健康知識:2025年三伏天の特徴と養生

7月20日から三伏天に入った。過去まで十年間に渡った40日間の「長三伏」とは異なり、今年の三伏天は30日間となる。初伏は7月20日~7月29日の10日間、中伏は7月30日~8月8日の10日間、そして末伏は8月8日~18日の10日間である。

三伏天は一年中で最も陽気が盛んで湿気が多い時期である。自然に順応して正しい養生し、更に「冬病夏治」を実現するため、家庭常用の食材を利用したり、簡単な動作を用いたりして身体の調節養生を行うことは非常に重要である。

そこで三伏天における健康養生の要領を整理し、具体的な応用も紹介するので、活用して欲しい。

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健康知識:2025年三伏天の特徴と養生

7月20日から三伏天に入った。過去まで十年間に渡った40日間の「長三伏」とは異なり、今年の三伏天は30日間となる。初伏は7月20日~7月29日の10日間、中伏は7月30日~8月8日の10日間、そして末伏は8月8日~18日の10日間である。

三伏天は一年中で最も陽気が盛んで湿気が多い時期である。自然に順応して正しい養生し、更に「冬病夏治」を実現するため、家庭常用の食材を利用したり、簡単な動作を用いたりして身体の調節養生を行うことは非常に重要である。

そこで三伏天における健康養生の要領を整理し、具体的な応用も紹介するので、活用して欲しい。

 

三伏天の利湿・祛寒・解暑

① 利湿

三伏天は湿気が強くて蒸し暑いため、生体は湿邪の侵襲を受け易く、倦怠無力、頭身沈重、食欲不振、大便溏薄、舌苔厚膩などが見られる。健脾化湿を重要な原則として、下記の家庭食療処方をお勧めする。

赤小豆薏米茯苓粥(小豆とはと麦の茯苓粥):材料は赤小豆30g、炒りはと麦20g、茯苓15g、オニバスの実10g、陳皮5g、皮付き生姜(熱性体質の場合は不要)3スライス。赤小豆とオニバスの実を1時間半ほどお水で浸して他の材料と共に煮込んでお粥を作る。

また日頃から冬瓜、糸瓜、苦瓜など瓜類の食材を用いることによって清熱作用を働かせながら利水作用も果たす。なるべくアイスクリーム、冷たいドリング、西瓜など生ものや冷える物を取らず、脾胃陽気の損耗を避ける。

② 祛寒

体内の宿寒(古い寒邪)を取り除くことは「冬病夏治」のカギである。民間では「伏羊一碗湯,不用開薬方」と言われるように、羊肉は祛寒気・補脾胃・助元陽・補精血・益労損などの効能があり、虚寒体質の方に最も適応する。そのための代表的な薬膳料理を挙げるので試してみて欲しい。

当帰生姜羊肉湯(当帰と生姜の羊肉スープ):羊肉250gを小さく角切りにしてお湯を通して灰汁を取り除く。羊肉をお鍋に入れてたっぷりとお水を加える。老生姜(とうを通ったものが良い)30gを押し潰し、当帰15gと枸杞10gと一緒にお鍋に入れて強火で煮立ててから弱火に変えて2時間ほど煮込み、お塩と胡椒で調味して食す。

また「夏防寒気,冬病不擾」(夏に寒気を防ぐと、冬に病気に患わぬ)と言われるように、三伏天ではなるべく冷房に吹かれず、冷飲を多く飲まないことで、寒邪の侵襲を避ける。

参考として寒性病証に適する漢方薬を挙げると、脘腹冷痛・手足不温のものには温中健脾の附子理中丸;腸鳴腹脹・早朝泄瀉のものには温腎止瀉の四神丸;腰膝寒冷・夜尿頻多のものには温補腎陽の桂附地黄丸;咳痰白稀・冷風苦手のものには解表宣肺の通宣理肺丸;悪寒頭痛・嘔吐泄瀉のものには解表散寒化湿の藿香正気丸が用いられる。

