活動案内:「整体推拿療法の実技と応用」講習会案内

中医推拿療法は中国伝統医学に基づいた按摩療法の事を指し、古来養生保健と疾病の予防治療の重要な手段となっている。推拿療法は操作が簡便且つ安全で、明らかな即効性を持つなどのメリットにより、医薬不足の古代だけでなく、自然療法重視の 現代社会でも益々注目されている。整体推拿療法は推拿療法の一部で、人体を一つの全体として考える前提に立ち、生体機能を整えるという意味があり、中国伝統医学の整体観念という基本的な特徴に対応している。

中医推拿療法は長い発展歴史から技法も数多くて応用も様々であるため、初心者は系統的に把握するのが難しく、更に基礎技法を臨床実践まで確実に活用できない事が現状とされている。

今回の講習は推拿療法に関連する人体解剖基礎や経絡腧穴知識などの基礎理論を要略的に講義した上、繁雑な推拿実技を実用的にまとめて基本手法と応用要領を講習し実習し、更に長年の臨床と教育の経験に基づいた整体推拿の施術方法を伝授する 予定です。いち早く臨床実践に即していけるように期待している。

また、講習終了時には特定非営利活動法人伝統医学教育会の修了証書を授与する。

 

日 程:全8回 月1回 午後14時00分~16時30分(計20学時間)

① 06月16日 整体推拿療法概説;人体解剖学概要;推拿手法実技;

② 07月21日 人体解剖学概要;推拿手法実技;

③ 09月08日 経絡腧穴学概要;推拿手法実技;

④ 10月06日 経絡腧穴学概要;整体推拿療法の施術要領;

⑤ 11月10日 頭頸部の推拿施術実技;

⑥ 12月08日 背腰部の推拿施術実技;

⑦ 01月19日 胸腹部の推拿施術実技;

⑧ 02月09日 四肢部の推拿施術実技。

場 所:東京都千代田区外神田6-4-5-401  NPO法人伝統医学教育会事務所

交 通:東京メトロ銀座線末広町駅4番出口 千代田線湯島駅5番出口より徒歩5分

JR御徒町駅・秋葉原駅・御茶ノ水駅より 徒歩10分~15分

定 員4名以上で開講 6名まで

費 用:70,000円(当会会員は5,000円割引、分割払い可)。

教科書「整体推拿療法」は別途5,500円(当会会員は割引後4,500円)。

振込先:特定非営利活動法人伝統医学教育会

郵便貯金総合口座 10100-55927971

ゆうちょ銀行 〇一八店 普通預金 5592797

申込み:NPO法人伝統医学教育会事務局  FAX 03(5816)5235

締切り:2024年6月1日(土)まで

健康知識:息を深く長くすることで健康養生

人間は、赤ちゃんとして母体から離れて産声を発して息が始まって自ら生命活動を営み始めるが、最期に息を引き取ることで生命活動の終止を示している。呼吸機能は生命活動の基本的な指標である。「人は一息で活きる」と言われるように、人間の生命は気によって営んでおり、生命活動自身は気の運動の一種である。健康の時には元気が充足し、病弱の時には息切れや息苦しいなど呼吸困難が現れてくる。

中医学的には、生体の気は肺に吸入された自然界の清気、及び脾胃に運化された飲食物の穀気から生成されている。脾胃による消化機能は確かに健康維持の基本であるが、肺による呼吸機能も健康増進の重要な素因である。気功養生療法では「調息」(息の調節)が非常に重要な要素とされている。

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健康知識:息を深く長くすることで健康養生

人間は、赤ちゃんとして母体から離れて産声を発して息が始まって自ら生命活動を営み始めるが、最期に息を引き取ることで生命活動の終止を示している。呼吸機能は生命活動の基本的な指標である。「人は一息で活きる」と言われるように、人間の生命は気によって営んでおり、生命活動自身は気の運動の一種である。健康の時には元気が充足し、病弱の時には息切れや息苦しいなど呼吸困難が現れてくる。

中医学的には、生体の気は肺に吸入された自然界の清気、及び脾胃に運化された飲食物の穀気から生成されている。脾胃による消化機能は確かに健康維持の基本であるが、肺による呼吸機能も健康増進の重要な素因である。気功養生療法では「調息」(息の調節)が非常に重要な要素とされている。

呼吸運動は姿勢、生活環境、そしてストレスなど様々な素因に影響され、浅くなったり苦しくなったりする。加齢に伴って胸郭が硬くなりがちで、呼吸運動も影響されやすい。清気の吸入が少なくなり、元気が不足する。

古代の養生術には、「呼吸が臍に至れば、寿命は天と等しい」との名言があり、呼吸が臍まで深くできれば、長寿ができる。このように呼吸を深く長くする鍛錬方法は養生に大きな役割を果たしている。呼吸の鍛錬方法は様々あるが、基本的な要領は緩慢、柔和、連続であり、代表的な簡易方法として腹式呼吸が挙げられる。

普段の呼吸方式として、胸郭の拡大と収縮によって肺臓の全体が外から動かされ、空気を肺中に納めて清気の吸収と濁気の排出を行う。呼吸運動の深まりに伴い、胸郭の動きに伴って腹部も起伏するように運動させると腹式呼吸になる。厳密に言うと、腹式呼吸は単純に腹部による呼吸ではなく、胸郭の呼吸運動が強化し深化したものである。

呼吸は吸気と呼気の律動的な動作からなるが、吸気より呼気が重要である。呼気により濁気を排出してはじめて、吸気により清気を吸収することができる。これによって「吐故納新」(腹から古い気を吐き出し、鼻から新しい気を吸い入れる)が求められている。また呼吸の一時的停止は停止前の呼吸に対して強化作用があると考えられるため、呼吸鍛錬の時に、吸息の時間より吐息の時間をやや長く調整し息を吐き尽くしたところで、少しだけ停めることをお勧めする。

