健康知識:大根の皮の特別な応用価値

秋から冬にかけて旬の野菜である大根はとても美味しく食卓で不可欠な存在だと言える。また健康食材としても数えられ、理気解鬱・消食化痰の薬効を以て鬱気を解消して消化を促進し、消化不良、腹部脹満、咳嗽痰多などの病症に用いられる。

しかし日頃調理する際に、殆ど大根の皮を剥いて捨てることが多い。昔から大根の皮を漬物にして食べることがあるが、更に薄切りして塩、お酢、胡麻油で調味して和え物の一品としてあっさりと美味しいし、酒酔いにも効果的である。実際、この大根の皮は沢山特別な応用効果が期待できる。

ここでは幾つの応用方法を紹介する。

1、腹脹解消

長い在宅で、つい食べ過ぎてしまい、腹部脹満の不快感が現れることがあるが、一枚の大根皮さえあれば、簡単に解消できる。

方法:大根の皮をコインの厚さ、クラッカーの大きさに切り、沸かしたお湯の中に1分間ほど通し、大根の皮の裏面を臍に貼り付け、更に絆創膏で固定しておく。食後に1時間ほど貼り付け、1日三回で、一週間で消化不良による腹脹を解消する。

2、皮膚潤滑

大根にはビタミンAとCが豊かに含まれ、黒色素の生長を効果的に抑制して美白の効果を持つほか、皮膚のかさつきや面皰などを改善させる。洗顔するとさっぱりとした感じになり、滑々して柔らかくなる。

方法:大根の皮を磨り潰し、汁に適量のぬるま湯を加えて洗顔する。

3、偏頭痛緩解

大根には芳香族アミノ酸が含まれ、頭部の血液循環を改善して血管抵抗を減少させ、これによって頭暈や偏頭痛などを緩解する。

方法:大根の皮を盃口の大きさのスライスに切り、両側の顳顬(こめかみ)にある太陽穴に20分間ほど付ける。病状に従って回数を決める。

4、足根痛緩解

大根の皮は含有する芳香族アミノ酸の血液循環を改善する作用により、偏頭痛と同じように足跟痛も緩解する。

方法:大根の皮を鍋で煮込んでからできればガーゼ布で包み踵に貼り付ける。冷めたら鍋に入れて温めて再度踵に付ける。30分間ほど繰り返していくと、足根の疼痛が大分緩解できる。

5、足消臭

大根には食物繊維のほか、カルシウム、燐、鉄、カリウム、ビタミンC、葉酸などが豊富であり、免疫力を効果的に強化して病気抵抗力を高める。

方法:大根の皮を水で煮込んでから、両脚を洗う。毎晩1ヶ月ほど続けていくと、足の臭みが解消できる。

健康知識:冬季に必要な九つのお粥献立

お粥は人間の最も原始的な調理法による食物と言われており、煮込むことにより食物の栄養成分を効率よく吸収し易いため、滋養作用の高い食物調理法だと言える。王孟英の《随息居飲食譜》には「粥飯為世間第一補人之物」と記載されているように、お粥は生体を補う最も効果的な食物である。冬季は一年の中で万物が休養する重要な季節で、補益が養生要旨とされているため、お粥を食するのに適切な時期である。

今年の真冬は例年より寒いので、普段の食卓にお粥を多めに取り入れると、益肺潤燥・健脾補腎の養生価値が期待できる。ここでは冬季に相応しい九種のお粥を紹介し、身体温補の目的を図って健康的に極寒を乗り越えて欲しい。

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健康知識:冬季に必要な九つのお粥献立

お粥は人間の最も原始的な調理法による食物と言われており、煮込むことにより食物の栄養成分を効率よく吸収し易いため、滋養作用の高い食物調理法だと言える。王孟英の《随息居飲食譜》には「粥飯為世間第一補人之物」と記載されているように、お粥は生体を補う最も効果的な食物である。冬季は一年の中で万物が休養する重要な季節で、補益が養生要旨とされているため、お粥を食するのに適切な時期である。

今年の真冬は例年より寒いので、普段の食卓にお粥を多めに取り入れると、益肺潤燥・健脾補腎の養生価値が期待できる。ここでは冬季に相応しい九種のお粥を紹介し、身体温補の目的を図って健康的に極寒を乗り越えて欲しい。

