健康知識:随時に行える養生法 閉目三分間

頭を働かせなければリラックスして休めると勘違いをしている方は少なくない。仕事から帰宅しても携帯電話を手離さず、食事中、睡眠前、更に入浴中でも、ずっと携帯電話を見ている。実際には全く休息できず、精神を消耗している。何故なら、目を開けているためである。

《黄帝内経》には「目受血則能視」や「五臓之精皆上注于目」などが記されており、つまり目を使う度に血を消耗し、五臓の精気を損耗している。

中医学における望診では、目を診ることで神気の充足度を判断することができる。目に神気が無い時は病状が深刻になり、眼神散漫の時は病状が危篤で、予後が悪いとされている。すなわち目は生体の健康状態を反映する重要な器官で、精気と神気を養護するためには目をいたわって使うのが大事である。

ここでは、何時でも何処でも随時に行える「閉目養神」という方法を紹介し、精気を五臓に帰還させて濡養作用を果たし、心身の調節養護に役立つ。

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健康知識:随時に行える養生法 閉目三分間

頭を働かせなければリラックスして休めると勘違いをしている方は少なくない。仕事から帰宅しても携帯電話を手離さず、食事中、睡眠前、更に入浴中でも、ずっと携帯電話を見ている。実際には全く休息できず、精神を消耗している。何故なら、目を開けているためである。

《黄帝内経》には「目受血則能視」や「五臓之精皆上注于目」などが記されており、つまり目を使う度に血を消耗し、五臓の精気を損耗している。

中医学における望診では、目を診ることで神気の充足度を判断することができる。目に神気が無い時は病状が深刻になり、眼神散漫の時は病状が危篤で、予後が悪いとされている。すなわち目は生体の健康状態を反映する重要な器官で、精気と神気を養護するためには目をいたわって使うのが大事である。

ここでは、何時でも何処でも随時に行える「閉目養神」という方法を紹介し、精気を五臓に帰還させて濡養作用を果たし、心身の調節養護に役立つ。

閉目養神は簡単便宜で効果顕著な心身の調節方式である。中医学によると、「神」は生命活動の主宰であり、また生命活動の総合体現でもある。《黄帝内経》曰く「得神者昌,失神者亡」のように、閉目養神は非常に重要な価値がある。

現代研究でも閉目養神が確実な科学性を持つと検証されている。両目を閉じることで外界から大脳への情報量を大いに減少させ、大脳の情報受理によるエネルギー消耗を軽減させて大脳は休息と調整が得られる。また閉目は視神経の緊張を緩め、神経系全体のリラックスのためにも役立つ。

1、閉目養神の練習方法

大腿を水平状態に保つ高さの椅子に座り、膝を90度屈曲させる。両脚は肩よりやや広く開いて平行して置き、両手掌を下に向けて大腿の上に置く。両目を自然に閉じて静かにリラックスする。最初は雑念が多いかも知れないが、少しずつ馴染んで行くと、思考が落ち着いて心境が平静になる入静状態になれる。

研究によると、人体は通常午前9時、午後1時、そして午後5時に倦怠困憊を感じ易いため、この時機に目を閉じて3~5分間、或いは10~15分間の休憩が取れたら、疲労回復の効果が良好である。

2、閉目養神の練習原則

閉目養神を練習する際に、下記「三無」の原則を守らなければならない。

① 無目的:閉目養神の練習は何らの効果に達しなければならないことを考えず、ただ自分の緊張を緩めて健康を維持し増進する方法の一つとして欲しい。

② 無定式:閉目養神の練習は余りに時間や姿勢などに拘らず、自分が気持よく感じられるようにすれば良い。できるだけ卓上に俯せず、椅子に座るのが最も相応しい。

③ 無場所:閉目養神の練習は場所を気にせず、安全・安静の前提下で行えば良い。特に試験や講演などの前に数分間ほど目を閉じていれば、緊張感を解消して精神が落ち着くための助けにもなる。

疲労を感じる時に、仕事の合間、昼間の休憩時、そして仕事の終了後に帰宅した時でも、少しだけの時間を利用して閉目養神を行うことで、精気を体内に収めて外へ散らさず、神志を宿って夜の入眠にも有益である。

現在では電子情報が盛んになって人々は常に電子機器を注視しているが、その危害は実に大きい。少しでも心神を擾乱することを避けて清浄な心を保つことこそ、正統の養生道であろう。