健康知識:冬季養生の良品 牛肉

日常生活の身体補益のため「血肉有形之品」の肉類は最もお勧めである。普段の食卓において豚・鶏・鴨・魚など様々な食材が多く見られるが、中でも牛肉は天然の補気食材として古くから重要視され、古書にて大いに称賛されている。《名医別録》に「安中益気,養脾胃」と記されているように、気血を補って全身に栄養を与え、脾胃を強めて運化機能を助ける効能があり、《韓氏医通》に「黄牛肉,補気,与綿黄耆同功」とあり、牛肉の補気力は「補気聖薬」の黄耆に匹敵するとされている。また《医林簒要》には「牛肉味甘,専補脾土。」、《本草拾遺》には「消水腫,除湿気,補虚,令人強筋骨,壮健。……補益腰脚。」、《滇南本草》には「水牛肉,能安胎補血。」などとあり、いずれも牛肉の温養脾胃・補益気血・強壮筋骨の性能を解説している。

冬季は生体の陽気が体内に収められて蔵されるため、身体補養の重要な季節であり、合理的に牛肉を食すことにより、最大限にその温養効果を発揮することができる。脾胃を温補して気血の生成を促進し、外界の寒邪を防御するに伴って気血不足や虚弱畏寒などの問題を改善させ、筋骨強壮の作用も果たす。

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健康知識:冬季養生の良品 牛肉

日常生活の身体補益のため「血肉有形之品」の肉類は最もお勧めである。普段の食卓において豚・鶏・鴨・魚など様々な食材が多く見られるが、中でも牛肉は天然の補気食材として古くから重要視され、古書にて大いに称賛されている。《名医別録》に「安中益気,養脾胃」と記されているように、気血を補って全身に栄養を与え、脾胃を強めて運化機能を助ける効能があり、《韓氏医通》に「黄牛肉,補気,与綿黄耆同功」とあり、牛肉の補気力は「補気聖薬」の黄耆に匹敵するとされている。また《医林簒要》には「牛肉味甘,専補脾土。」、《本草拾遺》には「消水腫,除湿気,補虚,令人強筋骨,壮健。……補益腰脚。」、《滇南本草》には「水牛肉,能安胎補血。」などとあり、いずれも牛肉の温養脾胃・補益気血・強壮筋骨の性能を解説している。

冬季は生体の陽気が体内に収められて蔵されるため、身体補養の重要な季節であり、合理的に牛肉を食すことにより、最大限にその温養効果を発揮することができる。脾胃を温補して気血の生成を促進し、外界の寒邪を防御するに伴って気血不足や虚弱畏寒などの問題を改善させ、筋骨強壮の作用も果たす。

一、基本性能

中医学的に牛肉は、甘・平の性味で(黄牛は甘・温、水牛は甘・涼)、脾・胃に帰経する。主に補脾胃・益気血・強筋骨の効能を持ち、脾胃虚弱、脘腹冷痛、食少納呆、泄瀉、浮腫、気血不足、少気無力、自汗、大病後の虚労羸痩、腰膝痠軟、消渇吐瀉、痞積臌脹、大腹浮腫、小便渋少、気喘不安、水気病による四肢腫脹沈重などに用いられる。

豚肉、羊肉、鶏肉に比べて牛肉は養生価値が特に優れている。現代研究では、牛肉は良質蛋白質、カルシウムやリンなどを富んでおり、アミノ酸の構成は生体の需要と非常に整合して消化吸収され易く、筋肉減少(萎縮)を防止し、同時に骨格栄養を支持している。また血色素鉄の含量も他の肉類より高く、効果的に鉄欠乏性貧血を改善させる。ほかに、豊富なビタミンB12、亜鉛、セレンなどの微量元素は神経系と免疫系の機能強化に有益であり、高含量のカリウム元素も泌尿系と心・脳血管の機能保護に役立つ。

