健康知識:冬至に冬季養生を再び語る

二十四節気の冬至が到来し、これから本格的な厳冬時期を迎える。今年は陰陽消長の変化が激しく、夏は余りにも酷暑であったため、冬は例年より酷寒になりそうで、冬季の養生についてもっと意識を強化する必要がある。

* 2020年送付した《中国伝統医学 健康養生知識》の112頁における「冬季における補腎養生(2014年12日公開)」も参照できる。

陰盛陽衰の冬季では冬至が一年中の陰陽転化の転換点であり、自然界の陰気が極めて盛んになると同時に陽気が生み始める。この陰陽変化に従い、生体も陽気が生み始めて弱いため、外界の寒邪に損なわれ易い。そのため、健康養生のため陽気の封蔵と養護はこの時期、最も重要な原則とされている。また中医学では、腎気は冬気に繋がっており、冬季は腎陽腎気を大切に補う時期でもある。

この養生原則の下で、具体的な方法を紹介する。

1、保暖避寒・少動多蔵:陽気は最も陰寒に傷められ易いため、常に暖めなければならない。普段の服装や室温でも充分に保温に気を付け、また身体に持病のある方や体調不良の場合にホカロンなども活用して良い。また封蔵を特徴とする季節なので、陽気の損耗や漏洩などを避けて活動運動も少なめにし、特に激しい運動を控える。最もお勧めするのは八段錦や太極拳など優しい動きの医療気功である。

2、早寝遅起・必待日光:この時期ではある程度の「懶惰」が必要である。日が未だ短いため、早く寝て遅く起き、日が出てから動き出して陽気の消耗を避ける。また自然界の陽気を以て生体の陽気を補充する方法として、背中に日を浴びるか、晴天の夕方に日差しで温まった椅子やベンチに座るなどがある。

3、艾灸腧穴・袪寒壮陽:艾を燃やして身体の腧穴に据えて温まる艾灸法はこの時期に最適である。艾灸法には温陽益気・袪散寒湿の効能があり、陽気を温めて補うことで抵抗力・免疫力・修復力など人体生命力を高めるほか、寒湿邪気や疫病邪気を追い払う作用を以て、この疫病蔓延の冬季に一石二鳥の効果が期待できる。実際、中国の大学病院では新型コロナウイルス肺炎の治療に対して、温灸の応用で確実な効果が臨床治験に実証され、現在艾灸も防疫物資の一種に数えられている。

4、飲食調養・加食牛羊:飲食薬膳療法は健康養生の重要な手段とされている。秋の収穫に恵まれ、冬は補うための充実した季節だと言える。食べる事で一番身体を補養でき、翌年春夏の生長に堅実な土台を築く。また腎陽が生体の元陽となり、冬季は補腎に相応しい。腎陽を補うため、羊肉、牛肉、海老、韮、山芋などが多く用いられる。

ほかに、基礎保健気功には、「鳴天鼓」(手掌で外耳道開口を覆い、示指で後頭部を軽く叩く)を行ったり、臍下丹田を揉んだり、耳介・腰・足裏を擦ったりすることも補腎の役割を果たして冬季養生の一環として重要である。

健康知識:重曹の薬用効果

重曹は重炭酸曹達(ソーダ)の略称で、重炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムとも呼ばれる白い粉末であり、生活用品や食品、医療、農業、工業、土木など、様々な分野で活用され、重要な役割を果たしている。

重曹は天然の原料を使用して精製されている。現在、製法は原料から大きく二つに分け、岩塩を水に溶かして電気分解するか、重曹成分を含有する鉱石などを水に溶かし、炭酸ガスを添加して結晶化する方法である。

重曹は日常生活において料理や清掃など幅広く応用価値があるが、薬用効果を以て下記の活用もできる。

1、リウマチ関節痛の緩解

重曹を膏薬状(糊状)に調合し、関節疼痛の局部に塗り付け、自然に乾燥してから綺麗に洗い落とす。

またタオルに重曹の溶液を浸けて患部に熱布することができる。

2、痛風の予防治療

300~400gの重曹をお湯で希釈し、タオルで巻いた脚(患部)にかけて20分間ほど温める。お湯の温度は熱過ぎないように注意しよう。一日に二回行い、慢性痛風の場合は更に多く行うことをお薦め。

3、身体疲労の解消

適量の重曹と食塩を浴槽のお湯に入れて30分間ほど入浴すると、鎮静作用を果たし、また筋緊張を緩和させ、同時に皮膚のタコ消除できる。

因みに、長期の家事などで両手の皮膚が粗くなる場合があるが、重曹とココナツオイルでスクラブを作って両手で擦ることで、手の皮膚がきめ細かく柔らかくなる。

重曹の安全性について、元々生体の中にもあるし、天然成分なので、身体に大きな危害は無いと考えられる。しかし弱アルカリ性(pH約8.2~8.6)のため、肌に長時間付着したり、目に入ったりすると沁みる刺激性がある。また重曹には薬用、食品用、工業用、飼料用など様々な種類があり、服用の際は塩化物基準や純度、衛生面などを考慮して薬用か、食品用の物を使用し、1日目安は概ね3gくらいにした方がよい。長期間の服用は身体の健康に適せず、口腔異臭や食欲不振などが現れ、更に筋肉痛、引き攣り、持続性頭痛などが見られる。

