健康知識:三伏天における冬病夏治の食療処方

三伏天(さんぷくてん)は二十四節季の小暑と処暑の間にあり、一年中最も気温や湿度が高くて蒸し暑い時期である。今年も7月11日から三伏天に入り、ここ数年続いて、初伏10日、中伏20日、末伏10日で、計40日間である。中医学には「春夏養陽」の養生原則があるが、三伏天では特に陽気の保養に注意しなければならない。そのため、普段は温かい飲み物や熱性の生姜棗汁などを飲んだりし、冷たい飲み物や冷える食べ物を控える。また冷房環境に籠ってはいけない。

三伏天の時期、人体の陽気は自然界に従って最も旺盛になっているため、体内に凝集して冬季に疾病発作を起こす陰寒邪気は比較的解けやすい状態になっている。冬季持病の方や身体虚弱の方は、この時機を上手く利用して身体の奥に蓄積している頑固な寒邪宿疾を一気に追い払い、いわゆる「冬病夏治」のことである。また冬病治療と同時に、体内の虚弱陽気を調節し補充し、生体の免疫力を高めて一年中疾病の抵抗力を強める事が出来る。

冬病夏治の方法は沢山あるが、飲食薬膳の内治法も便宜的で効果的である。簡単な飲食薬膳だけで明らかに冬病の再発を減少させ、病状進行を緩和させることかでき、また身体虚弱の補養効果も大きい。ここでは、冬病夏治のための飲食薬膳処方を紹介する。

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健康知識:三伏天における冬病夏治の食療処方

三伏天(さんぷくてん)は二十四節季の小暑と処暑の間にあり、一年中最も気温や湿度が高くて蒸し暑い時期である。今年も7月11日から三伏天に入り、ここ数年続いて、初伏10日、中伏20日、末伏10日で、計40日間である。

中医学には「春夏養陽」の養生原則があるが、三伏天では特に陽気の保養に注意しなければならない。そのため、温暖・発散を適宜とし、寒冷・収斂を禁忌としている。簡単に言えば、「伏天に入ると、冷える物を食しない」と言われるように、普段は温かい飲み物や熱性の生姜棗汁などを飲んだりし、冷たい飲み物や冷える食べ物を控える。また冷房環境に籠ってはいけない。これによって生体に効果的な発汗をさせ、体内に伏せている寒湿邪気(代謝廃物)を順調に排泄する。

夏季の炎熱酷暑で、ついアイスクリーム、かき氷、冷たいビール、冷やした西瓜などを好んでしまう人が少なくないが、これらの寒冷食物は直接中焦陽気を傷めて脾胃虚弱を起こし、更に一身の陽気を損なう恐れがある。現代医学的にもこれらの寒冷食物は食道や胃腸のほか、近隣する心臓動脈を刺激して収縮痙攣を起こし、循環障害の発作を招いてしまうと指摘している。

三伏天の時期、人体の陽気は自然界に従って最も旺盛になっているため、体内に凝集して冬季に疾病発作を起こす陰寒邪気は比較的解けやすい状態になっている。夏季の暑熱が体内に貯まらないように、健常者には苦味や涼性でアッサリとした飲食物をお勧めしているが、慢性的な喘息咳嗽、胃痛泄瀉、関節冷痛など冬季持病の方や身体虚弱の方は、この時機を上手く利用して補虚助陽と共に温裏散寒の効能を持つ食物や薬物を加えるか、温灸を据えることなどで、天人の協力で身体の奥に蓄積している頑固な寒邪宿疾を一気に追い払う効果が果たせる。いわゆる「冬病夏治」のことである。また冬病治療と同時に、体内の虚弱陽気を調節し補充し、生体の免疫力を高めて一年中疾病の抵抗力を強める事が出来る。

冬病夏治の方法は沢山あるが、通常温灸法や三伏湿布などの外治法が多く知られて用いられている。実際、飲食薬膳の内治法も便宜的で効果的である。特に皮膚が過敏で外治法に合わない場合、簡単な飲食薬膳だけで明らかに冬病の再発を減少させ、病状進行を緩和させることかでき、また身体虚弱の補養効果も大きい。冬季では健康維持のために通常、羊肉、豚の腎臓、海老、韮、山芋、胡桃、黒胡麻など温熱性能で温腎祛寒の食材が用いられており、いずれも適当に応用できる。更に漢方薬を併用することで疾病治療の効果が期待できる。