1、羊肉粥

羊肉200g、綺麗に洗って角切りにし、大根と一緒に煮込んで生臭みを取り除く。大根を取り出してから、羊肉汁にお米を150g加えて柔らかくとろみが出るまで煮込み、適量の青葱や醤油または塩胡椒などで調味して食する。

羊肉は温熱の性質で脾・胃・腎に帰経し、健脾温腎・補益気血の効能を持ち、特に温養脾腎の効果が高い。また高蛋白で低コレステロールの食物の一つと数えられる。冬至の時から多く食することにより、益気補虚・温中暖下の作用を果たし、脾胃虚寒による肢冷不温・神疲無力、腎陽不足による腰膝酸軟・畏寒頻尿など脾腎虚弱の者に適している。

2、高麗人参粥

高麗人参3gをお水と一緒に土鍋に入れてとろ火で20分間煎じ、更に100gのお米を加えて柔らかくとろみが出るまで煮込み、適量の蜂蜜または氷砂糖で調味してから食する。

高麗人参は甘・温・微苦の性質で肺・腎に帰経し、大補元気・固脱生津・安神益智の効能を持ち、労傷虚損で元気虚衰の重篤証候及び気血津液不足の全ての病証に第一選択の温補薬材とされている。高麗人参粥の食用は、大病久病や年老腎虚による体調虚弱、脾胃虚弱による食少便溏・倦怠無力、肺気虚損による咳嗽喘息、気血虚損による自汗眩暈・不眠健忘などに適しているが、また心脳血管疾患の患者に対して効果的である。

3、竜眼粟の粥

竜眼肉15gを綺麗に洗って粟100~200gと一緒に煮込み、強火で沸かしてから弱火で柔らかくとろみが出るまで煮込む。

竜眼は甘温の性質で心・脾に帰経し、補益心脾・養血安神の効能を持ち、特に養心安神の効果が高い。粟は甘・咸・涼の性質で脾・胃・腎に帰経し、健脾和胃・益腎利尿・除煩止渇の効能を持ち、補益脾腎作用と同時に竜眼の清心安神作用を強化する。竜眼粟粥の食用は、心脾両虚による精神不安・思慮過度・不眠健忘、気血両虚による顔色無華・頭暈目眩・自汗盗汗、脾胃虚弱による下痢食少・倦怠無力などの者に適している。

4、胡桃粥

胡桃仁20gを綺麗に洗ってから細かく磨り潰し、お米100~200gと一緒に柔らかくとろみが出るまで煮込む。

胡桃は甘・温の性質で腎・肝・肺に帰経し、補腎固精・温肺定喘・潤腸通便の効能を持ち、特に滋補腎精の効果が高い。胡桃粥の服用は、腎虚による腰腿冷痛・耳鳴髪白・多尿遺精、肺虚または肺腎不足による咳喘気短・腸燥便秘などの者に適している。但し、脾胃湿熱または下痢の者は食しない。

5、山薬栗粥

栗50gの殻を剥いて山薬15~30g、棗3~5個、お米100gを一緒に柔らかくとろみが出るまで煮込む。

山薬は甘・平の性質で脾・肺・腎に帰経し、健脾補肺・固腎益精の効能を持ち、先天・後天を共に補益する。栗は甘・温の性質で脾・腎に帰経し、健脾益気・補腎強筋の効能を持ち、山薬の脾腎補益効果を助長する。山薬栗粥の食用は、脾虚による下痢溏便・食少嘔吐・倦怠無力、腎虚による腰膝疼痛無力・多尿浮腫・遺精帯下、肺虚による気喘咳嗽など、特に脾腎両虚の者に適している。但し一度に多食すると、飲食停滞で消化不良の恐れがある。

6、生姜大棗粥

新鮮な生姜または乾燥の生姜6~9gを綺麗に洗って微塵切りにし、お米または糯米100~150g、棗2~4個と一緒に柔らかくとろみが出るまで煮込む。

生姜は辛・温の性質で脾・胃・肺に帰経し、散寒解表(乾燥の者は散寒暖胃)・化痰止咳・止嘔解毒の効能を持ち、主に脾胃虚寒の治療に用いられる。大棗は同じく甘・温の性質で脾・胃に帰経し、健脾和胃・益気養血・生津止渇の効能を持ち、生姜の温補脾胃効果を強化させる。生姜大棗粥を多く食することにより、暖胃散寒・温肺化痰の作用を果たし、脾胃虚寒による腹部冷痛・食少嘔吐・下痢脱肛、風寒感冒による悪寒発熱・頭痛鼻閉、肺気虚寒による寒痰咳嗽・痰飲気喘などの者に適している。但し陰虚体質や妊婦は内熱旺盛の恐れがあるため慎重に食用する。