健康知識:林檎の薬用効果を高める食用方法

秋の深まりに伴い、気候が乾燥して来ている。炎熱の夏季とは異なり、寒冷時期は飲料水などが体内で気化され難いため、身体を潤わせるために果物は最も相応しいと言える。寒い季節の果物と言えば、蜜柑と並び、林檎のイメージが強い。

林檎は人類が食する最古の果物とされ、約八千年前から栽培されていたと見られる。欧米では「一日一個の林檎は医者を遠ざける」と言われるように、栄養価が高くて食べ易いため、世界中に好まれている。

中医学的には、林檎は甘・酸・涼の性味で、肺・脾・胃・心に帰経する。開胃生津・止渇除煩・潤肺養膚・酒毒解消などの効能を持ち、脾胃虚弱、消化不良、食少、食後腹脹、便秘、泄瀉(慢性結腸炎);気喘(気管支喘息)、津液不足、煩熱口渇、飲酒過度などに用いられる。現代研究によると、林檎にはリンゴ酸やクエン酸など疲労回復を促進する有機酸、整腸排毒とコレステロール吸収抑制の効果を持つ水溶性食物繊維のペクチン、更に脂肪低減や抗酸化・老化防止効果の期待できるポリフェノールが豊富であり、また効果的にコレステロール・血糖・血脂を降下させ、美容養顔・減肥瘦身も注目されている。

これらの薬用効果を最大限に発揮させるため、食用方法が重要である。通常、林檎は生食されるほか、加工してジュース、酒、ジャム、菓子などにも広く利用されている。実際、生食より煮る方法が最も栄養素を吸収し易く、また加熱した林檎は様々な病症の改善に役立つ。

① 酸化防止:加熱した林檎に含まれるポリフェノール類の天然抗酸化物質が大幅に増加し、血脂降下・血糖降下の効能を持つほか、抗菌消炎・フリーラジカルを抑制する抗酸化の作用があり、老化防止に繋がる。

② 血圧降下:加熱した林檎はカリウム塩に富み、人体に摂取後ナトリウム塩に置き換えられて体外に排出させ、血圧降下の効能を持ち、心血管疾患の保護に繋がる。

③ 泄瀉治療:加熱した林檎に含まれるペクチンとタンニン酸などは共に収斂止瀉の効能を果たし、同時に腸内有益細菌叢の生長を刺激して腸管炎症を解消する。

④ 胃腸保護:林檎を多食すると腹脹や下痢を起こし易い。煮てから食すると、胃腸への刺激を軽減させ、胃腸機能が低下する方、身体が虚弱する方、そして冷え性の方に対しては胃腸への一種の保護とし、同時に林檎の栄養素の吸収促進にも有益である。

⑤ 内熱解消:気候が乾燥する時に、身体も乾燥して逆上せ易い内熱症状が現れ易い。この場合は林檎を皮付きで細かく切ってお水で煮て食すると、口唇の熱瘡、歯肉炎症、舌炎など内熱症状の予防治療に効果的である。

また水腫患者は利尿薬物による治療後、林檎の食用でカリウムの補充ができるし、またナトリウムの含量が少ないため水腫の増悪にもならない。

なお、食物繊維は主に皮にあるので、一般に皮ごと食するのをお勧めする。

ここでは、冬季における林檎を用いた止咳処方「枸杞林檎水」を紹介する。

[材料]林檎1個、枸杞の実15g、氷砂糖30g。

[方法]林檎の皮と種を除いてスライスに切り、お椀3杯ほどのお水を加えて弱火で2~3分間煮る;沸かしたら枸杞の実を入れて更に弱火で5分間ほど煮る;林檎が半透明の状態まで煮て氷砂糖を加えて更に2~3分間煮て火を止める。

冬季の最も効果的な止咳処方として健康維持のために活用しよう。

健康知識:健康増進と免疫強化について

新型コロナウイルス感染が三年ほど延び、疫病情勢が緩和したり、また緊張したりし、収束の目途が中々見えない。ワクチン接種は元々重症化防止のためで、直接感染予防に役立たないし、ワクチン自身の生体に起こした免疫反応の安全性が未だに確認されていない。明確な効果を持つ特効治療薬の無い現段階では、感染されない、或いは感染されても発症せずに済むことは非常に重要で、それは恐らく自力に頼るしかない。そのため、健康増進に関連して免疫強化の話題も注目されてきた。

