健康知識:万能の天然消炎抗生剤 魚腥草

魚腥草と言えば、普段余り聞き慣れないかも知れないが、和名ドクダミの名称なら、民間薬として顕著薬効がよく聞き覚えがあると思う。中国ではドクダミの植物名を蕺菜(ジュウサイ)と言い、魚腥草はその生薬名である。日本ではドクダミの生薬名をジュウヤク(十薬・重薬)と言う。魚腥草は多年生の草本植物で、全草(特に葉・茎)にアルデヒド由来の独特な臭気があることから、魚腥草(腥とは生臭い意味)と呼ばれている。

日本では、昔からゲンノショウコとセンブリと並べて三大民間薬の一つとして数えられ、広く応用されている。内服薬として、胃腸病、食あたり、下痢、便秘、利尿などに応用され、外用薬としても腫れ物、吹き出物、皮膚病などの排膿や毒下しに用いられる。

ここでは、魚腥草の薬用効果、食用方法、注意事項について詳細に紹介する。

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健康知識:万能の天然消炎抗生剤 魚腥草

魚腥草と言えば、普段余り聞き慣れないかも知れないが、和名ドクダミの名称なら、民間薬として顕著薬効がよく聞き覚えがあると思う。初夏から卵状ハート形の葉が青々と左右対称に生え、頂端の中央には円柱状の花穂が真っ直ぐに立って淡黄緑色の花が密生し、花穂の基部に花弁に見える4枚の白い総苞片が十字状に開いている。一面に生い茂って何となく美しく見せている。

中国ではドクダミの植物名を蕺菜(ジュウサイ)と言い、魚腥草はその生薬名である。日本ではドクダミの生薬名をジュウヤク(十薬・重薬)と言う。魚腥草は多年生の草本植物で、全草(特に葉・茎)にアルデヒド由来の独特な臭気があることから、魚腥草(腥とは生臭い意味)と呼ばれている。湿り気のある半日陰地を好み、住宅周辺の庭園や空地、道端、林の木々の下などによく群生し、繁殖力が強くて千切れた地下茎からでも伸びて蔓延るため、隅々にまでドクダミだらけになってほかの雑草が生えなくなる。

薬用には地上部の全草を乾燥させたものを用いる。夏季の茎と葉が茂って花が満開する開花期(5~8月)から果実期にかけて採取し、残根を取り除き、不純物を洗浄し、段切りにしてから陰乾しするか、天日干しする。日本では、昔からゲンノショウコ「現(験)の証拠」とセンブリ「千度振り出し」と並べて三大民間薬の一つとして数えられ、広く応用されている。内服薬として、胃腸病、食あたり、下痢、便秘、利尿などに応用され、外用薬としても腫れ物、吹き出物、皮膚病などの排膿や毒下しに用いられる。

薬用効果

中医学的には、魚腥草は味辛、性寒涼(微寒)であり、肺・肝・腎・膀胱経に帰経する。下記の効能を持って実熱・熱毒・湿熱による諸病証に適応する。

① 清熱解毒:痰熱壅盛の肺癕(肺膿瘍)・肺癌による咳嗽、腐臭膿血痰、胸痛、癌性胸水、肺炎・肺熱による気喘咳嗽、マラリア;

② 消腫療瘡:湿熱による水腫、帯下、瘡瘍腫毒、禿瘡、疥癬;

③ 利尿通淋:湿熱淋証による排尿痛、排尿困難、尿混濁;

④ 瀉熱止痢:赤痢、痔瘡便血、湿熱泄瀉、脾胃積熱;

⑤ 美肌護膚:面皰、汗疹、湿疹、水虫、皮膚炎。

現代医学の薬理実験によると、魚腥草は明らかな抗菌・抗ウイルス、生体免疫力増加、利尿などの作用がある。臨床では、上気道感染症、インフルエンザ、肺炎、扁桃腺炎、咽頭炎、流行性耳下腺炎、鼻炎、蓄膿症、結膜炎、急性黄疸性肝炎、急性細菌性赤痢、腎炎、膀胱炎、子宮頸部糜爛など様々な炎症の全般に効果的である。

また魚腥草は優れた抗酸化作用があり、皮膚の美白促進と老化遅延に役立ち、同時に皮膚の炎症状態を軽減して発赤発疹の症状を改善させる。

 食用方法

中国西南部の四川省や雲南省や貴州省では「蕺根(折耳根)」と呼ばれ、清熱祛火の作用を以って食事の重要な薬味や具材とされ、主に根や茎を使って米粉や糯米飯などの主食に混ぜたり、臘肉(塩漬けし燻製して干した肉)と炒めたり、唐辛子・辛味噌などで辛い味付けの和え物にしたりして食べるが、四川省ではまた葉を野菜として食用している。ベトナムやラオスでも葉を重要な食材として用いている。日本では料理用の食材として使われないが、葉を山菜として天麩羅などにすることがあり、乾燥した葉をハーブティーとしてドクダミ茶を製造し、麦茶や桑茶のように飲まれることが多い。

新鮮な魚腥草は消炎作用と抗菌抗ウイルス効果が最も高く、ある一部の抗生物質よりも優れている。魚腥草の葉は加熱することで臭気が和らいで薄い野菜味が出るから、通常お湯を通して煮汁を飲む。新鮮な魚腥草500gをお水(飲める量の2倍ほど)に入れて沸いたら少し氷砂糖を加え、長く加熱せず5~10分間煮込んで飲用する。これは1歳~80歳各年齢層に適応して様々な炎症・感染症の治療に用いられる。

また高血圧症や動脈硬化症の予防には必ず花つきの魚腥草を選んで採取するが、天日干しすることにより臭気は無くなる。乾燥した全草5~20gをお水500~600mlで半量になるまで弱火で煎じ、茶代わりに3回に分けて服用する。

注意事項

魚腥草は寒涼の性質を持っているため、虚寒病証や虚弱体質の方は服用しない。