7、韮粥

お米を柔らかくとろみが出るまで煮込んだ後、適量の韮を微塵切りにして入れ、更に暫く煮込んで食する。

韮は甘・辛・温の性質で肝・胃・腎に帰経し、補腎助陽・温中開胃・行気散瘀の効能を持ち、特に温補腎陽の効果が高い。またビタミンA、B、Cとカルシウム、燐、鉄などのミネラルが豊富である。韮粥を多く食することにより、助陽通絡・補中緩下の作用を果たし、肩背寒冷、腰膝痠冷などの者に適している。

8、人参粥

新鮮な人参50gを小さなスライスに切り、お米200gと一緒に煮込み、強火で沸かしてから、弱火で柔らかくとろみが出るまで煮込む。

人参は甘・平(生の物は甘・涼)の性質で脾・肝・肺に帰経、健脾化滞・滋肝明目・化痰止咳の効能を持ち、特に健脾養肝の効果が高い。人参粥を多く食することにより、健脾胃・助運化・益肝明目の作用を果たし、脾胃虚弱による食少腹脹・食積不化・下痢便秘、肝虚による目乾夜盲・視物不清などに適している。

9、鶏肉ピータン粥

鶏肉200gを小さい角切りしてお水と一緒に土鍋に入れ、スープが濃厚になるまで煮込んでから、鶏肉を取り出してスープにお米200~300gを加えて柔らかくとろみが出るまでとろ火で煮込む。お粥が出来上がりそうな時に、小さく切っておいたピータン2個と鶏肉を一緒に加え、更に生姜、葱、塩などを適量掛けて調味して食する。

鶏肉は甘・温の性質で脾・胃に帰経し、温中益気・補精添隨の効能を持ち、主に気血の補益に用いられる。鶏肉ピータン粥を多く食することにより、補益気血・開胃生津・滋養五臓の作用を果たし、虚弱損耗、大病久病、気血不足、身体羸痩、心悸頭暈、脾虚による食少下痢、腎虚による頻尿水腫・耳鳴耳聾・遺精帯下などに適している。

ほかに、お粥の栄養価値を高めるため、雑穀米の併用が重要である。例えば蕎麦、燕麦(オーツ麦)、玉蜀黍の粉、粟、黒米、はと麦、更に豆類や芋類などが挙げられ、これらの雑穀類食物の摂取により飲食のバランスが取れ易い。但し食物繊維が豊富なため、消化され難くて消化不良を招く恐れがあるため、事前にお水で浸しておいてから調理するか、長く煮込むことをお勧めする。

健康知識:秋冬季節における膝関節の養護

秋冬季節に向けて天気が陰寒性質に変わり、生体の経脈気血の循行が遅くなる。この時期に膝関節の症状が発作し易い。膝関節の症状として、疼痛、発赤腫脹、クリック音、無力感、関節積液や変形などが挙げられる。

膝関節の症状を改善させるためには気血調和が重要な前提となっている。ここでは、活血脈・強筋骨の薬膳料理、及び経絡疏通・気血調暢の膝養護三動作を紹介する。これを参考にして丈夫な膝関節を作ろう。

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健康知識:秋冬季節における膝関節の養護

秋冬季節に向けて天気が陰寒性質に変わり、生体の経脈気血の循行が遅くなる。この時期に膝関節の症状が発作し易い。

膝関節の症状として、下記が挙げられる。

① 疼痛:膝関節の症状に最も多く見られる。「不通則痛」と記されている通り、経絡気血の停滞で痛みが生じる。痛みは動くと増悪し、休むと緩和するが、捻挫や寒冷や過労などを伴う場合は痛みが激しく、更に自由に動けなくなる。

② 発赤腫脹:膝関節内における滑膜の過形成と積液の蓄積で関節の腫脹と発赤が起こされる。初期では寒冷や外傷によって来されるが、進行していくと慢性的な腫脹が続くこともある。

③ クリック音:運動中に音の出る現象が多く現れ、関節軟骨が磨り減って関節面が滑々ではなくなったと考えられる。歩く時や立ち上がる時に、関節が引っ掛かって動けず、屈曲など関節を緩める運動を何度も試し、クリック音が出てからはじめて自由に動ける。