日常生活で何を食べれば免疫力が高められるのか?患者さんや学生さんに多く質問されるが、回答として、日常生活で免疫力を高める食物は無い。確かに普段、何らかのキノコ類の食べ物や菌類の飲み物の商品には免疫力アップや免疫力ケアの効果があると宣伝されているが、実際あくまでも人体の免疫力に関わる栄養物質を増やす効果に限られ、正確な意味では直接免疫力強化の効能とは言えない。

そもそも免疫とは病疫から免れることを指す。現代医学における免疫力は、人体が本来備える生理機能として、外界または体内の病邪(疾病を起こす素因)に対する自己防御機能である。具体的に血液中の白血球がこれを担っており、小食細胞と呼ばれる好中球(顆粒球)、大食細胞と呼ばれるマクロファージ(単球)、特定の抗体を作って病原体の侵襲を抵抗するB細胞(リンパ球)、病原体に感染された細胞を攻撃してその繁殖を抑えるT細胞(リンパ球)、そして主に癌細胞を見付け出して攻撃するNK細胞など、五つの免疫細胞が常に働いている。

こう見ると、日頃より何かの飲食物を多く摂取するだけで簡単にこれらの免疫細胞を増やしたり、活性化させたりすることは先ず無理であろう。また免疫力は増強され難いだけでなく、逆に減弱され易い。精神的なストレス、体力低下、栄養失調、睡眠障害、理化学的な不良刺激など、生活における様々な不良素因の影響により免疫低下が容易に起こされる。

一方、免疫力は人体の生命力の一方面として、治癒力や修復力(回復力)などと同じく、生体全体の健康状態の総合改善に従って増強できる。そのうち、体力と気力(精神力)は健康の基本となっているため、先ずは重要な影響素因となる睡眠と飲食を確保し、心身両面の消耗による免疫力減弱を避けなければならない。このうえに、東洋的な観点から医学的な手段を用いて免疫強化が可能である。

中医学的には、人体の正気が免疫力に当たる。具体的に体内の陰陽から言うと、身体の滋潤・栄養作用を持つ陰気に対して生体の推動・温煦・防御機能を持つ陽気が免疫力となり、また脈に流れている営衛之気から言うと、脈内に流れて栄養作用を持つ営気(営陰)に対して脈外に流れて防御機能を持つ衛気(衛陽)が免疫力となる。普段、背中に日光浴し、自然界の陽気を以て生体の陽気を保養する効果があるが、更に様々な中医療法の活用により免疫力を高める事が出来る。

1、長期的な養生法:医療気功

調身、調息、そして調神の三調節を長期的に持続することにより、生体全体の生理機能を高めるに伴い、人体の自然抵抗力と治癒力を高める。

2、即効性を持つ治療法:針灸推拿

体外から理学的な刺激を与えることで、体内に良性反応を起こして生体の免疫力を増強させる。実験針灸学の研究によると、ある特定の経穴に温灸または刺針を行うことにより、血液中の白血球数が顕著に増加する。お勧めできる経穴として、大椎、肝兪、脾兪、腎兪、足三里などがある。

また全身推拿を行うことで、全身の循環・呼吸・消化・泌尿・運動・神経・内分泌などの機能を調節するほか、免疫機能に明らかな良性調節作用を果たしている。実験研究によると、推拿施術は血液中の白血球総数を増加させ、リンパ球の比例も高め、白血球の呑食能力を増強させる。動物実験の結果で、推拿療法は免疫系への調節作用によりNK細胞を増加させることを示している。

3、総合的な健康法:薬剤薬膳

罹病患者には病証に基づく中薬処方の服用、また本来体質虚弱の者には薬効食物と食用薬物の相応しい応用により、それぞれの免疫力を改善させられる。基本的には補気養血の効能を持つ薬食両用のものを主としており、中には最も効能が優れてお勧めできるのは植物性の大棗と動物性の阿膠であり、両者は共に赤血球と白血球を明らかに増加させ、特に後者の阿膠は骨髄の造血機能を保護し、血球の外に血小板も増加させる。

陽気保養のための背中に日光を浴びる方法、温灸を行う方法、そして大棗を食用する方法などは、伝統医学教育会ホームページの会員専用ページの健康知識に紹介されているので、参考にして実施し、免疫力を高めて欲しい。

健康知識:三伏天における生姜の特別な応用

中国では「寒は三九にあり、熱は三伏にあり」の諺がある。夏の三伏天になると、生体の陽気が体表に浮いてくるが、その時冷たい飲食を好んで過食すれば、体内の脾胃は虚寒状態に陥ってしまう。そこで、一年中で最も熱い時期では、一切寒冷を求めてはいけず、正確な養生方法として「熱を以て熱を制す」という原則を活用しなければならない。このことから、最も相応しい食べ物として生姜が挙げられる。

