三伏天に入りました。今年も過去4年に続き40日間に渡っています。初伏は7月12日から21日の10日間、中伏は7月22日から8月10日の20日間、末伏は8月11日から20日の10日間となります。中医学の「冬病夏治」という特色的な治療法を施す時期になりました。
冬季の寒冷期間になると、身体の持病が急に再発したり、増悪したりしますが、夏季の暑熱期間になると、これらの病症が徐々に軽減したり、緩和したりします。中には、繰り返して発作する感冒、慢性咳嗽、喘息、慢性咽頭炎やアレルギー性鼻炎、凍瘡、肩凝り、リウマチ性筋骨関節の冷えと痛みなどが挙げられます。
三伏天の期間は人体の陽気が最も旺盛であり、体内に凝集している寒気が解け易い状態になっています。この時期に補虚助陽・温裏散寒の性質の食物薬物を用いることで、自然界の陽気を兼ねて体内の伏している陰寒の邪気を追い払って体内に蓄積している寒邪宿病を取り除くに伴い、虚寒体質の方が虚弱する陽気を補益し調節し、生体の免疫機能を高めて一年間の疾病抵抗能力を増強することができます。
相応しい飲食薬膳を用いた調節補養は半分の労で倍の効果が上げられ、病状の進行を抑えて再発を止めます。先ず特に何かの病症を持っていない方には、乾姜紅茶という飲料をお勧めします。乾燥した生姜の煮込み汁に紅茶を入れて飲用することで、陽気を疏通させて冬季の風寒感冒を予防することができます。
ここでは冬病夏治の飲食処方を紹介しますので、それぞれ身体の状態に応じて利用して下さい。
① 慢性気管支炎――緑茶ゆで卵
緑茶15g、卵2個、お水を500mlほど加えて卵白が固まるまで茹で、殻を剥いてから更に水分が乾くまで茹でて卵を食用する。
肺陰虚型の慢性気管支炎、気管支拡張、気管支喘息に適応する。
② 慢性咳嗽・喘息――鶏卵の生姜炒め
生姜を千切りにし、お鍋のサラダ油が熱くなったら生姜を入れて炒め、その後は溶いた卵を1~2個加えて一緒に炒める。毎朝一回食用する。
脾肺虚寒型の慢性咳嗽・喘息、慢性泄瀉に適応する。
③ 空咳無痰――梨川貝母の羹
梨1個、皮を剥いてスライスに切り、薬局から川貝母12gを購入して粉末に潰し、氷砂糖を加えて一緒に煮込んで飲用する。
肺熱型の老年性気管支炎の空咳、痰が少ない者に適応する。
④ 慢性泄瀉――豚胃袋の二姜スープ
豚の胃袋1式、お酢で生臭みを洗い落とし、千切りにする。薬局から購入した乾姜10g、良姜10g、草果3g、そして葱の千切り、生姜のスライスなどを一緒に土鍋に入れて豚の胃袋が柔らかくなるまで煮込む。3~5gの食塩を入れて空腹時に食用する。
脾胃虚弱型の脘腹冷痛、飲食不化、慢性泄瀉、身体羸痩、倦怠無力などに適応する。
⑤ 月経痛、不妊症――羊背骨の甘栗スープ
甘栗12個、羊の背骨1本(金槌で潰す)、肉従蓉12g、草果3g。全てを瓦罐(または土鍋)に入れて適量の葱と生姜を加えて2時間ほど煮込む。適量の食塩を入れて空腹時に食用する。
腎陽虚衰型の婦人科慢性病症、腰腿痠軟、腰膝冷痛、筋骨無力などに適応する。
⑥ 脘腹冷痛――胡椒鮒
新鮮な鮒1匹(約250g)、腮・鱗・内臓を取り除く。生姜を20gスライスに切り、砂仁、胡椒粉と一緒に魚のお腹に入れ、お水を加えて中火で煮込む。柔らかくなったら食塩で調味して料理として食用する。
脾胃虚弱型と胃寒型の胃痛に適応する。
⑦ アレルギー性鼻炎――白胡椒雄鶏のスープ
雄の鶏を1羽綺麗に洗浄して塊に切り、白胡椒9g、草果3g、良姜3g、葱、生姜などと一緒に煮込み、適量の食塩で調味して空腹時に食用する。
寒がり、羸痩少気、寒さで咳する、繰り返す感冒、アレルギー性鼻炎、冬に増悪する喘息などに適応する。
⑧ 反復感冒――黄耆烏骨鶏のスープ
黄耆30g、烏骨鶏半身、鶏肉が柔らかくなるまで煮込み、調味料を加えて3回に分けて肉を食べてスープを飲む。続けて1ヶ月食用する。
益気養肺、滋腎養血、固表防寒の効能を持ち、感冒の予防に適応する。。
⑨ 寒痛嘔吐――大豆山椒のスープ
大豆30g、花山椒5g、お水500ml、一緒に強火で煮込み、沸騰したら弱火に変えて大豆が柔らかくなるまで煮込み、調味して大豆を食べてスープを飲む。
健脾寛中、和胃止嘔、散寒止痛の効能を持ち、脾胃虚弱型の脘腹冷痛、嘔吐などに適応する。
上記のほか、一部の食物を用いて凍瘡の外用薬として塗ることで、冬病夏治の効果が得られます。
熟成した紫皮の大蒜の一つを選んで、皮を剥いて泥状に潰し、日射しの下で温かく干す。冬場、凍瘡になり易い部位に1日3~5回薄く塗り付け、連続して5~7日間行う。
新鮮な胡麻の葉を凍瘡皮膚の上で20分間擦り、汁液を皮膚表面に残し、1時間後に綺麗に洗う。1日数回、連続して1週間行う。
紅花10g、桂枝15gの煮汁を布に浸し凍瘡部位に貼り付ける。1日1回、連続して5日行う(妊婦には使用しない)。