④ 無力感:歩行中、特に階段を降りる時に膝が弱くて力が入らず、激しい時に転倒する現象も見られ、多くは疼痛を伴う。また長時間座ると関節「癒着」の現象もあり、即時に運動ができなくなる。

⑤ その他:軟骨の破壊や滑膜の過形成などにより膝関節は完全に伸展・屈曲ができず、しゃがむ動作や重い荷物も持てなくなる。更に膝関節の炎症進展に従って関節変形や奇形(X脚やO脚など)も現れる。

膝関節の症状を改善させるためには気血調和が重要な前提となっている。ここでは効果的な薬膳料理と養生動作を紹介する。

1、生姜炖鶏肉(若鶏の生姜煮込み)

鶏肉は温中益気・補虚填精の効能を持ち、また生姜は辛温発散の性能で活血祛寒の効能がある。両者の併用により、血脈疏通・筋骨増強の作用を発揮して膝関節の寒湿瘀滞を取り除く。

[材料]雄の若鶏(初めて鳴き声を出した雄の若鶏→童子鶏がベスト)1羽、生姜100~200g、サラダ油、食塩、料理酒(紹興酒がベスト)。

[方法]鶏肉と生姜を小さく角切りしておく。お鍋にサラダ油を入れ、熱くなったら鶏肉と生姜を入れて強火で炒め、料理酒を加えて火が通るまで10分間ほど蒸し、食塩を振ってお皿に盛り付ける。1日以内に食し、1~2週間おきに1回。

2、膝養護三動作

膝関節の壮健を作るために、適宜な運動の必要があり、適宜な運動を行う事で膝関節の退化性病変を防ぎ、骨密度の増加を図る。但し運動方式が重要であり、散歩や水泳などの優しい運動をお勧めするが、階段上りやランニングや山登りなど過剰な運動は膝関節の負担を増やし、諸症状が増悪する恐れがある。下記の三動作は経絡疏通・気血調和の作用があり、下肢の血液循環を促進して膝関節の養護に大いに役立つ。

(1) 下肢摩擦:椅子に座り、両側の手掌を用いて大腿の付け根から足首まで擦る。個人状況にもよるが、1日に20~30回行う。これにより、盛んな気血を大腿下腿の筋肉に注がせ、筋力を増強させて骨格も強壮になる。

(2) 下腿挙上:椅子に座り、両側の下肢を交互に上げ、水平位置で十数秒間止める。1日20~30回行う。下肢を真っ直ぐに進展させると、大腿四頭筋が十分に収縮でき、筋力強化に伴って骨格も強くなる。

(3) 膝蓋按揉:膝を軽く曲げ、両側の手指を用いて経穴を按える。それぞれ示指を内膝眼穴(膝関節の内下方にある陥凹部)に、中指を外膝眼穴(膝関節の外下方にある陥凹部)に、拇指を血海穴(膝蓋骨内側縁の上方3横指)に、環指または小指を梁丘穴(膝蓋骨外側縁の上方3横指)に当て、膝蓋骨を掴むように直接経穴を揉んで按える。更に動作を強化するために、両側の拇指を用いて内膝眼穴と外膝眼穴を再度刺激することもできる。1日に朝晩2回で、1回に5~6分間行う。少し力を強く揉むことで、膝蓋骨軟化に効果的である。

膝養護三動作は一度で直ぐに病状を治すことは無く、長期に続けてはじめて効果が現れてくる。これを参考に適宜な養生動作を行うことで、丈夫な膝関節を作ろう。

健康知識:久坐腰傷を避ける腰部養護動作

新型コロナウイルス感染が長期化する情勢で、不要不急の外出を避けるほか、在宅勤務なども推奨されており、こんな状況はこれからも長引いていくと予想される。

家に居てどうしても長く座り続けがちである。長時間、座ったり立ったりする場合は、腰椎への圧力が大きく、腰筋も緊張が続くため、この状態を長期に繰り返していくと慢性腰筋損傷や腰椎間板ヘルニアなどの疾病に罹り易い。腰椎病変予防の最も簡単な方法として、長時間に同一姿勢を持続せず、適度な運動及び充分な休息を保たなければならない事が重要である。

ここでは、腰部養護の四動作を紹介する。毎日仕事の合間に行うと、腰部の疲労が解消される。また長く続けることで、腰部の関節と筋肉を調節する効果があり、慢性腰筋過労損傷や腰椎・腰椎間板病変を予防する事もできる。