生姜は性味が辛温で脾・胃・肺に帰経し、散寒除湿・発汗解表・化痰止咳・温中止嘔・活血止血・解毒など様々な効能を持ち、風寒感冒、悪寒発熱、頭痛鼻閉、肺寒咳痰、痰飲喘咳、胸脇脹満;脾胃虚寒、脘腹冷痛、泄瀉;胃寒または胃気不和、悪心嘔吐、食少;婦人月経不順、崩漏、産後血暈、瘀血腹痛、吐血、鼻衄、喀血、便血;魚蟹や半夏(漢方生薬)の中毒など広く用いられる。三伏天では脾胃の虚寒を駆除するほか、冬病夏治の作用が大いに期待できる。

上記の病証のみならず、夏に多く見られる小さい問題も生姜を使って効果的に解消できる。

1、食欲不振

生姜にあるギンゲロールは舌の味覚神経及び胃粘膜の受容体を刺激し、神経反射によって胃腸の充血を催し、同時に消化液の分泌を促進する。これによって健脾開胃・消化促進・食欲増進の効果を果たす。

方法:生姜を綺麗に洗ってから水気を取り、薄くスライスし、少々塩を塗して12時間ほど漬けておく。出来上がった生姜のスライスを綺麗な密封容器に移し、充分浸すほど酢を入れ、ラップしてから蓋を閉め、4日以上放置してから食用できる。毎朝1~3スライスお勧めする。

2、胃腸不調

生姜は外へ発散するという特別な特徴があり寒邪を排除することができる。脾胃虚寒の方や、冷やされた後に吐気・腹痛・泄瀉などが現れる方は生姜棗茶或いは生姜米茶が役立つ。

生姜棗茶:皮付きの生姜3スライスと棗6個(千切って種を除く)を一緒にお鍋に入れ、水を加えて20分間ほど煮込む。煮込むのが難しい場合は直接コップに入れてお湯を加え、暫く蓋を閉めて浸しても良い。

生姜米茶:生姜と米を1:2の比例にし、生姜を千切りして2分間ほど炒って水気を取り、米を加えて約20分間混ぜ合わせながら炒り、黄色い焦げになったら密封容器に保存しておく。毎度50gほどを取り出して500mlの水で10分間ほど煮る。

3、肩腰疼痛

冷房に吹かれた頸肩や背腰は特に風寒湿などの病邪に侵襲され易い。また設定温度が低いと、肩や腰の持病も再燃することが多い。この場合は、生姜の煮汁を使えば効果的である。

方法:生姜を煮込んだ汁の中に少々塩と酢を加え、タオルを浸して絞り、患部に置いて温める。数回ほど繰り返すと疼痛を緩和させる。

4、傷風感冒

長期に渡って空調環境に身を置くことが続くと、室内外の温度差が多いため、体内の調節システムが乱れて免疫力も下がり、風寒を感受して感冒に罹患し易い。傷風感冒の場合は直ちに数スライスの生姜を食べるか、生姜黒糖スープを飲むと、寒邪の駆除に大きく役立つ。

方法:皮付きの生姜を5スライス切り、沸騰するお湯に入れて3分間経て黒糖を加え、均等に混ぜて飲用できる。

生姜は非常に良い食べ物であるが、実際に使用する際に注意しなければならない事がある。

先ず生姜の食用時間に気を付けて欲しい。一般に朝や午前中に食すと、陽気の昇発を助長できるが、夕方や夜に食すと、心神が収斂できない恐れがある。故に「朝に食す生姜は人参(漢方生薬)の如き、晩に食す生姜は砒素の如き」との説がある。

次に生姜は辛温の性味で、熱性疾患には適しない。陰虚内熱(面色潮紅、心煩盗汗、手足心熱、口渇咽乾、皮膚乾燥、舌痩紅、苔少など)や、体内実熱(風熱感冒、肺熱の咳嗽で黄粘痰、胃熱の嘔吐口臭、膀胱湿熱の尿黄赤で渋痛、肝火の煩躁易怒、心火の神志不安、瘡瘍潰爛、痔瘡出血など)の方には少なめに食すか、食用しない。

また肝病証(肝気は昇発主動)、目疾患(肝の竅)、そして小児(純陽の体質特性)にも慎重に食用しなければならない。

健康知識:馬歯莧の性能と応用

馬歯莧はスベリヒユ科の植物でスベリヒユの全草である。初夏から晩秋までに畑、道端、庭園、廃墟など日当たりの良い場所に自生している。葉が丸くて小さく、茎が赤く、肉質が肥えて厚みがあり、夏には黄色の花が咲いて綺麗に見せている。

薬食両用の植物として、夏季に食用するほか、全草が薬用できるし、また種子も生薬として応用される。歴代の薬草専門書では馬歯莧について「馬歯莧,又名五行草,以其葉青,粳赤,花黄,根白,子黒也。」(馬歯莧、又の名は五色草で、其の葉が青く、茎が赤く、鼻が黄色く、根が白く、種が黒いためである)と描いており、小さな草でありながら、五行色の全部を占めて決してその価値も軽視してはいけない。民間では「長寿草」や「長命草」などと呼ばれている。

