健康知識:冬至時節における艾灸養生技法

天候が一気に冷え込み、小雪・大雪も過ぎて冬至になろうとしている。冬至は一年中で最も陽気が少なく陰気が多い時節であり、人体も自然界に従って陰盛陽衰の状態になっている。この時期は陽気保養が最も重要な養生原則である。そのため、飲食調節や日光浴など様々な方法が挙げられるが、最も効果的な方法として艾灸法をお勧めしている。

艾灸法はヨモギなどを体表の経穴に据えて焼灼することで、灸火の温熱刺激及び艾草の薬理性能を以て、経絡の伝導によって体内の臓腑まで到達し、臓腑機能を高めて陰陽気血を調節し、扶正祛邪・防病治病の作用を果たす。艾草は温経散寒・祛風燥湿・行气活血などの効能を持つため、陰盛陽衰の冬至時節において保健養生の温灸が最も相応しく、特に痩弱虚損や陰寒凝滞などに対し、艾灸法は独特な効果をもたらす。

当会会員専用ページにて2017年12月に公開した「保命之法、艾灸第一」の健康知識で、艾灸法の効果を解説して保健養生の温灸に常用される経穴を紹介している。また昨年出版した《針灸臨床実用参考書 経穴の定位と技法》の教科書に経穴の灸法を詳細に記述してあるが、ここでは艾灸法の操作技法及び注意事項について説明する。

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健康知識:秋季における菊花の応用

今年の天候は特に異常で、夏の暑熱と湿気が厳しく長引き、立冬になってようやく涼しくなり、急に深秋らしくなっている。少し雨が降ったとしても気候の特徴はやはり乾燥を主としている。「天神一合」と言われるように、人体も自然界の影響を受け、口舌が乾燥したり、眼精がゴロゴロしたり、皮膚もカサカサしたりすることが多く、いわゆる秋燥のことである。こんな時は菊花をお勧めする。

菊花は、その清熱降火の性能及び他の食材との組合せにより秋季の乾燥から我々を守ってくれる。

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健康知識:秋季第一の補養食 お粥

秋季は補養を最も重要な養生原則としている。しかし夏季の炎熱酷暑による消耗を経て、脾胃機能の低下が多く見られるため、滋陰補益の効果を発揮すると同時に、脾胃に負担を掛けてはならない。このような時、お粥は最も相応しい。

お粥は「糜」とも言い、米、粟、玉蜀黍、豆類などの食糧を煮込んでできた粘液状の流動食物を指す。東洋飲食文化の精粋の一つとして4,000年以上の歴史を持っており、2,500年前から、養生や治療において薬用として使われ始めた。中国最古の礼儀制度に関する儒学経典《礼記》には「仲秋之月養衰老,授幾杖行,糜粥飲食」と記載してあるように、お粥は秋季補養の逸品である。清代名医・王士雄もお粥を「世間第一補人之物」と讃えている。秋季においてお粥を食すと、様々な効果が期待できる。

ここでは、秋冬季節に相応しい保健養生のお粥を幾つか紹介する。

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健康知識:秋季における潤肺止咳の宝 梨

ようやく秋らしくなり、自然界では「燥」が主気となっている。人体も燥邪に影響されて口咽乾燥、鼻孔乾燥、皮膚乾燥、咳嗽などが現れ易い。この様な症状は旬の果物である梨を用いて緩解することができる。「一梨潤三秋」と言われるように、梨は甘酸っぱくて果汁が豊富で、乾燥する秋季において水分と栄養素の補充に適している。

現代研究によると、梨は栄養豊富であり、水分の含有量が高く、生体の水分摂取量を増加させて健康維持に有利である。ほかに、糖質、食物繊維、多種のビタミンやミネラルなども含有する。

中医学的には、梨は甘・微酸・涼の性味で、肺・胃・心に帰経する。

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健康知識:夏季における生姜の応用 続編

生姜は台所の必需品として常備されているが、臨床における常用薬としても重要である。その性味は微温・辛で、肺・脾・胃経に帰経し、発汗解表・温肺化痰・温中降逆・解毒の効能を持っている。《本草綱目》には「姜,辛而不葷,祛邪避悪,生啖熟食,酢、醤、糟、塩、蜜煎調和,無不宜之。可蔬可和,可果可薬,其利博矣。」とあり、生姜の性能特徴と薬食価値を説明している。夏季の炎熱蒸騰の自然特徴に応じて人体の陽気も体表に昇発して体内に陽熱が逆に少なくなって寒冷内生を起こし易い。そのため、夏季には温熱性質の生姜を食用することで、健康維持に役立ち、更に一部病症の治療または緩解に繋がる。

昨年初夏に「夏季における生姜の応用」を紹介したことがあるが、ここで他の生姜の応用方法を紹介する。

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健康知識:三伏天養生の五大要点

本日より三伏天に入った。今年も閏中伏で、7月15日から24日までの初伏、7月25日から8月13日までの中伏、そして8月14日から23日までの末伏からなって計40日間にわたる。

三伏天は一年中で最も気温も湿度も高い時期であり、人体もこの自然界の陰陽変化に従って大きく変動している。日頃は防暑降温に注意を払い、飲食と起居を合理的に配置して酷暑から生体を守らなければならない。

三伏天の時期において下記の五大要点から養生に手を入れて欲しい。

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健康知識:夏季に最も重要な睡眠時刻二つ

立夏を過ぎて気温が少しずつ上がり、万物が栄えて茂っている。この時節から自然界の陽気が徐々に生長して陰気が徐々に減弱する。生体も自然に従って陰陽の盛衰消長が変化しており、心気が強くなって肝気が弱くなる。この頃から逆上せ易くなり、これによって体力も消耗されて疲れを多く感じるる。特に夜間の睡眠が不安定になって朝も早く醒め易い。全て体内の陽気が盛んになってきた現れである。また夏は暑熱から津液を消耗するに伴って気の漏洩も考えられ、常に疲労倦怠、眠く感じる。体力保養・疲労解消のためには睡眠が非常に重要である。

