活動案内:「常見病証の針灸治療実技(Ⅲ期)」講習会

針灸医学は理論に基づいた実践的な学科です。臨床では、中医学の辨証論治を元にして正確な診断を下すことができて、初めて正しい治療方針が立てられます。そこから、腧穴の性能に従って相応しい処方を組み合わせ、更に正しい技術を用いた効果的な治療を実施できます。日本の現状は、中医学の病証に対して基本概念がはっきり認識されておらず、また総合的な辨別分析の考え方も欠けているため、辨証論治の臨床応用は広く普及されていません。更に学校教育では実践に接した臨床実習が不足しているため、臨床現場に入ると、患者さんに対応し難く感じる方が多いようです。

伝統医学教育会では、これを踏まえ鍼灸師・鍼灸在学生を対象として針灸臨床にて多く見られる病証を取り挙げて、これまでに治療実技の二回講習を行いました。今回も少数人数で、実用性に重点を置き、日本の針灸現場で余り見られず針灸治療で特効が得られる病証を取り挙げ、その基本概念、病因病機、辨証技能、治療方針などを解説したうえ、具体的な刺針実技を指導しながら練習を実行し、更に個人的な心得と経験を伝授する予定です。これにより辨証論治の思想を導き、臨床実践の技術能力が高まる事と同時に針灸治療の特殊技法を身に付けられる事を期待しています。

講習終了時、NPO法人伝統医学教育会の修了証書を交付します。

 

講 師:陳 志強 医学博士

日 程:全8回 月1回 日曜日10時30分~13時00分(計20学時間)

毎回約30分理論解説、120分実習指導

① 04月23日 喘息(灸法操作を含む);

② 05月28日 帯状疱疹;

③ 06月25日 円形脱毛(梅花針操作を含む);

④ 07月30日 美容針灸の観点(美顔、痩身);

⑤ 09月03日 眩暈;

⑥ 10月01日 顔面神経麻痺;

⑦ 11月05日 坐骨神経痛;

⑧ 12月03日 COVID-19感染後遺症対策(倦怠疲労、咳嗽咽痛、味覚障害)。

場 所:東京都千代田区外神田6-4-5-401 NPO法人伝統医学教育会臨床センター

交 通:東京メトロ銀座線末広町駅より徒歩4分、千代田線湯島駅より徒歩4分

都営地下鉄大江戸線上野御徒町より徒歩8分

JR御徒町駅・秋葉原駅・御茶ノ水駅より徒歩10分~12分

定 員4名以上で開講 6名まで

費 用:73,000円(実習用具の費用込み、分割払い可) 当会会員は8,000円割引

振込先:特定非営利活動法人伝統医学教育会

郵便貯金総合口座 10100-55927971

申込み:NPO法人伝統医学教育会事務局 FAX 03(5816)5235

締切り:2023年4月10日(月)まで

健康知識:葱姜蒜による春季の疫病予防

春が近付くと自然界は陽気昇発という特徴になり、万物生成の光景が現れている。同時に春は風を主り、風を特徴とする病証が流行り易い。そこで、今の季節には新型コロナウイルス感染症に加え、様々な感染症が多発している。感染症の予防には感染源遮断と免疫力増強が重要な方針である。マスク着装・対人距離保持・随時の手洗いなどは感染源遮断のため効果的な方法であるが、人体生命力の一面である免疫力は医療気功、針灸推拿、薬剤薬膳など東洋的な医療方法により強化できる。

古来、伝統医学では薬食同源を提唱して食物の特性を以て疾病の予防と治療に用いている。これによって陰陽のバランスを取り戻して生体の免疫力を高める。「厨房三宝」と呼ばれる長葱・生姜・大蒜は薬食両用の重要な食材である。辛熱発散の薬性を持っているため、春の特徴と共通し、人体の陽気を助長して風寒湿の邪気を取り除き、疫病の予防効果を果たす。《傷寒論》、《千金方》、《本草綱目》など薬物経典に収録してある疫病の予防治療の食療処方に長葱・生姜・大蒜を含むものが数多くあり、また熱く炒って臍や合谷などの経穴に付けて熱罨法を行う外治療法をも記載している。

ここでは長葱・生姜・大蒜の薬性効果と応用方法について紹介する。疫病蔓延の時期に当たって多めに食用することにより、予防治療の作用を果たして欲しい。

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健康知識:冬季における感冒咳嗽の食療方法

冬の季節は、感冒(風邪)に罹り易くなり、悪寒発熱や鼻水頭痛などの症状が伴うほか、咳が多く見られる。しかも諸症状が治まっても咳だけが中々治らず、飲食や睡眠など日常生活に支障を来たし、更に慢性化すると咽喉炎や気管支拡張なども起こし易い。

中医学の飲食薬膳療法を活用することで、早急に咳の症状を改善させることができる。具体的に応用する際には、感冒の臨床辨証を行う必要があり、これにより咳嗽の治効を高める。

中医学的に、感冒は外界の邪気を感受して発病する外感病(外感表証)に属する。感冒による咳嗽は主に風寒か風熱の邪気から起こされるが、ほかに風燥によるものもある。臨床では、主に寒熱の辨証に従って相応しい薬膳献立を選択して対応することができる。

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健康知識:冬至に冬季養生を再び語る

二十四節気の冬至が到来し、これから本格的な厳冬時期を迎える。今年は陰陽消長の変化が激しく、夏は余りにも酷暑であったため、冬は例年より酷寒になりそうで、冬季の養生についてもっと意識を強化する必要がある。