新鮮な馬歯莧は口当たりが柔らかいが、シャキシャキし、ツルツルする感じで、やや酸味がある。野菜として味は普通であるが、薬用価値が大きい。

薬用効果

中医学的に、馬歯莧は酸味で寒涼の性質であり、心・肝・肺・大腸経に帰経する。主に清熱利湿・涼血止痢・解毒消腫・止咳止渇などの効能があり、様々な病状の治療に用いられる。

① 消化管伝染病の予防と治療:馬歯莧は赤痢菌、腸チフス菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌などに対して強い抑制作用を持ち、熱毒による赤痢、テネスムス(裏急後重ともいい、頻回に便意を催すが便は出ない症状)、細菌性下痢(湿熱泄瀉)、大腸炎などの治療を補助するほか、実熱による大便秘結、痔瘡出血、腸ポリーブなどにも著しい効果がある;

② 皮膚疾患の治療:「諸痛痒瘡,皆属于心」(《黄帝内経》)、また肺は皮毛を主る。馬歯莧は清心火・散肺熱の作用を持ち、口内炎、舌炎、癕腫疔毒、湿疹乾癬、丹毒など血熱による皮膚疾患のほか、蛇虫咬傷や蜂刺傷にも効果的である;

③ 眼目赤腫の改善:肝は目に開竅するため、肝熱が経脈に沿って目に上がると、目の発赤や腫脹、目脂などが見られる。馬歯莧は酸味が肝に入り、清肝涼血明目の効果が期待でき、特に夜更かしによる肝の陰血を損なった後の赤目に役立つ。種子の明目作用が最も顕著である。また若者の白髪も肝熱が盛んで頭頂に上がって発症したもので、治効がある。

④ 出血疾患の改善:心は血脈を主り、肝は蔵血を主る。馬歯莧は清熱涼血止血の効能を持ち、性器不正出血、産後・流産による出血などに適応する。

ほかに、止咳の効能を百日咳に用いたり、利尿の効能を浮腫に用いたり、止渴の効能を消渇(糖尿病)の口渇に用いたりすることができる。近年、馬歯莧の抗がん作用も研究されている。

食用方法

馬歯莧の茎と葉が茂っている時期に、その若い部分を取って根を除き、綺麗に洗っておく。温惣菜の場合は、少し油で炒め、柔らかくなったら潰した大蒜を加えて塩で調味してできる。冷惣菜の場合は、熱湯に2分間ほど通し、取り出して水で冷やして軽く水気を取り、潰した大蒜や生姜を入れて塩、醤油、お酢、胡麻油などで調味する。また新鮮な馬歯莧を湯がいてから天日干しして乾燥させ、使用する時にお湯で戻し、炒めても餃子などの具としても活用できる。

なお、お湯を通した煮汁は捨てず砂糖(黒砂糖を使用しない)を加えて飲むと治療効果が得られる。特に前立腺炎の治療処方として紹介すると、

[材料]新鮮な馬歯莧500g。

[作り方]綺麗に洗って潰し、ガーゼで包んで汁を絞り出す。

[飲み方]毎日朝晩空腹時に砂糖少々を加えて白湯で薄めて飲む。

[効果]一週間で治癒。

皮膚疾患の治療においては、食用に伴って新鮮な馬歯莧を潰して患部に直接塗るか、更に乾燥した馬歯莧の煎じ汁をお風呂に入れて入浴すると、治療効果が高められる。

注意事項

注意しなければならないのは、馬歯莧は寒滑性質のため、寒邪による泄瀉や脾虚便溏の者はお勧めしない。また滑利の特性を持っているため、妊婦、特に習慣性流産の妊婦は食用しない。ほかに、鼈甲を含んだ漢方処方を服用する際に食用しない。

 

健康知識:静座健康法

生理学の研究によると、生体は「静養」の状態において神経の緊張度が緩め、呼吸・心拍・血圧・体温はいずれも適度に低下している。この低代謝の蓄積反応によって生命も延長していくため、「静養」は一種の精神的な健康運動だと言える。静養の最も相応しい方法として静座が挙げられる。

中医学的には、養生の第一要旨は養神にあるとされているが、静座こそ養神の具体的な方法であり、気功養生で最も重視されている。また歴史上の各種気功養生法は共に心神の修練を大切な目的とし、心身の静寂を取り戻すために、儒学気功の静坐や坐忘、仏教気功の禅定(坐禅)、道教気功の内丹や存想など様々な方法が行われ、その基本が全て静座にある。現代でも瞑想なども同じように静座が多く用いられている。