③ 解暑

三伏天では避暑も重要である。暑は火熱の邪気で、津液損耗と共に昇散耗気の性質を持ち、心煩口渇、頭暈目眩、汗が出て止まらないなどが多く見られる。解熱清暑の原則下で、下記の家庭食療処方がお勧めである。

西瓜翠衣緑豆湯(西瓜皮と緑豆のスープ):西瓜皮の白い部分と薄緑の部分を薄いスライスに切り、緑豆と一緒にお水から30分間ほど、緑豆が柔らかくなるまで煮込み、冷ましてから飲用する。蓮の葉を加えると清熱解暑の効果が更に高まる。

また暑熱に損耗され易い気と津液を補給するため、日頃から山薬、蓮根、木耳、百合根など、益気養陰の食材を多めに摂ることをお勧めする。熱中症対策として仁丹、十滴水、藿香正気水などの漢方薬を常備する。

 

三伏天の必要な三行動

1、背に日を浴びて陽気を補う

背は生体の「陽の中の陽」で、督脈と足太陽膀胱経が循行する部位である。朝7~9時または午後3~5時頃、日射しが温和の時に、15~20分ほど背に日を浴びることで、陽気を激動させて寒湿を祛除する効果があり、手足寒冷などの陽虚症状を改善させられる。正午は日光浴をしてはいけない。日よけ帽子または日傘などを利用して頭部の陽気過剰吸収による頭暈や頭痛などを防ぐ。日を浴びてから温湯を少しずつゆっくりと飲用すると良い。

2、子午時刻の睡眠を大事に取る

子の時刻(23時~1時)は胆経の時節に当たり、この時に深い睡眠状態に入らなければならない。また午の時刻(11時~13時)は心経の時節に当たり、この時に短い睡眠が取れたら養心安神の効果があり、疲労や煩躁を解消して暑熱からの心神消耗を避ける。

3、適度な緩和運動

散策、六字訣、八段錦、五禽戯、太極拳など、動作が穏やかで軽度な緩和運動を行うことで、全身の気機を疏通させ、発汗による湿邪の排出を助ける。但し、汗は微かな程度に納め、大汗を流してはいけない。

 

上記のほか、三伏天の時節、特に炎天高温の日時にはできるだけ外出を避け、過剰に汗を流した場合は随時に水分を補給し、頭暈や心悸など不快感が現れた場合は直ちに涼しい場所で休まなければならない。冷房を利用する際に、外界との温度差を大きくしてはいけず、なるべく28度以上に設定したり、扇風機を活用することが相応しい。

 

健康知識:随時に行える養生法 閉目三分間

頭を働かせなければリラックスして休めると勘違いをしている方は少なくない。仕事から帰宅しても携帯電話を手離さず、食事中、睡眠前、更に入浴中でも、ずっと携帯電話を見ている。実際には全く休息できず、精神を消耗している。何故なら、目を開けているためである。

《黄帝内経》には「目受血則能視」や「五臓之精皆上注于目」などが記されており、つまり目を使う度に血を消耗し、五臓の精気を損耗している。

中医学における望診では、目を診ることで神気の充足度を判断することができる。目に神気が無い時は病状が深刻になり、眼神散漫の時は病状が危篤で、予後が悪いとされている。すなわち目は生体の健康状態を反映する重要な器官で、精気と神気を養護するためには目をいたわって使うのが大事である。

ここでは、何時でも何処でも随時に行える「閉目養神」という方法を紹介し、精気を五臓に帰還させて濡養作用を果たし、心身の調節養護に役立つ。

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健康知識:随時に行える養生法 閉目三分間

頭を働かせなければリラックスして休めると勘違いをしている方は少なくない。仕事から帰宅しても携帯電話を手離さず、食事中、睡眠前、更に入浴中でも、ずっと携帯電話を見ている。実際には全く休息できず、精神を消耗している。何故なら、目を開けているためである。