* 2020年送付した《中国伝統医学 健康養生知識》の112頁における「冬季における補腎養生(2014年12日公開)」も参照できる。

陰盛陽衰の冬季では冬至が一年中の陰陽転化の転換点であり、自然界の陰気が極めて盛んになると同時に陽気が生み始める。この陰陽変化に従い、生体も陽気が生み始めて弱いため、外界の寒邪に損なわれ易い。そのため、健康養生のため陽気の封蔵と養護はこの時期、最も重要な原則とされている。また中医学では、腎気は冬気に繋がっており、冬季は腎陽腎気を大切に補う時期でもある。

この養生原則の下で、具体的な方法を紹介する。

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健康知識:重曹の薬用効果

重曹は重炭酸曹達(ソーダ)の略称で、重炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムとも呼ばれる白い粉末であり、生活用品や食品、医療、農業、工業、土木など、様々な分野で活用され、重要な役割を果たしている。

重曹は天然の原料を使用して精製されている。現在、製法は原料から大きく二つに分け、岩塩を水に溶かして電気分解するか、重曹成分を含有する鉱石などを水に溶かし、炭酸ガスを添加して結晶化する方法である。

重曹は日常生活において料理や清掃など幅広く応用価値があるが、薬用効果を以て下記の活用もできる。

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健康知識:林檎の薬用効果を高める食用方法

秋の深まりに伴い、気候が乾燥して来ている。炎熱の夏季とは異なり、寒冷時期は飲料水などが体内で気化され難いため、身体を潤わせるために果物は最も相応しいと言える。寒い季節の果物と言えば、蜜柑と並び、林檎のイメージが強い。

林檎は人類が食する最古の果物とされ、約八千年前から栽培されていたと見られる。欧米では「一日一個の林檎は医者を遠ざける」と言われるように、栄養価が高くて食べ易いため、世界中に好まれている。

林檎には様々な薬用効果があり、中医学的にも現代医学にも実証されている。正しい食用方法により、その薬用効果を最大限に発揮させ、様々な病症の改善に役立てられる。

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健康知識:健康増進と免疫強化について

新型コロナウイルス感染が三年ほど延び、疫病情勢が緩和したり、また緊張したりし、収束の目途が中々見えない。ワクチン接種は元々重症化防止のためで、直接感染予防に役立たないし、明確な効果を持つ特効治療薬の無い現段階では、感染されない、或いは感染されても発症せずに済むことは非常に重要で、それは恐らく自力に頼るしかない。そのため、健康増進に関連して免疫強化の話題も注目されてきた。日常生活で何を食べれば免疫力が高められるのか?患者さんや学生さんに多く質問されるが、回答として、

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健康知識:三伏天における生姜の特別な応用

中国では「寒は三九にあり、熱は三伏にあり」の諺がある。夏の三伏天になると、生体の陽気が体表に浮いてくるが、その時冷たい飲食を好んで過食すれば、体内の脾胃は虚寒状態に陥ってしまう。そこで、一年中で最も熱い時期では、一切寒冷を求めてはいけず、正確な養生方法として「熱を以て熱を制す」という原則を活用しなければならない。このことから、最も相応しい食べ物として生姜が挙げられる。

生姜は性味が辛温で脾・胃・肺に帰経し、散寒除湿・発汗解表・化痰止咳・温中止嘔・活血止血・解毒など様々な効能を持ち、三伏天では脾胃の虚寒を駆除するほか、冬病夏治の作用が大いに期待できる。これだけではなく、夏に多く見られる小さい問題も生姜を使って効果的に解消できる。

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健康知識:馬歯莧の性能と応用

馬歯莧はスベリヒユ科の植物でスベリヒユの全草である。初夏から晩秋までに畑、道端、庭園、廃墟など日当たりの良い場所に自生している。葉が丸くて小さく、茎が赤く、肉質が肥えて厚みがあり、夏には黄色の花が咲いて綺麗に見せている。

薬食両用の植物として、夏季に食用するほか、全草が薬用できるし、また種子も生薬として応用される。民間では「長寿草」や「長命草」などと呼ばれている。

新鮮な馬歯莧は口当たりが柔らかいが、シャキシャキし、ツルツルする感じで、やや酸味がある。野菜として味は普通であるが、薬用価値が大きい。

中医学的に、馬歯莧は酸味で寒涼の性質であり、心・肝・肺・大腸経に帰経する。ここでは、馬歯莧の薬用効果、食用方法、注意事項について詳細に紹介する。

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健康知識:静座健康法

生理学の研究によると、生体は「静養」の状態において神経の緊張度が緩め、呼吸・心拍・血圧・体温はいずれも適度に低下している。この低代謝の蓄積反応によって生命も延長していくため、「静養」は一種の精神的な健康運動だと言える。静養の最も相応しい方法として静座が挙げられる。

中医学的には、養生の第一要旨は養神にあるとされているが、静座こそ養神の具体的な方法であり、気功養生で最も重視されている。また歴史上の各種気功養生法は共に心神の修練を大切な目的とし、心身の静寂を取り戻すために、儒学気功の静坐や坐忘、仏教気功の禅定(坐禅)、道教気功の内丹や存想など様々な方法が行われ、その基本が全て静座にある。現代でも瞑想なども同じように静座が多く用いられている。

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