《黄帝内経》には「夏三月,此謂蕃秀,天地気交,万物華実,夜臥早起,無厭于日,使志無怒,使華英成秀,使気得泄,若所愛在外,此夏気之応,養長之道也。逆之則傷心,秋為痎瘧,奉収者少,冬至重病。」という養生原則が記されてあるが、夏季は陽気が盛んになって暑熱の擾乱で心神が安定し難いため、遅寝早起きをお勧めしている。当然、睡眠不足の状態にしてはならず、不足の睡眠は昼寝で補足できる。一日の中で、下記の二つの時刻は睡眠に最も重要であるため、効率的に応用して欲しい。

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健康知識:気力不足の認識と対策

中国の古書には「一年の計は春に在り、一日の計は朝に在る」という言葉があり、春と朝は陽気が増長する時で、万物は生気溢れ、一年や一日のためにしっかり計画して基礎を築かなければならない。しかし、こんな時期になっても、どうしてもやる気が出ない、何となく気力不足などを感じている方が多い。普段でも動きたがらず、少し動いただけで直ぐに疲れる、話したがらず、話しても声が低い、更にいつも倦怠無力感、物事に無関心で、まるで怠けているように見えて自分でも情けない感じで悩んでいる。実際、このような方の大半は怠け者ではなく、身体が弱いからである。

中医学では、この気力不足の状態を気虚と言う。身体の気が足らないため、疲れて怠け、やる気が出ないわけである。先天的の素因もあるが、往々にして長期にわたる不良な生活習慣から生体の気を損耗して気虚を来たし、臓腑の機能活動も低下する。

気虚は発生部位により主に心気虚、肺気虚、脾気虚、腎気虚に分けられる。ここでそれぞれ異なる発病原因と病状特徴を解説し、治療方針と対策方法を紹介する。

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活動案内:「整体推拿療法の実技と応用」講習会案内

中医推拿療法は中国伝統医学に基づいた按摩療法の事を指し、古来養生保健と疾病の予防治療の重要な手段となっている。推拿療法は操作が簡便且つ安全で、明らかな即効性を持つなどのメリットにより、医薬不足の古代だけでなく、自然療法重視の 現代社会でも益々注目されている。整体推拿療法は推拿療法の一部で、人体を一つの全体として考える前提に立ち、生体機能を整えるという意味があり、中国伝統医学の整体観念という基本的な特徴に対応している。

中医推拿療法は長い発展歴史から技法も数多くて応用も様々であるため、初心者は系統的に把握するのが難しく、更に基礎技法を臨床実践まで確実に活用できない事が現状とされている。

今回の講習は推拿療法に関連する人体解剖基礎や経絡腧穴知識などの基礎理論を要略的に講義した上、繁雑な推拿実技を実用的にまとめて基本手法と応用要領を講習し実習し、更に長年の臨床と教育の経験に基づいた整体推拿の施術方法を伝授する 予定です。いち早く臨床実践に即していけるように期待している。

また、講習終了時には特定非営利活動法人伝統医学教育会の修了証書を授与する。

 

日 程:全8回 月1回 午後14時00分~16時30分(計20学時間)

① 06月16日 整体推拿療法概説;人体解剖学概要;推拿手法実技;

② 07月21日 人体解剖学概要;推拿手法実技;

③ 09月08日 経絡腧穴学概要;推拿手法実技;

④ 10月06日 経絡腧穴学概要;整体推拿療法の施術要領;

⑤ 11月10日 頭頸部の推拿施術実技;

⑥ 12月08日 背腰部の推拿施術実技;

⑦ 01月19日 胸腹部の推拿施術実技;

⑧ 02月09日 四肢部の推拿施術実技。

場 所:東京都千代田区外神田6-4-5-401  NPO法人伝統医学教育会事務所

交 通:東京メトロ銀座線末広町駅4番出口 千代田線湯島駅5番出口より徒歩5分

JR御徒町駅・秋葉原駅・御茶ノ水駅より 徒歩10分~15分

定 員4名以上で開講 6名まで

費 用:70,000円(当会会員は5,000円割引、分割払い可)。

教科書「整体推拿療法」は別途5,500円(当会会員は割引後4,500円)。

振込先:特定非営利活動法人伝統医学教育会

郵便貯金総合口座 10100-55927971

ゆうちょ銀行 〇一八店 普通預金 5592797

申込み:NPO法人伝統医学教育会事務局  FAX 03(5816)5235

締切り:2024年6月1日(土)まで

健康知識:息を深く長くすることで健康養生

人間は、赤ちゃんとして母体から離れて産声を発して息が始まって自ら生命活動を営み始めるが、最期に息を引き取ることで生命活動の終止を示している。呼吸機能は生命活動の基本的な指標である。「人は一息で活きる」と言われるように、人間の生命は気によって営んでおり、生命活動自身は気の運動の一種である。健康の時には元気が充足し、病弱の時には息切れや息苦しいなど呼吸困難が現れてくる。

中医学的には、生体の気は肺に吸入された自然界の清気、及び脾胃に運化された飲食物の穀気から生成されている。脾胃による消化機能は確かに健康維持の基本であるが、肺による呼吸機能も健康増進の重要な素因である。気功養生療法では「調息」(息の調節)が非常に重要な要素とされている。

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