《黄帝内経》には「目受血則能視」や「五臓之精皆上注于目」などが記されており、つまり目を使う度に血を消耗し、五臓の精気を損耗している。

中医学における望診では、目を診ることで神気の充足度を判断することができる。目に神気が無い時は病状が深刻になり、眼神散漫の時は病状が危篤で、予後が悪いとされている。すなわち目は生体の健康状態を反映する重要な器官で、精気と神気を養護するためには目をいたわって使うのが大事である。

ここでは、何時でも何処でも随時に行える「閉目養神」という方法を紹介し、精気を五臓に帰還させて濡養作用を果たし、心身の調節養護に役立つ。

閉目養神は簡単便宜で効果顕著な心身の調節方式である。中医学によると、「神」は生命活動の主宰であり、また生命活動の総合体現でもある。《黄帝内経》曰く「得神者昌,失神者亡」のように、閉目養神は非常に重要な価値がある。

現代研究でも閉目養神が確実な科学性を持つと検証されている。両目を閉じることで外界から大脳への情報量を大いに減少させ、大脳の情報受理によるエネルギー消耗を軽減させて大脳は休息と調整が得られる。また閉目は視神経の緊張を緩め、神経系全体のリラックスのためにも役立つ。

1、閉目養神の練習方法

大腿を水平状態に保つ高さの椅子に座り、膝を90度屈曲させる。両脚は肩よりやや広く開いて平行して置き、両手掌を下に向けて大腿の上に置く。両目を自然に閉じて静かにリラックスする。最初は雑念が多いかも知れないが、少しずつ馴染んで行くと、思考が落ち着いて心境が平静になる入静状態になれる。

研究によると、人体は通常午前9時、午後1時、そして午後5時に倦怠困憊を感じ易いため、この時機に目を閉じて3~5分間、或いは10~15分間の休憩が取れたら、疲労回復の効果が良好である。

2、閉目養神の練習原則

閉目養神を練習する際に、下記「三無」の原則を守らなければならない。

① 無目的:閉目養神の練習は何らの効果に達しなければならないことを考えず、ただ自分の緊張を緩めて健康を維持し増進する方法の一つとして欲しい。

② 無定式:閉目養神の練習は余りに時間や姿勢などに拘らず、自分が気持よく感じられるようにすれば良い。できるだけ卓上に俯せず、椅子に座るのが最も相応しい。

③ 無場所:閉目養神の練習は場所を気にせず、安全・安静の前提下で行えば良い。特に試験や講演などの前に数分間ほど目を閉じていれば、緊張感を解消して精神が落ち着くための助けにもなる。

疲労を感じる時に、仕事の合間、昼間の休憩時、そして仕事の終了後に帰宅した時でも、少しだけの時間を利用して閉目養神を行うことで、精気を体内に収めて外へ散らさず、神志を宿って夜の入眠にも有益である。

現在では電子情報が盛んになって人々は常に電子機器を注視しているが、その危害は実に大きい。少しでも心神を擾乱することを避けて清浄な心を保つことこそ、正統の養生道であろう。

健康知識:西瓜翠衣も良薬になる

西瓜翠衣は西瓜の皮であり、西瓜皮や西瓜翠とも呼ばれる。西瓜の内層にある柔らかい部分を除いた青い果皮を洗浄し乾燥させて薬用されているが、食用の際に外側の蝋成分を含有する硬い外皮を削って青と白の部分を利用することもある。

中医薬的に、西瓜翠衣は甘味で涼性であり、心・胃・膀胱経に帰経し、清熱解暑・除煩止渇・利尿消腫などの効能を持ち、暑熱による津傷煩渇、心火上炎、口舌生瘡、湿熱蘊結、小便短赤不利や混濁、水腫、消渇(糖尿病)、高血圧、中暑や秋冬気候乾燥による咽喉乾痛、煩咳不止などに適応する。また血圧降下や酒毒解消の効果もある。