また牛肉は性質が温でありながら燥にならず、補いながら滞らないため、陽気を温補して体内の燥熱にならないため、冬季の「蔵養」という養生原則に一致しており、脾胃機能が弱い方には特に適している。

ほかに、牛肉は何にも合わせ易い養生食材であり、様々な食材や薬剤と合わせることで養生効果が広げられる。例えば、大根と組み合わせて消食化積・理気化痰の作用を果たし、また山薬と組み合わせて健脾補虚・養護胃腸の効果がある。

二、食用方法

牛肉は部位の異なりにより脂肪の含量が大いに異なっている。一般的にはモモ肉、リブロース肉とランプ肉、そしてヒレ肉などは脂肪含量が比較的少ないため、この赤身の部位をお勧めする。そのうち、リブロース肉とランプ肉は最も柔らかくて様々な調理法に適しているが、モモ肉は比較的線維が粗くて筋も多いため、煮込み方法には適している。

また体質に従って合理的に部位を選択する。脂肪の少ないモモ肉やロース肉は脂肪制限・筋肉強化(脂肪を減らして筋肉を増やす)のもの、鉄欠乏性貧血、そして良質蛋白質補給のものに相応しい。一方、赤身より脂肪が富む肩ロースやバラ肉は長く煮込むことで柔らかくなり易いため、消化機能が弱いものや老年幼児などに相応しい。

通常、牛肉の週摂取量を300~400g調節するのが相応しい。平均して一日に約50gで卵一個の分量に当たり、程好く栄養を得られるし、生体に大きな負担にならない。また調理方法も栄養に大きな影響を与えている。炒る、焼く、そして油で揚げると香ばしくなるが、水分が流失して肉質が硬くなるし、高温により蛋白質が変性を起こして消化吸収に支障を来たす可能性がある。それに対して蒸す、煮る、そして煮込むなど低温調理は牛肉の栄養と風味を保留できるほか、有害物質の産出が避けられるため、健康的である。

ここでは、「寒・燥・虚」という冬季養生の特徴に対し、温補滋養の代表的な養生薬膳料理「黄耆牛肉野菜の煮込み」を紹介する。牛肉を基本とし、補気薬材の黄耆を配合し、更に玉蜀黍や人参などの野菜を加え、健脾養胃・益気養血・温補祛寒の効果に伴って免疫力強化の作用も発揮できる。

適応:特に冬季に身体虚弱、気虚疲労、羸痩、畏寒、手足不温、免疫低下、易感冒などの方には役に立てる。

[材料]牛肉250g、新鮮な玉蜀黍1/2本、人参1/2本、黄耆15~20g、葱5㎝、生姜1かけ、塩と胡椒粉少々。

[方法]① 牛肉を小さく切ってお水に入れ、沸騰したら灰汁を取ってから取り出しておく。② 人参の皮を剥いて小さく切り、玉蜀黍を短冊切りにしておく。③ 土鍋にお水をたっぷり入れ、牛肉、人参、玉蜀黍、黄耆、葱、生姜を加えて強火を掛け、沸騰したら弱火に変えて牛肉が柔らかくなるまで1時間ほど煮込む。④ 適量の塩と胡椒粉で調味して出来上がり。

[補足]脾胃虚弱の場合は煮込み時間を1.5時間ほど長くすることで、肉質を柔らかくして消化への負担を減らす。また口乾、ニキビ、便秘などの場合は補気過剰で逆上せるのを避けるため、黄耆を半分の量(5~10g)に減らす。

三、注意事項

牛肉は冬季に温補養生の良品であるが、全ての人に適応するわけではない。下記の場合は慎重に食しなければならない。

① 痛風の急性発作期の方:牛肉はプリン体の高い食材に属しているため、尿酸増加で症状が増悪する恐れがある。

② 脾胃虚弱者:牛肉は筋繊維が比較的粗くて消化に負担がかかる。胃炎や胃潰瘍の罹患者、消化不良の方、或いは胃腸機能低下の老年は食後に腹脹や呑酸などの不快感が現れ易い。

