健康知識(特別公開):30秒中医養生動作

新型コロナウイルスの感染拡大で、不要不急の外出を自粛したり、在宅勤務を提唱したりし、普段より健康のための散歩や運動も不足しているように感じているだろう。暫くの間は疫病収束の見込みもないため、室内に居る時間が長い生活を快適に過ごせるよう簡単便宜な30秒中医養生動作を四種類紹介するので健康増進のためになって欲しい。

推腹30秒、昇清降濁

運動不足や加齢などに伴って便秘や睡眠不安などの状況が多く見られる。これらは濁気が降下せず正気が上昇しないことから起こされる。推腹法は生体の正気を上げて濁気を下すことができる。

✦ 推腹は腹筋及び胃腸平滑筋の血流量を増加させ、胃腸の内壁筋力とリンパ系機能を強化し、蠕動運動を促進して消化機能を高めることで便秘の予防と解消に役立つ。

✦ 推腹は肝火を平熄させて心気平和・血脈流暢の効果があり、高血圧・動脈硬化・心脳血管疾病の患者に対して補助治療の作用を果たす。

✦ 睡眠前の推腹は自律神経を調節して精神愉悦を保ち、入眠を助けて不眠を防ぐ。

[方法]

自然に呼吸して腹筋を緩める。

両手の手掌を用い、先ず鳩尾から下方へ推し、次に両側の脇腹から前下方へ推す。それぞれ30秒で、約36回繰り返す。手の下に硬い塊が触れた場合は、それを丁寧に按えて揉む。

毎日の朝起床前に一度、夜就寝前に一度を行うと良いが、普段時間がある時に行っても良い。経穴に拘る必要もなく、人体の腹部に循行する9本の主な経脈を一括で操作できる。

正座30秒、健腿護膝

正座は多くの方にとっては辛いことだと言えるが、実際には身体の腰膝に有益な鍛錬の一種でもある。

✦ 正座は腰部を保養して腰痛の予防治療に役立つ。腰痛の原因は殆ど脊柱不正や血行不良などであるが、早朝30秒の正座だけで効果的に改善できる。

✦ 正座の際に、膝関節の靭帯と筋肉は牽引されて緊張し、これによって血液循環が促進され、膝関節に豊富な栄養供給を与えるほか、積液を解消して腫脹疼痛を軽減させる効果もある。

但し注意を要することがあり、正座は随意の動作ではない。本来膝関節は脆弱であり、正座時の負荷は直立時の8倍くらい大きいと研究から示唆されているため、正確な正座姿勢を行って初めて関節保護のためになる。

[方法]

先ず正座する両下肢の膝窩部に柔らかいパットや折り畳んだタオルを入れる。

上半身を直立に保ってやや後方へ反らすように、自分の踵部に座る。全身の重量を下腿に掛けるのではなく、両脚の踵で臀部を支えるように気を付けよう。

一回の正座は15分間を超えない。正座の際に手指で膝蓋の周辺を按圧すると良い。

蹲踞30秒、強筋健骨

蹲踞(しゃがむ)は常用される運動である。簡単に見えるが、長期に持続することで筋骨強壮の作用を果たす。

✦ 蹲踞は膝関節の敏捷性を高めて関節老衰を遅らせる。常時に行うことで、下肢の筋力を強化して転倒を効果的に防ぐことができる。

✦ 蹲踞は血管機能を改善させて心血管疾病の予防治療に役立つほか、同時に新陳代謝と血液循環を促進して心筋の血液供給を改善させる。

✦ 蹲踞はまた高齢者の大脳機能を増強させ、大脳老衰を効果的に予防する。

[方法]

両脚を肩幅ほど開き、身体を自然にリラックスさせる。足先は前方に向けて内側や外側の八文字を呈しない。膝をゆっくりと曲げ、膝の先端は足先を超えない。背部を伸ばして壁に寄り掛かり、頭部・背部・腰部を真っ直ぐにして緩める。臀部を下方へ下ろしてしゃがむ。

最初の段階は膝関節を30度から45度くらい屈曲して良い。徐々に慣れてきたら関節をもっと曲げて身体を深く下げるが、90度を超えない。

一回は30秒程度で、通常耐えられなくなってから1~2分間休憩してもう一回行う。朝昼晩にそれぞれ一度行い、一度に三回繰り返す。

金鶏独立30秒、調整平衡

金鶏独立は個人の老衰程度を測定できるとされているが、運動としては体内の平衡を取り戻る効果がある。

✦ 中医学によると、疾病の発生は生体の陰陽失調から起こされる。詳細な分析では五臓六腑間に相互の協調関係が崩れたというように理解できる。金鶏独立は直接生体平衡を調整する方法である。

✦ 金鶏独立は意守(意念の集中)によって生体の気血を足底に導き、高血圧や糖尿病の患者、そして頸椎腰椎疾病による疼痛などに即時の緩解効果がある。

[方法]

両目を微かに閉じ、両手を自然に身体両側に下ろす。身体の重心を一側の足に移して反対側の足を膝から引き上げ、太股はなるべく水平にし、膝から下は自然に垂らす。状態を出来る限り長く安定させ、耐えられなくなったら足を変えて行う。

重要な点は目を開けてはいけない。閉眼時に身体の平衡は目ではなく、脳神経の全身各器官への調節によって行われたのである。

また足部に6本の重要な経脈が循行しており、足部の平衡調節を通して虚弱の経脈部位に痠痛を感じる。これによって経脈の相応臓腑及び循行部位も調節されている。

上記四つの動作を全て行っても良いが、自分に必要とする一つの動作を選んで普段の生活に取り入れて行っても良い。いずれにしても長く続けることが大切である。