西瓜翠衣の薬用効果は西瓜の果肉よりも優れており、また糖含量とカロリーが低いため、高血糖・高血脂や肥満の方に適している。合理的に西瓜翠衣を応用すれば、下記のような日常生活における健康問題を簡単に解決できる。

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健康知識:西瓜翠衣も良薬になる

西瓜翠衣は西瓜の皮であり、西瓜皮や西瓜翠とも呼ばれる。西瓜の内層にある柔らかい部分を除いた青い果皮を洗浄し乾燥させて薬用されているが、食用の際に外側の蝋成分を含有する硬い外皮を削って青と白の部分を利用することもある。

中医薬的に、西瓜翠衣は甘味で涼性であり、心・胃・膀胱経に帰経し、清熱解暑・除煩止渇・利尿消腫などの効能を持ち、暑熱による津傷煩渇、心火上炎、口舌生瘡、湿熱蘊結、小便短赤不利や混濁、水腫、消渇(糖尿病)、高血圧、中暑や秋冬気候乾燥による咽喉乾痛、煩咳不止などに適応する。また血圧降下や酒毒解消の効果もある。

西瓜翠衣の薬用効果は西瓜の果肉よりも優れており、また糖含量とカロリーが低いため、高血糖・高血脂や肥満の方に適している。合理的に西瓜翠衣を応用すれば、下記のような日常生活における健康問題を簡単に解決できる。

 

1、暑熱煩渇

西瓜翠衣3~5g、氷砂糖適量。一緒に沸騰したお湯に5分ほど浸して茶代わりに服用する。(昨年7月に送付した西瓜翠衣茶を参照)

西瓜翠衣20g、緑豆20g、白いんげん豆5g。緑豆と白いんげん豆を一緒に煮込み、豆が柔らかくなったら、西瓜翠衣を細かく砕いて加え、暫く蓋をして蒸してから、汁を飲んで豆を食する。西瓜翠衣は解暑開胃、白いんげん豆は健脾祛湿、緑豆は清熱解暑、三者を合わせて暑熱に湿を伴う方に最も良い。

* 単純に清熱解暑の効能から、西瓜の果肉果汁は中暑に効果的であるが、寒性が強いため、脾胃虚寒や湿盛便溏のものは慎重に食用しなければならない。

2、口舌生瘡

西瓜翠衣60g、薄荷15g。お水から15分ほど煎じて汁を取り、1日3回に分けて飲む。また西瓜翠衣を緑豆と一緒に煮込んで汁を飲むことで、平素に逆上せて口舌生瘡の予防になる。

或いは西瓜翠衣を火で焦がして粉末に磨り潰し、口に付ける。中薬の西瓜霜は西瓜翠衣と芒硝(硫酸ナトリウム)を混合して精製された白い結晶であり、鹹味で寒性を持ち、咽喉腫痛や口内炎などに特効を持つ。

3、咳嗽咽痛

西瓜翠衣250gをお椀2杯分のお水に入れて1杯分になるまで煮込み、氷砂糖を少々加えて冷ましてから飲む。西瓜翠衣は清熱解暑、氷砂糖は甘味平性で潤肺止咳、合わせて効果的に燥熱による咳嗽と咽喉腫痛を解消できる。通常では三日間で完治できる。