③ 熱性体質や炎症発作の方: 牛肉は性質が温熱に偏って、虚寒体質のものに向いているとされている。本来熱性体質で逆上せ易い、或いは口内炎や咽喉腫痛や皮膚掻痒症など炎症が発作する期間において牛肉を過食することで熱象が増悪することがある。

健康知識:2025年三伏天の特徴と養生

7月20日から三伏天に入った。過去まで十年間に渡った40日間の「長三伏」とは異なり、今年の三伏天は30日間となる。初伏は7月20日~7月29日の10日間、中伏は7月30日~8月8日の10日間、そして末伏は8月8日~18日の10日間である。

三伏天は一年中で最も陽気が盛んで湿気が多い時期である。自然に順応して正しい養生し、更に「冬病夏治」を実現するため、家庭常用の食材を利用したり、簡単な動作を用いたりして身体の調節養生を行うことは非常に重要である。

そこで三伏天における健康養生の要領を整理し、具体的な応用も紹介するので、活用して欲しい。

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健康知識:2025年三伏天の特徴と養生

7月20日から三伏天に入った。過去まで十年間に渡った40日間の「長三伏」とは異なり、今年の三伏天は30日間となる。初伏は7月20日~7月29日の10日間、中伏は7月30日~8月8日の10日間、そして末伏は8月8日~18日の10日間である。

三伏天は一年中で最も陽気が盛んで湿気が多い時期である。自然に順応して正しい養生し、更に「冬病夏治」を実現するため、家庭常用の食材を利用したり、簡単な動作を用いたりして身体の調節養生を行うことは非常に重要である。

そこで三伏天における健康養生の要領を整理し、具体的な応用も紹介するので、活用して欲しい。

 

三伏天の利湿・祛寒・解暑

① 利湿

三伏天は湿気が強くて蒸し暑いため、生体は湿邪の侵襲を受け易く、倦怠無力、頭身沈重、食欲不振、大便溏薄、舌苔厚膩などが見られる。健脾化湿を重要な原則として、下記の家庭食療処方をお勧めする。

赤小豆薏米茯苓粥(小豆とはと麦の茯苓粥):材料は赤小豆30g、炒りはと麦20g、茯苓15g、オニバスの実10g、陳皮5g、皮付き生姜(熱性体質の場合は不要)3スライス。赤小豆とオニバスの実を1時間半ほどお水で浸して他の材料と共に煮込んでお粥を作る。

また日頃から冬瓜、糸瓜、苦瓜など瓜類の食材を用いることによって清熱作用を働かせながら利水作用も果たす。なるべくアイスクリーム、冷たいドリング、西瓜など生ものや冷える物を取らず、脾胃陽気の損耗を避ける。

② 祛寒

体内の宿寒(古い寒邪)を取り除くことは「冬病夏治」のカギである。民間では「伏羊一碗湯,不用開薬方」と言われるように、羊肉は祛寒気・補脾胃・助元陽・補精血・益労損などの効能があり、虚寒体質の方に最も適応する。そのための代表的な薬膳料理を挙げるので試してみて欲しい。

当帰生姜羊肉湯(当帰と生姜の羊肉スープ):羊肉250gを小さく角切りにしてお湯を通して灰汁を取り除く。羊肉をお鍋に入れてたっぷりとお水を加える。老生姜(とうを通ったものが良い)30gを押し潰し、当帰15gと枸杞10gと一緒にお鍋に入れて強火で煮立ててから弱火に変えて2時間ほど煮込み、お塩と胡椒で調味して食す。

また「夏防寒気,冬病不擾」(夏に寒気を防ぐと、冬に病気に患わぬ)と言われるように、三伏天ではなるべく冷房に吹かれず、冷飲を多く飲まないことで、寒邪の侵襲を避ける。