腹式呼吸の鍛錬効果は下記にまとめられる。

① 肺気増強:中医学によると、肺は気を主り、呼吸を司るとされ、肺気が充足すると、生体の元気も充足している。また肺気とは呼吸だけではなく、また外邪侵襲の防御機能を意味しているため、生体の抵抗力や免疫力に繋がる。腹式呼吸は胸郭を最大限に広げて清気を多く深く吸い込み、肺臓の機能も増進させて肺気を増強させる。

② 内臓強化:腹部には任脈、腎経、胃経、脾経、肝経、帯脈など、多くの経絡が循行して通過しているため、腹式呼吸による腹部の起伏運動は腹部の内臓に按摩のような効果を持って内臓の蠕動が助長され、これに伴って全身の経絡と臓腑も同調して気血の循行を促進される。特に中焦脾胃の運化機能を直接強化して昇清降濁の機能を健全にさせる。

③ 気血増進:腹式呼吸を行っているうちに、内臓器官に按摩作用を果たして蠕動を促進させ、全身の気血運行を増進する。これによって頭痛眩暈、高血圧症、脳血管障害などの疾患に対して効果的に予防と回復の作用を果たす。中医学からみると、これらの疾患は気血上衝の種類に属し、腹式呼吸で気血を下方の丹田へ引き下ろすことができる。

④ 肌膚保養:中医学的には「肺は皮毛を主る」とされ、全身の皮膚と体毛は肺気に栄養されて調節されている。肺気が充足すると、肌がきめ細かくて滑らかであり、肺気が不足すると、皮膚・毛髪が疎らで外邪に侵襲されやすい。腹式呼吸で肺気を増強させ、肺気の充足によって美肌・潤膚・祛斑の効果を果たす。

⑤ 精神安定:腹式呼吸は精神に直接影響している。気分が悪く苛立つ時に、数回深呼吸をすると、精神が落ち着くことを経験した方は少なくない。息を深く長くすることにより、気血の運行が促進され、特に中焦脾胃による昇清降濁の機能を増進させ、心神(頭脳)がスッキリして愉悦な気分になる。

腹式呼吸の鍛錬方法は比較的容易で、個人的に調整しやすい。重要なのは呼吸鍛錬の要領を把握し、長期に持続することである。

簡単な鍛錬方法では、姿勢は立式でも臥式でも良いが、両手を臍の前に置く(立式)か、重ねて臍下の丹田に軽く当て(臥式)、心身全体を緩めて窮屈な姿勢を避ける。呼吸を自然な状態から少しずつ丁寧に深く長く調整し、呼吸に従って腹部も起伏する。通常では吸息時に胸腹部も膨らみ、吐息時に胸腹部も引き締める。呼吸鍛錬の長期持続で馴染んでから、吸息時に腹部を引き締め、吐息時に腹部を膨らむように意識的に調整することもでき、これを逆腹式呼吸と言う。いずれも吸息の時間より吐息の時間をやや長くし、吐息後に少しだけ間隔を置くことをお勧めする。

少し専門的な練習方法に拘る方には、下記の呼吸鍛錬方法を紹介する。

両脚を肩幅ほど開いて自然に立ち、両手を緩めて腹前に風船を持つように置く。吸息に伴って両手を微かに身体の内側へ収め、腹部は微かに体内へ収める。同時に両手に抱かれる気と吸い込んだ気は丹田(臍下の下腹内)に合流し、更に丹田から命門(両腎臓の間)へ収縮していくと連想し、これを「闔丹田」と言う。息を吸い切ったら、ゆっくりと吐息する。全身が緩み、全身の気が丹田から四肢百骸まで伸びて行くと連想し、これを「開丹田」と言う。息を吐き切ったら、やや停止する(鍛錬の深化により、停止間隔も徐々に長くする)。その後ゆっくりと吸い込み、前述した要領で吸息に進む。

このように繰り返して呼吸と丹田開闔を30分間ほど練習する。最初の7回は呼吸と丹田開闔の幅度は大きくし、その後は徐々に小さくし、全身のリラックスに伴い、リズムも自然に遅くなり、呼吸は微細で綿々と変わり、最後に有るようでもあり無いようでもある佳境に入る。

上記の腹式呼吸鍛錬には三つの要点がある。

① 吸気時に丹田を緊張させ呼気時に丹田を緩ませる。吸気と呼気に従って腹部が起伏し、吸気時に腹部の丹田から命門へ凹ませ、呼気時に腰部の命門から腹部の丹田へ緩める。呼吸の進行に従って腹部が律動的に起伏し、これによって臓腑への按摩効果が果たせる。

② 呼吸と丹田開闔はいずれも緩慢・柔和・自然に進行させる。練習の積み重ねにつれて呼吸は徐々に遅くなり、動作も細かくなる。無理な努力を避けて緩めて自然に行うことで、体内の気が充足することができるが、無理に力むと、焦りやすくなり、体内の気が乱れやすい。通常成人の呼吸は1分間に16回くらいあるが、腹式呼吸の鍛錬により呼吸は深く、長く、細く、均等になり、長期に持続すると養生長寿の効果が現れてくる。

③ 呼気後になるべく数秒ほど停止する。これによって心身静止の状態に入って休息の状態に入る。これを「息」との言葉で現し、古代に曰く「息なら則ち命が長い」のように、心身全体を呼吸に従って協調すれば充分に休息でき、精気神は滋養を得て充実になり、生命力も旺盛に回復して寿命も延長できる。