4、歯痛齦腫

白い粉が付いた西瓜翠衣を焼いて灰にしてから、直接歯齦に付ける。或いは西瓜翠衣を天日干ししてから少量の氷片(竜脳、ボルネオール)を加えて歯痛局所に付ける。

5、食思不振

漬物を漬ける方法で、西瓜翠衣(白い部分を含む)を2~3日漬けておき、食事の小皿として食すると、開胃作用を果たして食欲増進できる。

6、大便秘結

新鮮な西瓜翠衣(外層の硬い部分)をジューサーミキサーでジュースにして飲むことで清熱通便の作用を果たす。また便秘が長い場合は蜂蜜を加えると良い。

* 陽虚・気血虚の方は下痢を起こす恐れがあるため、慎重に使用する。

7、小便短赤

西瓜翠衣50g、竹葉芯20枝、生地黄5g、木通10g、生甘草5g。お水で煎じて汁を1日3回に分けて飲む。

8、腎炎水腫

西瓜翠衣(白い部分を含み、乾燥したものが良い)40g、新鮮白茅根50g。お水で煎じて汁を取り、1日3回に分けて飲む。

9、腰部捻挫屈伸不能

西瓜翠衣(青い外層が良い)を陰干ししてから細かい粉末に磨り潰し、塩と酒で調合して空腹時に服用する。1日3回で、1回2~3g。

 

ほかに、また下記の応用ができる。

暑湿汗疹

中医学によると、汗疹は盛夏時節に暑熱が湿邪を挟んで肌膚に蘊結し、毛竅が鬱塞されて起こされる。瓜翠衣には清熱解毒利湿の作用があるため、外用でも内服でも汗疹の予防と治療に一定の効果が期待できる。

日焼修復

新鮮な西瓜翠衣を薄いスライスに切り、日焼けした皮膚局所に付ける。炎症が酷い場合は西瓜翠衣を冷蔵庫に暫く冷やしてから使用する。一週間ほど続けると、治療効果が明らかに得られる。

降圧補助

新鮮な西瓜翠衣(青い外層を切り落として白い部分が良い)25g、食酢500g。西瓜翠衣を食酢に4時間ほど漬けてから食する。1日に1回、15日間を1クールとする。夏季に肝陽上亢の高血圧で、蒸し暑い天気による頭暈、心煩、血圧上昇に対して即効性がある。

但し、薬物治療の代わりにはならない。

 

会員通信:NPO法人伝統医学教育会事業活動計画(2025年度)

2025年度は昨年に引き続き、教育活動である講習会及び普及活動の健康支援を進展していきたいと思います。

講習会は引き続き感染防止を徹底したうえ、従来の教育方針に従って少数人数で実行する予定です。理論講習として「常見病証の針灸治療実技」を行う予定です。本講習は2021年に梅田会員の希望と協力により始めて開設した針灸臨床学科で、2022年度と2023年度を加えて計3期の講習を実行してきました。今回は以前の講習経験を活かし、同じく少数人数で実用性に重点を置き、針灸臨床において常見される8病証を取り挙げ、基礎的な理論分析を解説したうえ、具体的な刺針実技を指導しながら技能練習を実行します。これにより辨証論治の思想を導き、臨床実践の技術能力が高まることを期待しています。講習は4月後半に開講し、計8回で12月前半に終了する予定ですが、参加者のご希望により中国針の技法に関する予備講習を無料で行います。

また実技講習として「耳穴診療法の実技と応用」行う予定です。本講習は当会にて長年に渡って人気のテーマとして何度も開催したことがありますが、今回も厳密性・実用性の特徴を柱とし、教育会独自の教育方式により耳穴の基礎定位から実際に臨床応用まで、計8回に渡り実技を中心として詳細に指導する予定にしています。

健康支援活動はホームページを通じて健康情報を発信するほか、臨床センターにて会員の皆様の健康養生法の相談や指導なども催していきたいと思います。ほかに、状況が可能な範囲で会員限定の無料講座も実施する予定です。また引き続き季節の変化や社会の情勢に合わせて薬茶を新たに考案して見本をお送りします。

ほかに、会員の交流を深めるため、会員懇親会を企画して開催する予定です。

会員通信:NPO法人伝統医学教育会事業活動報告(2024年度)

1、講習会

2024年度の定期講習会は、理論講習の「常用針灸腧穴の基礎と実用」を4月から、実技講習の「整体推拿療法の実技と応用」を6月から開講し、双方ともに翌2025年2月に終了しました。