参考として寒性病証に適する漢方薬を挙げると、脘腹冷痛・手足不温のものには温中健脾の附子理中丸;腸鳴腹脹・早朝泄瀉のものには温腎止瀉の四神丸;腰膝寒冷・夜尿頻多のものには温補腎陽の桂附地黄丸;咳痰白稀・冷風苦手のものには解表宣肺の通宣理肺丸;悪寒頭痛・嘔吐泄瀉のものには解表散寒化湿の藿香正気丸が用いられる。

③ 解暑

三伏天では避暑も重要である。暑は火熱の邪気で、津液損耗と共に昇散耗気の性質を持ち、心煩口渇、頭暈目眩、汗が出て止まらないなどが多く見られる。解熱清暑の原則下で、下記の家庭食療処方がお勧めである。

西瓜翠衣緑豆湯(西瓜皮と緑豆のスープ):西瓜皮の白い部分と薄緑の部分を薄いスライスに切り、緑豆と一緒にお水から30分間ほど、緑豆が柔らかくなるまで煮込み、冷ましてから飲用する。蓮の葉を加えると清熱解暑の効果が更に高まる。

また暑熱に損耗され易い気と津液を補給するため、日頃から山薬、蓮根、木耳、百合根など、益気養陰の食材を多めに摂ることをお勧めする。熱中症対策として仁丹、十滴水、藿香正気水などの漢方薬を常備する。

 

三伏天の必要な三行動

1、背に日を浴びて陽気を補う

背は生体の「陽の中の陽」で、督脈と足太陽膀胱経が循行する部位である。朝7~9時または午後3~5時頃、日射しが温和の時に、15~20分ほど背に日を浴びることで、陽気を激動させて寒湿を祛除する効果があり、手足寒冷などの陽虚症状を改善させられる。正午は日光浴をしてはいけない。日よけ帽子または日傘などを利用して頭部の陽気過剰吸収による頭暈や頭痛などを防ぐ。日を浴びてから温湯を少しずつゆっくりと飲用すると良い。

2、子午時刻の睡眠を大事に取る

子の時刻(23時~1時)は胆経の時節に当たり、この時に深い睡眠状態に入らなければならない。また午の時刻(11時~13時)は心経の時節に当たり、この時に短い睡眠が取れたら養心安神の効果があり、疲労や煩躁を解消して暑熱からの心神消耗を避ける。

3、適度な緩和運動

散策、六字訣、八段錦、五禽戯、太極拳など、動作が穏やかで軽度な緩和運動を行うことで、全身の気機を疏通させ、発汗による湿邪の排出を助ける。但し、汗は微かな程度に納め、大汗を流してはいけない。

 

上記のほか、三伏天の時節、特に炎天高温の日時にはできるだけ外出を避け、過剰に汗を流した場合は随時に水分を補給し、頭暈や心悸など不快感が現れた場合は直ちに涼しい場所で休まなければならない。冷房を利用する際に、外界との温度差を大きくしてはいけず、なるべく28度以上に設定したり、扇風機を活用することが相応しい。

 

健康知識:随時に行える養生法 閉目三分間

頭を働かせなければリラックスして休めると勘違いをしている方は少なくない。仕事から帰宅しても携帯電話を手離さず、食事中、睡眠前、更に入浴中でも、ずっと携帯電話を見ている。実際には全く休息できず、精神を消耗している。何故なら、目を開けているためである。

《黄帝内経》には「目受血則能視」や「五臓之精皆上注于目」などが記されており、つまり目を使う度に血を消耗し、五臓の精気を損耗している。

中医学における望診では、目を診ることで神気の充足度を判断することができる。目に神気が無い時は病状が深刻になり、眼神散漫の時は病状が危篤で、予後が悪いとされている。すなわち目は生体の健康状態を反映する重要な器官で、精気と神気を養護するためには目をいたわって使うのが大事である。