ここでは、冬病夏治のための飲食薬膳処方を紹介する。

① 卵の緑茶煮

緑茶15g、鶏卵2個、お椀1杯のお水に入れて煮込み、火が通ったら鶏卵の殻を剥いて更に煮汁がなくなるなるまで煮込む。益肺理気の効能を持ち、慢性気管支炎、気管支拡張症、気管支喘息など肺陰虚に用いられる。

② 卵の生姜炒め

生姜を千切りにし、落花生油を熱くして生姜を炒め、鶏卵1~2個を加えて固まるまで炒め、毎朝1回食する。利肺降気・健脾止瀉の効能を持ち、慢性咳嗽、慢性喘息、慢性泄瀉などに用いられる。

③ 梨貝母の煮汁

梨1個、皮を剥いてスライスし、川貝母12gを磨り潰して氷砂糖20gを加え、一緒に煮込んで汁を服用する。潤肺止咳の効能を持ち、老年性気管支炎の肺熱による空咳、痰少などに用いられる。

④ 二姜と豚胃袋のスープ

豚の胃袋1個、お酢で綺麗に洗って生臭みを取り、千切りにしておき、乾姜10g、高良姜10g、草果3g、土瓶に入れて葱と生姜を加えて柔らかくなるまで煮込み、塩3~5gで調味して空腹時に食する。健脾温胃・助運止瀉の効能を持ち、脾胃虚弱による胃脘冷痛、飲食不化、慢性泄瀉、面色萎黄、身体羸痩、倦怠無力などに用いられる。

⑤ 栗と羊背骨のスープ

栗12個、羊の背骨1本(金槌で砕く)、肉蓯蓉12g、草果3g、土瓶に入れて葱と生姜を加え、柔らかくなるまで2時間ほど煮込み、塩で調味して空腹時に食する。補腎固本の効能を持ち、腎精虚損による慢性婦人科疾患、腰膝痠軟冷痛、筋骨無力などに用いられる。

⑥ 鮒の胡椒スープ

新鮮な鮒1匹(約250g)、鰓と鱗と内臓を取り除き、生姜20gをスライスにし、砂仁と胡椒粉を一緒に魚のお腹に入れ、適量のお水を加えて中火で火が通るまで煮込み、塩で調味して食する。温補脾胃の効能を持ち、脾虚型または胃寒型の胃痛に用いられる。

⑦ 雄鶏の白胡椒スープ

雄の鶏1羽、綺麗に洗ってから角切りにし、白胡椒9g、草果3g、良姜3gと一緒にお鍋に入れ、葱と生姜を適量加えてお水から柔らかくなるまで煮込み、塩で調味して空腹で食する。温肺補虚・止咳平喘の効能を持ち、虚弱羸痩、畏寒少气、寒冷発作の咳嗽、繰り返す感冒,アレルギー性性鼻炎,冬季増悪の喘息などに用いられる。

⑧ 烏骨鶏の黄芪スープ

黄芪30g、乌骨鶏半身を共に煮込み、鶏肉が柔らかくなったら調味料を入れて肉を食べてスープを飲む。3回に分けることが出来、連続してひと月くらい食する。養肺益気・滋腎補血・固表防感の効能を持ち、身体虚弱、易感冒、咳嗽などに用いられる。。

⑨ 大豆花山椒スープ

大豆30g、花山椒5gをお水500mlに入れて強火で煮たってから、弱火に変えて柔らかくなるまで煮込み、お好みで調味して豆を食べて汁を飲む。健脾宽中・和胃止呕・散寒止痛の効能を持つ。

上記のほか、冬病の凍瘡に対して温熱性能を持つ食物薬物を外用する事もできる。紫色の大蒜(独株のが良い)を泥状に潰して暖かくなるまで天日干しし、薄く凍瘡再発部位に塗り付ける、一日に3〜5回、連続して5〜7日行うことで、冬季での再発を予防する。或いは新鮮の胡麻葉を丸めて凍瘡再発部位を擦り、汁を皮膚に残して1時間後に洗い落とす。一日に数回、連続して1週間ほど行う。或いは紅花10g、桂枝15gの煎じ汁を凍瘡再発部位に塗り付ける。一日に1回、連続して5日間行う(妊婦不適)。

三伏天にもう一つ簡単な陽気保養の方法がある。夕方に一日日光に当たって熱くなった木や石のベンチに座ることで、湿邪停滞による腰腿重痛、早朝の腹痛泄瀉や手足不温・月経腹痛など虚寒証、様々な持病を改善させられる。