「常用針灸腧穴の基礎と実用」の講習は、2023年8月出版した針灸臨床実用参考書シリーズの新書「経穴の定位と技法」に合わせて開設し、鍼灸師・推拿療法士のほか、一般の方計8名が参加されました。

腧穴は、臨床治療や健康保健において病証反映の診断点としても、また針灸推拿・気功導引など外治療法の治療点としても重要な役割を果たしています。応用に際しては腧穴の定位を精確に把握し、臨床で正しく取穴することにより、相応しい物理的な刺激を促して治療効果を果たします。そのため、精確かつ迅速に腧穴の定位を取ることは大きな意義があります。今回の講習では、腧穴学の基礎知識を始め、臨床で最も常用される凡そ120経穴を取り挙げ、それぞれ名称の解釈から、その精確な定位と取法及び主要な性能と主治を伝授したうえ、更に具体的な応用実技まで指導して取穴技法の練習を行いました。これにより腧穴の臨床応用の方法や経験を習得し、健康の維持と増進、疾病の予防と治療に役に立てたと思います。

一方、「整体推拿療法の実技と応用」の講習は当会で三回目の講習となり、今回は安藤会員の希望と協力を得て、計6名が参加されました。

中医推拿療法は最も古い自然療法として、古来養生保健と疾病の予防治療の重要な手段です。操作が簡便且つ安全で、明らかな即効性を持つなどのメリットにより、医薬不足の古代だけでなく、自然療法重視の現代社会でも益々注目されています。長い発展歴史から技法も数多くて応用も様々であるため、初心者は系統的に把握するのが難しく、更に基礎技法を臨床実践まで確実に活用できない事が現状としています。

今回の講習は参加者全員が針灸資格所有者のため、関連する人体解剖及び経絡腧穴の基礎理論を省略し、その時間を活かして推拿実技の説明と練習に利用できました。繁雑な推拿実技を実用的にまとめて基本手法と応用要領を講習して実習し、更に長年の臨床と教育の経験に基づいた整体推拿の施術方法を伝授し、いち早く臨床実践に即していけるようになりました。

 

2、健康支援

教育事業活動と同時に、会員の健康支援活動も引き続き行っています。伝統医学教育会ホームページの会員専用ページにて健康知識を定期的に更新していますので、皆様の健康増進の参考にして頂きたいです。

また、会員の健康支援を目的として前年度に引き続き、伝統医学的な薬茶をお送りしました。今回は主に新型コロナウイルス感染の急増状態、及び季節的に盛夏の暑熱湿聚の特徴に従って薬茶を考案して処方と見本を送付しました。いつもと同じように、皆様にお送りした薬茶の主要材料は身近なものを使って作成し、作成方法は教育会の会員専用ページに公開しています。

 

3、懇親会

コロナの影響で会員の皆様との交流も暫く控えておりましたが、2023年の懇親会で久し振りに皆様とお会いでき、ご近況やご意見をお聞きし、お元気な姿を見て嬉しく思いました。今年度も10月13日(日)午後、当会事務所にて会員の懇親会を久しぶりに開催しました。感染を考慮してご参加を控えていた方もいましたが、今回は計8名が出席しました。

この機会に長年に渡って支援して頂いた会員及び新しく入会した会員の皆様は一堂に集まり、様々な情報交換や交流懇親をしました。事務局も会員の皆様とお会いして貴重なご意見や近況をお聞きすることができました。また、皆様との交流を通じて今後の伝統医学教育会の活動方針を明確にして事業活動を進んで行きたいと考えています。

活動案内:「常見病証の針灸治療実技」 講習会の予備講習案内

この度はNPO法人伝統医学教育会の講習会にご参加頂き、誠にありがとうございます。

本講習は針灸臨床の実技に重心を置いているため、中国針の使用をお勧めしています。中国針は日本針に比べて刺針技法の広汎性と針響調節の敏活性という特徴があり、適応範囲が広い、操作時間が短い、治療効果が高いなどのメリットを持っています。しかし刺針操作には高い技能が要求され、専門的な指導と練習が必要とされています。ご参加者の実技の幅を広げて技能を高めるため、予備講習を行いたいと思います。

