健康知識:陳皮(蜜柑皮)の神秘的な効用

蜜柑を食べた後に残された皮を陰干しし、一年間以上経過したものを貴重な中薬の陳皮としているが、三年ほど保存された陳皮は薬効がもっと良いとされている。陳皮は理気健脾・養胃散寒の効能を持ち、消化機能を促進させて消化不良や食欲不振などの症状を改善させる。

現代においても陳皮は「国民の保健薬」として下記のように広く応用されている。

① 芳香理気、寛中消脹;② 脾胃調和、消食導滞;③ 益肺化痰、止咳平喘;④ 降圧降脂、心脳血管の改善;⑤ 抗腫瘍・抗炎症。

また他の薬物に比べて陳皮は殆ど副作用が無く、天然の果物から来た食用薬物は安全に活用できる。

ここでは調味料、薬膳食材、そして養生材料としての具体的な応用を幾つか紹介する。

続きは会員専用ページにてご覧いただけます

健康知識:陳皮(蜜柑皮)の神秘的な効用

蜜柑を食べた後に残された皮を陰干しし、一年間以上経過したものを貴重な中薬の陳皮としているが、三年ほど保存された陳皮は薬効がもっと良いとされている。

陳皮は理気健脾・養胃散寒の効能を持ち、消化機能を促進させて消化不良や食欲不振などの症状を改善させる。

中薬として陳皮の応用歴史は長い。中国最初の薬学専門古典《神農本草経》では上品に並べ、「橘柚,味辛温。主胸中瘕熱逆気,利水穀。久服,去臭下気通神。」(陳皮は逆上せを冷まして消化を促進させ、長期服用で濁気を下して神気を通す)とあり、陳皮の性能について記載している。唐の《新修本草》や宋の《証類本草》には「下気通神,軽身長年」の養生作用を明らかにし、更に「陳者為良」という応用原則を提起している。明の薬学経典《本草綱目》には「苦能泄能燥,辛能散,温能和。其治百病,総是取其理気燥湿之功」とあり、陳皮の薬性薬効について性味帰経から詳しくまとめている。他に《本草匯言》には「其気温平,善于通達,故能止嘔止咳」と陳皮の止嘔・止咳効能を記載している。

現代においても陳皮は「国民の保健薬」として下記のように広く応用されている。

① 芳香理気、寛中消脹;

② 脾胃調和、消食導滞;

③ 益肺化痰、止咳平喘;

④ 降圧降脂、心脳血管の改善;

⑤ 抗腫瘍・抗炎症。

また他の薬物に比べて陳皮は殆ど副作用が無く、天然の果物から来た食用薬物は安全に活用できる。

ここでは幾つかの具体的な応用を紹介する。

① 調味料としての主要作用

消臭:陳皮の芳香は魚や肉の異臭を取り除く;

香味:陳皮の苦辛味は他食物の味と混合すると独特な新鮮な香味を作り出す;

殺菌解毒:陳皮は一定の殺菌作用を持ち、魚や蝦による中毒を解消し、その寒性を緩和させる;

脂肪分解:肉料理に脂っこさを解消してお肉を柔らかく煮込み、消化促進にもなる。

② 薬膳食材としての応用

陳皮粥:お粥を煮る時に蜜柑半分または一個分の皮を入れて一緒に煮込む。朝食で陳皮粥を食べると、清々しく香って胃を暖めて食欲が増進でき、また感冒咳嗽の予防にも役立ち、胸腹脹満、咳嗽痰多の者に対して飲食治療の作用を果たす。滋補効果は陳皮人参粥と同等である。

陳皮牛肉:牛肉500g、陳皮1~2欠片(蜜柑1個分)、豆板醤1匙、甘酒適量(料理酒でも代用できるが、調理する際に砂糖と水を少し加える)。牛肉と陳皮を千切りにし、お鍋に油を塗して強火で牛肉を半熟まで炒め、豆板醤と陳皮を加えて均等に炒め、甘酒(或いは料理酒、砂糖、水)と醤油を加えて暫く煮込み、汁が乾きそうになると出来上がり。糖尿病など羸痩無力の方に適宜である。

陳皮香菜生姜汁:夏季では感冒に罹ると、頭暈頭痛に伴って悪心嘔吐、腹痛泄瀉などが見られるが、いわゆる胃腸型風邪である。これは空調に吹かれたり、雨に濡れたり、生ものや冷える物や消化し難い物を食べたりすると多く見られる。胃腸型感冒の場合は陳皮香菜生姜汁がお薦めである。陳皮1~2欠片(蜜柑一個分)、皮付きの生姜3スライス、香菜1小束。お鍋に水を入れて陳皮を煮て、沸かした時に微塵切りの香菜根と生姜スライスを加えて5分ほど煮込み、最後に微塵切りの香菜葉をいれて出来上がり。汁を飲んで香菜を食べる。また鼻閉、鼻汁を伴う者には髭付きの長葱白根を3本加えて一緒に煮込む。

③ 養生材料としての応用

陳皮枕:蜜柑皮を日差しの下で半乾きまで日干しし、細く千切りするか、「丁」字形に切ってから完全に干し、直接枕カバーに入れて出来上がり。安神助眠のほか、健康増進のためにもなる。

陳皮に含有される大量の天然揮発油は呼吸によって生体に入り、自律神経を調節して鎮静安神の効果を果たし、不眠や神経衰弱に緩解作用を持つ;特に体内積熱の方に対して清熱祛火の作用を持ち、長期間の使用により逆上せの症状を軽減させ、また消炎殺菌の効果もある;また脳循環を促進して血管の老化や硬化などを避け、脳梗塞など脳血管疾病の予防につながる。