ここでは、何時でも何処でも随時に行える「閉目養神」という方法を紹介し、精気を五臓に帰還させて濡養作用を果たし、心身の調節養護に役立つ。

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健康知識:随時に行える養生法 閉目三分間

頭を働かせなければリラックスして休めると勘違いをしている方は少なくない。仕事から帰宅しても携帯電話を手離さず、食事中、睡眠前、更に入浴中でも、ずっと携帯電話を見ている。実際には全く休息できず、精神を消耗している。何故なら、目を開けているためである。

《黄帝内経》には「目受血則能視」や「五臓之精皆上注于目」などが記されており、つまり目を使う度に血を消耗し、五臓の精気を損耗している。

中医学における望診では、目を診ることで神気の充足度を判断することができる。目に神気が無い時は病状が深刻になり、眼神散漫の時は病状が危篤で、予後が悪いとされている。すなわち目は生体の健康状態を反映する重要な器官で、精気と神気を養護するためには目をいたわって使うのが大事である。

ここでは、何時でも何処でも随時に行える「閉目養神」という方法を紹介し、精気を五臓に帰還させて濡養作用を果たし、心身の調節養護に役立つ。

閉目養神は簡単便宜で効果顕著な心身の調節方式である。中医学によると、「神」は生命活動の主宰であり、また生命活動の総合体現でもある。《黄帝内経》曰く「得神者昌,失神者亡」のように、閉目養神は非常に重要な価値がある。

現代研究でも閉目養神が確実な科学性を持つと検証されている。両目を閉じることで外界から大脳への情報量を大いに減少させ、大脳の情報受理によるエネルギー消耗を軽減させて大脳は休息と調整が得られる。また閉目は視神経の緊張を緩め、神経系全体のリラックスのためにも役立つ。

1、閉目養神の練習方法

大腿を水平状態に保つ高さの椅子に座り、膝を90度屈曲させる。両脚は肩よりやや広く開いて平行して置き、両手掌を下に向けて大腿の上に置く。両目を自然に閉じて静かにリラックスする。最初は雑念が多いかも知れないが、少しずつ馴染んで行くと、思考が落ち着いて心境が平静になる入静状態になれる。

研究によると、人体は通常午前9時、午後1時、そして午後5時に倦怠困憊を感じ易いため、この時機に目を閉じて3~5分間、或いは10~15分間の休憩が取れたら、疲労回復の効果が良好である。

2、閉目養神の練習原則

閉目養神を練習する際に、下記「三無」の原則を守らなければならない。

① 無目的:閉目養神の練習は何らの効果に達しなければならないことを考えず、ただ自分の緊張を緩めて健康を維持し増進する方法の一つとして欲しい。

② 無定式:閉目養神の練習は余りに時間や姿勢などに拘らず、自分が気持よく感じられるようにすれば良い。できるだけ卓上に俯せず、椅子に座るのが最も相応しい。

③ 無場所:閉目養神の練習は場所を気にせず、安全・安静の前提下で行えば良い。特に試験や講演などの前に数分間ほど目を閉じていれば、緊張感を解消して精神が落ち着くための助けにもなる。

疲労を感じる時に、仕事の合間、昼間の休憩時、そして仕事の終了後に帰宅した時でも、少しだけの時間を利用して閉目養神を行うことで、精気を体内に収めて外へ散らさず、神志を宿って夜の入眠にも有益である。

現在では電子情報が盛んになって人々は常に電子機器を注視しているが、その危害は実に大きい。少しでも心神を擾乱することを避けて清浄な心を保つことこそ、正統の養生道であろう。

健康知識:西瓜翠衣も良薬になる

西瓜翠衣は西瓜の皮であり、西瓜皮や西瓜翠とも呼ばれる。西瓜の内層にある柔らかい部分を除いた青い果皮を洗浄し乾燥させて薬用されているが、食用の際に外側の蝋成分を含有する硬い外皮を削って青と白の部分を利用することもある。