生理実験では、僅か5~10分間の高質静座を行うだけで、脳の酸素消費量が17%ほど低下すると証明され、この数値は7時間の深い睡眠の後の変化に当たる。静座中の呼吸が体内の気体交換を速め、神経の緊張を解消し、筋肉も緩和されて疼痛の現象を緩解させ、更に体内温度、血液のpH、血圧、血糖、血脂、及びカリウム、ナトリウム、燐などの化合物を一定の範囲に安定させる。これは正しく気功養生における調身・調息・調神という三要領の目的と一致している。

臨床医学でも、静座によって疲労を解消させるに伴い、ある慢性疾患に効果的な補助治療の作用を果たし、例えば胃腸炎、肩関節周囲炎、腰腿痛、慢性腎炎、高血圧などはいずれも顕著な効果が見られる。静座は頭暈や卒倒などの発生を効果的に減少させ、特に朝起きの時は心脳血管疾患の多発時間帯に当たり、起床を急いで動きが速過ぎたり激しかったりすると、これらの病症が誘発され易い。

静座の具体的な操作

主に平坐式と盤式(胡坐式)がある。平坐式は初心者に最も多く用いられるが、盤式は静功練習に最も適宜な姿勢であり、更に双盤、単盤、自然盤に分けられる。

① 平坐式:下腿と同じ高さの椅子やベンチの座面の前方1/3に坐って深く座らない。両膝を90度に屈曲させ、両脚は肩と同じ幅に開いて平らたく地面に置くか、左脚を右脚の足背に乗せる。

② 自然盤:両側下腿を交差させ、両脚を反対側の大腿の下に置く。比較的に簡単な姿勢であるが、両膝が座面につかず浮いているため、身体が不安定で歪み易い。

③ 単盤:左脚を右側大腿の上にかけ、右脚を左側大腿の下に置く。左膝が座面に着かないため、時間が長くなると身体が左側に歪み易い。

④ 双盤:筋骨が比較的に柔らかい方に適している。左脚を右側大腿の上に乗せ、右脚を左側大腿の上に乗せる。この際、両側の足裏が上に向く、両側の下腿が交差して三角形を呈している。両膝が座面にしっかり着いているため、身体の姿勢が自然に端正で、前後や左右に歪まない。

上記の諸姿勢から自分に相応しい座り方を取ってから、全身各部を整えていく。上半身は真っ直ぐに伸ばして腰を伸展させ、臀をやや後方へ突き出してもよい;頭頸を端正に直立させて顔を前に向け、両目はやや閉じ、口を閉じて舌先を上顎に当て、下顎をやや引き締める。両腕は充分に緩めておく。両手は手掌を上に向けて重ねて下腹付近の下腿の上に軽く置くか、両肘を外へ開いて手掌を下に向けてそれぞれ大腿の付け根の上に置くか、或いは両腕を自然に下ろして手掌を上に向けて膝の上に自然に置く。他に、立式気功の抱球式または托球式を取ることもできる。

姿勢を揃ってから全身をリラックスさせ、呼吸を自然に整えて心を静めて深く静かに思いを巡らす状態に入る。

静座の操作時間帯

静座は一日中にいつでも行えるが、最もお勧めの時間帯は朝の起床後、昼の食事後、夜の就寝前である。

朝の起床後は心に雑念が入っていない時間帯で、覚めてから急いでベッドから降りず、先ず静座を行った方が良い。目を閉じて意念を集中させ、36~50回ほど深呼吸を行い、瞑想などで心神を安定させる。その後、ゆっくりと降りて一日の予定に動き出す。

昼の食事後は目を閉じて静座を行うと心神を補える。中医学的には、一日の午前は気血の運化が全て陽気の運動に属し、午後から陰気が生み養心の時間となる。昼食後の11~13時の間に静座を10~30分間ほど行う事で、心神を補うのに大いに役立ち、午後から晩までの精力を充足させ、気血運行の助力となる。

夜の就寝前は静座を行う事で、一部の神経系や消化系の慢性疾患に明らかな治療効果がある。洗顔後、椅子で平坐式か、またはベッドで盤式を取って座り、全身の筋肉を緩め、呼吸を自然に落ち着き、徐々に静かな状態に入り、意念を臍下の丹田に集中させて興奮状態の思惟活動を平静状態に転化させると次第に一種のほろ酔いの様な、有るや無しや(無心?)の境界に入っている。1回で20分間以上をお勧めするが、初心者は短い時間から始めて少しずつ延長していけば良い。

静座養生法は簡単且つ実用で、特別な器具や場所が必要としないし、また老人、身体虚弱者、或いは心脳血管疾患や呼吸疾患の罹病で激しい運動ができない方に対して健康養生の効果が大きい。

会員通信:NPO法人伝統医学教育会事業活動計画(2022年度)

