健康知識:馬歯莧の性能と応用

馬歯莧はスベリヒユ科の植物でスベリヒユの全草である。初夏から晩秋までに畑、道端、庭園、廃墟など日当たりの良い場所に自生している。葉が丸くて小さく、茎が赤く、肉質が肥えて厚みがあり、夏には黄色の花が咲いて綺麗に見せている。

薬食両用の植物として、夏季に食用するほか、全草が薬用できるし、また種子も生薬として応用される。民間では「長寿草」や「長命草」などと呼ばれている。

新鮮な馬歯莧は口当たりが柔らかいが、シャキシャキし、ツルツルする感じで、やや酸味がある。野菜として味は普通であるが、薬用価値が大きい。

中医学的に、馬歯莧は酸味で寒涼の性質であり、心・肝・肺・大腸経に帰経する。ここでは、馬歯莧の薬用効果、食用方法、注意事項について詳細に紹介する。

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健康知識:馬歯莧の性能と応用

馬歯莧はスベリヒユ科の植物でスベリヒユの全草である。初夏から晩秋までに畑、道端、庭園、廃墟など日当たりの良い場所に自生している。葉が丸くて小さく、茎が赤く、肉質が肥えて厚みがあり、夏には黄色の花が咲いて綺麗に見せている。

薬食両用の植物として、夏季に食用するほか、全草が薬用できるし、また種子も生薬として応用される。歴代の薬草専門書では馬歯莧について「馬歯莧,又名五行草,以其葉青,粳赤,花黄,根白,子黒也。」(馬歯莧、又の名は五色草で、其の葉が青く、茎が赤く、鼻が黄色く、根が白く、種が黒いためである)と描いており、小さな草でありながら、五行色の全部を占めて決してその価値も軽視してはいけない。民間では「長寿草」や「長命草」などと呼ばれている。

新鮮な馬歯莧は口当たりが柔らかいが、シャキシャキし、ツルツルする感じで、やや酸味がある。野菜として味は普通であるが、薬用価値が大きい。

薬用効果

中医学的に、馬歯莧は酸味で寒涼の性質であり、心・肝・肺・大腸経に帰経する。主に清熱利湿・涼血止痢・解毒消腫・止咳止渇などの効能があり、様々な病状の治療に用いられる。

① 消化管伝染病の予防と治療:馬歯莧は赤痢菌、腸チフス菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌などに対して強い抑制作用を持ち、熱毒による赤痢、テネスムス(裏急後重ともいい、頻回に便意を催すが便は出ない症状)、細菌性下痢(湿熱泄瀉)、大腸炎などの治療を補助するほか、実熱による大便秘結、痔瘡出血、腸ポリーブなどにも著しい効果がある;

② 皮膚疾患の治療:「諸痛痒瘡,皆属于心」(《黄帝内経》)、また肺は皮毛を主る。馬歯莧は清心火・散肺熱の作用を持ち、口内炎、舌炎、癕腫疔毒、湿疹乾癬、丹毒など血熱による皮膚疾患のほか、蛇虫咬傷や蜂刺傷にも効果的である;

③ 眼目赤腫の改善:肝は目に開竅するため、肝熱が経脈に沿って目に上がると、目の発赤や腫脹、目脂などが見られる。馬歯莧は酸味が肝に入り、清肝涼血明目の効果が期待でき、特に夜更かしによる肝の陰血を損なった後の赤目に役立つ。種子の明目作用が最も顕著である。また若者の白髪も肝熱が盛んで頭頂に上がって発症したもので、治効がある。

④ 出血疾患の改善:心は血脈を主り、肝は蔵血を主る。馬歯莧は清熱涼血止血の効能を持ち、性器不正出血、産後・流産による出血などに適応する。

ほかに、止咳の効能を百日咳に用いたり、利尿の効能を浮腫に用いたり、止渴の効能を消渇(糖尿病)の口渇に用いたりすることができる。近年、馬歯莧の抗がん作用も研究されている。

食用方法

馬歯莧の茎と葉が茂っている時期に、その若い部分を取って根を除き、綺麗に洗っておく。温惣菜の場合は、少し油で炒め、柔らかくなったら潰した大蒜を加えて塩で調味してできる。冷惣菜の場合は、熱湯に2分間ほど通し、取り出して水で冷やして軽く水気を取り、潰した大蒜や生姜を入れて塩、醤油、お酢、胡麻油などで調味する。また新鮮な馬歯莧を湯がいてから天日干しして乾燥させ、使用する時にお湯で戻し、炒めても餃子などの具としても活用できる。

なお、お湯を通した煮汁は捨てず砂糖(黒砂糖を使用しない)を加えて飲むと治療効果が得られる。特に前立腺炎の治療処方として紹介すると、

[材料]新鮮な馬歯莧500g。

[作り方]綺麗に洗って潰し、ガーゼで包んで汁を絞り出す。

[飲み方]毎日朝晩空腹時に砂糖少々を加えて白湯で薄めて飲む。

[効果]一週間で治癒。

皮膚疾患の治療においては、食用に伴って新鮮な馬歯莧を潰して患部に直接塗るか、更に乾燥した馬歯莧の煎じ汁をお風呂に入れて入浴すると、治療効果が高められる。

注意事項

注意しなければならないのは、馬歯莧は寒滑性質のため、寒邪による泄瀉や脾虚便溏の者はお勧めしない。また滑利の特性を持っているため、妊婦、特に習慣性流産の妊婦は食用しない。ほかに、鼈甲を含んだ漢方処方を服用する際に食用しない。