中医薬的に、西瓜翠衣は甘味で涼性であり、心・胃・膀胱経に帰経し、清熱解暑・除煩止渇・利尿消腫などの効能を持ち、暑熱による津傷煩渇、心火上炎、口舌生瘡、湿熱蘊結、小便短赤不利や混濁、水腫、消渇(糖尿病)、高血圧、中暑や秋冬気候乾燥による咽喉乾痛、煩咳不止などに適応する。また血圧降下や酒毒解消の効果もある。

西瓜翠衣の薬用効果は西瓜の果肉よりも優れており、また糖含量とカロリーが低いため、高血糖・高血脂や肥満の方に適している。合理的に西瓜翠衣を応用すれば、下記のような日常生活における健康問題を簡単に解決できる。

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健康知識:西瓜翠衣も良薬になる

西瓜翠衣は西瓜の皮であり、西瓜皮や西瓜翠とも呼ばれる。西瓜の内層にある柔らかい部分を除いた青い果皮を洗浄し乾燥させて薬用されているが、食用の際に外側の蝋成分を含有する硬い外皮を削って青と白の部分を利用することもある。

中医薬的に、西瓜翠衣は甘味で涼性であり、心・胃・膀胱経に帰経し、清熱解暑・除煩止渇・利尿消腫などの効能を持ち、暑熱による津傷煩渇、心火上炎、口舌生瘡、湿熱蘊結、小便短赤不利や混濁、水腫、消渇(糖尿病)、高血圧、中暑や秋冬気候乾燥による咽喉乾痛、煩咳不止などに適応する。また血圧降下や酒毒解消の効果もある。

西瓜翠衣の薬用効果は西瓜の果肉よりも優れており、また糖含量とカロリーが低いため、高血糖・高血脂や肥満の方に適している。合理的に西瓜翠衣を応用すれば、下記のような日常生活における健康問題を簡単に解決できる。

 

1、暑熱煩渇

西瓜翠衣3~5g、氷砂糖適量。一緒に沸騰したお湯に5分ほど浸して茶代わりに服用する。(昨年7月に送付した西瓜翠衣茶を参照)

西瓜翠衣20g、緑豆20g、白いんげん豆5g。緑豆と白いんげん豆を一緒に煮込み、豆が柔らかくなったら、西瓜翠衣を細かく砕いて加え、暫く蓋をして蒸してから、汁を飲んで豆を食する。西瓜翠衣は解暑開胃、白いんげん豆は健脾祛湿、緑豆は清熱解暑、三者を合わせて暑熱に湿を伴う方に最も良い。

* 単純に清熱解暑の効能から、西瓜の果肉果汁は中暑に効果的であるが、寒性が強いため、脾胃虚寒や湿盛便溏のものは慎重に食用しなければならない。

2、口舌生瘡

西瓜翠衣60g、薄荷15g。お水から15分ほど煎じて汁を取り、1日3回に分けて飲む。また西瓜翠衣を緑豆と一緒に煮込んで汁を飲むことで、平素に逆上せて口舌生瘡の予防になる。

或いは西瓜翠衣を火で焦がして粉末に磨り潰し、口に付ける。中薬の西瓜霜は西瓜翠衣と芒硝(硫酸ナトリウム)を混合して精製された白い結晶であり、鹹味で寒性を持ち、咽喉腫痛や口内炎などに特効を持つ。

3、咳嗽咽痛

西瓜翠衣250gをお椀2杯分のお水に入れて1杯分になるまで煮込み、氷砂糖を少々加えて冷ましてから飲む。西瓜翠衣は清熱解暑、氷砂糖は甘味平性で潤肺止咳、合わせて効果的に燥熱による咳嗽と咽喉腫痛を解消できる。通常では三日間で完治できる。