2022年度は引き続き教育活動の講習会と普及活動の健康支援を進展していきたいと思います。

講習会は「飲食薬膳療法の基礎と応用」と「常見病証の針灸治療実技(Ⅱ期)」の二つを予定しており、いずれも感染防止を徹底して実行する予定です。「飲食薬膳療法の基礎と応用」は、健康ブームで多く取り挙げられた時期もありました。当会ではその話題性を避けて伝統性・科学性・実用性の教育方針に基づき、伝統医学の一学科として12年前から2度と講習を行っていました。今年は4月後半に開講し、慣例の年間通しで計8回(4~7月後半と9~12月前半の日曜日午前中)を予定しています。一方、「常見病証の針灸治療実技」は昨年の講習経験を活かし、新たに針灸臨床において常見される6病証を取り挙げ、同じく実用性に重点を置いて実施します。今回も少数人数の設定で、5月後半に開講し、上記「飲食薬膳療法の基礎と応用」講習会の同日午後に行い、計6回で11月前半に終了する予定です。

健康支援は主に会員の皆様のために行っていきます。ホームページを通じて健康情報を発信するほか、臨床センターにて健康養生法の相談や指導なども催しております。ほかに、状況が可能な範囲で会員限定の特別講座も実施する予定です。

会員通信:NPO法人伝統医学教育会事業活動報告(2021年度)

1、講習会

2021年度の講習会は、6月から12月まで「常見病証の針灸治療実技」を行いました。本講習は梅田会員の希望と協力により実現し、感染防止対策により少数人数の設定で、針灸学校の卒業生・高学年生及び当会の鍼灸師を主として計6名が参加ししが参加されんで汁が淡い赤色になってから、枸杞とました。

針灸治療学(針灸学校では「東洋医学臨床論」に当たる)は実用的な臨床技能を育成するための最も実践的な学科とされています。日本では、東洋科目の西洋化傾向で伝統医学の病証に対して基本概念の認識がはっきりせず、また総合的な辨別分析の考え方も欠けているため、辨証論治の臨床応用は未だに広く普及されていません。更に学校教育では実践に接した臨床実習が不足しているため、臨床現場に入ると患者さんに対応し難く感じる方が多いようです。この現状を踏まえ、本講習は伝統医学教育の実用性に重点を置き、針灸臨床において最も常見される6病証を代表例として取り挙げ、その基本概念を明確にし、病因病機と辨証分型を解明し、治療原則と選穴処方を解説したうえ、具体的な診察技能及び刺針実技を指導しながら、技能練習を行ないました。参加者の皆さんは全て針灸医学の有志者で勉学意志が強く、講習では常に病証に対する認識を充分に理解したうえ、実技も積極的に練習しました。また講習内容を超えた関連する知識と経験も交流でき、明らかに臨床実践の技術能力が高まりました。

2、健康支援

講習会のほか、会員の健康支援活動も引き続き行っています。伝統医学教育会ホームページの会員専用ページにて健康知識を定期的に更新していますので、皆様の健康増進の参考にして頂きたいです。

また、コロナ禍で既に2年ほど会員の年末懇親会を行うことができませんでした。今年3月に感染情勢が安定して皆様との懇親を深めたいと期待していましたが、非常に残念ながら蔓延防止措置の期間延長により開催する事を断念しました。

その代わりとして、長くご支援下さった会員の皆様に感謝の気持ちを込めて健康支援のため、伝統医学的な薬茶を提案しました。事務局で様々な調査、そして試飲を重ねた結果、5種類の薬茶の処方と見本を送付しました。比較的容易に入手できる材料を用いて手頃に作成できるように工夫しましたので、長期に飲用し続けることで健康増進・病症改善の効果を期待しております。今回は先ず在宅時間増加の現状と季節変化の特徴に合わせて健康維持のための薬茶を考案しましたが、今後も季節の変化や社会の情勢に合わせて薬茶処方をお送りします。

健康知識:常に擦ると長寿に繋がる身体の九か所(後編)

5、手掌を擦って強心健脳

両肘を下げて両手の十本指を伸ばして交差し擦る。一度に1分間或いは200回ほど続けて速やかに行うか、毎日の起床後と就寝前に20~30分間ほどゆっくりと行う。

手には生体の臓腑器官と緊密に連係している腧穴が沢山位置しており、表裏関係にある陰陽経脈が手指において交接している。特に手少陰心経と手太陰肺経が循行しているため、手を擦ることで、手掌に循行する経脈を疏通して腧穴に刺激を与えて全身の臓腑を調節し、とりわけ心肺に有益である。研究によると、手を擦る動作は走行より激しくないが、1分間だけ速く擦ることで、明らかに心拍を増加させて汗(心の液であるが、肺が皮毛を調節する)をかく反応が見られ、心肺機能を高める。また人類の手は非常に進化して巧緻運動に適し、手の筋肉と関節の運動は脳の調節に従っているため、手を擦ることは手指の敏捷度を高めるほか、手と脳の反射を強化して健脳作用も果たす。

6、胸郭を擦って理気活血

両手を重ねて手根部を胸骨中央の膻中穴(両側乳頭の中点)に軽く当て、円を描くように擦る。その後、両側の手掌をそれぞれ脇肋に軽く当て、同じく円を描くように擦る。各部位にそれぞれ54回ほど擦り、1日に何度も行う。