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健康知識:久坐腰傷を避ける腰部養護動作

新型コロナウイルス感染が長期化する情勢で、不要不急の外出を避けるほか、在宅勤務なども推奨されており、こんな状況はこれからも長引いていくと予想される。

家に居てどうしても長く座り続けがちである。長時間、座ったり立ったりする場合は、腰椎への圧力が大きく、腰筋も緊張が続くため、この状態を長期に繰り返していくと慢性腰筋損傷や腰椎間板ヘルニアなどの疾病に罹り易い。腰椎病変予防の最も簡単な方法として、長時間に同一姿勢を持続せず、適度な運動及び充分な休息を保たなければならない事が重要である。

ここでは、腰部養護の四動作を紹介する。毎日仕事の合間に行うと、腰部の疲労が解消される。また長く続けることで、腰部の関節と筋肉を調節する効果があり、慢性腰筋過労損傷や腰椎・腰椎間板病変を予防する事もできる。

1、腰部按推

[方法]真っ直ぐに立って身体を正面に向ける。

両手は拳を握り、示指の中手指節間関節を用いて手が届く高さの腰椎両側に当てておく。吸気時に腹部の方向へ垂直に按圧して痠感や脹感(怠くて張った感じ)が現れるまで行う。その後、呼気に伴って腰を徐々に伸ばし、手の関節は腰部体表から離れず、按圧しながら上方から下方へ骶骨まで推し下ろし、同時に腰を後方に伸展する。

計3回繰り返す。

[注意]先に按圧して後に推し下ろし、腰は手の按推に伴って真っ直ぐまで伸ばす。

2、腰部回転

[方法]椅子に座って身体を正面に向ける。

左手で左側の背もたれ上部を握り、右手は左側の大腿外側に当てて固定する。呼吸時に腰を最大限に左側へ回して10秒間ほど保持してから、吸気に伴ってゆっくりと正面に戻る。その後、呼気に伴って右側に変えて同様に行う。

左右交互に10回繰り返す。

[注意]上半身を真っ直ぐにし、腰を回す時に下肢は動いてはいけない。

3、腰部牽引

[方法]椅子に座って身体を正面に向ける。

両手の十指を交差させ、吸気時に手掌を頭上に向けて上方へ押し上げ、同時に身体も上方へ引き延ばし、最大限になったら、1秒間ほど止める。呼気時に身体を一側に倒し、最大限になったら1秒間ほど止め、吸気時に正中に戻る。その後、呼気に伴って反対側に変えて同様に行う。

左右交互に5回繰り返す。

[注意]上方へ押し上げて腰部に伸ばされた感じが現れてから、左右の側屈を行う。

4、両手攀足

[方法]椅子に座って身体を正面に向ける。

呼気時に腰を前屈させ、胸をなるべく大腿部に付くようにし、両手は両踝を掴み、最大限になったら5~10秒間ほど止めてから、ゆっくりと腰を戻す。

連続して10回繰り返す。

[注意]膝関節は90度屈曲するが、難度が高くするために真っ直ぐに伸ばしても良い。

健康知識:秋分後の経穴を用いた心肺養護

立秋から秋季に入ったが、初秋は残暑で夏のように暑くて殆ど涼しく過ごせない。秋分は秋の季節を均等に分ける時節であり、秋分を過ぎると秋が急に深まり一気に寒気襲来し、身体が付いていけないことが多い。

秋が深まることにより、人体は上焦の肺と心の二臓が特に弱くなり易いため、大事に養護しなければならない。

ここでは、肺気養護と心神養護に役立つそれぞれ三経穴の操作方法を紹介する。

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健康知識:秋分後の経穴を用いた心肺養護

立秋から秋季に入ったが、初秋は残暑で夏のように暑くて殆ど涼しく過ごせない。秋分は秋の季節を均等に分ける時節であり、秋分を過ぎると秋が急に深まり一気に寒気襲来し、身体が付いていけないことが多い。

秋が深まることにより、人体は上焦の肺と心の二臓が特に弱くなり易いため、大事に養護しなければならない。

1、三経穴を以て肺気養護

五行学説によると、秋の気は燥を特徴とし、人体の肺に繋がる。中医学的には、肺は呼吸を司って全身の気を主り、皮毛腠理(体表)を調節するとされており、「嬌臓」と呼ばれてデリケートなため、風・寒・暑・湿・燥・火熱など多く外邪に侵襲される。秋季では特に自然界の燥気によって病を起こされ易い。下記の三経穴を用いて肺気を強める。