4、歯痛齦腫

白い粉が付いた西瓜翠衣を焼いて灰にしてから、直接歯齦に付ける。或いは西瓜翠衣を天日干ししてから少量の氷片(竜脳、ボルネオール)を加えて歯痛局所に付ける。

5、食思不振

漬物を漬ける方法で、西瓜翠衣(白い部分を含む)を2~3日漬けておき、食事の小皿として食すると、開胃作用を果たして食欲増進できる。

6、大便秘結

新鮮な西瓜翠衣(外層の硬い部分)をジューサーミキサーでジュースにして飲むことで清熱通便の作用を果たす。また便秘が長い場合は蜂蜜を加えると良い。

* 陽虚・気血虚の方は下痢を起こす恐れがあるため、慎重に使用する。

7、小便短赤

西瓜翠衣50g、竹葉芯20枝、生地黄5g、木通10g、生甘草5g。お水で煎じて汁を1日3回に分けて飲む。

8、腎炎水腫

西瓜翠衣(白い部分を含み、乾燥したものが良い)40g、新鮮白茅根50g。お水で煎じて汁を取り、1日3回に分けて飲む。

9、腰部捻挫屈伸不能

西瓜翠衣(青い外層が良い)を陰干ししてから細かい粉末に磨り潰し、塩と酒で調合して空腹時に服用する。1日3回で、1回2~3g。

 

ほかに、また下記の応用ができる。

暑湿汗疹

中医学によると、汗疹は盛夏時節に暑熱が湿邪を挟んで肌膚に蘊結し、毛竅が鬱塞されて起こされる。瓜翠衣には清熱解毒利湿の作用があるため、外用でも内服でも汗疹の予防と治療に一定の効果が期待できる。

日焼修復

新鮮な西瓜翠衣を薄いスライスに切り、日焼けした皮膚局所に付ける。炎症が酷い場合は西瓜翠衣を冷蔵庫に暫く冷やしてから使用する。一週間ほど続けると、治療効果が明らかに得られる。

降圧補助

新鮮な西瓜翠衣(青い外層を切り落として白い部分が良い)25g、食酢500g。西瓜翠衣を食酢に4時間ほど漬けてから食する。1日に1回、15日間を1クールとする。夏季に肝陽上亢の高血圧で、蒸し暑い天気による頭暈、心煩、血圧上昇に対して即効性がある。

但し、薬物治療の代わりにはならない。

 

会員通信:NPO法人伝統医学教育会事業活動計画(2025年度)

2025年度は昨年に引き続き、教育活動である講習会及び普及活動の健康支援を進展していきたいと思います。

講習会は引き続き感染防止を徹底したうえ、従来の教育方針に従って少数人数で実行する予定です。理論講習として「常見病証の針灸治療実技」を行う予定です。本講習は2021年に梅田会員の希望と協力により始めて開設した針灸臨床学科で、2022年度と2023年度を加えて計3期の講習を実行してきました。今回は以前の講習経験を活かし、同じく少数人数で実用性に重点を置き、針灸臨床において常見される8病証を取り挙げ、基礎的な理論分析を解説したうえ、具体的な刺針実技を指導しながら技能練習を実行します。これにより辨証論治の思想を導き、臨床実践の技術能力が高まることを期待しています。講習は4月後半に開講し、計8回で12月前半に終了する予定ですが、参加者のご希望により中国針の技法に関する予備講習を無料で行います。

また実技講習として「耳穴診療法の実技と応用」行う予定です。本講習は当会にて長年に渡って人気のテーマとして何度も開催したことがありますが、今回も厳密性・実用性の特徴を柱とし、教育会独自の教育方式により耳穴の基礎定位から実際に臨床応用まで、計8回に渡り実技を中心として詳細に指導する予定にしています。

健康支援活動はホームページを通じて健康情報を発信するほか、臨床センターにて会員の皆様の健康養生法の相談や指導なども催していきたいと思います。ほかに、状況が可能な範囲で会員限定の無料講座も実施する予定です。また引き続き季節の変化や社会の情勢に合わせて薬茶を新たに考案して見本をお送りします。