伝統医学的には「肺は気を主る」、「心は血脈を主る」とされ、胸は心肺二臓を納め、気血との関係が特に密接である。普段、精神不安で情緒が激動する時に、無意識で胸を擦ったり叩いたりして気分をスッキリし落ち着くことが多いが、実際この胸に対する動作は怒りによる逆気や鬱気を治まるためだけではなく、同時に心肺機能を高めて寛胸理気・調暢気血の効果が得、これによって情緒を調節して精神を安定させる。更に長期に続けていくことにより、胸に循行する任脈、肝・脾・腎の足三陰経、そして足陽明胃経など経絡に刺激を与え、養心益肺・活血通脈・老衰対抗などの作用があり、健康増進で疾病予防の役割を果たす。

7、臍腹を擦って健脾和胃

両側の手掌を交互に用いて臍を中心にして円を描くように腹壁を擦り、それぞれ時計回り方向と反時計回り方向に36回か54回ほど行う。その後、両手を温かくなるまで擦ってから重ねて臍中央に当て(男性には左手を下に、女性には右手を下に置く)円を描くように腹壁を揉み、それぞれ時計回り方向と反時計回り方向に36回か54回ほど行う。

伝統医学的には、「脾は運化を主る」、「脾胃は気血生化の源と為り」とされ、腹は脾に属し、「気機の枢」中焦に当たり、生命の後天根本である脾胃の所在である。脾胃不調で脾が健運を失って胃が和降を失うと、気血が不足して身体虚弱になるか、鬱滞させて肥満になる。また臍を人間の先天的な供養通路とし、生体を補養する任脈・衝脈・帯脈などが近くに順行している。腹を擦ることは、健脾和胃の効能を持ち、飲食物の消化吸収と気血の運化などを促進し、生体は充足な栄養を得られ、気血積滞による肥満も解消させ、健康強壮・養生長寿に繋がる。また毎晩の就寝前に行うと、腹筋への刺激により腹部の自律神経節及び血液循環及び・リンパ循環を調節することもでき精神状態を整えて睡眠を改善する。

8、腰骶を擦って補腎壮腰

両手を温かくなるまで擦ってから、腰両側の腰眼穴(第4腰椎棘突起両側3~4寸陥凹部)に当て、暫く温めてから下方へ尾骨端の長強穴(尾骨端と肛門との中点)まで、上下方向に54回か81回ほど擦る。1日に朝晩2回行う。

また風寒や寒湿や過労による腰痛の場合は特に腰眼穴の按揉をお勧めする。両手の拇指と四指を開き、四指を前方に、拇指を後方に両側から腰に当て、拇指がほぼ腰眼穴に当たり、ゆっくりと50~100回按揉する。拇指の代わりに両拳を用いても良い。

伝統医学的には「腰は腎の府なり」とされ、腎は「先天の本」として精を蔵している。過労や加齢に伴って腎気が消耗されて虚弱になり、腰脊冷痛・筋骨変形などの病症が多く見られる。腰骶を擦ることで、局所の毛細血管を拡張させて腰筋を強化すると同時に、腎陽を温煦させて腎精を固摂させ、養生長寿の役割を果たす。腰眼穴は、腰を環状に巡って縦行する帯脈に位置しており、帯脈は諸経脈を制約してそれらの連係を強化する作用を持ち、腰脊疼痛・腹部脹満などの病候を主るため、腰眼穴の按揉は帯脈を疏通させて気血を調暢させ、補腎固精・強壮腰脊の効果がある。

9、足底を擦って強身長寿

毎日の就寝前と起床後に、両手を温かくなるまで擦ってから、一側の手で同側の足背を支え、反対側の手を用いて足裏を前後に36回か72回ほど擦り、この時、気持ちよく感じる中等度の力で行うと足が温かくなる。夜には40℃くらいのお湯で足浴し、脚が赤く手が温かくなってから行うと、もっと効果的である。

老人の足底が乾燥する場合はオイルを数滴垂らしてから擦る。また足が怠く痛い場合は、焼酎などの蒸留酒を少し濡らしてから行うと活血止痛の効果が高まる。足底を擦った後、直ぐに床を踏むや歩くことをしないように、15分ほど休んでから動く。

人体を樹木に喩えると、足は木の根に当たる。木の根が枯れると、枝も葉も枯れて落ちてしまう。伝統医学的には、足は肝・脾・腎の三経脈が循行し始まる所として、生体の根本とされ、特に足心と足根は「先天の本」である腎に属する。また足は「第二の心臓」と言われるように、足の末梢循環は全身の循環に大きく関連している。足底を擦ることで、局所に活血通絡の効果を果たすほか、補腎固精の作用を持つ上、養心安神・健脾益気の効能もある。長期に続けていくと血圧安定・不眠改善、そして人体の免疫強化にも繋がる。