 爪先立って歩く場合は、全身の協調性を必要としているため、高血圧や骨粗鬆症の方には強引に行うと、損傷の恐れがある。

② 爪先立ち・踵落としの練習は順を追って少しずつ進めなければならず、力を激しく入れ過ぎると足根痛の恐れがある。

③ デスクワークや将棋や麻雀など長く座り続け立って動かない場合は、一時間おきに一度爪先立ち・踵落としの運動を行えば、下肢の血液回流をスムーズにし、下肢の痺れなどを改善する。