① 迎香穴の按揉

鼻は肺の竅で、肺の門戸である。秋季になると鼻粘膜が敏感になり、風邪燥邪の侵襲で嚏・鼻水などの症状が現れ易い。迎香穴の按揉で鼻竅を通暢させて呼吸系の病邪抵抗能力を高める。

[方法]両手の拇指球部に少しクリームを付け、鼻翼両側の迎香穴から上迎香穴にかけて36回ほど擦る。少し早く行うが圧力を強くしない。1分間ほどで局所が温かく感じる。

鼻閉・鼻痒・嚏などの状況も緩和させるが、また毎日3~5分間を行うことで、感冒予防・鼻炎緩解のほか、脾胃の気を上方へ引き上げる効果も果たす。

② 大椎穴の揉擦

大椎穴は人体において陽の部位に位置し、また諸陽経が集まる場所であるため、陽中の陽とされている。大椎穴の揉擦で全身の陽気を振奮させて生体の防御機能を高める。

[方法]両側の手掌を擦り合わせ、熱くなったら項部の付け根にある大椎穴に当て暖まる。その後は左右の方向へ36回ほど擦る。

ほかに、温灸法を行うことも大変効果的である。

③ 中府穴の点按

中府穴は手太陰肺経の募穴で、主に肺気に繋がって肺臓を調節する。従来肺臓が弱いか、肺臓に持病を持っている方は、中府穴の点按で肺気を調節して防御力と抵抗力を高める。

[方法]一側の手を腰に当て、反対側の示指中指薬指の指腹を用いて鎖骨下縁に沿って外側へ擦り、肩関節の内側に止まる処(鎖骨下窩)から更に下方へ約拇指1本の幅に下がって中府穴に当たり、時計回りと反時計回りの方向へ36回ずつゆっくりと按えながら揉む。

2、三経穴を以て心神養護

秋分を過ぎると、陽気が明らかに収まる。秋風が吹いて花木が枯れてしまい、特に黄昏の夕日を見ると、何となく胸が塞ぎ込んで憂鬱な悲しむ気分が出るのは、どうしても避けられない。秋季の抑鬱を解消させ、神気を納めて神志を安定させることはとりわけ重要である。下記の三穴を用いて心気を整える。

① 膻中穴の按揉

膻中穴は胸部の中央に位置して気の会穴とされ、上焦心肺の気を調節して解鬱効果を果たす。

[方法]拇指指腹または拇指球部を用いて両側の乳頭連接線中点(前正中線上で第4肋間と同じ高さ)にある膻中穴に当て、やや痛怠く感じる程度で力を強く入れ、時計回りと反時計回りの方向へ36回ずつ按えながら揉む。

また按揉後に適量の胸を広げる運動を行うと、寛胸理気の効果を高める。

② 極泉穴の弾撥

極泉穴は手少陰心経の体表起始穴であり、心気を調節して神志を安定させ、憂鬱気分を解消できる。

[方法]一側の中指または拇指の指先を用いて反対側の腋窩頂点にある極泉穴に当て、大きな筋を前方へ弾くと感電感が上腕と手掌の尺側まで響く。

③ 神門穴の点按

神門穴は手少陰心経の原穴であり、心気保養の効果が強い。心気の充足で心神が安定でき、精神状態も落ち着く。

[方法]一側の拇指指尖を用いて反対側の手関節手掌面尺側の豆状骨突起にある神門穴に当て、爪先で豆状骨の橈側際に抓って左右36回ずつ按える。

 

健康知識:百会穴 毎日触ることで健康長寿

百会穴は「陽脈の海」と言われる督脈に属し、頭頂部の中央に位置して人体の最高点となり、天の気に通じる処とされている。天は陽に属しているため、百会穴は人体において陽気が最も盛んになる部位と言える。

また百会穴で交会する督脈と足太陽膀胱経は共に直接脳に通じている。脳は「髄の海」となり、人体の神志機能の根本的な所在であるため、百会穴は神志に最も深く関連すると考えられる。

ここでは、百会穴の意味と定位、効能主治、日常応用、施術操作、そして応用注意について紹介し、健康増進に役立って欲しい。

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