ほかに、会員の交流を深めるため、会員懇親会を企画して開催する予定です。

会員通信:NPO法人伝統医学教育会事業活動報告(2024年度)

1、講習会

2024年度の定期講習会は、理論講習の「常用針灸腧穴の基礎と実用」を4月から、実技講習の「整体推拿療法の実技と応用」を6月から開講し、双方ともに翌2025年2月に終了しました。

「常用針灸腧穴の基礎と実用」の講習は、2023年8月出版した針灸臨床実用参考書シリーズの新書「経穴の定位と技法」に合わせて開設し、鍼灸師・推拿療法士のほか、一般の方計8名が参加されました。

腧穴は、臨床治療や健康保健において病証反映の診断点としても、また針灸推拿・気功導引など外治療法の治療点としても重要な役割を果たしています。応用に際しては腧穴の定位を精確に把握し、臨床で正しく取穴することにより、相応しい物理的な刺激を促して治療効果を果たします。そのため、精確かつ迅速に腧穴の定位を取ることは大きな意義があります。今回の講習では、腧穴学の基礎知識を始め、臨床で最も常用される凡そ120経穴を取り挙げ、それぞれ名称の解釈から、その精確な定位と取法及び主要な性能と主治を伝授したうえ、更に具体的な応用実技まで指導して取穴技法の練習を行いました。これにより腧穴の臨床応用の方法や経験を習得し、健康の維持と増進、疾病の予防と治療に役に立てたと思います。

一方、「整体推拿療法の実技と応用」の講習は当会で三回目の講習となり、今回は安藤会員の希望と協力を得て、計6名が参加されました。

中医推拿療法は最も古い自然療法として、古来養生保健と疾病の予防治療の重要な手段です。操作が簡便且つ安全で、明らかな即効性を持つなどのメリットにより、医薬不足の古代だけでなく、自然療法重視の現代社会でも益々注目されています。長い発展歴史から技法も数多くて応用も様々であるため、初心者は系統的に把握するのが難しく、更に基礎技法を臨床実践まで確実に活用できない事が現状としています。

今回の講習は参加者全員が針灸資格所有者のため、関連する人体解剖及び経絡腧穴の基礎理論を省略し、その時間を活かして推拿実技の説明と練習に利用できました。繁雑な推拿実技を実用的にまとめて基本手法と応用要領を講習して実習し、更に長年の臨床と教育の経験に基づいた整体推拿の施術方法を伝授し、いち早く臨床実践に即していけるようになりました。

 

2、健康支援

教育事業活動と同時に、会員の健康支援活動も引き続き行っています。伝統医学教育会ホームページの会員専用ページにて健康知識を定期的に更新していますので、皆様の健康増進の参考にして頂きたいです。

また、会員の健康支援を目的として前年度に引き続き、伝統医学的な薬茶をお送りしました。今回は主に新型コロナウイルス感染の急増状態、及び季節的に盛夏の暑熱湿聚の特徴に従って薬茶を考案して処方と見本を送付しました。いつもと同じように、皆様にお送りした薬茶の主要材料は身近なものを使って作成し、作成方法は教育会の会員専用ページに公開しています。

 

3、懇親会

コロナの影響で会員の皆様との交流も暫く控えておりましたが、2023年の懇親会で久し振りに皆様とお会いでき、ご近況やご意見をお聞きし、お元気な姿を見て嬉しく思いました。今年度も10月13日(日)午後、当会事務所にて会員の懇親会を久しぶりに開催しました。感染を考慮してご参加を控えていた方もいましたが、今回は計8名が出席しました。

この機会に長年に渡って支援して頂いた会員及び新しく入会した会員の皆様は一堂に集まり、様々な情報交換や交流懇親をしました。事務局も会員の皆様とお会いして貴重なご意見や近況をお聞きすることができました。また、皆様との交流を通じて今後の伝統医学教育会の活動方針を明確にして事業活動を進んで行きたいと考えています。