今まで中国針の経験がない方や、中国針の操作が苦手な方に、中国針の実技指導を一回無料で行うことになりました。この機会に、今回の講習要領と実習要領、針灸臨床治療に関する基礎知識を合わせて説明する予定です。

 

講 師:陳 志 強    梅田 伸威

日 程:2025年3月30日(日)10時30分~12時30分

① 針灸治療概説(約30分間)

② 中国針技法指導及び練習(約90分間)

場 所:東京都千代田区外神田6-4-5-401  伝統医学教育会臨床センター

交 通:東京メトロ銀座線末広町駅より徒歩4分、千代田線湯島駅より徒歩4分

JR御徒町駅・秋葉原駅・御茶ノ水駅より徒歩10分~12分

費 用:無料

申込み:03(5816)5234(水・日曜を除き、10:30~19:00)

締切り:2025年3月27日(木)

 

ご希望の方は電話にて当会事務局までご連絡下さい。なお、お申込み頂いてからの取消しはご遠慮願います。

活動案内:「耳穴診療法の実技と応用」講習会案内

耳穴診療法は、安全で簡便な技法であり、その適応症の広さ及び確実な即効性などの特徴を持つことから世界的に注目されています。また学術面で耳穴は、腧穴の一部として中国の教科書にも取り上げられています。日本では、健康ダイエット法として有名ですが、それ以上の優れた治療効果に関しては殆ど認識されておらず、学校教育でも全く触られていません。

伝統医学教育会では、耳穴診療法を正確に習得できるよう教育方法を組んでおり、二十数年間に渡り何度も行われた講習会では多くの受講者より現場で実践できたとの好評を得て、耳穴診療法の普及に対して一石を投じたと自負しています。今回も、厳密性・実用性の特徴を柱とし、耳穴の基礎定位から実際に臨床応用ができるまで、計8回に渡り実技を中心として詳細に指導する予定にしています。耳穴診療法を把握して様々な臨床実践に活かしたい方には最適な機会であると言えます。

講習終了時には特定非営利活動法人伝統医学教育会の修了証書を授与いたします。

講 師:陳 志強 医学博士

日 程:全8回 月1回 日曜日午後14時00分~16時30分(計20学時間)

① 04月27日 耳穴診療法の概説、耳介の解剖、耳垂部8穴の定位と実技;

② 05月25日 耳輪部11穴の定位と実技、耳舟部6穴の定位と実技;

③ 06月29日 対輪部14穴の定位と実技;

④ 07月27日 三角窩部5穴の定位と実技、耳珠部9穴の定位と実技;

⑤ 09月07日 対珠部8穴の定位と実技、耳甲介部8穴の定位と実技;

⑥ 10月05日 耳甲介部13穴の定位と実技;

⑦ 11月09日 耳背部6穴と耳根部3穴の定位と実技;

⑧ 12月07日 耳穴診察法と耳穴治療法。

場 所:東京都千代田区外神田6-4-5-401  伝統医学教育会臨床センター

交 通:東京メトロ銀座線末広町駅より徒歩4分、千代田線湯島駅より徒歩4分

都営地下鉄大江戸線上野御徒町より徒歩8分

JR御徒町駅・秋葉原駅・御茶ノ水駅より徒歩10分~12分

定 員4名以上で開講 8名まで

費 用:講習費 73,000円(耳穴模型・施術用具の費用込み、分割払い可)

当会会員は7,000円割引

教科書「中国伝統医学 耳穴診療法」別途3,000円(税不要)

振込先:特定非営利活動法人伝統医学教育会

郵便貯金総合口座 10100-55927971

申込み:NPO法人伝統医学教育会事務局 FAX 03(5816)5235

締切り:2025年3月31日(月)まで